Fate/zone   作:最後の英雄

1 / 5
第一話 英霊特殊召喚

未来の人類が滅亡し荒廃した街。

その中央の塔の中で全身に機械を身にまとい、それらの機能によって辛うじて生きながらえている聖者は最後の仲間の最期を看取っていた。

 

「アポリア・・・私を独りにするのか・・・」

 

人類の救済を託し静かに息をひきとった姿を眺めながら深い絶望に包まれた。

 

 

 

第一話 英霊特殊召喚

 

 

 

聖杯戦争

二百年前始まりの御三家と呼ばれる、アインツベルン・マキリ・遠坂。

三家の魔術師は互いに協力し合いあらゆる願望を実現させると言う聖杯の召喚に成功した。

だが、聖杯が叶えるのはただ一人の願いのみ。協力関係は血で血を洗う闘争へと形を変えた。

これが聖杯戦争の始まりである。

以来六十年に一度の周期で冬木の地に再来。それを手にする権限を持つ者として、七人の魔術師を選択しサーバントと呼ばれる英霊召喚を可能とする。

アーチャー・セイバー・ランサー・ライダー・アサシン・キャスター・バーサーカー。

七つのクラスに振り分けられたサーバントが現界。

七人のいずれが聖杯の担い手としてふさわしいか、死闘を持って決着させる。

 

 

 

そして、六十年の周期が近づく中、事前に聖杯に選ばれた証しであり、サーバントへの三回の絶対命令権である令呪を手に入れたものは、聖杯を手にするため何らかの準備を進めていた。

自らの召喚したい英霊を呼ぶためその英霊とゆかりの深い聖遺物を手に入れ、勝利のために策謀をめぐらすのだ。

しかし、どんなものにも例外は必ずあるものだ。

雨生龍之介こそその例外だ。

世間を騒がせる連続殺人鬼という時点で普通ではないが、聖杯戦争のこと、魔術のことなどほとんど知らず、召喚を成功させた理由も人殺しに変化を求め土倉で見つけた古文書の儀式を取り入れたためであった。

例外はそれだけでなく、彼は召喚に際し聖遺物を使っていない。

召喚に使用した聖遺物に所縁のある英霊が召喚されることはおろか、英霊が召喚されると言う認識すらないのだから、当然といえば当然である。

聖遺物の縛りのない召喚、干渉など不可能な聖杯の神秘に干渉の余地が生まれたのだ。

人類すべてを滅ぼしつくすまでに至った未来の科学の力ならば。

 

 

 

まばゆい召喚時の光が晴れたとき、Z-ONEは静かに目を開く。

 

―――どうやら成功したようですね―――

 

自らが召喚された部屋の構造から英霊の召喚に干渉に成功し、過去へたどり着いたのだと確認する。

人類の際限のない欲望が生み出した科学の産物、そして世界の力を受け人類が滅亡する前の過去へ。

アポリアの最期の言葉であった

 

「ここに未来はない・・・」

 

すべての仲間を失い自らももはや寿命で猶予はない。

その状況で語られたこの言葉はZ-ONEの心に深く突き刺さった。

いままでの計画を無に帰し、新たな計画を模索するほどに。

そしてZ-ONEがたどり着いた場所がここであった。

聖遺物無しの縛りの緩い召喚に、Z-ONEの召喚の力を十分に発揮できるキャスターのクラス、その他諸々の条件が重なり、第四次聖杯戦争を利用し時間遡航を敢行したのだった。

Z-ONE周囲を見渡すと明るい髪色の青年が目に付く。

悪魔が召喚されてもさほど驚きはしないであろう龍之介だが目の前にあるのは、形容するなら白銀のアンモナイト。

中身のが見えない生命維持装置に囲まれた姿はとても生物には見えない。

そのことに龍之介はおろか、部屋の中にいる彼に誘拐されいつ殺されるかもわからない少年ですら、叫ぶのも忘れ驚愕している。

Z-ONEは青年こそ自らを召喚した雨生龍之介であろうと検討をつける。

そして彼が部屋の中に散らばる遺体や血だまりの製作者であろうと。

未来の情報として雨生龍之介の素性を知る上、もともと長い経験で感情が薄いZ-ONEだが、人類を救うため己のすべてを賭けた英雄は目の前の状況に一つの判断を下す。

すると、Z-ONEのデッキケースから一枚のカードが抜き出る。

聖人のみが扱うことを許される天使との交信を可能とするカード。

燕のように滑らかに部屋を旋回したカードは炎を放つ。

その炎は遺体と血だまり、そして雨生龍之介だけを囲い、鎮火した後には残骸はおろか灰の一つも残ってはいなかった。

部屋も炎などなかったかのように煤けた様子一つ無い。

最後に残された少年にZ-ONEは目を向ける。

決して希望を失わなかったその瞳は、アポリア・パラドクス・アンチノミーを失い、多くのものをなくしつづける間に少しづつ、だが確実に絶望に濁っていった。

かつての彼では決してしなかったであろう、少年の命を己の安全と天秤にかける。

そして、もう時間がないのだ、人類を救わなくてはならないのだと言い訳をして。

だが聡明な聖者はそれはどこまでも言い訳でしかないことを理解している。

そして、目の前の少年を焼き尽くす。

少年は苦痛を感じる暇もなく消え去る。

誰もいなくなった部屋の中Z-ONEは誓う。

かつて救えなかった人々へ、希望を託し息をひきっとた仲間たちへ、そして今そこで焼き尽くした少年へ

 

―――必ず未来を取り戻してみせる―――

 

 

 

 

その日誰も知ることなく連続誘拐殺人事件は幕を閉じる。

最後の英雄の本当の意味で止まることのできない戦いは始まった。




一発ネタ



―――聖杯戦争・・・それは魔術の中で進化した決闘(デュエル)
そこに命を賭ける伝説の令呪(あざ)を持つ者を人々は始まりの御三家(3D's)と呼んだ―――



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。