SW:Side Story ~ジェットの鼓動~    作:歌雪斎

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 忙しくて実家に帰る暇さえありませんでしたが、明日から暇です、何しましょう。
 最近は古典文学に興味を持ち始め、様々なものを読んでいます。実にためになるものばかりです。将来は国語の教科書に載るような、そんな小説家になりたいものですね。


第三話「ハワイ危機と、未確認飛行物体」

 リベリオンに、いつもの冬が来た。

 気温が0℃を下回る日が連続しており、生身で空を飛ぶウィッチたちにとっては厳しい季節がやってきた。

 ジェット開発はというと、やっと機体の設計が完了し、ついに試作機の生産に入ろうかと言うところである。

 そんないつもの冬に、大きな嵐が訪れた。

 夜明けと共に、その知らせは届いた。

「ハワイが攻撃された?」

 まだ寝巻きのままの永島、受話器を片手に着替えを行う。

「ああ、そうだよ!早くこっちに来て機体の整備を手伝ってくれ!」

 声を荒げるジョセフ、これは大変なことになったと永島は着替えを急ぐ。

 ハワイ時間午前八時、ネウロイの航空戦力がハワイを攻撃し、わが国の戦艦を含める太平洋艦隊が甚大な被害をうけた。これにより、太平洋における主導権がネウロイに移ろうとしている。

 永島は基地に着くなり、出撃準備中の機体の整備を任された。設計士がどうこう言っている場合ではない。総動員である。

 今整備している機体はP―40で、これは陸軍航空軍のストライカーである。

 整備が完了した機体から順番に、ウィッチが乗り込んでゆく。急遽沿岸の哨戒任務が入り、早朝にもかかわらず沢山の人が動員された。

 八十名を超えるウィッチがリベリオン西海岸を飛び回っている。何とも不思議な光景である。

 結局昼になり、夕方になり、夜になったが本土への攻撃は確認されなかったが、気の休めない日が続くこととなる。

 この緊急事態に、西海岸航空ウィッチ警備隊の一部が太平洋に送られることとなった。

 西海岸はいつ、ネウロイに上陸されてもおかしくない状態となり、政府は緊急事態として警戒を西海岸に敷き、来るべき決戦に備えた。

 ともあれ、リベリオン国民は初めて、恐怖というものを植え付けられたのである。

   *   *   *

 ハワイ襲撃後、毎日のようにウィッチたちが哨戒を行うようになり、空を見上げれば必ずウィッチがいるような状況となった。

 ベルもこの哨戒任務に海軍として参加しており、沿岸沿いを飛んでいる。

 今日もベルは哨戒任務に当たっていた。

 十二月の寒空に、コートを羽織って空を飛ぶ。吐く息は白いが、すぐ後方へ流れてしまう。

 今履いているストライカーはレシプロ機の試作機である。F4Uという名前が付いているらしい。

 ふとベルは何かを感じ、空を見上げる。

「ん?あの黒いのはなんだ?」

 遥か上空に、黒いものが旋回している。

「まさかネウロイでしょうか?」

 同僚のナンシーが答える。

 ナンシーはベルのお気に入りで、出撃にはいつも彼女を連れていく。

 使い魔は猫らしい。

「うーん、行ける所まで行ってみるか」

 ベルは上昇し始めた。雲ひとつ無い青い空は、段々と黒い青になっていく。

 下を見れば、星型をしているリベリオン大陸の、星の先端が見えるくらいの高度まで達したが、依然謎の黒い物体には近づけなかった。

「駄目だな、出力が弱くなってきた」

「攻撃してこないようですね」

「あれは明らかに偵察機だろう」

 ベルはしばらく上昇したが、次第に出力が弱まり、ついには出力が無くなり自由落下が始まった。

 謎の飛行物体を眺めながら落下してゆくベル。

 しばらくすると、その飛行物体は突如姿を消した。

「消えましたね」

 何だったのだろうか…、と腕を組み考えていたが、墜落しそうになったので慌てて姿勢を戻し航行を始めた。

 気が付けば日が傾き、LAの町は橙色に染まっているのがみえる。

「仕方が無い、戻るぞ」

「了解」

 二人は海軍基地のほうへ向け、針路を変えた。

   *   *   *

 MJDLに戻ったベルは、今日あった一連のことを話した。

「なるほど、成層圏まで飛行する方法か…。そんなこと出来るのか?」

「できるぞ」

 そう言ったのはジョージだった。

「ロケット推進を使えばいい」

「ロケット?」

 ベルはロケットという言葉を知らなかった。

「液体酸素の燃料を推進力にするやつのことだよ、ジェットじゃない。ロケットなら空気が無くても推進力を得られる」

「いいアイデアだが、ロケットはまだ小型化に成功していないし、第一俺にはロケットの知識が無い」

「まあ、それもそうだな」

 ジョセフはせっかくのアイデアを諦めてしまった。

 窓から雪が降っているのが見える。

「もうじきクリスマスだな」

「そして来年ね」

 ベルは大きく背伸びをする。

「今年は色んなことがあったな」

「来年はもっと忙しくなるぞ」

 そう言いながら帰る準備をするジョージ。

 ベルも明日に備えて帰ろうとする。

「じゃあお疲れ」と手を振ってベルは部屋を後にした。

 ベルが帰ったのを確認し、ジョージは帰る支度を止めて、永島の前の席に座った。

「永島、日に日に戦局が悪くなっている」

「そうだな遅かれ早かれ多分、ここへも攻撃してくるだろうな」

 最悪のシナリオは、リベリオンが戦場と化すことである。それを二人は懸念していた。

「欧州でも大規模な攻勢が始まったそうだ」

 今や世界中が戦火の中にいる。

「まるで地獄の底だな」

「お前は何とも思わないのか?」

「ああ、俺たちにはベルがいる」

 ジョセフはなんとなく理解した。

「来年は忙しくなるな」

 そう永島は呟くと、外の雪は一層強く降りだした。




 秋ですね、実に過ごしやすい季節ですが、忙しいですとても。
 やっと空飛ぶウィッチが登場しました。ストライクウィッチーズといえばこれですよね。ジェットの研究が進むなか、太平洋に危機が迫ります。果たして、彼らはどうなってしまうのでしょうか。
 次回をお楽しみに。
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