今話の執筆において、皆様より頂いた青を使用させていただいています。読者の皆様に多大なる感謝を。
当ゲームにおける基本ルール
1.【】で囲われたものを赤き真実とする。赤字の内容は絶対の真実である。
2.『』で囲われたものを青き真実とする。探偵が己の推理を提示する際に用いる。
ただし、探偵の提示する青は魔法を否定する内容でなければならない。
3. 魔女は提示された青字に対して、赤字を使って反論する義務を持つ。
青字を否定できない場合魔女側はリザインを宣言し、探偵の勝利となる。
なお、赤字での反論が有効かどうか、探偵はよく検証する必要がある。
4. 人間側は「」で囲われた文章を提示することで、
魔女に対しその文章を復唱することを要求できる。
ただし、魔女側はそれを行う義務を負わない。
5.探偵は、復唱要求や青き真実を使うまでもない疑問、質問を魔女に問うてもよい。
ただし、魔女側はそれに答える義務を負わない。
以上
「……じゃあそろそろ行かせて貰いましょうか」
考えが纏ったのか、レミリアはパチュリーに視線を移しながら言う。
「何か思いついた?」
「一応ね。いくつか、料理を男以外が食べなかった理由を考えてみたわ」
「聞きましょうか」
「一つ目は『料理はひどく高い場所に設置されており、長身であった男以外は手を取る事ができなかった』」
「背が高いねえ、どれだけ長身だったのか」
「じゃあついでに逆の可能性も言っておくわ。『男以外の参加者は子供で、毒はわさび入りのお寿司のような子供は手を伸ばさないような料理に入っていた』」
「成る程ねー。子供と大人なら身長差も出るもんね」
「まあ、どちらも斬るわ。【毒の入った料理は誰でも手の届く場所にあった】【参加者には成人している者もいる】とね」
「じゃあその逆はどうでしょうか? 『男は乳幼児であり、大人は食べないような子供用の料理に毒が入っていた』」
「【男は成人している】し【会場に用意された料理に、年齢による制限等はない】」
「……ん、ついでに聞いておくけれど、参加者の人数は何人? 『参加者が男一人だった』という可能性もあるけれど」
「【参加者の人数は十名以上百名未満】よ」
「そう」
まあそれはいいわ、とレミリアは腕を組む。
「そろそろ本命とかも聞いて行きましょうか。『毒の入った料理は隠されており、何らかの理由で男のみがその存在に気付き、食してしまった』あるいは『ゲーム開始時では料理は会場になく、開始後に男の目の前に料理が出されたので、結果として男が一番に食すことになった』というのはどうかしら?」
「そうね。【料理は誰しもが視認可能な場所にあった】さらに【料理はゲーム開始時点から会場内に準備されていた】わ。おまけで【ゲーム開始時から男が死亡するまで、他の人間が料理に手を伸ばすだけの十分な時間があった】とも付け加えておきましょうか」
「ならばもう一つ、『実は会場は複数存在し、毒の入った料理があったのは男が一人だけでいる会場であった。会場内はそれぞれ自由に移動できるので、料理は誰しもに視認可能だった』」
「面白い解釈だけれど、【このゲームにおいて、会場と称される場所は一つしか存在しない】ついでに言えば【会場内は壁などで仕切られたりしていない】から、会場内を分割するのは不可能よ」
「ふむ……」
違ったか、とレミリアは顎に手を当てながら虚空を見やり推理を再開する。続いて声を上げたのはフランだ。
「今度は私ね。私は、料理は隠されていなかったけれど他の人が食べなかったことに注目して考えてみたわ」
「聞きましょうか」
「うん。『被害者と参加者では食文化が異なり、他の参加者が食べない料理を食べた』ってのはどうかな? 納豆みたいな」
「良い推理ね。でも【被害者とその他参加者の間に大きな食文化の違いは存在しない】わ」
「関連してこっちも。【被害者以外の参加者は全員宗教上の理由で食べる事が出来ない料理があり、その中に毒が入っていた。結果、しがらみのない男だけがその料理を食べることになった】」
「【参加者達は特の食事を制限されるような宗教を信奉していない】」
「じゃあ最後、『被害者以外の参加者はアレルギーがあり、その原因が含まれている料理を食べる事が出来なかった。そんな中、そのアレルギーを持っていない男だけが毒の入った料理を食べた』という推理なんだけど」
「うーん……ばっさり斬っちゃいましょうか。【このゲームにおいて、アレルギーの有無は関係がない】」
「違うのか……」
じゃあ私が、と手を上げたのは咲夜だ。
「お嬢様方の推理を聞いていて思いついたのですが、その毒の入った料理というのは一定以上の調理がされている物でしょうか?」
「どういう意味?」
「例えば付け合せや飾りとしてのパセリなど、通常であれば食べないだろうものに毒があったのではないか、と思いまして。青で言うのであれば、『毒は料理に彩りを添えるなどして用意された、一般的にはあまり食べないものに入っており、男はそういったものも食べるタイプであったので結果として毒を摂取してしまった』といったところでしょうか。少々回りくどいですが」
「んー……」
咲夜の青に対し、パチュリーは困ったように腕を組みながら考え込んだ後、
「そうね……【毒の入った料理は手の込んだしっかりとした料理である】【毒の入った料理はメインとして十分に通用するものであった】と答えれば大丈夫、かしら」
「特に探偵として反論はありませんが、随分と歯切れが悪い返答ですね?」
「そう見える?」
「ええ」
パチュリーの赤き真実の斬り方に咲夜は何かを感じ取る。それはレミリアとフランも同じだったようで、二人はよりいっそう考え込む素振りを見せる。
「うーん、今の咲夜の青の何が重要だったのかな」
「一般的には食べないもの、あるいは飾りといったところ、かしら? 前者から考えると…………『料理はゲテモノ料理だった』とか、あるいは『昆虫食だった』とかが思いつくけれど」
「【料理はゲテモノ料理でもなければ、昆虫を使った料理でもない】」
「これはすぐさま否定してくるのか。面白いわね」
「料理自体は関係ない感じなのかな?」
「いえ、関係あると思いますよ」
「どうしてそう思うの?」
フランの問いかけに対し、咲夜は勘ですが、と前置きをして、
「料理自体を隠す方法はもう結構出てきたと思うんですよ。ですがその中のどれに対してもパチュリー様はあまり大きな反応を見せていません」
「でも料理には反応していた感じだったから、やっぱりそこが重要なんじゃないか、ってこと?」
「おそらく」
「納得は出来るけど、だからといってピンとは来ないんだよねー……食べる物だと認識しない料理って何なのかな」
「――それじゃない?」
ハッと、フランの呟きに対しレミリアが声を上げる。え? とフランと咲夜が視線をレミリアに向けると、彼女はパチンと指を鳴らして、
「つまり、重要なのは“飾り”だったのよ。料理の飾り、食べる物だとは思わないもの」
「と、言いますと?」
「時々あるでしょう? 誕生日ケーキだとかに乗っている人形飾り。あれ、砂糖とかで食べられるように出来ている場合もあれば、普通に人形で食べられるものではない場合もある。普通の参加者は後者だと認識していて、男だけが前者だと認識していれば男だけが食べることも可能なんじゃないかしら?」
「あ! そっか!!」
ポンとフランが手を叩く。そんな彼女に、ええ、と相槌を打った後、レミリアはパチュリーに向き直り、
「そういうわけだからパチェ、今から貴女の謎に止めを刺させてもらうわ」
「いいわ、自信があるのでしょう?」
「当然よ」
「お嬢様、自信があるのであれば力強く宣言するのが探偵の務めかと提言します」
「ええ、私もそのつもりよ」
ふう、と息を吐いた後、大きく息を吸って、
「――これが私の青き真実よ! 『毒の入った料理というのは一見すると料理とは思えないような代物であった! しかし男はそれが食べられる物だと知っていた、あるいは気がついた! よって、他の参加者よりも前にその料理を食べ、結果として死んでしまった!』」
「ならば私も全力で返しましょう。【誰も男に料理に関する情報を教えていない!】そして【男は観察力が低い人間であった!】料理がレミィの言うとおりの代物だったとして、男にはそれを知る機会もなければ知る能力もない!」
「教える必要などないわ。『料理を作っている最中を男が勝手に見ていれば知る事が出来る!』いくら馬鹿でもキッチンで作っているところを見ればそれが料理だと気付く事が出来る!」
「いくら見たからといって本当に男がその料理を食べるかしら?」
「そんなもの、『料理が男の好物であれば良い』し、その逆でも良い。その程度ではまったく持って反論にならないわ。悪あがきになっていない、美しくないわね」
しばし、互いににらみ合ったまま二人は沈黙を続ける。それがどの程度続いただろうかというところで、ふっとパチュリーが肩の力を抜いた。
「……そうね。これは確かに美しくないわ。――リザインを宣言するわ、勝者を探偵達と認めましょう」
「よし」
「流石です、お嬢様」
「ちぇー、お姉さまに負けちゃった」
ふう、とパチュリーが息を吐き、レミリアが満足そうに頷く。咲夜は主を称えるように拍手をし、フランは悔しそうな表情を浮かべる。
「それでは、謎の解説でも行いましょうか。レミィたちは結局指定できなかったけれど、料理は飴細工の像よ。鳥か何か、と私としては想定しているわ」
「成る程、飴細工だったのね。確かに物によっては見事過ぎて食べられるものだとは思いにくいものもあるわね」
「他の参加者はガラス細工とかと誤認していたって感じかな」
「そういうことよ。丸テーブルの中央、他の料理に囲まれるようにしてそれは置かれていたわ。一応お皿にも乗っていたし、ポキンと折って食べる事が可能だったのだけれど、パッと見てもそうは思わないだろうし、思っても中々手を出し難いでしょう」
「確かにそれだと手を出すには勇気が要りそうですね。本来であればその辺りも通達があったのでしょうか」
「本来ならね。ただ、今回の犯人――ああ、料理長だとかを想定しているわ――がその情報が参加者たちに回らないようにしていたの。でも、男にはわざわざ細工をしているところを見せ、会場で食べるように誘導していた。レミィの指摘通り、男の好物は飴だったからね」
「好物を知っているし、知り合いだったのかしら?」
「深くは決めていないけれどね。知り合い故の殺意の芽生えであったし、だからこそのキッチンでの誘導も可能だったと言うことよ」
「まあ、そもそも知り合いじゃないと調理の様子を見せるの難しいしね」
色々と、事件の真相や背景などを四人が話していると、コンコンと戸を叩く音が響く。ついで部屋の中に入って来たのは、仕事がようやく終わった様子である小悪魔と美鈴だ。
「お待たせしました、パチュリー様」
「こっちも時間になったので、ようやくこっちに来る事が出来ました。今は推理中ですか?」
「いえ、ちょうど一段落した所よ。人数も揃ったことだし、二回戦を頼んでもいいかしら?」
「ええ、いいわ。小悪魔、さっき頼んだとおり、私の補佐をお願いね。」
「はい、畏まりました」
「それじゃ、私はこっち側に、っと」
探偵と魔女、それぞれの側に一人ずつ参加者が増える。休む間もない、二回戦の始まりであった。
はい、結構反応が早かったので、予定を繰り上げて投稿です。いかがだったでしょうか? 今回は結構胡乱な謎であった為、納得の行かないと思われるかもしれません。その場合はどうかご容赦ください。
次回はまた三択。これの続きか、前に書いた本家っぽい感じで書くか、普通の物を書くか、ですね。どれになるか、いつ投稿するかは謎を思いつき次第になるので、今はどうとも言えません。出来れば気長にお待ちいただけると幸いです。ではまた。