なにやら一話にするほどでもなかったので第八盤もくっつけました。その所為で、というわけでもないですが第八盤のほうは前置き等も無くかなりざっくりとした書き方になっています。
「「星は他の凶器で殺された後、首を吊られた」」
「【ロープ以外の凶器は使用されていない】」
「「その外傷は殺される際についたものである」」
「際、かあ、まあそうかもな。【外傷は死亡する際についたもの】」
「ダメ押ししておこうかしら、「外傷は死亡後についたものではない」」
「ふーむ、死亡後、か。これで遊ぶのも止めにするか。【傷は星がつけたものである】」
「また回りくどい切り方をしてきたわね」
「まあ答えてみてもいいんだがなあ」
とは言うものの、あまり断言するつもりはないらしい。
「ちょっと質問なんだけど、ロープってどんな感じなの?」
「ふむ? というと?」
「天井辺りに結んであったかそうじゃなかったってことだよ」
「なるほどな、なら【ロープは天井から吊り下げられていた】」
「「外傷は死亡の直接的原因である」、復唱要求です」
「まあ十分か、【外傷は星の死亡に一切関与していない】外傷に関しては私が遊んでいただけさ、本当に苦しくて引っかいただけ」
「ああ、なるほど…」
妙な方向に話が進んだからちょっとばかり茶目っ気で遊んだけである。
「「星の身体は確かに浮いている」」
「【星の身体は確かに浮いている、踏み台等はない】」
「…」
「? チルノはどうした?」
「ちょっと思いついたんだ、『星は何かを直していて命綱をつけていた。それで落下して縄が首に引っかかった』星ってドジだし…」
「死因、うっかり」
…そこまで、妖精に言われるほどに星はドジっ子なのだろうか?
「おー、その発想はなかったな。【ロープは命綱ではない】」
「「星が浮いているのはロープで吊り下げられているからである」一応ね」
「【星はロープのみで身体を浮かせている】【星は殺意を持って殺された】【しかもかなりの殺意である】」
ということは若干引っかかる点はあるものの、星は確実に何者かによって殺されたと断言していいのだろう。
「『部屋の外から星の首にロープをかけて殺した』」
「【ロープは部屋の外に出ていない】」
とここで、魔理沙がちょっと待てと手を上げる。
「肝心なことをいい忘れたような気がする、何だっけ?」
一体何だと皆が見ている中、そうだったと魔理沙はポンと手を叩く。
「ああ、そうだった。【星は密室内で死亡した】【章の死亡時から発見時まで、部屋は密室であった】」
要は、これが密室殺人だと断言するのを忘れていたということか。
「さて、これでどうやって犯人は逃げたのかな?」
「そんなの簡単だよ、生きているときに部屋を出て施錠すればいいんだy」
「ふんふん、確かにそうだな」
確かにそれしかないのだが、そうやって同意されると邪推もしたくなってくるものだ。
「「星が死亡した時、犯人も同じ室内にいた」」
「おっと良い質問だ、【星が死亡した瞬間、犯人は部屋の外に居た】」
「「首を吊られてから、死ぬまでにタイムラグはなかった」」
「『犯人は星の首を吊ってから死ぬまでの間に部屋を出て、外から鍵をかけて密室を作った』」
「うーん? どうしたものかな…」
ここで大妖精の復唱要求と文の青に、魔理沙はしばし考え込む。
「ここの赤は慎重にやらないとマズイな」
「ふむ」
「…よし。【星は一般的な人間である】【一般的な人間の首に全体重がかかった場合、即死する】ちょっと微妙だが、まあこれで」
「ふむ? 苦しくてもがいたなら即死はしていないはずですが」
「おおっと? そいつもそうだな、やっぱり変な遊びはするもんじゃないな。ただまあ、ロジックエラーは起きていないはずだ」
回りくどい魔理沙の赤に、先ほどまでで分かった情報でもって文は突っ込む。そのことに対して魔理沙は若干驚いたような表情を浮かべるものの、本人の言うとおりロジックエラーを起こしたかのような焦りの表情は浮かべていない。
「『犯人は星を気絶させたあと、首に縄をかけて踏み台として大きな氷を置いた。それで氷が溶ける前に外に出た』」
「おお、大妖精のトリックもいいな」
「それだと犯人はアタイに…」
「ごめんね? チルノちゃんが悪いってわけじゃないんだよ…? ただ思いついたから一応…」
「ま、【氷は使われていない】から安心しろ。ついでに【その他固形から液体になる物質は使われていない】」
「「星の足元には何もなかった」復唱要求です」
「【星の足元に足場となりえるものは存在しない】」
「では「部屋の中に段差はない」」
「【部屋に段差はない】」
「「部屋は一つである」」
「【部屋は一つ】」
「…ねえ魔理沙、星は間違いなくロープで殺されているんだよね?」
「んー?」
チルノの質問に、魔理沙はニヤニヤと笑って答えない。
「確か拒否していたと思うよ」
「あー、そうか…」
「私はロープ以外の凶器は使われていない、とは言った。でもロープで殺したとは言っていないぜ?」
何とも、悩まされる魔女の発言である。
「まあそろそろヒントを出していくか。【ゲーム開始時を犯人が部屋を出た瞬間とする】【ゲーム開始時から扉が破られるまで、かなりの時間が経っている】【部屋は少々特異なものであった】」
さて、と改まって出されたヒントに皆は考え込む。
「『犯人は眠っている星の首に縄をかけて天井に結び、梁に寝かせた』」
「『犯人は星の首にロープを巻きつけ、高いところから突き落とした』」
「【犯人が外に出た時、星は確かに吊り下がっていた】【犯人は星を突き落としてなどいない】」
「んー、潰されちゃった」
「あれ? 【犯人が外に出た時、星は確かに吊り下がっていた】なら【星が死亡した瞬間、犯人は部屋の外に居た】はおかしくないですか?」
「おっと、良いところに気づいたな、文」
文の疑問に魔理沙はうんうんと頷く。
「もう言っちゃうか、【ロープは一本ではない】【星は首、そして胴体をロープで吊るされていた】首は吊っているさ、ただそこだけで吊っているとは言った覚えがないな」
「確かにそうだね」
「だがまあ、これはこれで変だよな? それならどうして星は死んだんだ? 【首のロープは星の呼吸の阻害はするが、それだけで死亡するほどではない】」
「『犯人は胴体のロープに切れ目を入れておき、部屋を出た』」
「【ロープに仕掛けはない】【ロープに仕掛けなどは存在しない】」
「『犯人は、ハンモックで寝ている星の首に、天井から下がったロープをくくりつけてから部屋を出た。星が起きてハンモックから降りた瞬間、首が締まって死亡した』」
「【首にロープが巻かれた段階で星は直立の状態だった】」
「むう」
「言ってしまおうか。【ロープはあくまで犯人が星を苦しめる為に行ったものである】【ロープだけでは星は死なない】」
「むー?」
「ま、そういうことだ」
「かなりの殺意がある、がこの辺で関係するのですか」
「そういうこと、殺意の表れさ」
大妖精の言葉に魔理沙は我が意を得たりと同意する。
「「素手は凶器に入らない」復唱要求です」
「【別に犯人は手で星の首を絞めたわけじゃない】」
「では、『部屋の中を犯人が真空にして星を殺した』」
「っと…」
文の青に、魔理沙は押し黙った後、パチンと指を鳴らす。
「それは正解とみなさせてもらうぜ、リザインだ」
おー、とその言葉に皆は正解を導いた文に拍手を送る。
「そう、絞殺じゃないのさ。あくまで窒息死だ。ただ真空とかではなく、ただ単純に気密性の高い部屋っていう設定だ。外と空気が混ざらずどんどんと酸素が消費されていく。首をある程度絞めた状態なら意外と早く死んじまったかもな」
「なるほど」
「しまった…、絞殺を切らなかったらから絞殺なんだと思い込んでいたわ。迂闊だったわね」
「ま、それを狙っていたからな」
「ロープは逃げられないようにする為の物ですか」
「そうだな、無用な苦痛を与え自由を奪う、そういう意図だったのさ」
「なるほど、納得です」
「これが殺意云々、そして特異な部屋の理由さ」
「完全な密室、って最初に言い切られちゃって突っ込むだけ無駄と思っちゃったわね」
「完全な密室、だからな。そりゃ空気も通らんわ」
「完全な密室=密閉空間ってことですか」
「そうそう」
そんな風に少しばかり感想戦を行った後、その日は仕舞いとなる。
…はずだったのだが、まだまだ物足りない探偵たちのために、魔理沙に代わって霊夢が謎を提出することになるのであった。
「さて、前置き無しでいくわ」
******
とある部屋、そこに村紗は閉じ込められていたわ。
ドアもなく、食料もなくただただ閉じ込められていたの。
あるのは手に届かないほどの高さにある天窓だけ。
そんな彼女だったけれど、ある日魔法に目覚めたわ。
そしてその力を使って天窓から脱出したのよ。
そんなところで、赤いくわ。
【部屋と外部をつないでいるのは天窓のみ】
【天窓は地上五メートルの位置にあった】
【室内に足場になりそうなものは無い】
【村紗は天窓から部屋を出た】
以上、来なさいな。
*******
「足場になりそうなものはない…。つまり、「部屋には何もなかった」んだね」
「まあないと言ってもいいかもね」
ただし無いとは断言しない。
「『部屋が無重力下にあり、それによって部屋から脱出した』」
「『壁にくぼみがあった』」
「『部屋の床は天窓に普通に届く高さにあった』」
「【部屋は重力下に存在する】【壁にくぼみの類はない】【天窓は部屋の床から五メートルの高さにある】どうかしら?」
続けさまの青に霊夢はそう笑って返す、まだまだ余裕の表情だ。
「「部屋は一般的な、特殊な要素のない部屋である」復唱要求です」
「ふむ、拒否しておきましょうか」
「『部屋自体が球体みたいに丸かった』」
「【部屋は球体であったりしない】」
「『天井からロープやはしごかがかっている』」
「【ロープやはしごの類はない】」
「『部屋の壁を駆け上がって天窓まで到達した』要は、壁が駆け上がれるくらいの傾斜だった」
「【部屋の壁は垂直】【人力で昇るのは不可能】」
「『回転する部屋だった』」
「【部屋の回転するような仕掛けはない】」
「『部屋がプールだった』」
「【部屋はプールではない】」
「『部屋の中に生き物がいて、それを踏み台に使った』」
「数を撃ってみるわ。纏めて青二つ、『床がトランポリンになっていた』『ホッピングに類する物で高くジャンプして天窓に到達した』」
「何か細々した推理が多いから一気に切りましょうか」
ポンポンポンと、続けざまに放たれる青に霊夢は面倒になってきたようだ、ここで全ての前提を打ち崩すような重要な赤を放つ。
「【ゲーム開始時点で村紗は死亡している】」
「えっ」
まさしく、探偵たち全員がそのような表情を浮かべてしまう。
「【村紗以外の登場人物は登場しない】」
「考えていたのが吹き飛んだ…」
「てことは何? 死体が天窓から出ていったって?」
「そうなるわね」
そうなるわね、じゃあない。そのようなことを思いつつ、探偵達は推理を改めて考え直す。
「「部屋の中には何もない」復唱要求です」
「村紗の死体はあるわねえ、まあいいわ。【ゲーム開始時点で、部屋の中に村紗の遺体以外は存在しない】【ゲーム終了時点で、部屋の中に物体は存在しない】」
「復唱要求です、「死体は移動した」」
「【村紗の遺体は確かに部屋の中から移動した】」
「『部屋に爆弾が仕掛けてあって、その爆発の反動で外に出た』」
「【部屋に爆弾の類は仕掛けられていない】」
「『部屋自体が移動して、それで天窓から村紗が出た』」
「【部屋に仕掛けはない】」
「復唱要求よ、「村紗の死体は液体に浮く」」
「先んじて切るわ、【部屋の水位が上がって外に出たわけではない】」
「むう、考えていたことを読まれて赤で切られた」
などと、少しばかり悔しげな天子に霊夢はほくそ笑んでみたり。まあ続けてくる青や復唱要求に対応しなければならない魔女のちょっとした茶目っ気だ。
と、ここでチルノはボソリと呟く。
「発想を逆転してみようかな…」
「そうしなさい」
そう軽く流したものの、内心霊夢は思った。これはチルノが正解を導くか、と。
「やけくそで、『壁が倒れてきて、ちょうど天窓の位置に遺体があった』」
「【壁は壊れていない】」
「『村紗がいたのは天井で、床の天窓から落ちた』」
「う、ん?」
先ほどの呟きから思いついたのか、チルノが切った青に霊夢は若干動揺してしまう。
「天井にあるから天窓って言うと思うんだけど。一般的な日本語の定義は流石に崩してないわよね? 固有名詞ならともかく」
「別に定義は崩していないわよ。それはそれとして、うーん…」
少しばかり悩んだ後、うんと軽く頷いて霊夢は赤を切る。
「【村紗を天井に固定させる仕掛けなどない】…うん、これで頼むわ」
「『天井が落ちてきて、村紗の身体が天窓から出た』」
「【天井は壊れていない】ついでに【部屋は壊れてなどいない】」
どうにも繋がっていないのか? そう感じた霊夢はボソリとヒントを呟く。
「正直、チルノの発想はすごくいいわ」
「あー…、『部屋は船の中で、船が転覆した』」
「あ!」
「っふ…」
そしてそのすぐ後に放たれたチルノの青に、霊夢は満足げに笑う。
「さすがね、チルノ」
そう言って霊夢は、パチパチとチルノに拍手を送る。
「リザインを宣言するわ、おめでとう。本当に良い発想が出来るわね」
「さすがチルノちゃん!」
「うん、これは脱帽。チルノお見事」
「一応設定上は小さな船のつもりよ、嵐が何かで転覆してその勢いで外に投げ出されたと。部屋に仕掛けはないといったけれど回転しないとは言ってないわ」
口々にチルノを皆が褒めた後、霊夢はざっくりと今回の舞台について話す。その後はまあそのことだったり他の事だったりを話し、適当に解散の流れとなるのであった。
はい、何やらかなりざっくり目で書いた結果思いのほか早く書きあがりました。というかある程度は書いていたとはいえ前話の数時間後に投稿としてよかったのかね。正直かなり雑な書き方だなあとは思っています。とはいえ変に地の文で延ばしてもしょうがないんですよね、これが。やはりノベルにするには微妙に難しい題材だったようです、少なくとも私にとっては。
前話でも書きましたがこれで一旦屁理屈録は完結とします。こういう幕切れはどうかと思うのですが、あれだけ放置していた以上一旦は完結扱いにしてしまった方が良いと思ったので。勝手で真に申し訳ありません。ただまあ、またセッションなりを行った結果、良いと思えばリプレイを書く可能性はまあないこともない、とは言っておきますが正直どうなることやら。とりあえず、このような結末で本当に申し訳ありません。