Z-ONEの召喚、これは最後の英霊召喚であった。
すなわち、第四次聖杯戦争の始まりである。
第二話 約束の地
Z-ONEは召喚された日から拠点を変えることはなかった。
数十年間警察の手を逃れ続けた雨生という男がこの場所を特定されるような証拠を残してはいないだろうと考え、動かないほうが安全だと考えたからだ。
顕現するための魔力は英霊となった際宝具となった生命維持装置によって残り少ない寿命の間は問題なかった。
魔術を多用すればすぐに枯渇してしまうが、Z-ONEは魔術など知らないし、召喚も天使の力を借りているにすぎずこれもまた問題ないと言えた。
聖杯戦争に参加するマスターの中でとりわけ御三家のひとつである遠坂家の監視価値は高い。
Z-ONE以外の陣営は使い魔やその他手段を用いて監視をするだけの価値があるのだ。
その中で初戦の幕は切って落とされた。
遠坂家当主遠坂時臣とそのサーバントであるアーチャー。
かたや言峰綺礼とそのサーバントであるアサシン。
アーチャーが圧倒的な力を見せつけ勝利した戦い、聖杯戦争の内容までは知らないZ-ONEが見れば何かに気付いたかもしれない。
遠坂時臣と言峰綺礼が策謀しアサシンを脱落したかのように見せかけたことが。
あるいは大量の宝具と思しき武具の数々をアサシンに向けはなったアーチャー、どのような英霊なのかの大まかな見当が。
現に監視していたものの中には気づいたものもいたかもしれない。
そして、例え気づかなかったものに対しても死闘が本当に始まったことを知らしめたのだ。
しかしZ-ONEは監視を放棄してもやらなくてはいけないことがあった。
しばらくは安全とはいえ拠点としているのはただの民家。
いずれより安全な拠点を手に入れなければならないとZ-ONEは考えている。
そのための準備を初戦が行われた日もこもっていたわけではなく新たな拠点を生み出す準備を行っていた。
正確には呼び出す準備を。
幸いにサーバントは霊体化することができ、異様な姿をさらすことなく準備を行える。
街に科学の結晶たる結界のようなものを着々と張り巡らす。
それは完成が近づくごとにいびつな八の字を描いてゆく。
彼の、否全人類にとっての始まりにして終わりの地をここ冬木に招くために。
そうしてあらかたの形成が終わり余裕が生まれた頃、ある港の倉庫街にて通常ありえないエネルギーを感知する。
―――サーバント同士の戦いですか―――
あまり気配の感知や魔力の感知を得意としないZ-ONEですら気づく力と力の余波。
それはその日一日敵を探し求めたランサーと、その誘いに乗り場所を倉庫街に移して向かい合ったセイバーであった。
あらかた自分の用事の済んだZ-ONEは余裕があるなら他のサーバントの実力を把握しておくべきであると判断し、霊体化したままその周辺を浮遊する。
上空から見ればその全容が明らかになる。
向かい合う濃緑色の服を着た、赤と黄色の槍を持つことからしておそらくランサーであろう男。
向かい合うのは青い服に白銀に輝く鎧をまとう、中段の構えを行うおそらくセイバーであろう女。
セイバーの持つ剣先が見えないのはそのような宝具なのだろうか。
その二人を中心にセイバーの後ろに立つ銀髪の女性。
セイバーと話すような素振りからしておそらくセイバーのマスターか。
さらにコンテナの陰には狙撃銃をもつ男女や何もせずセイバーとランサーに注視する男。
その上アサシンらしきサーバントまで見受けられた。
その中心セイバートランサーは剣と槍の打ち合いをはじめる。
セイバーはランサーの変幻自在の槍捌きをかわし、ランサーは打ち付けられた間合いの見えない剣を槍の柄で刃で弾き防いでいた。
お互いの技量の高さがうかがい知れる攻防。
それらを高みの見物していたZ-ONEだが、自らに向けられた視線には気が付かないでいた。
アーチャー、ギルガメッシュは退屈し始めていた。
聖杯の招きに応じて来てはみたものの、あるのはかつての時代と比べ度し難いほどに醜悪な現代。
初めのうちは珍しさもあり暇つぶしにもなったが、ギルガメッシュ自身が己の宝庫
さらに召喚に応じたのも自らのものである聖杯を奪い合う者を潰すため。
聖杯に望む願いもない。
この日倉庫街に来ていたのも彼からすれば暇つぶしに過ぎない。
そこで上空に浮遊するサーバントを見つけたのだ。
自らが仰ぎ見るなど彼からすれば激怒してもおかしくないが、その相手Z-ONEに興味が生まれた。
裁定者として生まれ、圧倒的な眼力と洞察力があるからこそ理解した。
まるで深淵か己を見るような、かといって似通っているわけではないどちらかと言えば真逆の存在。
―――なかなかどうして面白い―――
相手は高みの見物を決め込んでいるようだが、いずれ会いまみえるであろう存在。
少しは現世でも愉しめるかもしれないと思うのであった。
もっともその上昇した機嫌もすぐに降下するのだが。
見られていることを知らないZ-ONEが眺める展望は急展開を迎えていた。
セイバーのランサーの決闘は宝具の力を駆使したランサーの有利とうかがえた。
その二人が距離を取ったとき迅雷をまといながら巨大なチャリオッツがその間に割り込む。
チャリオッツに乗る赤い髪で筋肉隆々の大男と濃緑のベストを着る学生のような青年。
チャリオッツで登場した以上おそらくライダーであろうが、あの間に割り込むとは手の込んだ自殺だろうか、意図が理解できない。
理解不能と判断したZ-ONEは早々と推測をやめるがその間にさらに展開は動く。
さらに黄金のサーバントが街灯の上に現れたかと思えばさらに黄金に輝くそのサーバントの背後と無数に突き出す武器の数々。
さらには、黒い霧をまとう騎士鎧が赤い目を輝かせて踊り出る。
自らがキャスターであり、黄金のサーバントが会話をしている様子があることからそちらがアーチャーで、黒い騎士鎧がバーサーカーだろう。
バーサーカーの声は雄叫びのようで上空でも聞き取れた。
―――すべてのサーバントがそろいましたか―――
たまたま居合わせたこの場でサーバントの全容がわかる上、多くのサーバントが宝具を展開し正体の手掛かりがつかめたのは僥倖であった。
今のところ近接戦闘主体のセイバー・ランサー・バーサーカーは遠距離の戦闘を主とするZ-ONEの脅威ではない。
アーチャーが最も脅威で次点がライダーであろうかと結論付ける。
混沌とした戦場は敵味方入れ替わりさらに混沌としていくが、再びライダーの理解不能の行動により一人また一人と撤退していく。
その様子をとらえながらZ-ONEは一人のサーバントに思いを巡らせていた。
アーチャー。
上空でもまばゆく輝くアーチャーの宝具。
大量に飛び出した統一性のない武器の数々。
しかもその武器一つ一つが魔術に関して一般人に等しいZ-ONEですら理解できるほどの神秘を有するものであるとなれば、あれだけの数持つ英霊は限られる。
―――英雄王 ギルガメッシュ―――
世界のすべての宝を手に入れた最初の英雄。
そして方や自分はすべてを失いこの時代にたどり着いた最後の英雄。
彼は何を思い原初となったのか。
全く逆でありながらもその思いは表裏一体だったのかもしれない。
一発ネタ
セイバー「お前はランサーに相違ないな?」
ランサー「おい
セイバー「・・・は?」
一発ネタ2
セイバーが突撃した瞬間、ゲイ・ボウを蹴り上げながら
ランサー「槍は拾った」キリッ