今回はいつもより少し短いかもです。
それでは本編どうぞ
「本当に御二人だけでこのクエストを受けるのですか?」
「ああ、大丈夫だって」
ギルドの係員がまた同じ質問をしてくる。
すでにこのやり取りは3回もしている。
「わ、分かりました。くれぐれも無理だけはなさらないようにお願いします」
「分かってるって」
準備は出来た。
「よし行くぞ、ベル!」
「おー!」
街を出て、一時間ぐらい経っただろうか。
最初はノリノリだったベルのやる気がどんどんなくなっていた。
「ねえホムラ~、まだ着かないの~?」
「もうちょっとだ。ほら、もう見えてきた」
俺たちがやってきたのはとある岩山。
ここが今回の目的地だ。
初心者にも狩りやすい雑魚モンスターが多く生息するにも関わらず、ここを狩り場にする人はまずいない。
その理由は、
「グルアアアアア……!!」
この岩山は、龍の縄張りだからだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ここに住んでいる龍はフレイムドラゴン。
体内で雷を生成することのできる大型の龍だ。
基本は人を襲わないのだが、遊び感覚で街をひとつ崩壊させることもあるため、危険視されている。
また、ファイアードレイクというモンスターもいるが、完全な別種である。
「ベル、一旦下がっててくれ」
俺が言うと、ベルはコクンと頷く。
「『忍刀』」
さっそく忍刀スキルを発現させ、木刀を手に持った。
忍刀スキルとは、通常よりも刀を上手く使えるようになるスキルらしい。
それはさておき。
自分の十倍以上はあるような龍の後ろに回り込む。
ギルドの人の話によると、このモンスターを討伐するときは、いくつかのパーティで徒党を組んで倒すそうだ。
「まずは一撃っ…!」
硬い。
予想はしていたが、鱗が硬すぎて身まで刃が通らない。
この世界に来てから一番楽しい戦闘になりそうだ。
「『手裏剣』!」
俺は手に数枚の手裏剣を持ち、龍の口に投げる。
手裏剣は投げようと思った時に手に現れるから扱いが楽だ。
「ギャアアアアアァァァァァ!」
これは効いたみたいだ。
ここから一気にたたみかける!
「『捕獲』っ!!」
……は?
ベルのスキルを使う声とともに、目の前の龍が
「おいベル!何してんだよ!」
「何って、私もスキル使ってみようかなぁ、と思って」
俺があそこまでやる気になってたのに!?
まあ、二人でクエスト受けたわけだしなぁ。
………。
恥ずかしい。
さっき楽しい戦闘とか思ったのがすっごい恥ずかしい。
自己中混じりのヒーロー気取りしちゃった感じで、穴があったら入りたい気分だ。
「えーと、なんかごめんね?」
やめてくれ。
謝られたら更に恥ずかしいから。
ここは話題を、
「な、なあ、さっきのスキルってなんだったんだ?」
ちょっと苦しいか。
「ん?あー、えっと、さっきのスキルは捕獲だよ。どんなのかはよく分からないけど、モンスターを捕まえるスキルみたい」
何それ超強い。
あのレベルのモンスターを一発とかとんでもないスキルだな。
もうこいつだけで魔王討伐できる気がしてきた。
「でも項目が黒くなってるから、補充期間がいるんだと思う」
ああ、納得。
流石にリミットなしだったらどうしようもない強さだからな…。
「ゴホン、さっきから仲良くしゃべってるところすまんが、我の事を忘れてはいまいか?」
「「!?」」
急に声がしてあたりを見回すが誰もいない。
「ここだ」
今度はどこから聞こえたか分かった。
ベルだ。
ベルの中から声がする。
おそらくだが今のはさっき捕まえた龍の声だ。
「ベル、召喚してみてくれ」
「え?う、うん。『召喚』!!」
ベルの前に光の渦が形成される。
光がおさまった後にいたのは、赤い髪の少年だった。
「お前、誰だ?」
思わずそう聞いてしまった俺は悪くないだろう。
見たことのない少年が目の前にいたら驚くに決まっている。
「失礼な!我はフレイムドラゴンである。誉れ高き龍にして火の精霊だ」
「いや、どう見てもただのガキだろ」
ベルも隣でうんうんと頷いている。
目の前の少年は怒りに顔を髪と同じ色に染め上げた。
「分かった。ならば証拠を見せてやろう」
少年は目を閉じて、またさっきと同じ光に包まれた。
次に光がおさまった時に見えたのは、さっき俺が挑んだあの龍だった。
「どうだ、これで信じたか」
「かわいそうに、二匹目に食われちまったか」
「ふざけるな!!」
誤字脱字、感想などお待ちしております。
11/2 龍の名前を変更しました。