東方屁理屈録   作:kokohm

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 今回の投稿にあたって、意見を参考にさせていただいた皆様に心から感謝を。


 予想以上に推理が飛んできたことと、誤魔化しましたがかなり致命的な青を出されたこともあり、予定を繰り上げて投稿します。




第十四盤、解答編

 当ゲームにおける基本ルール

 

 

1.【】で囲われたものを赤き真実とする。赤字の内容は絶対の真実である。

 

 

2.『』で囲われたものを青き真実とする。探偵が己の推理を提示する際に用いる。

  ただし、探偵の提示する青は魔法を否定する内容でなければならない。

 

 

3. 魔女は提示された青字に対して、赤字を使って反論する義務を持つ。

  青字を否定できない場合魔女側はリザインを宣言し、探偵の勝利となる。

  なお、赤字での反論が有効かどうか、探偵はよく検証する必要がある。

 

 

4. 人間側は「」で囲われた文章を提示することで、

  魔女に対しその文章を復唱することを要求できる。

  ただし、魔女側はそれを行う義務を負わない。

 

5.探偵は、復唱要求や青き真実を使うまでもない疑問、質問を魔女に問うてもよい。

  ただし、魔女側はそれに答える義務を負わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、と妹紅が口を開く。

 

「密室を崩せるかどうか、を試してみるか。『部屋に穴はないといっていたが、それはゲーム終了時のことであり、実際はゲーム中に一度穴が作られ、その後修復された』というのはどうだ?」

「【ゲーム中、壁、窓、天井、床、ドアのいずれも破壊されていない】わ」

「じゃあ、そうだな。『実はてゐが見張っていたドアのほかにもう一つドアがあって、そこから鈴仙が入った』」

「【部屋にドアは一つしかない】」

「ん、んん。なら『実は壁というのはウォーターカーテンのことで、簡単に突っ切る事が出来た』というのはどうだろう? 通れはするが、穴は空いていないってことになるんじゃないか?」

「面白いとは思うけれど、【壁はウォーターカーテンではなく、そのままの状態で通り抜けることは不可能】よ」

「そのまま、ってのは?」

「壊さなかったら、という意味よ。赤じゃないから、信じなくても構わないけれどね」

 

 ふうむ、と妹紅は腕を組み考え込み始める。また新たな可能性を模索する彼女に代わり、口を開いたのは慧音だ。

 

「一つ、確認したいのだが、ドアの開閉というのは開けただけ、または閉めただけの場合も含むと考えていいだろうか? それと、内開き、外開きだけでなく、スライドさせるタイプのドアの場合も開閉に含むのか?」

「そうね、【押そうが引こうかスライドさせようが、ドアを開く、または閉じると呼称される現象が起きたのであれば、それはドアが開閉されたとみなす】としておくわ。これなら十分でしょう?」

「感謝する。となると、やはりてゐがいる限りドアを開けるのは不可能であり、また『最初からドアは開いており、てゐは鈴仙が閉じた後にドアを開けた』というのは無理なわけだな?」

「そうね。【ゲーム中、誰かがドアを開閉した場合、必ずてゐはその事に気付く】【ゲーム開始時からてゐがドアを開けるまで、てゐはドアの開閉を目撃していない】加えて言えば【ゲーム中、てゐは誰かがドアの周囲に来るのを見ていない】という既存の赤たちがある以上、その青は簡単に切れるわ」

「やはり、か。となるとそもそもドア以外の出入り口を探すのが真実への道なのだろうか……」

 

 ぶつぶつと慧音が呟きながら虚空を眺め始めたところで、順番だと言わんばかりに、今度は輝夜が口を開く。

 

「そろそろ私も動きましょうか。一先ず確認として、復唱要求、「鈴仙はてゐがドアを開ける前から部屋の中にいた」のよね? まさか開けたあとから入ったとか、一緒に入ったとかではないと思うけれど」

「その通り。【鈴仙はてゐがドアを開ける前から部屋の中にいた】わ。それと、まあ後から聞かれるかもしれないから先に答えるけれど、【てゐがドアを開けたのは一度だけであり、その時点で既に鈴仙は室内にいた】」

「一度目に入って、二度目にってのはないわけね。ついでに、てゐがドアを開けて招きいれた可能性も無くなったと見ていいかしら。となると、そうね……無茶苦茶かもしれないけれど、『鈴仙は当初“部屋の外”という名前の場所にいて、その後“部屋の中”という場所に移動した』というのはありかしら?」

 

 流石に、自分でも突拍子もない事をいっているのは理解しているのだろう。やや躊躇いがちに発された輝夜の推理に対し、永琳は面白そうな表情を浮かべ、口を開く。

 

「非常に屁理屈っぽい推理だとは思うけれど、【部屋の中、部屋の外というのは部屋と呼ばれる空間の外部、内部という意味であり、“部屋の外”や“部屋の中”という名前の場所があるわけではない】と返すわ。ついでに、【部屋は一つしかない】とも言っておきましょうか。本当に面白いとは思うけれどね」

「面白いだけじゃ意味がないのよね。まあ、無茶苦茶ついでに、『実はドアは非常に分厚く、その中に鈴仙が入っていた。ドアの中にいるため閉まっているときは室内におらず、てゐがドアを開けたことで室内に入った』というのは……てゐが開ける前から部屋にいたという赤に引っかかりそうね」

「まあ、そうね。ついでに言っておくけれど、【ドアは人が入れるほど分厚くはない】し、【ドアが外開きであろうと内開きであろうと、真相には影響を及ぼさない】とも答えておくわ」

「流石に無理やりすぎたかしらね。とはいえ、いまいちピンと来るものがないわね……『実は天井がなく、上から簡単に入る事が出来た』とか?」

「【部屋に天井はある】し、【部屋に床はある】わ。ついでに言っておくけれど、【床、壁、天井、ドアは取り外し不可能】だから、そういうのもなしね」

 

 流石にそうよね、と永琳の赤に対し輝夜は呟く。ピンと来るものがないというのは事実のようで、そのまましばし黙り込んでいたのだが、

 

 

 

「……これまでの赤から考えるに、やっぱりドアに突破口がある気がするわね」

 

 と、誰に言っているのかも分からぬ調子で呟く。すると、それに対し慧音と、不承不承な素振りであるが妹紅も頷く。

 

「同感だな。こちらがあまり触れていないのもあるのだろうが、ドア関連と比べて壁などへの赤は割と気軽に出している気がする」

「同じく。勘だけど、どうにもドアに仕掛けがあるようにしか思えないな」

「そうなると、一体何があるのかという話だけれど、まさか『ドアに人間大の大きさの穴が空いている』わけでもないだろうし」

「どこかで聞いたような気がするけれど、【ドアに人間が通れる大きさの穴は空いていない】わ」

「…………そこが引っかかるんだよな」

 

 

 ふと、妹紅が口を開く。

 

 

「穴関連に関して、度々、人間が通れるって表現が出てきているんだよな。どうもそれが引っかかる」

「人が通れない大きさの穴ならあるかもしれないということか? いや、だとしてもどうやって部屋の中に入る?」

「ああ、ああバラバラにするという方法はあるんじゃない? 『誰かが鈴仙の身体をバラバラにして放り込んだ』とか」

「血なまぐさい推理だな……」

「いや、屁理屈推理ってそういうの多いじゃない……なんで私が輝夜の肩を持たなきゃならないんだ」

「どっちにしろ、【ゲーム終了時に鈴仙は生存している】わよ。ヒントで言っておくけれど、今回はそういう系の真相じゃないから」

「あら、そうなのね」

「となると、小さい穴が空いていても無理なのだろうか。そもそも、誰も見ていないという赤がある以上、ドアに近づけないじゃないか」

「それもそうね。ううん……?」

「――あ、分かったかもしれない」

 

 唐突に、妹紅がポンと手を叩く。彼女の発言に対し、輝夜と慧音は驚いたような表情を彼女に向ける。

 

「え? 分かったの?」

「いや、あくまで可能性の話なんだが……鈴仙って実は人間じゃないんじゃないか?」

「それはそうでしょ。あの娘はウサギなんだから」

「いや、そういうリアルの話じゃなくて。『実は鈴仙は人間よりも小さい動物で、だからこそ人間には通れない大きさの穴を通って室内に入った』ってのはどうだろう?」

「【ドアは破壊されていない】わ」

「元から空いていれば仕様だろ? ほら、あのドアにつけて猫とか犬を通す、ペットドアって言うのか? ああいうのがあればいいと思うんだけど」

 

 どうだろう? と妹紅、そして慧音と輝夜は永琳を見る。三人の視線に、平然とした素振りを見せる永琳であったが、そう間を空けずしてため息をついてみせる。

 

 

 

「――お見事。ここにリザインを宣言するわ」

「よし!」

 

 リザインの宣言に、妹紅は思わずガッツポーズを決める。そんな彼女に、慧音と輝夜はパチパチと拍手を送る。

 

「そういうことだったのか。凄いな、妹紅」

「その考えはさっぱり頭の中から抜け落ちていたわね。上手く思いついたものだわ、褒めてあげる」

「相変わらず何処か引っかかるなお前は……!」

「まあまあ、いいじゃないか。それで、真相としてはどうなのだろうか?」

「そうね。まあ説明することもあまりないけれど、一応語っておくならば、鈴仙という名前の猫がペットドアを通って部屋の中に入ったという話よ。何故かドアを見張っていたてゐの前で、堂々とそこを通って入ったというだけ。ドア自体は開けていないから、開閉はてゐの一回だけとしているわ」

「誰も見ていないというのも、今から考えればヒントでもあるのね。確かに、猫に対し“誰か”とは言わないもの」

「ああ、それもそうか。妙に引っかかるなとは思っていたんだが、そういうことだったのか」

「まあ、そういうことよ。正直、もう少し早く解かれると思っていたんだけど、そこが想定外といえば想定外だったわね」

「案外出てこなかったからな、鈴仙の正体への疑い。普通に人間だと思っていたから」

「まったくだな。まさか猫だったとは思っていなかった。というか、鈴仙がモデルならウサギのほうが良かったんじゃないだろうか?」

「その辺は単に、猫の方が自然だと思っただけよ。一般家庭でウサギを放し飼い、というのもあまりピンと来なかったから」

「ああ、まあ、それもそうかしらね」

 

 ややこしいのは事実だけど、と輝夜は最後にそう呟くのであった。

 




 はい、前書きに書いたとおり、予想以上に反応があったので急いで書き上げました。この調子が他作品でも欲しい……

 で、今回のゲームですが、正直予想外でした。というのも、割とすぐに解かれるんじゃないかと思っていたのと、血なまぐさい系の推理が皆様から一切出てこなかったからです。こちらの想定としては、どこかでバラバラにして穴から放り込む、という推理が出て、そこから鈴仙が実は人間じゃないんじゃないかという推理が出るものだと思っていたのですが、やはり私には予測というのは難しいようですね。まあ、こういうのは解答する環境にもよるんでしょうが。もう少し謎が溜まったら、また某所でリアルタイムに応酬する、というのもやってみたいんですが、こればっかりは中々。

 次回ですが、とりあえず面子はこのままで、謎も一応決めてはいます。ここで出題までやってみようかとも思いましたが、赤を出すのにも疲れたので、間を開けることにします。次回投稿がいつになるかは、まあ気長にということでお願いします。ではまた。




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