ふむ、と霊夢が口を開く。
「『実は鍵穴が大きかった』、具体的には人間大」
「【鍵穴は普通の大きさ】」
「ふうん、こうなると窓に集中した方が良いのかしらね」
「窓から侵入したと明言していますからね」
「復唱要求よ、「侵入方法と脱出方法は同じである」」
「【侵入方法、脱出方法は同じ】」
「実はいいとこまでいっていたんですが、序盤にチャンス潰れているんですよね」
「序盤、ね」
さて、何があっただろうか。しばし霊夢は黙って自分達が何を言ってきたのか、記憶を手繰り始める。そして一つの可能性を思いついた。
「復唱要求、「ゲーム終了時、窓は原形を保っている」」
「霊夢さん、お見事」
「ほう?」
「ここは拒否で…いや、応えるべきですかね。【ゲーム終了時、窓は原形をとどめていない】」
どうやら、何か糸口をつかめたようだ。
「あれ? 窓は破壊されていないって赤で言われてなかったっけ?」
「私が止めちゃって、結局答えが返ってきてないわ」
天子の疑問に霊夢は苦々しげな表情でそう答える。そう、あの時霊夢がついそのことについて自分の解釈を話したために結局お流れになってしまっていたのである。
「止めてなきゃ、進んでいたんじゃないですか…」
「ごめんなさい、ミスったわ」
文の残念そうな言葉に霊夢は謝罪をする。こればっかりは言い訳のしようもない。
「まあ切り替えていきましょう」
と、文の一言に全員が頭を切り替えて考え始める。
「復唱要求、窓は一般的な窓である」
「【窓は一般的な窓】」
「ならこういうのは? 【犯人は窓のガラスを溶かして侵入した】」
「溶かす…、その発想はありませんでした」
「【ガラスは溶けていない】」
「違うか」
「『犯人は窓を外した』」
「【窓は外してはいない】」
「復唱要求、「ゲーム中、窓は作り直されていない」」
「【ゲーム中、窓は作り直されていない】」
霊夢とチルノが交互に青を出すもののいまいち切り返せない。と、ここで天子が口を開く。
「ならあの白黒らしく素直に。『犯人は窓をぶち破って侵入した』」
「天子さん、ドンピシャです」
命蓮の言葉に、皆、お? という表情を浮かべる。皆の視線の集まる中命蓮はパチパチと天子に向かって拍手をする。
「天子さん、リザインします」
「よし!」
見事正解を当てて喜ぶ天子をひとしきり称えた後、少しばかりの反省会の流れとなる。
「それにしても、分かってしまうと素直すぎる真相だったわね」
「難しく考えすぎましたねえ」
「余計なことをしたわ、まったく」
「最初にもっと突っ込めば良かったですね」
「人が多いと混乱しちゃうね」
「多人数戦の思わぬ混乱ってところね」
そう各々が感想を述べた後、未だ反省中の霊夢が頭をかきながら立ち上がる。
「とりあえず私は休憩させてもらうわ、どうやら来たみたいだしね」
その言葉に皆が外を見てみると、そこにはこちらに向かって飛んでいる白黒魔女の姿があったのであった。
「悪い、待たせたな」
「いえ、命蓮さんの謎で時間は潰せましたので」
「ありゃ、それは私も聞きたかったな。ま、いいけどさ」
と、霊夢の代わりに座った魔理沙はパンと軽く手を叩く。
「さて、本題もそこそこにして、私の謎を始めるとするか」
「今度こそ活躍しますよ!」
「アタイだって!」
「今度こそ当ててみせますよ」
「やるだけやってみます」
「今度も頑張ってみるわ」
「ま、頑張ってくれよ」
探偵たちの決意をうんうんと聞いた魔理沙は、さてと不敵な笑みを浮かべる。
「では改めて、物語を始めようか」
そして、魔理沙の魔法が始まった。
*******
さて、今回お話しする物語は何と密室殺人だ。ミステリーにおいては花形って奴だろうぜ。
命蓮寺、は知っているよな? そこで事件が起こってしまったんだ。
「…返事が無いわね、どうしたのかしら?」
「一体どうしたんだい、聖? そこはご主人の部屋だけれど」
星の部屋の前で困った様子の聖にナズーリンは声をかけた、それに対して聖の返答はこうだ。
「ああ、ナズーリン。実は星にちょっと用があったんですが返事がなくて、鍵がかかっているから部屋にはいると思うのですが」
「え、そうなのかい? ちょっと、ご主人?」
それを聞いたナズーリンが声をかけながら扉を叩くけれどまったく返答は無い、内からかける鍵である以上部屋の中にいるはずなのにな。そんなことを繰り返していると、少しずつだが二人の心の中に良くない想像が浮かんでくる。
「まさか、とは思うのだけど」
「…破りましょう、下がっていてください」
決意した聖が星の部屋の扉を破る、するとそこにあったのは。
「星?!」
「ご主人!?」
首を吊って死亡している、寅丸星の姿があったのさ。
それじゃ、赤を言っておくぜ。
【星はロープで首を吊った状態で死亡していた】
【星の死因は窒息によるものである】
【星の部屋は確かに密室であった】
さあ、あんまり難しい問題じゃあないが、魔女として少しは楽しませてもらうぜ。
*******
最初に口を開くのは文だ。
「では手始めに、『星は自殺だった』」
「【星は自殺じゃない】」
「星だとうっかりで死んだかもしれないからねー」
「うっかり寅か」
と、チルノのからかいに魔理沙も苦笑する、まあ流石にそこまでドジではないだろう。…ないはずだ。
「復唱要求、「星は誰かに殺された」」
「復唱要求、「星は他殺である」」
「あ」
「おっと、被っていますね」
「とりあえずこれを聞かないとですねー」
「そうだな、【星は殺された】」
仲良く被った大妖精と文の復唱要求に、基本だなと魔理沙もすぐに赤を使う。
「「犯人の凶器はロープのみ」」
「ほー、そいつはどうしようかな。…よし、拒否で」
「ふむ…」
「そうねえ…、「星は自室で死亡した」」
「自室、ねえ。ぶっちゃけどっちでもいいんだが」
ふむ、と少しばかり考えた後魔理沙は口を開く。
「【星は自室で死亡した】【章の体は死後移動されていない】」
「復唱要求、「窓は閉じていた」」
「【窓は確かに閉じていた】いやあ、やっぱり魔女は楽しいねえ」
赤を切りながらそう魔理沙は笑う、探偵とはまた違った楽しさが魔女にはあるものである。
「「星の窒息は首吊りによるものである」」
「「星の部屋には星以外の人物、犯人になりえる存在、は存在していなかった」」
「「部屋は誰も出入りできない完全な密室である」」
「ほーう」
三連続の復唱要求に魔理沙は楽しげな声を漏らす。
「大妖精のそれと天子のそれは、まあ拒否しておこうか。私は意外と決め付けない女だからな。文のそれは受けてもいいんだが、そうだな…」
意味深に誤魔化した後、魔理沙はちょっと考えて口を開く、
「【扉が破られるまで、部屋は密室だった】」
「「ロープは部屋にぶら下がっていた」」
「【ロープは部屋の中にあった】」
「なら青をぶつけてみましょうか。『犯人は星を絞殺した後、見室が破られるまで部屋にずっと潜んでいた』」
「青で言われちゃあしょうがないな。【扉が破られた時、犯人は部屋の中にいない】付け加えておくが開いた瞬間に出た、とかはないからな?」
「「星は二人が部屋に入るまでは生きていた」」
「『扉にはロープが引っ掛けられてあり、開けると首が絞まるようになっていた』」
「【扉が破られる前に星は死亡している】【扉に仕掛けはない】」
「ふむ、破られますか」
「速攻切られたわね、「星の死因は絞殺である」」
「んー、天子のそれは拒否しておこうか」
「あら、こっちは拒否るのね」
「でもロープで首を吊っているんだぜ?」
「そんなの違う殺し方をした後引っ掛ければいいことだよ」
「ま、それもそうかもな」
チルノの突っ込みに魔理沙はそう言って肩をすくめる、明確に否定する気はないようだ。
「「ロープに仕掛けはない」」
「「他に外傷は無かった」」
「【ロープに仕掛けはない】【他に外傷は…あった】」
とここで魔理沙が放ったなにやら切れ味が僅かに悪い赤に、当然ながら皆の意識は向く。
「なるほど、刺されたり殴られたりしていると…」
「そりゃあまあ? 首が絞まったらロープのあたりを引っかくかもな? それなら外傷になるわな」
「赤字じゃない魔女の言葉なんて信用できないですー!」
大妖精の突っ込みにうんうんと魔理沙は頷く。
「それが正しいなわな、なら頑張って赤を引き出してみるんだな」
確かに、その通りである。青でもって赤を稼ぎ、それをもって更なる青を紡ぐ。それがこのゲームの醍醐味なのだから。
まず、大変お待たせして申し訳ありませんでした。ちょこちょことと書いてはいたのですが書き方等で悩むこともあり大分遅れてしまいました。最終的にかなりばっさりと、削ったり簡略化したりして書き上げることとなりました。
今後の予定なのですがこの時点で所持しているリプレイに出来るログが後一つしかありません。ですのでそれ、第八盤を投稿した後は一旦完結扱いにすると思います。その後またセッションをやったときにでもリプレイにするか考えて、場合によってはこちらに投稿することになると思います。正直屁理屈推理合戦のノベルリプレイ化はかなり面倒だとやっていて気付きましたので微妙なラインですけどね。まあここでいう話ではないですが、どっちかというと動画のほうが分かりやすくなると思われる題材だと個人的には思います。技能やらがあればそれも考えるのですけどね。
ともかく、次回に関しては早めに投稿するつもりです。可能であれば明日明後日で投稿しきりたいですね。ではまた。