東方屁理屈録   作:kokohm

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第十三盤、出題編

 当ゲームにおける基本ルール

 

 

1.【】で囲われたものを赤き真実とする。赤字の内容は絶対の真実である。

 

 

2.『』で囲われたものを青き真実とする。探偵が己の推理を提示する際に用いる。

  ただし、探偵の提示する青は魔法を否定する内容でなければならない。

 

 

3. 魔女は提示された青字に対して、赤字を使って反論する義務を持つ。

  青字を否定できない場合魔女側はリザインを宣言し、探偵の勝利となる。

  なお、赤字での反論が有効かどうか、探偵はよく検証する必要がある。

 

 

4. 人間側は「」で囲われた文章を提示することで、

  魔女に対しその文章を復唱することを要求できる。

  ただし、魔女側はそれを行う義務を負わない。

 

5.探偵は、復唱要求や青き真実を使うまでもない疑問、質問を魔女に問うてもよい。

  ただし、魔女側はそれに答える義務を負わない。

 

 

 以上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 では、と皆の準備が整った所で、パチュリーが口を開く。

 

「人数も揃ったということで、いよいよ本番を始めるとしましょうか。早速だけれど皆、ここで私から追加ルールのお知らせがあるわ」

「追加ルール、ですか?」

 

 小さく首を傾げる美鈴に、パチュリーは頷く。

 

「ええ。初めてやる美鈴には悪いけれど、今回は試験的に私の考えたルールを追加してみたいの。今回のゲーム盤限定のルールだけれど、今回の結果如何では後々にも使うかもしれないわね」

「中々面白い話ね。で? そのルールというのは何かしら?」

「名称としては《証言》というルールよ。大きなルールとしては次の通りね」

 

 と、パチュリーは新ルールについて説明を始める。

 

 以下が、その内容をまとめたものとなる。

 

 

 

 

 

一.《》で囲われたものを証言とする。証言はゲーム盤の登場人物から得る事が出来る。

  証言の内容は、その証人にとって主観的な事実である。

  ただし、証人にとって主観的な事実が現実の事実と同一であるという保証はない。

 

二.証言は赤字と同様の働きを持つものとする。魔女側は探偵の青き真実に対し、

  証言を用いて反論しても構わないものとする。

 

三.証人が証言に主観的な偽りを述べることはない。

  ただし、犯人のみ証言に嘘を混ぜる可能性がある。

 

 

 

 

 

「……と、まあ、この三つが証言ルールの根幹ね」

「質問と確認、いいわね?」

「当然。何かある人は発言どうぞ」

「じゃあ私から。証言の具体例はどんな感じかしら?」

「証言は基本的に、補佐役の小悪魔に使ってもらうことになるわ。小悪魔」

「はい。証言の形式としては、《メイド:御主人様は私とずっと行動を共にしていました》のような形になります」

「証言者と、その証言の内容を纏めて、という感じね。これは私達から要求できるの?」

「基本的には復唱要求のそれと同じようなものだと思ってちょうだい。貴女達の要求に答えることもあるし、答えないときもあるわ」

「ふむ」

「私も一つ質問が。一と三の、主観的な真実、偽りとはどういうことでしょうか?」

「そうね、こっちも具体例を使って説明しましょうか。例えばだけれど、咲夜、貴方が霊夢あたりに、レミィの年齢が百歳であると教えたとするわね」

「それだとフランよりも年下だねー」

「そうね。だから咲夜は霊夢に対し嘘をついたことになる。ここまではいいわね?」

「はい、問題ありません」

 

 じゃあ次、とパチュリーは指を立てて説明を続ける。

 

「昨夜の嘘を聞いた霊夢が、魔理沙に同じ事を言ったとするわ。レミィの年齢は百歳だと。この場合、結果として霊夢は嘘をついているけれど、霊夢自身にはその自覚がないわね?」

「まあ、そうですね。霊夢さんとしては聞いたこと、つまりは本当の事を言っているつもりですから」

「ああ、そういうことですか。つまり、この場合霊夢は彼女自身の主観的には嘘をついていない、ということになる。同様に、証言においても自覚なく真実と異なる事を言ってしまうことがあるということですね」

「ええ、主観的にはあっているけれど、客観的な真実とは異なる証言を証言者は述べる可能性がある。それが一のルールの意味合いということ。勿論、まったくの事実を述べていることもあるけれどね」

「誠実な証言者であっても、必ず真実を述べているわけではないと。そして、その偽りと意図的に行えるのが犯人だけなのね?」

「ええ、犯人のみ、証言において嘘を述べる事が出来るわ。基本的に大体のゲーム盤において、犯人とは実際に犯行を行ったただ一人であるという定義がされていることが多いから、基本的に一人だけ嘘をついている可能性があるということね。まあ、まったく嘘をつかない可能性もあるけれど」

「中々面白いルールね。上手くやれば証言から犯人を導き、それを推理の前提とすることが出来るし、逆に犯人が分かったことから証言の嘘を暴く事が出来るかもしれない。なるほど、これはこれで楽しそうな新ルールだわ」

「納得いただけたようで何よりね。皆も、他に質問はないかしら?」

「私は特に」

「私も同じかなー」

「私も、今は何も無いですね、気になったことがでてくれば、その時は聞きますけど」

「ええ、質問は自由にしてちょうだい。では、そろそろ今回のゲーム盤の紹介をしましょうか」

 

 こほん、と一つ咳払いをして、パチュリーは語り始める。

 

 

 

 ――そこは、とある富豪の持つ屋敷であった。その屋敷にて、一つの遺体が発見される。容疑者は六名。屋敷の主人、執事、メイド、客人、修理工、掃除婦。彼らから話を聞いた探偵は、どういうことだと首を捻る。どう考えても、誰にも犯行を行うことが出来ないのだ。

 

 必死で頭を働かせる探偵の脳裏に、一つの言葉が浮かぶ。

 

 ――魔法。

 

 普段であれば一笑に付したであろうその言葉を、探偵はどうしても否定する事が出来ない。

 

 

 ――ハハハハハハハハ!!!

 

 悩む探偵の耳に、何処かから魔女の高笑いらしきものが聞こえてくるのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まあ、こんな感じね」

「何ともあっけない幻想ね。察するに、やはり証言主体の謎と見るべきかしらね」

「となると、やはりアリバイ崩しとなるのでしょうか」

「さて、どうかしらね。じゃあ、基本の赤を述べるわよ。【ゲームの登場人物として、主人、メイド、執事、修理工、客人、掃除婦、探偵が存在する】【登場人物は、被害者を含めて八名】」

 

 そこまで言って、パチュリーは一旦言葉を区切る。ついで、傍らにいる小悪魔へと視線を向ける。

 

「ここで一旦、証言を挟ませてもらうわ。小悪魔、手はずどおりにお願いね」

「はい、分かりました。では、これより証言を行います。《主人:十二時から十三時半まで執務室にいた。そして十三時半にメイドを呼んで三十分ほど打ち合わせてしていた》《執事:十三時半に御主人様に紅茶をお運びしました。その後はお客様のお世話をしておりました》《メイド:十三時から十三時半までは掃除婦の手伝いをしておりました。その後三十分ほど執務室におりました》《修理工:悪いが今手が離せないんだ。用があるなら十五時を過ぎてからにしてくれ》《客人:十三時から主人と執務室で三十分ほど話した後、客間に移動してゆっくりしていたよ》《掃除婦:十二時からボイラー室前の廊下を掃除していましたよ。十三時半からは探偵さんと話していましたよね。三十分ぐらいだっけ》……と、初期の証言としてはこんなところでしょうか」

 

 これでいいですか? と小悪魔がパチュリーに確認を取ると、彼女は大丈夫と頷いて返す。

 

「さて、これが証言よ。今回の証言はゲーム盤において、実際に探偵が登場人物たちから得たものという体になっているわ。故に、【探偵は犯人ではない】という前提をここで提示しておくわ」

 

 なるほど、と美鈴が頷く。

 

「ということは、容疑者が一人減ったということですか」

「そうなるわね。ついでに探偵の証言――まあ、独り言だけれど――も追加しておきましょうか。小悪魔、執事に関しての探偵の証言を頼むわ」

「はい、分かりました。《探偵:そういえば、十三時から十三時半までだが、私が執事さんと一緒にいたから、少なくともその間はアリバイありだな》」

「ありがとう。さて、これらを踏まえた上でさらに赤を追加するわ。【被害者は撲殺された】【被害者は十三時から十四時までの間に殺害された】【犯人は一人】【共犯者は存在しない】」

 

 まずはこれで、とパチュリーは探偵たちに言う。

 

「それじゃあ、ここからは貴女達主導で、存分に事件を推理してもらいましょうか」

「では遠慮なく。まずは状況の整理から行いましょうか」

「証言全てに嘘がないと考えた場合、修理工以外にはアリバイがありそうですね。相互で証明しあっていますから、嘘も何もない気もしますが」

「パチェ、掃除婦は修理工の姿を見ていないの?」

「ああ、証言に関しては基本的に小悪魔に聞いて頂戴。拒否権なんかもこの子に与えてあるから」

「ああ、そうなのね。じゃあ小悪魔、その辺りはどうなの?」

「そうですね、《掃除婦:修理工さん? 十二時にボイラー室に入っていくのは見たけど、出てくるのは見ていないね》と答えさせていただきます」

「となると、パチュリー様、ボイラー室の出入り口はどうなっていますか?」

「【ボイラー室の出入りは部屋前の廊下と繋がるドアを通ることでのみ可能】よ」

「そうなると、修理工は基本的にシロと見ていいわね」

「何で? 掃除婦が嘘をついている可能性もあるんじゃない?」

 

 いいえ、とレミリアがフランの質問に対し首を横に振る。

 

「嘘をつけるのは犯人だけだから、その場合は掃除婦が犯人ということになり、修理工は犯人ではない。そして修理工が犯人の場合、家政婦は嘘をついていないという事になるから修理工は部屋を出ていないことになるもの」

「そっか。あ、でも被害者がボイラー室で死んでいれば良いんじゃないの?」

「いいえ、【被害者の遺体は客室にて発見された】【客室とボイラー室は同じ部屋ではない】わ」

「じゃあ無理っぽいですね。修理工も容疑者から外していい、と」

 

 となると、とレミリアが顎にその細く白い指を当てながら、

 

「……全員、何かしらのアリバイがあることになるわね」

「あれ? じゃあどうやって被害者を殺すの?」

「それを考えるのが私達の役目だと思いますが……」

「あ、それもそうだね」

「どうやら、ゲーム盤の探偵が悩んだのも頷ける謎のようですね」

 

 咲夜の纏めに、探偵たちが一様に頷く。それを見て、はてさてと言いたげな表情で、パチュリーは紅茶を一口味わうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回出た赤纏め

 

【ゲームの登場人物として、主人、メイド、執事、修理工、客人、掃除婦、探偵が存在する】

【登場人物は、被害者を含めて八名】

【探偵は犯人ではない】

【被害者は撲殺された】

【被害者は十三時から十四時までの間に殺害された】

【犯人は一人】

【共犯者は存在しない】

【ボイラー室の出入りは部屋前の廊下と繋がるドアを通ることでのみ可能】

【被害者の遺体は客室にて発見された】

【客室とボイラー室は同じ部屋ではない】

 

 

 今回出た証言纏め

 

 

《主人:十二時から十三時半まで執務室にいた。そして十三時半にメイドを呼んで三十分ほど打ち合わせてしていた》

《執事:十三時半に御主人様に紅茶をお運びしました。その後はお客様のお世話をしておりました》

《メイド:十三時から十三時半までは掃除婦の手伝いをしておりました。その後三十分ほど執務室におりました》

《修理工:悪いが今手が離せないんだ。用があるなら十五時を過ぎてからにしてくれ》

《客人:十三時から主人と執務室で三十分ほど話した後、客間に移動してゆっくりしていたよ》

《掃除婦:十二時からボイラー室前の廊下を掃除していましたよ。十三時半からは探偵さんと話していましたよね。三十分ぐらいだっけ》

《探偵:そういえば、十三時から十三時半までだが、私が執事さんと一緒にいたから、少なくともその間はアリバイありだな》

《掃除婦:修理工さん? 十二時にボイラー室に入っていくのは見たけど、出てくるのは見ていないね》

 

 




 というわけで、試験的な新ルールを追加しての出題編となりました。初めてやる形式で、色々とややこしくなっているので、どこか間違っている可能性もありますが、その時はご指摘いただければと。正直、いつもより確認が面倒で運用の難しいルールです。

 今回の謎は、ぶっちゃけ、とある一点を突かれると速攻でリザインまでもつれ込む謎となっています。その辺りをどうにかしらばっくれつつ、頑張って解答編を書いていくつもりです。投稿はまあ、反応如何で変わります。一週間以内には投稿できたらな、とは思っていますがね。ではまた。


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