基本原作の時系列順で進めていきます。
主人公のステータスに関しては物語の中でお教えします。
具体的には原作1巻終盤頃に。
ひとつ話すなら主人公のスキルは一つだけ。
それもベルのような経験値上昇系ではありませんが、ちょっとチートっぽくなるかも
「くっ…!」
僕の名前はベル・クラネル。
この前冒険者になったばかりの駈け出しだ。
現在周りにモンスターで包囲されている。
まあ、この事態を引き起こしたのは自分のせいだと言うか…
エイナさんは僕に一階層で最初は経験を積むものよと言われたが一階層ではモンスターの出現数がかなり少なかったのだ。
さすがに物足りなさが僕の心に募って行ったからどうせなら五階層まで行ってしまおうと思いここまで来たわけだが完全にモンスターに囲まれてしまった。
なんとか耐え抜いていたが運悪くどんどんコボルトが湧いてくるのだ。
「こうなるんだったら5階層まで来なければ…!」
跳びかかってきたコボルトの攻撃を横に飛ぶことで避ける。
しかし、無理な体勢で回避したため次に跳びかかってきたコボルトの攻撃に反応が遅れた。
「うわっ!」
けど、僕もそう簡単に攻撃を食らうわけにはいかない。
なんとかまた避けることができたがそれはまともな攻撃を食らわないようにしただけだった。
脇腹にコボルトの拳が当たり激痛が僕の体を苛む。
硬い地面にを転がるようにして痛みを逃がそうとするがまた攻撃を仕掛けてくるコボルトにカウンターを仕掛けなければならない。
逃げているばかりでは現状の解決にはならないからだ。
僕はそのカウンターを仕掛けるためにナイフを取り出そうと一時的に腰の隙間に刺していたのだが…
「あれ?!ない?!」
僕が目線を上げるとさっき避けた場所に転がっている僕のナイフ。
切れ味もそれほど良くなく初期の冒険者にお似合いだと言われるただのナイフだがそれ一つが僕の命を守るただ一つの武器だ。
しかし、一時的に慣れない場所に置いていた僕のせいでさらにピンチに陥ってしまった。
動揺したことでさらに隙を作ってしまった僕。
が、敵も待ってくれるほど優しくはない。
ダンジョンは時として残酷なのだ。
2匹のコボルトが飛びかかってくる。
僕は衝撃に備えて手を前に組み耐えようとした。
しかし、いつまでたってもダメージを告げる衝撃は来なかった。
おそるおそる手を避けると僕の左右にドシャッと何かが落ちる音が聞こえた。
それは両方とも致命傷を食らっている僕に飛びかかってきたコボルトだった。
これは、一体…
僕が状況を読み込めないでいるとズサァと目の前に誰かが下り立った音が聞こえた。
揺らめいたのは赤髪だった。
いや、赤髪というには少し黒すぎるかもしれない。
敷いて言うなれば赤黒色だ。
服は目立たない黒の軽装備、全体敵に黒い服装だ。
この人は冒険者なのか?
しかしその疑問はこの場所では考えるまでもない事実である。
ダンジョンには冒険者しかいないし。
冒険者なら武器を持っているはず。
その武器はどういったものかを見るためにその手元を見てみると
「?!」
それはひと振りの片手剣。
強いて言うなればちょっといいファミリアで売られているようなただの片手剣だった。
しかし、その色が異様だった。
赤い、いや、赤黒い。
その色はその冒険者の髪色と同じ赤黒色であった。
その色は見る人が見たら異様な色に見られたかもしれない。
しかし新人の冒険者であるベルにはその色について追及をするほどその色を見たことがなかった。
それよりも目の前に現れた冒険者の戦闘方法に衝撃を受けた
「―はははっ!」
笑っているのである。
口を大きく開けた笑いではなくただ軽く楽しそうに笑う笑い。
言うなれば余裕の笑みとも捉えられよう。
僕がそう観察していると赤黒髪の冒険者は動き出した。
その動きは笑みが証明されるほどの実力が見られた。
的確な回避と相手の隙を突く片手剣の攻撃
「ギィァァアア!!」
コボルトが絶命時の声を上げる。
その声は何故かいつも聞いているものより大きく感じられたがそれ以上にその冒険者の剣舞に見惚れた。
単調な攻撃しか仕掛けてこないコボルトを少しの時間で全滅させたその冒険者は戦いが終わると剣を腰の鞘に戻すとこちらに歩み寄ってくる。
今だ、尻もちをついている僕に手を伸ばす
「大丈夫ですか?」
その表情は微笑を浮かべていた。
「あ、ありがとうございます!」
僕がその手を握り返すと赤髪の冒険者はゆっくりと僕を起こした。
背は僕より高めだろうか。
そう思っていると
「っ!いたた…」
先ほどコボルトから拳をもらった部分が痛んでくる。
脇腹を押え痛んでいると目の前に回復薬が差し出された。
「これ、使っていいですよ」
「え!けど!」
「ボクには必要ありませんから。これは一応予備で持っているだけで」
僕は少し躊躇した。
たとえただの回復薬でも今の僕の弱小貧乏ファミリアには過ぎた代物だと言ってもいい。
しかし、その冒険者はにこやかな笑顔を浮かべている。
その笑顔には人を和ませるような雰囲気と有無を言わずこれを受け取れというような面持ちが見て取れた。
「あ、ありがとうございます」
結局は脇腹の痛みに耐えることができず受け取り回復薬を飲んだ。
それと同時痛みは少しずつ和らいでいく感覚が僕の体を包んだ。
僕は回復薬を飲むとその冒険者に向けて
「ありがとうございました」
そう言って頭を下げた。
さっきの戦いやこの回復薬にしても助けてもらってばかりだ。
せめて今では感謝の言葉を返したほうがいいという決断だった。
僕が頭を上げるとその冒険者は特に気にしないでくださいと言ったことを言ってきた。
「っと、そう言えばあなた冒険者になりたてですよね?」
ギクッ!
な、何でばれて…
「動きががちがちの素人ですからね。僕の見立てだと冒険者になって数週間と行ったところでしょうか」
「…はい」
僕はごまかすこともできなかった。
目の前の冒険者は微笑を浮かべながら僕に問うてきた。
「まあ、それはいいとしてあなたは?」
「…あ、僕は【ヘスティア・ファミリア】のLv1の冒険者でベル・クラネルと言います」
「ヘスティア様…ね…」
その冒険者は僕の主神様の名前を呟いた。
僕はその表情について詳しく読み取れなかった。
けど、彼の心の中には何か別の感情が表わされた気がした。
しかし、すぐ後にはいつもの笑顔を浮かべる。
「ボクは【ソーマ・ファミリア】でLv1の冒険者。ユキ・クラディウスと言います。」
【ソーマ・ファミリア】…よく聞いたことないファミリアだけどユキさんは僕よりも強い冒険者なのだろう。
たとえ同じレベル1でも【ステイタス】と経験の差がある。
そこが僕とユキさんの力量の差なのだ。
しかし、駆け出しの冒険者である僕を一瞬で見極める人なのだ。
ダンジョンに潜っている年数ではユキさんの方が長いのは明らかだ。
相手の名前もわかったことだしこれ以上邪魔をしてはいけないと思い最後にしっかりと謝るためまた頭を下げる
「ユキさん本当にありがとうございました。」
「ああ、いえ別に大丈夫ですよ。それに敬語とかはやめてください。一応同い年だろうし」
「え?!そうなんですか!…けど、何で…」
「まあ、成人になる冒険者は大体十五歳くらいですからね。それなら同い年くらいでしょうし」
僕は驚いた。
この人は僕の装備を見ただけで年齢まであててきたのだ。
レベル1なのに強いし頭もいい、それに顔もさわやかとしていて悪くもない。
驚きと同時に憧れた。
今はまだ差が空いているけどいつかはユキさ…ユキと共に闘ってみたい。
というか、ユキの方も敬語じゃなくした方がいいんじゃ…
僕はそれを話そうとすると
「!」
ユキは何かを察知したかのように振り返っていた。
ん?何だろう?
「ベル。今すぐ上の階層まで逃げて。」
「へ?」
一体何で…?
僕が理解したのは少しした後だった。
聞こえてくるのはドスドスと走ってくる足音。
それは一体二体の話しではない。
音が大きくなるにつれ足音の量も多くなる。
ドスドスドスドスドスドスドスドス――!
その大きくなる音と共に僕の足はどんどん竦んでいく。
まるでその音が僕の足に絡みついて地面に根ざしているかのようだった。
身を引こうとするが足が言うことを聞いてくれない。
そんなもどかしさが僕の身を支配していた時それは見えた。
土煙が上がっている。
それはもくもくと増えていく。
そしてやっとその正体が見えた。
2
「ひっ!」
まるで蛇に睨まれた蛙。
この場では牛に睨まれた兎だった。
しかし、この時の回復は早かった。
僕はただ自分の身のことしか考えていなかった。
急いで振り返ると上層への階段の方向へ走り出す。
道を進み曲がり角を曲がる時一度ミノタウロスがいる方向を見た。
数体のミノタウロスがこちらに走ってきていた。
僕はただ逃げるためにさらにスピードを上げた。
人は恐怖と対面した時視界が狭くなるいきものである。
ミノタウロスしか見ていなかったベルはその方向に立ちふさがっている赤髪の少年の姿が見えなかった。
「――ははははは!」
なんていい日なのだろう。
ボクの目の前にはたくさんのミノタウロスがいる。
先ほどまで地上に赴き適当なファミリアに魔石を売ってきた。
そしてかすかな報酬を手にして簡単な調整をした後またダンジョンに潜ろうとした時にまさかの事態で五階層にミノタウロスが現れたのだ。
ボクは少し驚いたが五階層という上層で中階層の敵と出会うとは中々ついていると思った。
これも笑顔の賜物だとまた信じる糧となった。
だって、上層の敵は味気が無いのだ。
これも強くなる上での大切な通り道だ。
ああ、早く強くなりたい。
そして殺したい―!
ボクは腰に携えている赤黒い片手剣を引き抜き目標へときりこむのだった。
「よし!後少し!」
ティオナの声が聞こえる。
私ことアイズ・ヴァレンシュタインは現在ミノタウロスの掃討に当たっている。
私たち【ロキ・ファミリア】は今朝新層攻略へと足を進めた。
昨今沢山の【ファミリア】がこの迷宮都市オラリオに混在している。
しかし、この都市がダンジョンに蓋をするように作られてから実際に攻略されたのは58階層まで。
そして私たちは今回未到達階層である59階層へと挑もうと思ったのだが、今回51階層で依頼品の回収を頼まれた時新種のモンスターとはち合わせてしまった。
そのモンスターはまるで芋虫のような外見だが体調は1
その新種が大量に出現し私たちのファミリアの武器や防具を溶かしていく。
なんとか全部倒したあとはほとんど武器や防具は使い物にならず負傷者も少なからずいたため回復薬の類もほとんど消費したため依頼を完遂しただけで撤退に漕ぎつけてしまったのである。
その撤退途中中層で大勢のミノタウロスと遭遇いざ戦い始めるとミノタウロス達は逃げ出し上層へと走り出したのだ。
そして現在私たちはそれぞれの組に分かれ殲滅へと走り出している。
どんどん上へと上がって行くミノタウロス達。
その途中ミノタウロスが二手に分かれてしまった。
今追っているのは私、ティオナ、ティオネ、ベート、ラウルの5人。
そしてつい先ほど二手に分かれ進んだのは私とベートだった。
所々で足が遅くなってきたミノタウロスを倒すがどんどんと上へと上がって行く。
そしてついに五階層までやってきたのである。
「ちっ!あのミノタウロスども…なんて逃げ足してやがる…!」
それはわかる。
推奨レベルが2であるミノタウロスをレベル5の私たちが追っていて追いつけない。
それに綺麗に上層へとつながる階段を上って行く。
何とも奇跡的。
そして5階層のとある角を曲がるミノタウロス。
それを追うように私たちも曲がると
「!」
目の前に赤髪の冒険者がいた。
それを見て私は息をのむ。
装備から見るにレベル1と言ったところか。
しかし、それはまずい。
先ほど言った通りミノタウロスの討伐推奨レベルは5だ。
レベル1の冒険者ではまず倒すのは無理だ。
「ベート…!」
「ちっ!わかってる!」
今にもミノタウロスは冒険者を襲おうとしている。
私たちは跳び出そうと声をかける。
が…
「え…」
その必要はなかった。
その冒険者はひと振りの赤い片手剣を盾に振るい一体のミノタウロスを軽々と屠ったのだ。
その一撃を受けることで炭化するミノタウロスの一体。
そしてそのあとに出てきたミノタウロスを赤髪の冒険者は片手剣を横に振るう。
流れるのは赤い軌跡。
流血と共にまた新たなミノタウロスは血と共に倒れる。
そこから蹂躙が始まる。
目の前には安っぽい冒険者の装備、後ろにはレベル5の冒険者。
ミノタウロスは選択をする余地もない。
目の前の冒険者を倒そうと拳を投げかけるが赤髪の冒険者はそれを流れるように回避、カウンターを仕掛ける。
それと共にばったりと倒れるミノタウロス。
それは私たちが実力的に見てもレベル2以上あるとみられる強さだった。
が、近づいてみて気付いた。
そして驚愕。
笑っていたのである。
赤髪の冒険者は笑いながらミノタウロスを屠っている。
本当に楽しそうに剣を振るっている。
そして私は自分の変化に気づく。
震えている。
何故?
あの赤髪冒険者を見て?
…わかった。
私はあの冒険者の狂喜に動揺しているのだ。
「な…何なんだ…あいつ…」
隣で見ていたベートも同じように感じていたようだ。
笑い、笑い、殺す。
目の前の冒険者はそれを体現していた。
すると目の前の蹂躙に変化が起きた。
残り少なくなったミノタウロス。
するとある一体が地面に手を付ける。
そのあと思いものを持ち上げるかのように筋肉が膨張し、それを持ち上げた。
それは1Mほどもある巨大な岩石だった。
これは上層のモンスターでは見られない行為の一つであり武器である。
『自然武器』と呼ばれるそれは中層以下の階層のモンスターがダンジョンにあるものを使い攻撃をするという行為の一つである。
これはいけない!
通常ほかのファミリアが交戦中無許可でそれに参戦するのはマナー違反である。
まあ、例外もあるが目の前の冒険者が普通にミノタウロスを倒していたので手出し無用だと思いベートと共にそれを見ていたのだが、残り少ないミノタウロスを相手にしている冒険者は巨岩を持っているミノタウロスに気づいていない。
私たちはほとんど不意を突く形だったが急いで跳び出す。
しかし、一瞬の戸惑いがタイミングを逃した。
ミノタウロスは巨岩を投げ出す。
赤髪の冒険者は目の前にいた最後のミノタウロスを切り落とした。
背後から投げられた巨岩、それが赤髪の冒険者に当たろうとした時
「―!」
なんとか反応ができたが少し反応が遅れた。
剣を持った手を振り抜くが巨岩の方が速い。
巨岩は剣ではなく振り抜いた腕に当たった。
メキメキと音が聞こえる。
音の後赤い線の後巨岩は砕けた。
「はははははっ!」
笑っている。
剣を振り抜いた左手からはどくどくと鮮血が流れている。
骨も砕けているだろう。
しかし、笑っている。
その謎の恐怖心はミノタウロスにも伝わったらしく赤髪の冒険者には攻撃せずそのまま通り過ぎて行った。
赤髪の冒険者は笑いながらふらふらとそのミノタウロスを追って行っている。
私はこれ以上静観できなかった。
走り出してその冒険者の手を掴み止める。
「待って。あなた怪我をしている。ミノタウロスは私たちに任せてあなたは…」
振り向いたその冒険者はとても輝いた笑顔で振り返った。
本当に悪意のかけらもない笑顔で、私は…
いいえ。
ここで、この感情を示してはいけない。
普段そこまで感情を露わにしないアイズでさえもこのタイミングでは示していけない感情くらいは知っている。
私はしっかりとした口調で続ける。
「後は私たちに任せてください」
「一体何故ですか?」
「…あなたは見たところそこまでレベルが高くない。私たちに任せて。あれくらいならすぐに倒せる」
アイズはあまりレベルに関して誇示する人ではない。
しかし、この場では仕方なく理由にするしかなかった。
相手側も少し逡巡したが納得したように腕の力を落とす。
「…わかりました、あれは譲ります。このあたりの魔石もそちらで回収していいですよ」
これは勘違いをされたのか。
多分相手は私たちが魔石を横取りしようとしていると勘違いをしているのだろう。
決してそうではないと否定しようとしたがそれより先にベートが食ってかかった。
「おいテメェ…俺たちを舐めているのか。こんだけの魔石くらいゴミだ。いらねぇよ」
「…ベート」
言い方には問題があるがこれで一応否定の言葉にはなったようだ。
「あー…こんなに多く持てませんし…ならこのまま放置って方向で。ボクもこれからダンジョンに潜る予定だったし。」
「は?」
ベートが呆れたように声を出すが実際そうだと思う。
言ったら悪いけど装備はそこまで高くないように見えるし武器も刀身が赤い以外そこらのファミリアで売っているような品だ。
ミノタウロスからとれる魔石は初期ではそこそこの値段で売れる。
それを受け取らないなんて…
…私は一考しこの問題の解決案を声に出した。
「なら、この魔石は私たちが回収する。けど、これはあなたの【ファミリア】に届けるから」
私が出した案はこれだ。
魔石の回収は逃げ出したミノタウロスを倒したあと行い、それを【ファミリア】に届ける。
それならどちらとも納得のいくものだ。
ベートは何だそれめんどくせぇなど言っていたが赤髪の冒険者はしぶしぶ納得したように頭を下げた。
「それならあなたの【ファミリア】と…名前を教えて」
「【ソーマ・ファミリア】…ユキ・クラディウスです」
【ソーマ・ファミリア】…あまり耳にしたことのないファミリアだ。
ベートは何かと反応をしていたが特に気にしなかった。
最後に一応こちらのファミリアの名前を教えておく
「私は【ロキ・ファミリア】のアイズ・ヴァレンシュタイン」
その名を話したとたん赤髪の冒険者…ユキは目を見開いた。
一瞬固まる空気。
しかし、ユキは振り返るとそのまま歩き出す。
その後ろ姿はどんなものなのだろうか
「…おい」
そこでベートが声をかける。
一体どうしたのだろうか?
「てめぇ…一体レベル幾つだ。聞いたことねぇぞ」
それは私たちが少し前まで抱いていた疑問。
ベートはそれが気になって仕方がなかったのだろう。
しかし、帰ってきた返答は意外なものだった。
「ただのしがないレベル1ですよ」
「なっ?!」
「それよりも速くミノタウロスを追った方がいいんじゃないですか?逃げられますよ」
そう言ったユキは嬉しそうな歩調で歩みを進め、角を曲がり姿を消した。
その場に残ったのは炭化するミノタウロスと固まっている私たちだけだった。
「…ありえねぇ」
ベートは呟く。
そうありえないのである。
レベルの差は天地の差。
討伐推奨レベルが2であるミノタウロスをレベル1のユキがあんなに簡単に倒せるわけがない。
【ステイタス】が高ければレベル1でも倒せるかもしれないがそれも1体がそこら。
あんなに大量のミノタウロスを倒せるわけがないのである。
「あ」
そう言えばユキは腕に怪我をしていたはずだが…思い出してみればあのあと普通に腕を動かしていたような…
いいや、そんなわけがない。
詠唱もなく魔法で傷を治すことは不可能だし怪我をしていないということも無いのだ。
ただの見間違い。
しかし、気になる。
しかし、先ほどユキが言った通りこれ以上この場に留まっていたら逃げ出したミノタウロスを追えなくなる。
後ろ髪を引かれる思いのまま私たちは逃げ出したミノタウロスの後を追い走り出した。
あの事件から数日後ボクことユキは現在25階層に籠っています。
この階層は初到達階層ですがいい調子で攻略を進められています。
これもあの時運命の出会いがあったからだ。
ボクが
僕の調子も良く笑顔も完璧。
ホブ・ゴブリンを軽く倒す。
しかし、笑いは抑えられなかった。
【ロキ・ファミリア】の名前を聞いたとき思わず剣を振ろうとしたが止めておいた。
あまりにもレベルが違いすぎると理解しているからだ。
しかし、もうすぐ…もう少し強くなればあの強さに近づくかも知れない。
そう思うと笑いが止まらないのだ。
ああ、速く殺したい。
速く殺したいよ…
だから、今は強くならなければ
「…ふぅ」
ボクはひとつ息をつく。
最後のホブ・ゴブリンを切り捨てると周りに訪れるのは静寂。
周りには全くモンスターが現れなかったのだ。
「少し歩きまわりますか」
コトリと落ちる魔石に目を当てることすらせず新たなモンスターを求めて歩き出す。
「ふふふふ―!」
ただ笑顔をつくる。
お兄ちゃんに言われたことだ。
笑えばどんな事でも叶う。
きっとすぐに新たなモンスターとであうと
新たな曲がり角それを曲がろうとした時それは見えた。
流れるような金髪白の装束に身を巻き一本のレイピアを携えるその少女は
「あ…」
【ロキ・ファミリア】の
1話終わりました。
ちょっと主人公の語りがすくなめでしたね。
次回からは多分多くなるかも。
め~た~さん、超絶天パ野郎さん、ククリ・ルーラーさん、毎日が後悔の日々さん感想ありがとうございます。
意見・感想お待ちしています。