「…如月ちゃん、相談が有るのです」
ある日突然、電は如月にポツリと呟く
なぁに電、と如月は質問すると電はこう答えたのだった。
私、もしかしたら深雪ちゃんに恋してるかも知れないのです…、と。
ええええ!?と言う如月の絶叫がクラスに響き渡った…。
「電、あ、あの、恋ってあの、恋で…」
「…前から思ってたけど、如月ちゃん雰囲気エロい癖に根が純情過ぎなのですよ」
何だか可哀想なぐらい動揺した如月に、何だか憐れむような視線で電は見返す。
そして、人選ミスったのですと内心電は呟きながら、話を続けた。
曰わく、こんな感じの話だった。
深雪、吹雪型の特型駆逐艦で出身は江ノ島鎮守府と言うこの彼女。
かつて、戦艦だったころ電がやらかしてしまい、味方の衝突事故と言う形で実戦に出す前に轟沈させてしまったと言う珍事を引き起こしてしまった。
その為か、電にとっては深雪はどうにも目が離せない存在だった。
学校のクラスメートと言う形で艦娘として再開した電は深雪に何度も何度も謝った。
だが、深雪はと言うと気にしていなかったらしく、電の事を笑って許してくれた。
しかし、どうにも申し訳無い気持ちが抜けず、何だか深雪の事が目を離せなくなった。
それだけではなく、深雪を見る内になんだか心の奥がモヤモヤムラムラする。
もしかしたら、コレは恋と言う気持ちなのかも知れない、と。
「…もしかしたら違うかもしれないし合ってるかもしれないし、とにかく自分で答えが見つからなくて、何だか気持ち悪いのですよ」
電のその言葉に、如月はと言うと…顔を真っ赤にしてオーバーヒートしていた。
そんな親友の姿に、如月ちゃんには荷が重かったのです、と呆れながら呟いたのだった。
「で、僕らにお鉢が回りました…と」
「…まあ、妹の頼みなら仕方ないか」
相談しやすい立場だった如月がどうにも使えないと言うレベルではなかった為、最近良くつるんでいる時雨と姉のヴェールヌイへと相談を持ちかけた。
…他人に自分から他人の悩みをよそにバラすような2人ではないし、まあ正解に近い相談相手だったかも知れないだろう。
さて、そんな2人が電の相談を聞いた後の回答はと言えば…
「…まあ、電のそれは好意には違いないだろうけど、恋愛感情かと言うと微妙かも知れない…きっかけがきっかけだけに、純粋な好意じゃなくて同情なのか後悔なのか…それすらも、誰もわからないかもね」
「またハラショーな悩みだよね、それの答えは…多分私たちには出せないよ、とりあえず深雪に向き合って、それから考えてみたら良い…それでもわからないなら、もう一度相談してくれ」
と、2人して誠実ではあるが、玉虫色の回答を返した。
情報量が少ないのときっかけがきっかけなので、他人から見たら、電自身が思っている以上に好意のレベルのラインが判断付かない。
適当に答えたら…電もそうだが、深雪が深く傷つく可能性が有る。
その辺はものすごく真面目だった、普段フリーダム勢のヴェールヌイと時雨では有るのだが。
と言うかこいつらは誠実と真面目さを極めた結果フリーダムになってるだけなので、真面目な悩みには真面目に相談に乗ってくれる。
そんな2人が出した結論は、人が出した意見に流される前に、深雪本人と向き合ってみろと言う話だった。
「まあ、自分でもわかっていた事でもあったけど、背中を押してくれてありがとうなのです」
そして、電は相談に乗ってくれた2人に礼を言う。
…そして、その翌日。
「深雪様に話って何だよ、電?」
電は体育館裏に呼び出して、2人だけの空間で自分の思いに決着を付けようとした。
…なお…
「べ、別に私は電の事が、気、気になるとかじゃなくてぇ…」
「…如月、僕が言えた義理じゃないけど、君は相当度し難い女の子だね」
「…2人共、妹の晴れ舞台なんだから、少し黙ろうか」
如月と時雨とヴェールヌイの3人も影で見ていた。
「…まあ、アイツらは後で魚雷叩き込めば良いのです…」
「…隠れてるつもり、なんだろうなアレ…」
電と深雪にはそれは地味にバレていたが。
それはそうと、電は深雪に本題を切り出した。
…深雪を見ていたら何だかモヤモヤする、申し訳無さ以上の不思議な気持ちが最近沸いてきた、もしかしたらそれは『恋』じゃないかと悩んでいた、と。
深雪は狼狽え、出歯亀の3人はジョジョの痺れる憧れるぅ!のモブ二人みたく反応するが、電は更に続ける。
…でも、深雪を目の前にして口に出して何となく理解出来た、きっと多分『恋』じゃないだろう、と。
「じゃあ、何なのさ…私を振り回して」
「…多分、私は『ぶつかって』なかったのがモヤモヤしてたのです…あ、怯えないで、物理的な意味じゃないのです!そうじゃなくて、仲良くなりたいのに申し訳無さが先に立ったせいでどうにも深雪ちゃんに一歩引いちゃってたのですよ…それが気持ち悪くてモヤモヤしてたのです」
あー、と一同が納得した。
感情自体はラブではないがライクだった、それでもそんな気持ちにすら踏み込めなかった事そのものが、電には…電の言を借りれば『気持ち悪い』と言う話だったのだ。
それから、電は最後に言った…私が言うと臆面が無いってレベルじゃないけど、改めて『友達』になって欲しいのです、と。
深雪はそれに握手で返し…そして、更にこう続けた。
「とりあえず如月と時雨とお前の姉貴しばこうぜ?」
電は、はいなのです!!特に如月ちゃんは容赦しないのです!とだけ返すと艤装全開にして、出歯亀共に突撃するのであった…。
「…って事が、昔あったのですよ」
電は、舞風と言う同じクラスの艦娘に対して語っていた。
そのきっかけは、舞風の相談から始まった。
舞風曰わく…野分の事を考えると、何か胸がチクチクする、と。
恋愛相談かトラウマ克服か電にはいまいち判断は付かなかったが…とりあえず、舞風に自分の経験を語ってあげる事にした。
そして、こう続けたのだ。
…とりあえずそんな気持ちに決着をつけて『納得』したい為なら、ちゃんと野分って子に向き合ってからぶつかるのです、と。
「でも、勇気が何だか持てないって言うか!!」
舞風は、無責任ともとれる電の言葉にムキになるが電は笑って流す。
そして、諭すように電は続けた。
「…なら、背中ぐらいなら押してあげるのです!セッティングとか話の打ち合わせぐらいなら任せるのです!主に如月ちゃんに!」
「ちょ、ま、私ぃ!?」
如月はいきなり電に振られて慌て出す。
しかし、電はそんな如月へと、実に冷たい目を向けたのだった。
そして、電はこう言った。
「あの時、如月ちゃんだけ役立たずだったの…多分、そういう経験が0な上に、知識がりぼんの漫画とか純愛小説からばっかりだったからだと思うのです!とりあえず少しは慣れて免疫付ける訓練なのです!!」
いやぁぁぁ!?と言う悲鳴をあげながら電に曳航されていく如月。
それを時雨と睦月は頭を抱えて眺めており、とうの舞風は呆然とするしかなかったとか。