某日、幻想郷、博麗神社にて。
「二人には、探偵をしてもらいます」
八雲紫は博麗霊夢と霧雨魔理沙にそう告げた。
「さて、買い物に行って来るわ」
「私も付き合うぜ」
いきなりの紫の発言に霊夢と魔理沙は席を立とうとしたが、紫は必死で二人を引き止める。
「ちょっとちょっと、待ってくださいな」
「そう言われてもなあ」
「一体何よ、探偵役って」
「そうですわね、きちんと説明してあげますわ」
パンと扇を広げ、紫は説明を始める。
「外の世界においてとある作品内にて行われていた推理ゲーム、屁理屈推理合戦と言われたそれを私達三人でやっていきたいの。私が出題者である魔女を、二人がそれを解く探偵役としてね」
「魔女?」
そう聞いた霊夢は魔理沙の顔を、魔理沙本人も自身の顔を指す。それに対し、紫は扇で口元を隠しながら笑う。
「魔理沙は関係ないわよ。魔女、私は人間には不可能な犯罪を貴方たちに示すわ。まるで魔法でも使わないと実現不可能な事件をね。それを二人には人間にも可能だと証明してもらう、そういうゲームよ」
「それ、本当に人間にも可能なんでしょうね?」
「可能よ、理屈上はね」
「ふーん、ならいいけど」
「要はトリックを解けって感じか? 密室とかそういう」
「そんな認識でいいわ、別に密室に限った話じゃないけど。とにかく、そのトリックを解いたら貴方たちの勝ち、諦めてしまったら私の勝ちよ」
「なるほど」
「まあルールなんかはやりながら説明しましょうか、こほん」
述べる。
「【被害者は八雲藍】である」
「うん?」
「なにそれ?」
「これは赤き真実と呼ばれるものよ、絶対の真実とも呼ばれるわね。魔女側はこの赤で嘘をつくことはできない、そういうルールよ」
【赤は真実のみ語る】と、加えて紫はそう告げる
「つまりその赤を集めて推理しろと」
「そういうこと、逆に赤以外のことは嘘の可能性があるから気をつけなさいな」
「というか被害者……」
「続けるわよ? 【犯人は橙】である」
「アンタ、自分の式とその式になんて役を振っているのよ」
「一応了承はとったから問題ないわ」
「そういう問題?」
身内に対してそれは無いんじゃないかという目を霊夢は紫に向けているが、当の本人は何処吹く風だ。
「続けるわ、【凶器はナイフ】【死因はナイフを刺されたことによるショック死】」
「ナイフで刺されたってだけの話じゃないのか?」
それだけだろう、と魔理沙は片肘突いて手をひらひらさせながら言うが。
「【ゲーム開始時から終了時まで橙は藍から百メートル以上離れた地点にいた】【橙はゲーム中その場を一歩も動いていない】」
「んん?」
紫の赤に怪訝な表情を浮かべる、どうやらそこまで単純な話でも無いらしい。
「魔女である私はこれを『橙が式を用いて藍を殺した』と主張するわ。本来はもっともらしくお話を装飾するのだけれど、今回はとても簡単だからなしよ。事実のみを語っていく事にするわ」
「それを私達は人間にも可能だと説明すればいいのね」
「そういうことよ。あと言い忘れていたけれどあくまでここで出てくる橙たちは普通の人間だから能力の類は使えないと思って頂戴。そういったものは全部魔法として扱うわ」
「分かったわ」
幻想郷の住人が持つ能力、魔力、霊力、法力、そういったものは全部超常現象扱いとし魔法に含むということだ。つまりそういったものは使われていないという前提で推理をしていくことになる。
「それと推理を提示する際は青字でお願いね、この青字の推理に対して魔女側は赤を用いた反論を行う義務があるわ。例を挙げると『橙が他の人間を使って藍を殺させた』と推理したとして、私はそれに対し【このゲームにおいて橙と藍以外の登場人物は登場しない】と反論するわ」
「なるほどね、とりあえず推理して赤を稼ぎ最終的に真相を暴けと」
「なかなか面白そうなゲームじゃないか」
「乗り気になってくれたようで嬉しいわ」
「それじゃとりあえず、『橙がナイフを百メートル投げて殺した』」
「【橙の体格は一般的な少女の体格】【一般的な少女にはナイフを百メートルも投げることは不可能】」
「まあそうよね」
「じゃあ、『ナイフの長さが百メートル』だった」
「【ナイフの長さは柄も合わせて三十センチ】」しかない」
「ふむう」
「『ナイフに百メートルの棒がくくりつけてあった』」
「【ナイフ以外の道具は使われていない】わ」
「これも駄目か」
先制のジャブは外れだったようだ。そこまで簡単な問題でもないのだろう。
「そうそう、何か私に赤字で言わせたいことがあったら復唱要求と言ってからその文言を告げて頂戴。ただこれに対して魔女は従う義務は無いわ、復唱するか否かもヒントになるかもね。それと出来れば推理や復唱要求の時は指を突き立ててノリノリで言ってね」
「復唱要求、「第三者の介入は無い」」
しかし霊夢は全く乗らずに淡々と復唱要求をする。
「……乗ってくださいな、しかもそれ先ほども言った赤で十分じゃないの。まあいいわ、【第三者の介入は無い】」
「それって人間だけか? 例えば動物とかはどうなるんだ?」
「ああ、それもそうね。だったら、【橙、藍以外の生物はゲームに関係ない】これでどうかしら?」
「把握したぜ」
「それにしてもこれ、本当に人間にも可能なんでしょうね?」
「当然ですわ」
「『ナイフに空を飛ぶ仕掛けがあった』」
「【ナイフには何の仕掛けも無い】」
「そんなのもありなの?」
魔理沙の推理に霊夢は呆れ顔だが、そう呆れるようなものでもない。
「屁理屈推理、だからね。割と何でもアリとなっているわ。実際の解答だって常識的に考えるとおかしいでしょってものばかりだし」
「そう、だったらそういうことも視野に入れて考えましょうか」
「あまりへんてこな推理に固執するのも良く無いけれどね、さて」
そう言って、紫はどこかを見ながら告げる。
「貴方は、どう考えるかしら?」
今回出た赤の纏め
【被害者は八雲藍】【犯人は橙】
【凶器はナイフ】【死因はナイフを刺されたことによるショック死】
【ゲーム開始時から終了時まで橙は藍から百メートル以上離れた地点にいた】
【橙はゲーム中その場を一歩も動いていない】
【このゲームにおいて橙と藍以外の登場人物は登場しない】
【橙の体格は一般的な少女の体格】
【一般的な少女にはナイフを百メートルも投げることは不可能】
【ナイフの長さは柄も合わせて三十センチ】【ナイフ以外の道具は使われていない】
【第三者の介入は無い】【橙、藍以外の生物はゲームに関係ない】
【ナイフには何の仕掛けも無い】
以上
解答編は一週間以内を目安に。
追記
説明不十分な部分があったので基本ルールについてまとめておきます。内容としてはスレで用いられていた基本ルールを一部簡略化したものとなります。
1.【】で囲われたものを赤き真実とする。赤字の内容は絶対の真実である。
2.『』で囲われたものを青き真実とする。探偵が己の推理を提示する際に用いる。
なお、探偵の提示する青は魔法を否定する内容でなければならない。
3.魔女は提示された青字に対して赤字を使って反論する義務を持つ。
青字を否定できない場合魔女側はリザインを宣言し、人間側の勝利となる。
なお、赤字での反論が有効かどうか、人間はよく検証する必要がある。
4.人間側は、「」で囲われた文章を赤字で復唱することを魔女側に要求できる。
ただし、魔女側はそれを行う義務を負わない。
以上です。何か不都合があれば改定するかもしれません。