東方屁理屈録   作:kokohm

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 即興で書いたので短いです。この回で解答までいっているので、推理したい方は途中で一旦やめたほうがいいかと。解答の推理直前で大きな空白を開けていますので、そこを目印に。




第十盤、出題解答編

 

 

 ――それじゃ、屁理屈推理を始めるぜ、ってな。

 

「纏まったの?」

 

 ま、何とかな。あんまり自信があるわけじゃないから、まあお手柔らかに頼む。

 

「気が向いたらね」

「探偵も魔女も、手心は無粋というものよ」

「その割には甘いけどね、あんた」

「そうかしら?」

 

 私も霊夢に同意しておくぜ。……ま、その辺はいいか。

 

 

 さあて、幻想を始めようか。

 

 

 

 ――彼女は閉じ込められていた。窓はあるが、自分の体を通せるほど大きいものではない。いや、そもそも、今の彼女は満足身動きも取れないのだ。出口の有無など、現状では意味がなかった。

 

 どうしたらいいんだ、うなだれる彼女の元に、一人の魔女が現れた。

 

 

 ――助けてあげましょうか? 

 

 魔女の言葉に、彼女は一も二もなく頷く。他に選択肢などなかったからだ。

 

 しかし、そんな彼女の懇願に、魔女はニタリと意地の悪い笑みを浮かべる。いつの間にか、魔女の側に水球が浮かんでおり、それはゆっくりと彼女の顔へと近づいている。

 

 どういうつもりだ、と彼女が怯えの混じった声で叫ぶ。それに対し、魔女は言う。

 

 ――私はね。

 

 魔女は言った。

 

 ――助かると思った人間を、絶望に落とすのが大好きなの。

 

 その言葉に、彼女は絶望した。

 

 

 

 

 

 

 ……ま、こんなもんでいいか。じゃ、赤いくぜ。

 

【にとりは部屋の中で死亡した】

【死因は溺死】

【ゲーム終了時、水はにとりの膝までの高さしかなかった】

 

 

 とりあえずこんなところだな。

 

「……水がにとりの膝までの高さしかないのに溺死したってことでいい?」

 

 それでいいぜ。

 

「河童が溺死とは、全くおかしな話ね。まあそれはそれとして、単純に『水は一度ニトリの顔のところまで来て、その後水が抜けた』ということじゃ、まさかないわよね?」

 

 まさかな。【水の高さはにとりの膝の高さ以上にはなっていない】

 

「ふむ」

「その、にとりの膝の高さっていうのは、厳密に何センチって言える高さ?」

 

 まあ言えなくはないけどさ、厳密に決めるのもアレだからしないぞ。高さが知りたいのなら、立ち上がって自分の膝を見ろ。

 

「そこまではしないわ。まあ、三十センチから五十センチくらい、ってところかしら」

「一応聞いておくけれど、その高さは一定よね?」

 

 別ににとりの膝が急に高くなったりしないぞ。膝下を手術で伸ばした、とかはない。

 

「いえ、そうではなくて。『にとりがうつ伏せの体勢になった』とか、そんな場合の話よ」

 

 そうしたところで膝がにとりの顔より高い位置になるわけでもないけどな。……ああ、でもうつ伏せならまだいけるかもしれないのか。じゃ、言っておくぜ。【ゲーム中、にとりは床に垂直な体勢で縛られていた】【ゲーム中、にとりは身動きが取れない状態だった】

 

「垂直……?」

 

 立った状態で縛られているって感じだ。分かるよな?

 

「……なら立ったままって言いなさいよ、全く」

 

 回りくどいのが魔女だろ。

 

「全くもって言い返せないわね」

「本当にね。一応聞いておくれけど、床の定義は?」

 

【床とは、重力が存在する方向である】って感じで。厳密にどうかってのはあれだから、この程度の定義で勘弁してくれ。

 

「はいはい。どうでもいいけれど、重力下の話でいいみたいね」

 

 別に宇宙での話じゃないぜ。

 

「身動きが取れないという話だけど、他者からの干渉で動くことはできなかったの?」

 

 

【このゲームおいて、ニトリ以外の登場人物は存在しない】って言っておけばいいか? あ、でも別にいいか。【ゲーム中、にとりの体は、誰の手によっても動かされていない】ということで。

 

「なるほどね。ということは水の流入は自動と」

 

 まあ、そういうことだな。別にどうでもいいことだからいちいち赤では言っておかないけれど。

 

「んー……、水はどこから出ているの?」

 

 あん? 水の場所か?

 

「ええ」

 

 何でだ?

 

「『にとりの顔の近くに管か何かがあって、一度にとりの顔に当たってから水が部屋の中に入ってきた』とか、そういう推理」

 

 シャワーを浴びながら風呂を溜めているみたいなイメージか?

 

「そうよ。水の勢いが強ければ溺死も可能だと思うのだけど」

 

 まあ、出来そうではあるな。でも、【水の流入口は、床から十センチ程度の場所にある】からな。

 

「思いの外低いわね。にとりが立った状態で縛られている以上、それで死ぬのは無理か」

「みたいね。じゃあついでに聞くけれど、排出はどうなっているの? それとも流したまま排出はしていないということ?」

 

 んー? いや、流しっぱなしのイメージだったな。だからまあ、【にとりの膝の高さと同じ場所に、水の排出口

はある】ってこと何だろうな。

 

「まあ、それ以上になっていないんだから、道理と言えば道理ね」

「……そうね」

 

 ん? どうした、霊夢?

 

「いえ、何かが引っかかっているのだけど……」

「引っかかっている?」

「……ああ、そっか。ねえ、魔理沙」

 

 何だ?

 

「おそらくだけど、トリックが分かったわ」

 

 げ、マジか。まだ全然時間が経っていないぞ。

 

「あら、もうトリックが分かったの?」

「まあ単にトリックというよりは、叙述トリックに近いみたいだけど」

 

 ああ、その口ぶりだと分かっているっぽいな。んじゃ、張り切ってどうぞ。

 

「はいはい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『にとりは逆さまになった状態で縛られていた。その状態だと、膝の高さはにとりの顔よりも高い位置にある。従って、その高さまで水を入れるとニトリの顔は完全に水没することになり、結果溺死した』どうかしら?」

 

 ……やれやれ、リザインだ。

 

「ふふっ、やったわ」

「ううん、先を越されたわね。思いの外、簡単な真相だったわね」

 

 ぶっちゃけ、前回のお前の謎以上に、気付かれたら即終了の謎だったからな。気付かれたくなかったから言わなかったけど。

 

「そうね。たぶんそう言われていたら、もっと早く気付いていたと思うわ。にしても、案外簡単な謎だったわね」

 

 死体蹴りをするなよ、おい。しょうがないだろ、結構即興で考えたんだから。

 

「まあそういう時もあるわ。次でもっといい謎を考えればいいってだけの話よ。じゃあ霊夢、次はよろしくね」

「え? なんで私が」

「だって私も魔理沙ももうやったもの」

 

 そうだそうだ。お前もやらないと不公平だろ。

 

「面倒なのだけど」

「私も探偵として謎を解きたいのよ。今回は貴女に先を越されたから、貴女の謎を解くことでリベンジしたいわ」

 

 私も、だいたい紫と同じだ。お前に勝って、雪辱を晴らしてやる。

 

「雪辱っていうほど大層なものでもないでしょうに。……ま、いいわ。考えおくから、ゆっくりと待っておきなさい」

 

 言ってみるもんだな。

 

「よろしくね、霊夢」

「はあ、やれやれ……」

 

 

 




 はい、ちょっと外で突発的に書いたものです。そのため、随分と短くなりそうだったので、もう解答まで一気にやってしまいました。謎としても、結構単純なものですからね。まあ、次回はもう少ししっかりと、分割できる程度には長いものになるようにしたいですね、ではまた。
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