と、いう訳で、本部より緊急指令。提督諸君、こちらの鎮守府に爆撃用意。目標、母港執務室の提督。
翌日。
「…………」
「提督。朝食が出来ましたよ」
「うん、今行くよ」
昨日見た普通の服装の大鳳が呼びかけて来て、提督はマニュアル本をしおりを挟めて閉じ、制服を一旦正してから歩き出す。
食堂についた提督と大鳳。ざっと見て、提督は1人少ないことに気づき、聞いてみることに。
「今寝ているのではないですかね」
と、霧島。あはは……と頭をかいて、「呼んでくる」と歩き出す。そこに大鳳もついてくる。気になった提督は大鳳に声をかける。
「大鳳さん。先に朝食食べててもいいんだけど……」
「提督だけ待ってる訳にもいきません。ここも私の役目ですから」
「え、でも……」
「ふふ、いいじゃない」
微笑みながら大鳳は提督に言う。「……ま、いっか」と提督は決めて、寮へ歩き出す。
外廊下に出て、思わず提督は背伸びをする。そう言えば、この時間帯になるまで外に出なかったな。と、ふと思っていた。
と言うのも、あの後散々泣いて、大鳳が退室した後、もう誰も失わないためにも提督はジャージから制服に着替えて頬を軽く叩いて、提督の机に向かって椅子に座ってマニュアルを読み始め、途中で意識を失い、気づいたらマルロクマルマル、6時になっていて、そのまま読むのを再開。結果、マルナナサンマル、7時半になるまでずっと読んでいて、戦術なども勉強していた。
そのためか、どこか外の空気が新鮮に感じていた。それに……どことなく、暖かく感じていた。
「……えっと、ここだね」
コンコンとノックする提督。でも、出ない。
「………大鳳さ――」
「あ、提督?」
「ん……え、なんですか?」
「………私の事は大鳳、でいいわ」
「え、え? で、でも……」
「ね?」
「………努力、する、大鳳……」
「なんで片言なのよ? ……まぁ、いいわ。加古ー」
ガチャンと大鳳は扉を開け、中へ入って行く。確認もせずに、提督は外を眺め、大鳳に言われた言葉をちょっと頑張ってみる。
「……大鳳……さ、……違う。大鳳………さ……、う、まただ……」
どうやら癖らしく、「さん」をつけなければマトモに名前を呼べないらしい。はぁ、とため息をついて、若干あきらめたようだ。
「ほぁ……おはよー提督……ねむ……」
「もう朝ですよ。加古さん」
「はぁ……朝は苦手ね」
加古はちょっとぼやきつつも、食堂へ。その後を提督と大鳳が歩く。
外廊下に足を踏み入れ、加古は止まり、提督と大鳳もつられて止まる。
「………なぁ提督」
「何ですか?」
「………先行ったら?」
「……いや、折角だからみんなで食べましょうよ」
「じゃあちょっと先行っててー」
「………分かりました」
そう言って提督は先に歩き出し、大鳳もついていくが、加古に腕を引っ張られて止まる。
本館へ入ろうとした提督は一度振り返って「早く来てくださいねー」とだけ言って中へ。加古は分かったと手を振って合図を送り、大鳳を見た。
「……加古? どうしたの?」
「……大鳳。いつの間に提督と仲良くなってるのさ?」
「仲良っ………!?」
ポンッ、とポップコーンでも弾けそうな音が響きそうになるぐらいに頬が真っ赤に染まる。ふーっと息を吐く加古。
「いや、別にさ、まだ信用できないよ。でも、そういうのはいいけどさぁ、まだ、様子見ぐらいでよくない?」
「そ、そう見える……?」
「うん」
寝ぼけなまこながらも、コクコクとうなずく加古。ちょっと恥ずかしくなったのか、あわてて目を逸らす大鳳。
あれ、なんで私、提督のこと………い、いやいやいや、そ、それは今はいいわ!
「と、とにかく提督を待たせてはいけないわ。早く行きましょ」
そう言って大鳳は逃げるように本館へ入ろうとする。
が。
「ていっ!!」
「わひゃあ!?」
いきなり後ろから、しかも、服に開けている腋から手を突っ込まれ、慌てふためく大鳳。にっひっひ、と今にも笑い声が聞こえそうな意地悪そうに笑う加古。
「全く、相変わらず大鳳は分かりやすいなぁ」
「い、いいから手をどけてー!」
まるで子供っぽく、大鳳は加古の腕を退けようと必死にもがき、加古は何気なくそのまま手を突っ込んで指を動かして、傍から見ると、どこか子供っぽく思える2人の光景。
が、そんな無邪気? な遊びはとある提督にとっては少々恥ずかしいもので―――
「……!?」
心配になって2人を見に来た提督だが、まさにグットタイミングにこの光景を見てしまい―――
「う、う、ぼ、僕は何も見てない!!!うわー!!」
逃げるように退散したとさ。
どうやら、この提督に耐性がつくのはかなり時間がかかりそうだ。
*****
「て、提督……? 机に突っ伏してどうしたの?」
「う、へ、平気。だ、大丈夫」
大鳳に声をかけられ、ムックリと顔を起こす提督。どことなく、押し付けていたためか顔が赤い。
「そ、それじゃ……みんな揃ったし、食べようか。……そういえば、今日の当番は誰だったんですか?」
「あぁ、俺と龍田だけど」
「天龍さんと龍田さんが? ……ありがとうございます」
「ば、バカやろ。これぐらい当然だ」
「うふふ。照れちゃって」
分かりやすいぐらいに目を逸らし、龍田は隣で微笑んだ。提督も少し笑って、全員を見た。
「……それでは」
「「「「「「いただきます(!!)」」」」」」
どうやら今日からこの鎮守府は平和になりそうだ。
うーん……加古の話し方が安定しない。……あれ、他の小説にもそういうパターンあったような。
なんとなく、大鳳の話し方はGEのシエル寄りかなぁ、と。……あ、あれ……? 気のせいかな……どこか違和感、いや、違和艦が……あれ……?