SW:Side Story ~ジェットの鼓動~    作:歌雪斎

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 長らくお待たせいたしました。
 大学編が行き詰まってしまいましたので、また然るべき時に投稿したいと思います。
 ようやく物語が始まりますが、上手くやっていけるか心配です。


第一話「リベリオンの新星」

 1941年

 欧州でネウロイによる、大規模な攻勢が始まってから約二年が経過した。

 戦況は一向に悪くなるばかりで、戦力統制が遅くなってしまったのが原因である。

 一方、リベリオン合衆国でも戦力の編成が追いつかず、挙句の果てには太平洋・大西洋の制海権、制空権を共に失いつつあった。

 そんな中、リベリオン西海岸にある、ここMJDL(魔導ジェット開発研究所)では青年二人による他愛の無い会話が続いていた。

「ジョー、エンジンは今晩届くのか?」

 扶桑人の永島治朗が質問する。今日は一応休みで、事務室の中には彼を含め、歳の変わらないブリタニア人のジョセフ・カーターしか居ない。因みにジョーとはジョセフのあだ名のことである。

「ああ、さっき連絡が届いた。ウィッチ部隊二個も護衛に付けてるらしいぜ」

 青年二人は、ある物がブリタニアより届くのを心待ちにしている。

 それは魔導ジェットエンジン、レシプロエンジンに取って代わる新技術である。

「にしても、機体の設計がまだ出来ていないのに、エンジンだけあっても困るんだけどな」

 全くだと永島は頷く。永島は試作機の設計図を眺めている。

「一昨日考えたやつか?」

「ああ、これが今のところ一番出来が良い。俺たちの初めての仕事にうってつけじゃないか」

 永島は意気込む。MJDLが創設されて以来、初めての大仕事となる今回のプロジェクト。リベリオンの新興航空機会社からの融資もかなりのものとなっている。

「そういえば、ベルはどこ行ったんだ」

「訓練じゃないか?」

「ムロックへ行くか?」

 仕方が無い、と席を立つ永島。ぐっと背伸びをする。

   *   *   *

 ムロック基地に着くと、何やら模擬戦が行われているらしく、二対二でのチーム戦が繰り広げられている。

 時々「おりゃぁぁぁあぁ」と言う声が聞こえる。永島とジョセフは間違いなく、ベルだと思った。

 しばらく眺めていると、どうやらベルが勝ったようだ。

「ベルー!!」

 永島たちの声に気が付いたらしく、ホバリング状態で大きく手を振り返す。

 しばらくしてベルは地上に戻ってきた。

「ベル、今晩ジェットエンジンが届くそうだ」

「本当!?」

 ベルの獣耳がぴくっと反応する。彼女の使い魔は山猫らしく、耳が茶色がかっている。

 彼女はリベリオン出身の、海軍に所属するウィッチで、テストパイロットとして軍から派遣されたベル・クロスフィールド少尉である。

 並外れた身体能力を備え、機体の状態、トラブルシューティング、など何でもこなす事が出来る。因みに年齢不詳である。

「じゃあ、飛べる日は近いのね!」

「でもまずは機体を作らないとな」

 実際、リベリオンの魔導ジェット研究はまだ始まったばかりである。模型での風洞テストなどを行っているが、肝心の機体はまだ完成していない。

「まだ飛べないのね」

 ベルは気を落とす。

「そう気を落とすな、エンジンの調整は出来るじゃないか」

 ジョセフがそう言うと、ベルは機嫌を取り戻した。

「そうね、そうと決まれば、今日は力を付けないとね」

 そういうと、仲間のウィッチと共にランニングに出かけた。

 永島たちはそれを見届けた後、ビル・エアクラフト社に、魔導ジェットエンジンの受け渡しをするため、軍用トラックに乗り込んだ。

 夕日が滑走路を赤く塗り付ける。今晩は寝れそうに無いと、永島は考えながら、ジョセフの運転するトラックに揺られた。

   *   *   *

 その夜、MJDLに魔導エンジンが運び込まれ、一目みたいと夜にも関わらず開発チーム全員が集まった。もちろん、ベルもいる。チームは総員で38名、整備員も含めると50名は超える。

「これが、魔導ジェットか」

 永島治朗の目の前にある、完全に固定された鉄の塊が、世に言うジェットと呼ばれる魔導エンジンである。

「間違いない、ブリタニア製W.1JSだ」

 ジョセフが仕様書を見ながら答えた。

 この魔導エンジンは、ブリタニア・リベリオン定期技術交流で入手した実用魔導ジェットである。

 チーム内でも、ジェットと言うものを実物で見たことがあるのは、永島とジョセフだけである。

 永島が初めてジェットを見たのは大学生のとき、ノイエ・カールスラントで見たHe178jv2が初めてであった。

 ジョセフは、故郷ブリタニアのグロウスターの開発計画以来である。

 そんな開発陣が眺める中、ベルはおもむろにジェットの魔力増幅装置を触った。

「ちょっと動かしてみない?」

「言うと思ったよ、タービンだけだぞ」と永島が釘を刺す。

 開発陣が一歩下がり、固唾を呑んでその始終を眺める。

 ベルが力を込める。しかし、エンジンは動く気配が無い。

「あれ?おかしいな、それっ!!」

 ベルが渾身の力を込め、魔力を流し込む。

 するとエンジンは低い唸り声を上げ、タービンが回り始めた。

「これ行けるんじゃないの?」

「ちょっと待て、エンジンを始動するつもりか!?」

 ジョセフが聞くもベルは止めず、一層魔力を流し込んでゆく。

「これ、点火どうやるの?」

「無理だ、制御装置が無い」

 それを完全に無視するが如く、エンジンが点火され、爆音を放った。

 一斉に退避する開発陣を他所に、ベルはどんどん出力を上げてゆく。

 エンジン後方からは、綺麗な水色をした可視魔力炎が確認できる。

 しかし、エンジンが始動してから約二十秒が経ったとき、突然ベルが倒れた。

 手を離した瞬間に、バーナーは消え、タービンは止まるまで回り続けた。

 一斉に駆け寄る開発陣、ベルは完全に意識を失っていた。

 すぐさまベルは医務室に運ばれ、処置が行われた。

 原因は、短時間に大量の魔力を消費したことによる、脱水症状のようなものだった。幸いその二十分後、意識を取り戻した。

「やっと起きたか、大丈夫か?」

「すみません」

「いや、別に構わない。明日もゆっくり寝ていろ、試験は明後日からだ」

 それを聞くとベルは再び眠りに着いた。

 流石訓練のせいで疲れたのであろう、永島本人も疲れた様子である。

 その夜、開発チーム全員によるミーティングが行われた。皆、士気は高い。

 絶対に飛ばす、全員が誓った。

 




 ようやく始まりました、上手く書けるか心配です。
 主人公率いる開発チームは、新興企業に支えられ成り立っています。実際に、ジェットエンジンの開発はリスクが高いため、新興企業が中心となって進められていたそうです。
 因みに登場人物や機体は皆、現実にいたものをモチーフにしています。どうです?何だかわかりますか?
 また次回をお楽しみに。
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