問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜 一般人の問題児 〜   作:not Give

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最近は文化祭の準備で忙しいです、はい
一般問題児も10話越えました!←忘れてた
これもみなさんに読んでいただけるおかげです!ありがとうございます!
さて今回は前回に続きお風呂回(男)です。話の進みおせえ とか言わないでください、気にしてるんです…



11話 誘拐・交渉・風呂(男)

十六夜の投石によって派手に砂煙があがる、そのなかから這々の体で這い出してきたのは、人の体に獣の腕や耳が生えている、いわゆる半獣人と呼ばれる者たちだった。

 

「誘拐…獣人…お前ら“フォレス・ガロ”か!」

 

凛がいち早く彼らの目的と姿から正体を看破した。追い払うことは十六夜なら余裕だろうが凛はただの一般人だ、カフェでガルドに吹き飛ばされたこともあり警戒態勢を崩さずにいた。

しかしそんな凛の心中とはよそに獣人たちはなにやらどよめきあっていた。

 

「なんて力だ…」「蛇神を倒したという話は本当だったのか」「デタラメだ…」

 

そうしてるうちに一人(一匹?)の獣人が十六夜たちの前に進みでて突然頭を下げた。

 

「恥を忍んで頼む!“フォレス・ガロ”を完膚なきまでに叩き潰してはいただけないでしょうか!」

 

「嫌だね」

 

バッサリ と擬音が聞こえてきそうなほどの即答だった。

 

「そんな!」

 

「どうせお前ら、ガルドって奴に命令されてここのガキを拉致しに来たんだろ?」

 

どうやら十六夜も凛と同じように考えていたようだった。飛鳥たちが言った話からしてもギフトゲーム前に相手コミュニティから人質を誘拐し、降伏させるのも常套手段としていたのだろう。

 

「まさかそこまでお見通しだとは… ええ、我々もガルドに人質を取られている身分で逆らうことも出来ず…」

 

「そうです十六夜さん、彼らは被害者です!頼みを聞いてあげたって…」

 

「被害者だって? 違うね、こいつらは人質のために新たな人質を攫ってたんだぞ、ガルドと同じ悪党だ」

 

十六夜が冷淡な言葉で返す。

 

「そ そんな…」「俺たちはただ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここにいる奴らはガルドに人質を取られているコミュニティのやつか… これは…使えるか?

俺はある考えが浮かびおもむろに口を開いた。

 

「お前らはガルドが憎いか?」

 

「あ 当たり前だ!」

 

「でも歯向かうだけの力はないと」

 

「っ…そうだ… ガルドのギフトの格は俺たちよりはるかに上だ。それにアイツは魔王の配下、もし楯突いて魔王に目をつけられたりしたら…」

 

よし、乗ってきた。あとはこいつら次第だ。

 

「ーーーもし その“魔王”を倒すためのコミュニティがあるとしたら?」

 

「何を言っているんだーーー」

 

怪訝な表情を浮かべるフォレス・ガロの手下たちに向かって俺はジンの頭を掴み言った。

 

「このジン=ラッセル率いるコミュニティは魔王ないしその配下を倒すためのコミュニティだ!」

 

「えええええええええ!?」

 

当の本人が一番驚いているようだったが今は関係ない。とりあえずこいつらに俺たちのコミュニティの存在をひろめさせねえと…

 

「俺たちがいるからにはもう安心だ!だからお前らはコミュニティに帰って仲間に伝えろ、【魔王、魔王関係で困ったらまずはジン=ラッセルにお問い合わせください】ーーってな!」

 

そこで俺は一度言葉をきり、もう一度はっきりとその言葉を口にした。

 

「俺たちーーージン=ラッセル率いるコミュニティは、魔王を倒すためのコミュニティだ!!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

同時刻 “フォレス・ガロ”の本拠内

 

「やっちまった…俺はなんてことを… あの女のギフト…精神に直接触れる類だ…あんなのがいたらどんなゲームでも勝ち目なんてねえぞ!」

 

「ーーーーーほう」

 

気配はなかった、しかし彼女はそこにいた。深紅に染まったマントが月光に反射し煌めく、ふわりと香る鮮血の匂いーーー

 

「誰だ!」

 

ガルドは獣である己の知覚を持ってしても気付けなかった目の前の存在に警戒を強めるが

彼女は一瞬のうちにその距離を詰め、耳元で囁いた。

 

「お前は“名無し(ノーネーム)”の連中に勝ちたいのだろう?ならば私が新たなギフトを授けても良いぞ?」

 

「お 俺は…っ」

 

鮮血が舞うーーーーーーーー

 

 

「さてさて、どう出る新生“ノーネーム” …」

 

口元の血を拭い彼女は呟く。その表情は雲に隠れた月によって闇に溶けた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ノーネーム本拠 大浴場

 

「どういうつもりですか!?」

 

「うおっ!?」

 

ジンが叫んだ言葉が大浴場に反響する。急に大きな声を出され腰に巻いたタオルを落としかけた凛だったが十六夜は特に気にした様子もなく頭を洗いながら言った。

 

「どうもこうもねえだろ、【魔王にお困りの方はジン=ラッセルまでご連絡ください】 最初から言ってた“打倒 コミュニティを壊滅させた魔王”から“打倒 全ての魔王とその配下”になっただけだろ」

 

「笑い事じゃないです… 十六夜さんも見たはずでしょう!?あの恐ろしい魔王の力を…」

 

ジンが言っている魔王の力とはノーネームに残された傷跡のことだろう。

 

「もちろん、あんな面白そうな力を持った連中と戦えるなんて最高じゃねえか」

 

「やっぱり逆廻は戦闘狂だろ…」

 

凛は呆れ顏で言うがジンは違った。

 

「お…面白そう…? 魔王を倒すためのコミュニティなんて言葉が広まれば魔王とのゲームは避けられないものになるんですよ…? 十六夜さんは自分の楽しみのためにコミュニティを滅亡させるつもりですか…っ!?」

 

ジンはもう耐えられないとばかりに十六夜に訴えたが十六夜はニヤリと笑みを浮かべ、自分の考えを伝えた。

「だからこれは作戦なんだよ。

 

俺たち“ノーネーム”を発展させるためのな」

 

「さ…作戦ですか?」

 

「まず最初に確認したい、御チビは俺たちを呼び出してどうやって魔王と戦うつもりだったんだ?」

 

「それは… ギフトゲームを堅実にクリアしていけば報酬のギフトでコミュニティは必ず大きくなります。そうやって少しずつ力をつけて…」

 

ジンの言葉に十六夜は溜息をついた。

 

「それは机上の空論だ、呆れたやつだ。まず考えろ、

ーーーーコミュニティを大きくするのはギフトだけか?」

 

と そこでようやく十六夜の意図に気づいたジンはハッと息を飲んだ。

 

「ーーー人材ですね?確かに名前の売れたコミュニティには必ず強大なギフト保持者がいます…」

 

「しかし名も旗印もない俺たちのコミュニティには象徴となるものがありません、だったらもう」

 

髪を洗い流した十六夜が腰にタオルを巻き芝居がかった口調で言った。

 

「リーダーの名前を立てて売り出して行くしかないよな?」

 

「だから先ほどもあんなに僕の名前を強調していたんですね…!」

 

「魔王の被害者は数多のコミュニティだ。そこで俺たちが一度でも一味に勝利したという事実があれば… それは波紋のように広がる。そしてそれに反応するのは魔王だけじゃない」

 

「“打倒魔王”を胸に秘める奴らにも届いて協力してもらえるって寸法か」

 

「ビンゴ、そういうこった」

 

凛が続け十六夜が頷く。

ジンは思いもよらなかった十六夜の考えに口が開いたままだったが、やがて考えるように口に手を当て言った。

 

「…ひとつだけ条件があります」

 

「なんだ」

 

「今度開催される“サウザンドアイズ”のギフトゲームに参加してください。

そのゲームには僕らの昔の仲間が出品(・・)されるんです」

 

「へぇ、そいつは戦力になるのか?」

 

十六夜が鋭い目で問う。戦力にならなければ魔王と戦うときに足手まといになる、それを踏まえてのことだろう。十六夜はちらりと凛のほうを見て、凛も自分に対する十六夜の考えを理解していた。

 

「旧ノーネームが隷属させた元・魔王です」

 

「元・魔王様なら戦力としても十分って訳か。いいぜそのゲームに勝って元・魔王様を取り戻してきてやる」

 

「はい、お願いします。十六夜さんが考える作戦には多くの戦力が必要です。その戦力を整える手伝いをしてくれるのなら、僕は十六夜さんの意見を支持します。」

 

「いいぜ、交渉成立だ。そのためにも明日のゲームは何がなんでも勝てよ」

 

「はい」

 

十六夜はジンの肩を叩き湯船に浸かった。

 

 

 

「ったく、お前はいつからそんな大胆素敵なこと考えてたんだよ」

 

湯船に浸かっている凛が十六夜に尋ねる。

 

「ああ、あれはフォレス・ガロの連中がウチのガキを誘拐しにこようとしたときからだぜ?ガルドに対する恨みを煽ってやれば奴らは必ず乗ってくるって踏んでた。」

 

「全部計算ずくかよ…やっぱお前が一番の問題児だよ、逆廻」

 

「ヤハハ、褒め言葉として受け取っておいてやるよ、凛」

 

そうやって柄にもなく笑いあった問題児メンズだった。

 




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