東方屁理屈録   作:kokohm

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 以降東方キャラが平然と外の世界の知識を使うことがあると思いますが気にしないでください、どうしても気になるのなら紫が知識の境界でもいじったのだと思ってください。


第二盤、出題編

「…ん? 紫?」

「あら、魔理沙じゃありませんか」

 

 紅魔館の大図書館、魔女のお茶会に参加していた魔理沙はそこで紫と出会った。図書館の奥から出てきたことから、どうやら魔理沙よりも先にこの大図書館に訪れていたらしい。

 

「珍しいな、お前が紅魔館にいるなんて」

「ちょっとここの本に用があったのよ、もう済んだのだけれど。感謝しますわ、パチュリー」

「構わないわ、本を大事にしてくれさえすればね」

「そうね、かってに本を持っていく誰かさんと比べたらだいぶましでしょうね」

「おいおい、そんな奴がいるのか。困ったもんだなあ、まったく」

「…鏡見なさい、鏡」

 

 パチュリーの皮肉とアリスのジト目をまるで意に介さず魔理沙はハハハと笑う、パチュリーの疲れたような声もまるで無視だ。と、そんな自分を呆れたような目で見てくる紫に気がついた魔理沙、何故かここであのゲームのことを思い出した。

 

「お、そういや紫。この間の奴をやってくれないか? お茶菓子にも飽きてきたからさ」

「この間? ああ、屁理屈推理合戦のことね。時間はあるし私はいいのだけれど、お二人はどうかしら?」

「屁理屈推理合戦? 一体何かしら?」

「名前から察するに推理ゲームか何かかしら?」

「ええ、その通りよ」

 

 そう言って紫はこのゲームの説明をしていく、面倒なのでここはかくかくしかじかで済まさせてもらう。

 

「なるほど、面白そうね」

「たまにはそういうのも面白いかもしれないわね、魔法使いが魔女の幻想を打ち破るなんて皮肉めいているけれど」

 

 紫の説明を聞いたパチュリーとアリスも屁理屈推理合戦に参加することに決める、久々に舞い込んできた新しい娯楽に二人もかなり乗り気だ。

 

「んじゃ決まりだ、頼むぜ紫」

「分かりましたわ、では今回はきちんとした物語を語るとしましょうか。前回のように赤だけの味気ないものではなく、つまらない現実を魔女の魔法で装飾した、そんな物語を」

 

 前口上を述べ扇を開く、そして紫は語り始める。

 

「では、幻想を始めましょうか」

 

 

 

 

******

 

 

 真っ暗な部屋の中、一人の少女が呟いていた。

 

「憎い…、憎い……」

「あら、そんなに憎らしいの?」

 

 ここには自分以外無いはず、そう思った彼女が顔を上げるとそこには一人の女性が居た。まるで物語の中から現れたかのような黒く古めかしい格好、魔女と言う言葉が脳裏に浮かぶ。

 

「誰…?」

「私? 私は魔女、色んな世界を渡り歩く旅人の魔女。ねえ、貴方は誰が憎いの?」

「私が、憎いのは…」

 

 彼女が呟いた名前を聞いて、魔女はにんまりと笑った。

 

「私が手伝ってあげましょうか?」

「え…?」

「貴方の復讐、その手伝いを」

 

 魔女は三日月のような笑みを浮かべながら彼女に手を伸ばす。

 

「……」

 

 彼女は、魔女の手をとった。

 

 

 

 

 豪雨の中、一人の少女がやって来た。傘も役に立たないような雨の中走って来た彼女は館の玄関の前で雨宿りをしていた友人たちに声をかける。

 

「待たせちゃった?」

「遅いよ、チルノ」

「待ちくたびれたのだ」

「まったく、相変わらず時間にルーズなんだから」

「ごめんごめん」

 

【午前九時、チルノは館へと到着した】

【チルノが館に到着したとき、チルノ、ルーミア、リグル、ミスティアは生存している】

 

 友人たちに謝った後チルノは辺りを見渡す、しかし彼女の親友の姿が何処にも無い。

 

「あれ、大ちゃんは?」

「いや、それがいないんだよ」

「あ、だからあたいに鍵を渡したのか」

「あれ、鍵持っているの?」

「うん、大ちゃんから持っておいてって」

「そうなんだ、じゃあさっそく入ろうか」

 

 チルノが親友から受け取った鍵を使い館の戸を開ける、中に入ってみると明かりこそついているもののその光は若干弱く、外の天気も相まって館の内部は薄暗い。

 

「何というか、雰囲気があるね」

「そうだね」

「ねえ、せっかくだから分かれて探索してみない?」

「ええー、大ちゃんに黙ってそんなことしていいの?」

「大丈夫だって」

「まあいいんじゃない? 余計なことをしなければ大丈夫だよ」

「うーん、そうかな…?」

「じゃあ、えっと…、十時半に一旦集合でいい?」

「そうしようか、場所はここで」

「じゃあ解散」

 

 そうして彼女達は別れて屋敷の中を見て回ることにしたのであった。

 

 

「あれ、チルノも来たんだ」

「うん、何かあった?」

「いや、面白いものは何も」

 

【午前九時二十分から午前九時三十分までの間、チルノとリグルは行動を共にしていた】

 

 

「あ、ルーミア」

「リグル、そっちは何かあった?」

「うーん、あんまりかな」

「そう、こっちも同じなのだ」

 

【午前九時五十分から午前十時までの間、リグルとルーミアは行動を共にしていた】

 

 

「うーん?」

「チルノ? どうしたのだ?」

「ああ、ルーミア。いや、この絵って何の絵なのかなって思って」

「絵? …うーん? 何だろう?」

「何だろう?」

 

【午前十時十分から午前十時三十分までの間、ルーミアとチルノは行動を共にしていた】

 

 

「あ、私が最後?」

「ううん、ミスティアがまだだよ」

「え? おかしいな、彼女が一番時間に厳しいのに」

「だよねえ」

 

【午前十時三十分の時点で、チルノ、ルーミア、リグルは行動を共にしていた】

 

「キャー!!?」

 

 玄関の近くで集まっていた三人の耳に悲鳴が飛び込んでくる、しかもそれは彼女達も良く知る声だった。

 

「!?」

「何!?」

「ミスティアの声だ!」

 

 悲鳴の聞こえた方へと三人は走る、そして。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

「なに?!」

「この張り紙!」

「…鳥の姫はここに眠る?」

「…もしかして!?」

 

 嫌な予感と共に張り紙の貼ってある扉を開ける、するとそこにあったのは。

 

「…え?」

「ミ、ミスティア?」

「そ、そんな…嘘だ…」

 

 胸に刃を生やし、その服を血で染めたミスティアが、恐怖に引きつった顔を浮かべて死んでいた。

 

【ミスティアは死亡している】

 

 

 

 ミスティアの遺体をその場に残し食堂に移った三人、当然だがその顔は暗い。

 

「…ねえ、ミスティアのことだけど」

「…何?」

「誰がやったんだと思う?」

「分からない、ここには私達以外誰もいないはずだけれど」

「誰かが私達に見つからないように潜んでいるだろうね、たぶん」

「探してみない?」

「え?」

「ミスティアの仇、とらないわけには行かないでしょ」

「…そうだね、探してみようか」

「皆で探す?」

「…いや、分かれて探そう。何かあったら大声で叫ぶんだ」

「分かった、必ず見つけ出そう」

 

 そうして分かれて探し始めてしばし、チルノとルーミアが合流した。

 

「ルーミア、どうだった?」

「ううん、特に誰も」

「そっか…、リグルは見なかった?」

「え? 見てないけど、どうしたの?」

「うん、考えたんだけどやっぱり皆で固まって探した方がいいと思うんだ。だから探していたんだけど見つからなくて、先にルーミアを見つけたんだ」

「…リグルを探そう、嫌な予感がする」

「うん、急ごう」

 

 二人で館を探して回る、しかしリグルの姿は何処にも見えない。

 

「リグルー、どこー!!」

「リグルー! …本当に何処にいるんだろう?」

「こんなに声をかけているのに出てこないなんて、一体…」

 

 見つからないことに焦りつつも館の中を歩き回る、その最中。

 

「…これって」

「蛍の姫はここに眠る?」

「…駄目だ、開かない!!」

「ぶち破ろう、せーっの!!」

 

 開かない扉を開けるために二人は勢いをつけ体当たりをする、その勢いに負け外れた扉と共に二人は部屋に飛び込む。

 

「リグル!!」

 

 そこで二人が見たものは、胸に刃物をつきたてられそこから血を噴出しながら倒れているリグルであった。

 

【リグルは死亡している】

 

「え? リグ、ル?」

「何で、リグルが…」

 

リグルの遺体をその場に残し、二人は再び食堂に戻ってきた。

「やっぱり、リグルを殺したのもミスティアを殺した誰かのなのかな?」

「分からない…、でもそれ以外無い、はず」

 

【午前十一時から午前十一時三十分までの間、チルノとルーミアは行動を共にしていた】

【リグルが死亡したのは午前十一時から午前十一時三十分までの間】

 

 段々と二人の口数も減っていく、最終的に二人は無言のままじっと椅子に座っている。そんな中、ルーミアが突然立ち上がる。

 

「ひっ!?」

「ど、どうしたの、ルーミア?」

「いや、来ないで!! あっちに行って!!」

 

 何かが見えているかのように彼女は恐怖の表情を浮かべる、しかしチルノがその視線の先を見ても何か恐怖の対象となるようなものは見受けられない。そして、彼女は耐え切れなくなったかのように突然走り出した。

 

「ルーミア!?」

「いやああああああ!?!?!」

 

 叫びながら走るルーミアをチルノは追う、しかし彼女の足は早くなかなか追いつけない。やっと追いついた、その時には。

 

「ルーミア…? 何で…?」

 

 彼女は地に伏し、ピクリとも動いていなかった。

 

【ルーミアは死亡している】

 

 

「チルノちゃん…」

「え?」

 

 動揺しているチルノの耳に親友の声が聞こえる、だがその姿は何処にも見えない。

 

「チルノちゃん……」

「大ちゃん…? 何処にいるの?」

「ここだよ…、チルノちゃん…」

 

 気がつくと彼女の姿がそこにはあった、先ほどまで誰もいなかったはずのそこに。

 

「大ちゃん、何時の間に…?」

「迎えに来たの…、さあ一緒に行きましょう…?」

「っ!」

 

 こちらに向かって手を伸ばしてくる親友の姿に何かを感じ取ったのか、チルノはその場から逃げるように走り去る。そうして適当に走った彼女は一つの部屋に飛び込んだ。

 

「はあ…、はあ…。…あれ? ここって…」

「チルノちゃん…」

「!? 大ちゃん…!」

「さあ…、一緒に行きましょう…」

 

 

 後日、その館を訪れた者たちがいた。彼らはミスティア、リグル、ルーミアの死体を確認し、チルノが何処にいるのかを捜した。その結果、大妖精の部屋にて、鍵のかかったその部屋で彼女が首を吊っているのを発見した。

 

【チルノは死亡している】

【大妖精の部屋は施錠されている】

【大妖精の部屋の施錠、解錠は大妖精の部屋の鍵を使うことでのみ可能】

【大妖精の部屋の鍵は大妖精の部屋の中にあった】

 

 

 

 

「良かったわね、復讐が果たせて」

「…」

「私もそろそろ行くわ、それじゃあね」

「…」

 

 

******

 

 

 

「…と、今回はこんなお話ですわ」

「何か荒いわね、お話が」

「少々雑なのは認めますわ、まあ、結局大事なのは赤字だけですから問題ないでしょう?」

「まあな、…さーて」

 

 紅茶を一口飲んだ後、魔理沙はニヤリと笑う。

 

「探偵役を、始めようか」

 

 

 

 

 今回出た赤のまとめ。

 

【午前九時、チルノは館へと到着した】

【チルノが館に到着したとき、チルノ、ルーミア、リグル、ミスティアは生存している】

【午前九時二十分から午前九時三十分までの間、チルノとリグルは行動を共にしていた】

【午前九時五十分から午前十時までの間、リグルとルーミアは行動を共にしていた】

【午前十時十分から午前十時三十分までの間、ルーミアとチルノは行動を共にしていた】

【午前十時三十分の時点で、チルノ、ルーミア、リグルは行動を共にしていた】

【ミスティアは死亡している】【リグルは死亡している】

【午前十一時から午前十一時三十分までの間、チルノとルーミアは行動を共にしていた】

【リグルが死亡したのは午前十一時から午前十一時三十分までの間】

【ルーミアは死亡している】【チルノは死亡している】

【大妖精の部屋は施錠されている】

【大妖精の部屋の施錠、解錠は大妖精の部屋の鍵を使うことでのみ可能】

【大妖精の部屋の鍵は大妖精の部屋の中にあった】

 

 以上。

 




 はい、出題編です。今回魔女の幻想に物語をつけてみましたが、大分適当に書いているので赤だけを見て推理した方がいいと思います。その赤が今回少ないですが仕様です、次回の推理編にて赤と推理を提示し、そして解答編で謎を明らかにすると言う形式にするつもりです。それと今回から活動報告のほうに推理受付の場所を作っておきます、復唱要求や青き真実がある方はそちらに書き込んでくださると私が対応します。読者さんから返ってくるものがるとあると私のやる気が上がるので良ければ推理をお寄せください。まあこの時点だと赤が少なすぎて動き難いかもしれませんけど。

 今回は探偵役として魔理沙とパチュリー、アリスを採用しました。本来なら霊夢は続投の予定でしたが彼女は前回の謎を解いたことが原因で今回は欠席となりました、第三盤には出てくるかもしれません。その辺りは完全に未定です、謎も含めてね。

 さて、活動報告に書きましたが今回は他の作品と同時に投稿しております。もし少しでも興味が湧けばそれらも読んでいただけると幸いです。ではまた。
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