東方屁理屈録   作:kokohm

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第十一盤、出題編

 ……これで行きましょうか。

 

「お、出来たのか?」

 

 まあね。

 

「結構かかったわね」

 

 仕方ないでしょう? そうポンポンと謎を考え付くわけじゃないんだから。一応は思いついてはみたけれど、いつものようにほぼほぼアドリブでいくわ。

 

「ぶっちゃけ、アドリブでいいしなあ。よっぽどややこしい奴をやるんなら別だけど」

「そうね。時間的な謎なんかも含めるような奴ならともかく、そうでないならある程度は大雑把に出来るもの」

 

 まったくね。じゃ、早速始めましょうか

 

「――だったら、私も混ぜてもらえないかしら?」

 

 え? ……ああ、咲夜じゃない。

 

「珍しいな、お前がこっちに来るなんて。しかも一人で」

「たまにはいいでしょう?」

「あのお嬢様はどうしたのかしら?」

「そのお嬢様の命令で、今日はここに来たのよ」

 

 どういう意味?

 

「今しがた始めようとしていたでしょう? 屁理屈推理合戦。それに参加させてもらおうということよ」

 

 屁理屈の?

 

「やりたいならパチュリーに頼んだらいいんじゃないか? 確か前に私とやったよな」

「私が魔女をやった時の話ね」

「まあ、それが原因なのよ。実は、お嬢様たちが屁理屈推理をやろうと言われてね。魔女はパチュリー様でいいんだけど、探偵の方にも経験者がいたほうがいいでしょう?」

 

 ああ、そういうことね。だから一度屁理屈推理を経験する為に、まあよくやっている方の私達のところに来たと。

 

「ええ。一応ルールその物は把握したから、後は実際のそれを体験したくて。それで、霊夢は結構回数を重ねていると聞いたから、とりあえずここに」

「で、ちょうどよく私と、紫がいたって訳か」

「しかも都合よく、今まさに屁理屈推理を始めようとしていたと。幸運ね、貴女」

「そのようね。それで? 私は参加してもいいのかしら?」

 

 私はいいわよ、別に。

 

「私もいいぜ」

「魔女役がよしとするなら私も文句は無いわ」

「じゃあよろしくお願いするわ」

 

 ええ。……ま、今回はあんまり、初心者向けじゃないつもりなんだけど。

 

「あら、そうなの?」

 

 ちょっとね。たまには意地悪な魔女になってみようと思ったのよ。いいわよね?

 

「文句は無いわ、当然」

「だな」

「同じく」

 

 じゃあ、始めるわよ。……幻想、いる?

 

「何だ、準備してないのか?」

 

 面倒になっちゃった。

 

「いや、頑張れよ」

 

 ……はいはい、やってみるわよ。

 

 

 

 

 彼女――レミリアはその部屋にいた。

 

 彼女を縛る物など、そこには何も無かったわ。

 

 だけど、彼女は部屋から出ることは出来なかった。

 

 どうしてって? それは魔女が魔法をかけたから。

 

 魔女がレミリアに魔法をかけて、彼女の意思を奪ったの。

 

 だから彼女は部屋から出なかった。部屋から出ないままに、彼女はとうとう死んでしまった。

 

 そんな彼女の死に様を、魔女はけらけらと笑ったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……こんなところで、赤といきましょうか。

 

 

【レミリアは部屋の中で死亡した】

【部屋のドアに鍵はかかっていなかった】

【部屋に留まったからこそ、レミリアは死亡した】

 

 

 ま、こんなところで。頑張りなさい、探偵さん達。

 

 

 

「……おいおい、こんだけか?」

 

 そうよ。

 

「成る程、確かにこれは意地悪ね。貴女にしては珍しく」

 

 そっちから動かないと私は赤を出さないから、今回はそのつもりでよろしく。

 

「仕方ないな、まあ頑張ってみるか」

「こういう場合、まずどうするのがセオリーなのかしら?」

「セオリーって言ってもな、別にそういうもんは無いと思うぜ。というか、私らだってそこまで入れ込んでいるってわけじゃないし」

「とりあえず、この場合は状況の把握からじゃないかしら。死体か、あるいは部屋の情報のどちらかから先に把握していきましょう」

「そうだな。じゃあまずはレミリアの死因から探るか」

「それだけど、何故お嬢様を?」

 

 アンタが来たから、そこからの連想。

 

「……分かってはいたけれど、お嬢様を殺さないで欲しいわね」

 

 いいじゃない。確かもう二回目ぐらいのはずだし。

 

「……お嬢様の前ではやらないでね」

 

 覚えておくわ、たぶんね。

 

「……もういいか? じゃあ霊夢、復唱要求だ。「レミリアの死因は刺殺である」」

 

 復唱は拒否。だけどこう答えるわ。【レミリアの身体に刺し傷は無い】とね。

 

「…………回りくどいな、えらく」

「これが貴女の言う意地悪な魔女ということ?」

 

 そういうこと。今回私はそれほど素直に赤を出さないだろうから、そのつもりでいなさい。復唱要求にも何処まで答えるかしらね。

 

「来るタイミングを間違ったかしらね、私は」

「これぐらいの方が逆にいいんじゃないか? 生温いよりはいいだろ」

「かしらね」

「とりあえず、今回はそういうやり方ということで行きましょう。復唱要求、「レミリアの死因は絞殺である」続けてもう一つ、「レミリアの死因は撲殺である」」

 

 復唱は拒否、だけど【レミリアの首に絞殺の痕はない】【レミリアの身体に打撲痕は無い】と答えておくわ。

 

「……やっぱり、何かやりにくいな。いつもならこういう時は外傷はないで済ませてくるんだが」

「こういうのも時にはいいでしょう。それにしても霊夢、その赤だと絞殺と撲殺の死自体を否定しきれないように思えるのだけど」

 

 かもね。でもアンタがやったのはあくまで復唱要求、それに対しどう答えるかは魔女役の私次第よ。

 

「まったくね。それは一切否定できないわ」

 

 だから好きに考えなさいな、……色々とね。

 

「ふむ……」

「じゃあ私も聞いておこうかしら。あ、ゲームとはいえ流石に主の名前を呼び捨てにするわけにもいかないから、私はお嬢様と呼ぶけどいいわよね?」

 

 ええ、アンタの言うお嬢様はレミリアのことだと解釈してあげるから安心しなさい。

 

「なら復唱要求よ、「お嬢様は毒殺された」」

 

 当然のように拒否、だけど【レミリアは毒を飲んでいない】と答えてあげる。

 

「これで殺し方は結構潰したか?」

「ざっと思いつくのは、というところかしらね。ああ、でも前提を聞いておかないといけなかったわね。復唱要求、「レミリアは他殺」」

 

 拒否、でも【レミリアの死は、第三者の意思が介在した結果である】とは言っておこうかしら。

 

「……どうとでも考えられる赤ね、それ」

「意思が介在って、それだと悪意を持ってお嬢様を死に追い込んだのかが分からないんじゃないかしら」

「じゃあ聞くのが早いな。復唱要求、「その第三者はレミリアを殺すつもりだった」」

 

 ――復唱拒否。赤も出さないわ。

 

「ん? 答えてくれないのか?」

 

 遊びの一つぐらい持たせないと、ね。

 

「本心か、それ?」

 

 どうかしら、ねえ。

 

「そこを考えてもしょうがないわね。……一旦部屋の状況の把握に移る?」

「そうしましょうか。互いをある程度把握していかないと分からないこともあるでしょうから」

「じゃあ、そうだな。復唱要求、「このゲームにおいて部屋は一つしかない」」

 

 そうねえ……、【このゲームにおいて、部屋と呼称されるものは一箇所しかない】

 

「部屋以外の場所は出てくるのか?」

 

 さあ?

 

「……オーケー、ちゃんと聞かないと答えないって訳だな」

「とりあえず今は部屋が一つであると分かっていればいいわ。復唱要求、「部屋にドア以外の出入り口は無い」」

 

 たまには答えてあげるわ、【部屋にドア以外の出入り口は無い】

 

「で、そのドアに鍵はかかっていないと」

 

 ええ、既に出した赤の通りよ。

 

「それでいて、レミリアは室内に留まった?」

 

 そうなるわね。

 

「レミリアは自分の意思で部屋の外に出ることは可能だったのか?」

 

 彼女の意思は魔女が操っていたから、無理でしょうね。その際にレミリアの意思など全く存在していなかったと言えるわ。

 

「……何かあれだな、魔法での否定を聞いたのは久々な気がする」

「何だかんだと言って、物理的なトリックを前提として魔女をやっていたものね、私達も」

 

 これが本来の魔女役の振る舞いだと思うのよね、多分。

 

「それよりも、今重要なのは赤を引き出すことじゃないの?」

「おっと、そうだったな。じゃあ普通に青で、『レミリアは縛られていて動けず、だから部屋から出る事が出来なかった』」

 

 【レミリアは縛られてたりなどしていない】おまけよ、【レミリアは自由に四肢を動かす事が出来た】

 

「一応身動きは取れていたって感じのようだな」

「でもそうなると、何故お嬢様は部屋を出なかったのかしら」

「こういう可能性は? 『レミリアは室内に留まることで自分が死ぬということに気付いておらず、結果死亡してしまった』」

 

 残念、【レミリアは部屋から出なかった場合、自分が死ぬ事を理解していた】わ。

 

「自覚はあったと。では『部屋を出てもレミリアは死亡するようになっていたので、レミリアは諦めて室内での死を選んだ』」

 

 違うわね。【部屋から出さえすれば、レミリアは死亡しなかった】もの。

 

「それをレミリアは知っていたのか?」

 

 ええ。【レミリアは部屋を出れば自分が死ぬことはないと理解していた】から。

 

「それなのに出なかった? 身体の自由も利いていて、鍵もかかっていなかったのに?」

 

 そういうことよ。さて、一体どうしてレミリアは外に出なかったのかしらね?

 

「ふうん……。コイツは結構、厄介な屁理屈らしいな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回出た赤の纏め

 

 

【レミリアは部屋の中で死亡した】

【部屋のドアに鍵はかかっていなかった】

【部屋に留まったからこそ、レミリアは死亡した】

【レミリアの身体に刺し傷は無い】

【レミリアの首に絞殺の痕はない】

【レミリアの身体に打撲痕は無い】

【レミリアは毒を飲んでいない】

【レミリアの死は、第三者の意思が介在した結果である】

【このゲームにおいて、部屋と呼称されるものは一箇所しかない】

【部屋にドア以外の出入り口は無い】

【レミリアは縛られてたりなどしていない】

【レミリアは自由に四肢を動かす事が出来た】

【レミリアは部屋から出なかった場合、自分が死ぬ事を理解していた】

【部屋から出さえすれば、レミリアは死亡しなかった】

【レミリアは部屋を出れば自分が死ぬことはないと理解していた】

 

 

 以上

 

 

 




 はい、久々の屁理屈です。今回の問題に対する疑問、復唱要求、青などがもしあれば適当に聞いてください。基本的には答えますし、物によっては解答編にも登場させるので。解答編はううん、ちょっと来週は忙しいので結構遅れるかもしれません。ではまた。
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