強欲なる聖人   作:終一

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私は神は誰よりも欲望に忠実だから、誰よりも欲深ければ、それは神様と同義だと思います。

あなたはどう思いますか?




第序章 少年はかくして神殺しとなる。
神様志望の少年


嗚呼、何故だ何故救えない。

この嘆きが胸中の中をこだまする。

 

少年は目前に安置されているのは尊敬していたはずの母の亡骸である。

 

立派な外科医として多くの人々を救い、シングルマザーとして自分を立派に育ててくれた母。

 

そんな母は睡眠時間を削り、命を削り過労で死んだ。死んでしまっては意味がないのに。

 

引き取られた先は金持ちの家であった。だからといって悪人というわけではなく、ほどほどのズル賢さと駅の募金を見たらしてやろうと思う程には善人だった。

義父は道楽と称して孤児院に多額の募金をした。

その結果、その孤児院に笑顔が増えた。

 

これを見て俺は理解した。

この募金を道楽と称せる程に満ちていれば良いのだ。

自らの欲望を満たしていれば人は人を救える。

だが欲を満たすのは難しい。

 

 

それならば、神になればいい。

 

そんなことを言ったのは誰だっただろう。

 

神は誰よりも欲望に忠実だから欲深い=神という等式成り立っているのだ。だから欲望を満たしたければ神になればいい。

 

故に、誰よりも欲深くなれば神なんだよ。

 

 

俺はその言葉を信じて努力することにした。

金を稼ぎ人々を救うために、母のように死なないためにも。

そして、その努力は目の前の神様を殺すことで実を結んだ。

 

 

「何故だ、この偉大なる大天使である私の剣がかすりもしないとは貴様何をした!」

目の前の白い羽を生やした男はどうやら天使のようだ。言われなくても解ることだがどうやら自称するということはいい年こいても中二病のイタイ大人なのか本物か。

まぁ、そんなことはどうでもいい。

今俺はかつてないほどに調子がいい、身体能力は超人の域に達していた。

「どうでもいいけど大天使ってことは有名所でミカエルとでも名乗っているのかアンタ」

 

そう言うと目の前の男は不意をつかれたような顔をして尊大に言った。

「そうだとも、我こそが神ごとき者のミカエルである。

よくわかったな。極東の異端者が」

 

それを聞いて納得した俺の頭のなかにはある推測が頭を巡った。

唐突だが俺の誕生日は9月29日だそしてその日はミカエルの守護する日だ。

つまり、目の前の男が本物のミカエルならば、こいつは加護を与えた男と殺しあっているということだろう。

 

そして俺は加護を与えられているからこそ拮抗してやりあえているのだろう。

他の要素もあるだろうがそれは今はどうでもいい。

今すべきことは、懐に入っているアンティークのナイフをいかにしてミカエルに突き刺すかだろう。チャンスは一度きりだ。

 

ミカエルは大きく剣を空振り体勢を崩す、罠の可能性も考慮しつつ、力をこめて大地をけりとばす。

ミカエルはそれをみて笑う。

どうやら罠のようだ。だがあいつのカウンターは当たらない。あたっても死なないと信じてナイフを取りだし振るう。

 

この決闘の結果は少年の勝利である。そして、それはすでに戦う前から決まっていたのだ。

何故ならば、それが世界の意思なのだから。

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