聖杯戦争が戦争であり細かなルールを定めていない以上、決闘とは逸脱した戦略をとるマスターも当然あらわれる。
テロ行為が戦争であるかはさておき。
時を同じくしてZ-ONEも聖杯戦争に本格的に参加を始める。
第三話 絶望の夜
セイバー陣営でありセイバーの真のマスター衛宮切嗣は焦っていた。
前に行われたランサーとの決闘、その時使われたランサーの呪いの宝具によりセイバーは片手の腱を切られ親指の握れない状況にあったのだから。
治癒不可能な傷によって、セイバーは明確に弱体化した。
だからこそ彼は一刻も早くランサーのマスター、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトを倒す計画を立てたのだ。
生粋の魔術師であるケイネスにとって魔術をないがしろにし、愚弄するような戦術は論外。
さらにはほかのマスターもそうであると魔術師は確信している。
だからこそ切嗣はその盲点をビルの爆破というテロじみた行為でついたのだ。
一応できる限り死者が出ないようビルの人払いは行っている。
だが、聖杯を手に入れる。
ひいてはその聖杯の力で世界平和を実現するためであるならば、少ない犠牲には目をつぶる。
それが切嗣のこれまで歩んできた道であった。
しかし、作戦は失敗に終わる。
それはケイネスの予想外の実力と、切嗣の協力者、久宇舞弥の言峰綺礼による襲撃によるものだった。
この二つによりケイネスを仕留めそこなう上、綺礼に協力者の存在が露見することになった。
綺礼はサーバントを倒され脱落したマスターとして教会に保護されながら度々外出し、その日は舞弥の襲撃を行っていた。
それは幸福を幸福と感じず人の不幸を幸福と感じる己の異常性。
信仰にすがっても、あらゆることを行っても矯正できなかったそれと、正常な倫理観の中での葛藤の答え。
それを彼の経歴から同じ異常者とみなした切嗣に求めたからであった。
その葛藤を綺礼と裏で同盟関係にある時臣のサーバント、ギルガメッシュは見抜いていた。
その上で諭すように問うたのだ。
「聖杯に何を望む。」
と。
そして
「愉悦とは言うなれば魂の形だ。」
と。
そして時臣の指示通りアサシンで他の陣営を調べるついでにその動機まで調べるよう指示する。
娯楽というものを教えてやると。
それは自らの矛盾に葛藤する綺礼への一つの答えの鍵であった。
街中に張り巡らされた陣はついに完成の時を迎えていた。
その完成と同時に空は真昼の晴天の空にはひびが入る。
そしてそこから崩れてゆき、巨大な穴が空に開くのだ。
そこからさらに、中央の最も高い塔から渦を巻き外になるにつれて低くなる廃墟群が姿を現す。
街の人々に変わった様子がない以上神秘の秘匿はなされているが、魔術を知る者、とくに聖杯戦争に参加するものには全く隠されてはいなかった。
そしてお互いに監視し合っている各陣営同士、ほかに陣営に動きがないのだから起こしたのはキャスターと見るのが当然であった。
突然現れた得体の知れない廃墟群。
その上、それらがキャスターの拠点だとするならばどれほどの魔術が組まれているか分かったものではない。
迂闊に手出しをするものはおらず、何事もなかったかのように計画は続く。
ランサー陣営がまさしくそれである。
ケイネスはビルの爆破をランサー、ディルムッド・オディナの尽力と自身の魔力を込めた水銀魔術礼装、
しかし、用意した工房を無駄にされ、魔術師として、名門貴族としての誇りを汚されて怒り心頭であった。
そのため、彼はそれを行った切嗣属するセイバー陣営の襲撃を決めたのだ。
すでにランサーによって弱体化した最優良クラス、セイバーを亡き者にしようという思惑もあったのだ。
その矢先に現れたのが天から生える廃墟群。
ケイネスもほかのマスターの例にもれずしばらく様子見、少なくともセイバー陣営を倒してから対処しようと考えたのだ。
セイバー陣営が拠点とする城。
そしてその城に突入したケイネスとデルムッド。
ケイネスと切嗣は城の中で戦闘を開始し、ほどなくして城のすぐそばでセイバーとランサーの戦闘も開始された。
切嗣は城の中に仕掛けられた無数の罠の数々と構造を知る地の利を生かし、魔術師として劣るケイネスにゲリラ戦法を展開する。
その様子にケイネスは切嗣を魔術師として軽蔑する。
ケイネスは城の門を
水銀は自在に変形し、その質量と圧だけで石すら切り裂く。
切嗣の用意した罠の数々も高速かつ自動でケイネスを包み込む水銀の壁をもってしては用をなすことはなかった。
さらに水銀の糸を張り巡らすことで屋敷の地形の把握と切嗣の探知を行い、切嗣は次第に追い詰められていた。
サーバント同士の戦いも同様である。
いくらセイバーといえど片手親指を使用不能にされた状態では高い技量を誇るランサーを倒すことはかなわず、逆に防戦一方に追い込まれる。
セイバーは武人として負けるつもりはないが、と同時に正確な判断力が劣勢を悟らせる。
その様子を近くで見る銀髪、赤目で色白のどこか人間離れした女性。
切嗣の妻にして他陣営へセイバーのマスターを装う彼女、アイリスフィール・フォン・アインツベルンはセイバーの様子を敏感に察知し、この戦況を覆すことを切嗣に期待していた。
城の中の罠の数々はケイネスに傷を与えることはなかったが、それらにより少しづつケイネスは切嗣の策にはまっていく。
水銀の壁とそれを作り上げたケイネス自身の自信を驕りへと変えていったのだ。
そして切嗣は仕掛ける。
その自信と水銀の壁を強力な貫通力を持つライフル弾で打ち抜く。
手傷を負わせ、さらに自信を魔術師として姑息な手でへし折られたことにより冷静さを失ったケイネス。
そして再び発射されたライフル弾をケイネスは全身全霊をもって防御する。
それが魔術回路を暴走させる弾丸だとは知らずに。
即死だった。
彼の魔術師としての優秀さゆえ、暴走は全身を破壊しつくしたのだ。
ランサーは瞬間主の死を理解した。
さらに主を失った彼は現界の権利を失い消滅しつつあった。
聖杯をもたらすと誓ったはずが、守ることすらできなかった自身の不甲斐なさ。
だが、主の最後の命令はここで果たす。
自己満足であることは分かっているが彼はどこまでも誠実であったのだ。
セイバーもランサーの構えと消滅し始めた体に気付く、己のマスター切嗣が倒したのだと、そしてこの戦いが終局を迎えつつあることに。
そして、一撃を受けディルムット・オディナが消滅する。
この度も忠義を尽くすことはかなわなかったが、少なくとも騎士の誇りは失わなかった。
襲撃の時刻言峰綺礼もその周囲にいた。
例のごとくケイネス襲撃の混乱に乗じて切嗣と接触を図るためである。
森が開けいよいよ城が見えようかというところで、黄金とエメラルドの飛行体が綺礼の前に降り立つ。
綺礼は突然の事態に身構えるが、飛行体の持ち主ギルガメッシュはそんなことはお構いなく
「すこし予定が早まったが、娯楽がどうゆうものか教えてやる。乗れ。」
と告げる。
綺礼はせっかく切嗣に接触できるチャンスを無駄にしたくはなく渋るが、ギルガメッシュに他人の事情など関係ない。
そんな姿に綺礼も思うところがあったのか、ともに飛行体ヴィマーナに乗り込み飛んでゆく。
上空に現れた廃墟群へ。
全然Z-ONEからまないですね、ごめんなさい。
Z-ONE宝具
遊星号
ランク C
種別 対人宝具
レンジ 0
最大補足 1人
未来の英雄が乗るバイクを改造した乗り物兼、延命装置。
あまり高速は出ないものの自在に飛行可能。
手の機能を持つ浮遊パーツを持ち、手足がないZ-ONEの戦闘、生活の補助を行う。
装置内のモウヤンのカレーや治療の神ディアンケトといったカードの力で延命を行う上、宝具となったことで魔力の自給を可能としている。