如月、睦月型の二番艦の名前を持つこの少女。
電と時雨と睦月のやらかし方がアレなので叫びながらツッコム事が日常茶飯事だが、普段は生真面目で大人しく優しい。
少なくとも、普段はそんな感じである。
誰にもわけ隔てなく接し、困った人の救いとなるように奔走し、そしてその労苦を他人に当たらない。
…羽黒と木曾、2人の師匠から強さを受け継いだ、そんな女の子へと成長していた。
そんな訳で、如月は割とクラスの人気者になっていた。
とはいえ…
「ふ…ふみゅう……」
「如月ちゃんがまた倒れてる!?」
「如月の事…忘れないで…ね……」
「過労で倒れてそれは胸が痛いにゃしい!?」
よく、体力か精神力が限界を迎えて、如月は『死んで』いた。
「…てな訳で、緊急会議を開きたいと思います!」
姉貴分の睦月はある日、電と時雨の3人を交えて、対如月の辛労対策会議を開こうと決意する。
とりあえず、寮の相部屋で寝る度に「死ぬ」如月の姿を見るのは、いくらなんでも辛い。
つまり、睦月は如月の為に何か辛労を減らせる何かをしてあげたかった。
少なくとも、下手人やらかし枠の電とトドメをさしにいく時雨の2人をとっつかまえれば、如月の心労は減るのでは、と睦月は考えていた。
なお、当の2人は…
「如月ちゃんのストレス!?何が原因なのです??」
「うーん、如月が身体能力が限界とはね…」
…何か他人事だった、と言うか、自分が原因とは思ってなかった。
てめえらええ加減にするにゃしい!!と言う叫びと共にドロップキックが2人に飛んだ…。
「つまり、如月ちゃんの身体と心の疲れの原因は、電のせいなのですね…」
「僕も、ちょっと如月にやり過ぎたみたいだね…」
2人が、事態を理解するにつれてがっくりと肩を落とす。
…まあ、如月の事を気に病んでたのは電も時雨も同じだったが、その労苦の原因が自分たちと言われて非常にショックだった。
特に、悪気がなかった分だけ逆にショックだったのだろう。
反省しあい、お通夜ムードみたくなる2人だったが…
「にゃしい!!」
「痛いのです!?」
「かかと落としは予想外!」
睦月がその空気をぶったぎる。
そして、更に睦月は続けた…反省以上に次の事を考えて、と。
そして、こう言った。
「とにかく過ぎた事でくよくよするんじゃ無くて!如月ちゃんの癒やしになることを何かアイデアで出してあげないと!!」
…なるほど、と2人は納得した。
「…とは言っても、如月ちゃん…あの人趣味の一つ無いのです」
「…あの、ワーカーホリック、絶対早死にするよね」
「…あの馬鹿妹めぇ~」
しかし、そのアイデアは全く出なかった。
とっかかりが、全くなかったのだ。
時雨ではないが、この歳で如月はワーカーホリックになっていたのだ。
本を読んだりゲームをしたりと言う事をするのはたまに見受けられたが、如月にとっては完全な暇つぶしついでであった。
広く浅くと言うレベルではなく、少なくともその手のプレゼントは如月の一時のストレス発散にはなるだろうがそれは一時しのぎしかならないだろう。
と言うか、そもそも如月が好きなジャンルがわからない以上、何が心から喜んでくれるかがわからない。
どうしたら…という話になり、大人の艦娘に携帯を通じて聞いてみたが…
「…うーん、俺の場合は酒かなぁ…辛口の冷やにやっこにかつぶしなんて良いなぁ、如月なら白ワインでもどうだろう?」
「ウィスキーをロックで、バニラアイスがいいんですよ…それとも冷やしたポッキーも悪くないですね」
「私の名前を冠した、霧島を水割りでまったり呑むとストレスなんて吹っ飛びます!あたりめ炙ってマヨネーズ醤油がいいんです!」
電は木曾や羽黒、睦月は霧島と言う、かつての同僚で頼れそうな人物に聞いたが…揃って「酒に逃げる」と言う、子供相手にあるまじき対策に頭を抱える。
…なお、わりと木曾の「白ワイン」は正解だったりするのは秘密だ。
そんな中、時雨が日向に聞いた際、瑞雲…と言う、不穏な単語をサブリミナルに挟みながら彼女は如月へのナイスなプレゼントを送る、と答えてくれた。
そして…
「また如月ちゃんが死んでるにゃしい!?」
「またなのです!?」
「授業に来てないと思えば…大丈夫?」
睦月が、学校に来るなりいきなり時雨と電に向かって叫ぶ。
またか…と電はあきれ、瑞雲師匠なにしとんと時雨が心配する中、睦月はこう続けた。
「如月ちゃんがぁ…死んだ目でベットから離れないの!」
え…と、時雨は目を丸くし、電は話を聞くや否やマッハで如月と睦月の寮の部屋へ急行する。
そこで電が見たモノは…
「プチプチ…一個一個つぶす……気持ちいい……快感…心の中の澱が……消えていく……」
「段ボールとかに入ってるプチプチでトリップしてるのですぅぅぅぅ!?」
梱包材のプチプチを潰しながら、怪しい目でトリップしていた如月がベットでうずくまりながらブツブツと呟いていたのだった。
「戻ってこい馬鹿なのです!」
「にゃしい!?」
「それ姉貴の鳴き声なのです!と言うか怖いのです!」
そして、電の回し蹴りで何とか現実世界へと、如月はかえって来たのだった…
それからと言うもの、如月は限界近く頑張って死ぬと言う姿は見られなくなった。
ただし…
「プチプチィィィ!アレが無いと生きていけないのぉぉぉ!プチプチさせてぇぇ!!」
「またなのです!プチプチの禁断症状が出始めたのです!?」
「またか…如月を抑えないとね!」
如月は超重度のプチプチジャンキーになったとか、ならなかった、とか。