さて、そんな感じで、時雨の恋路に一通りの決着がついて、またしぱらく経ったとしても、何時ものように艦娘学校で日常は綴られていく…
時雨は、仲良しの友達が出来て、山城と言う想い人に気持ちを伝えることが出来た。
ヴェールヌイと時津風は、まあ相変わらず夕立を交えながらにぎやかな日々を過ごすだろう。
磯風と浜風も、きっと相変わらずマイペースに磯風が相方を振り回していくことだろう。
曙は、まあ、ツンデレしながら幸せそうに、アイドル的な毎日を暮らしていくことだろう。
舞風野分は何時も通りいちゃいちゃしてるに違いない。
深雪は、そんな皆を少し引いた所から、笑って支えるように立ち回るだろう。
キサラギ…異世界の如月も、睦月の尽力で平和でわちゃくちゃした世界に漸く慣れてくれたことだろう。
駆逐棲姫も、友達が沢山出来て、夢はいつかきっと叶うに違いない。
それ以外の艦娘学校の生徒達も、まだまだ平和で楽しいこの世界を謳歌することだろう。
そして肝心な、主人公であろう電と如月の、バカップルはと言うと…
「一年と半年ぶりに出れたと思ったら最終回ってなんなのよぉ!!」
「如月ちゃん!?いきなりなんなのです!?」
…と、出オチなメタい台詞はそこそこにして。
それはそうと、如月は、電に向かい楽しそうにこう告げる。
明日は、特別な日なのよぅ、と。
「まあ、見たらわかるのです…と言うか、ツッコミ待ちの高度なボケなのか、素で言ってるのかで返す言葉が変わるので、先にそれだけ教えて欲しいのです」
そう、対する電が如月に呆れた口調で返答するのは訳がある。
如月が、いつものセーラー服ではなくて、エプロン姿に三角巾と言う家庭科のような格好に、どっから持ってきたかは知らないが、手持ちのバケツには山盛りの溶かしたチョコレートがぎっしり詰まっており、辺りには甘い臭いを充満させている。
…要するに、そう言うことだ。
「それは…まあ、両方かしらぁ?女の子が主役の日にいっぱいいっぱい想いを込めてプレゼントしたいって思ったら、止まらなくなっちゃってえ…『バレンタインのチョコレート』、三キロ程バケツに入れてきたのよぉ」
「多ッ!?電にチョコレート三キロ食いきれと!?糖尿にさせたいのですか、このプチプチピンク!」
…と、まあ、そんな訳で。
折角のバレンタインと言うことで、如月があまりにも張り切りすぎて、業者もかくやと言うぐらいにチョコレートを大量購入した、と言う具合だったと言う話だった。
「…別に、全部が全部電の分じゃないわよぉ!クラスの皆やおーばーどらい部で関わった同級生の皆、阿賀野さんや扶桑さん達に関わった人に、海里さんや羽黒さん達にって、人数が人数だから自然とチョコレートも沢山居るってだけだわぁ!で、作る人数が人数だから今日のうちに作り上げないと、明日に渡せないのよぉ」
尚、如月があまりにもチョコレート買い占めていた理由とは大体こんな感じ。
対する電は、なら、最初からそう言って欲しかったのです、とツッコミを入れながら、更にこう続けるのであった。
「…確かに、電も如月ちゃんや時雨ちゃんだけじゃなくて、お世話になった人にはチョコレートをあげるつもりでしたが…電よりも、やっぱり如月ちゃんは本当に律儀すぎるのですよ。わざわざ全部、手作りのプレゼントを送るつもりだったとは」
と、そう告げて、遠い眼をする電は…苦笑いのような表情になりながら、こう締めた。
これじゃ、如月ちゃんの分を買って済ませた私が、何か申し訳無い気がするのです、と。
キョトンとする如月に対して、電は一日早いのですが、と綺麗に包装されたチョコレートの包みを如月に渡す。
そして…対する如月は、タイミングがタイミングで、ムードもへったくれも無いじゃない、と、プリプリ怒りつつ…
更に、電に対して返答するかのように告げながら…
「…そんな、どっか雑な貴女が好きな私が一番、大概よねぇ…」
…そう告げて、唇を電から奪うのだ。
そして…いつぞやの仕返しよぉ、と照れながら締めた如月に対して、電は満面の苦笑いでこう返すしかなかったのであった。
大概なのは…御互い様なのです、と。
そんな二人の続いていく物語も、艦娘学校の物語の一部として、おーばーどらい部の物語の一部としてでも有るが、のんびりまったり幸せに続いていく。
彼女達の物語は、死が二人を分かつまで、きっと終わらないのだろう…
そう、そんな二人を中心に、時雨も加わり三人で加速するストーリー…電・如月・時雨のオーバー・ドライブするストーリーは、ここで一先ずカンバンとさせていただくことにしよう。
また、いつか、そんな駆逐艦達の活躍が見れるその日まで、暫しのお別れにさせていただこう。
それでは…
『いならぐれオーバードライブ!』、完!
「って…最終回なのに、僕の出番はここだけかぁぁぁぁぁ!?」