数分後、紫の出番はまだ来ていなかった。
「うーん…」
「どうしたものかしらね…」
魔理沙とアリス、どちらもピンと来るものが無いらしく虚空を見つめながら何か無いかと考えている。
「…紫、ルーミアは毒を摂取したのよね?」
パチュリーもまた二人と同じく悩んでいたが、何か思いついたのか紫に声をかけた。
「え? ええ、そのつもりだけれど」
「摂取とは口にしたって意味でいいのよね?」
「…ああ、なるほど。じゃあ赤を使っておきましょうか、【ルーミアは毒を経口摂取した】」
パチュリーの発言から彼女の言わんとすることが分かった紫はそれに関する赤を提示する、それを聞いたパチュリーはやはりと言った表情で再び思案顔になる。
「? どういう意図だったんだ?」
「え? ああ、注射器なり毒ガスなりの可能性も考えたのよ、それなら赤に引っかからないように思えるから」
毒は飲むものとは限らない、というか飲ませる方法が思いつかないので他の方法を考えてはみたが少々違ったようだ。
「ああ、そういうことか。あ、でも外傷は無いんだから注射器は無理じゃないか?」
「逆に毒ガスはまだ通りそうな気がするのだけれど、口から吸い込めば経口摂取に入らないかしら?」
「【注射器の類は使われていない】【毒ガスは使われていない】そういう手口では無いわね」
「やっぱりね」
ああでもない、こうでもない、と話し合う三人。そんな中口元に手をやり爪を噛んでいる魔理沙に気付いたパチュリーがそれを注意する。
「魔理沙、爪を噛むのは行儀が悪いわよ」
「ん? ああ、悪い。どうにも思いつかなくてイライラしてな」
「気をつけなさい、そういったものは癖になると治らなくなるんだから」
「分かっちゃいるんだけどな、どうにも」
「…それよ」
「え?」
ボソリと呟いた後、パチンと指を鳴らすアリス。その表情には自信が浮かんでおり、何か良い推理を思いついたことが分かる。
「何か思いついたの?」
「ええ、魔理沙のおかげで一つ思いついたわ。紫、ルーミアは何か癖を持っているんじゃないかしら? 具体的に言うと爪を噛む癖とか」
アリスの指摘に紫は一度大きく頷いた。
「お見事、【ルーミアは爪を噛む癖を持っていた】緊張などで心に余裕がなくなるとつい噛んでしまうようね」
「なら私の青き真実はこうよ、『ルーミアの爪には毒が塗られていた、おそらくチルノが毒入りのマニキュアでも渡していたのでしょう。友人の死に動揺していたルーミアは思わず爪を噛んでしまい、その結果毒を摂取してしまった』どうかしら?」
「…おめでとう、ルーミアの謎についてリザインを宣言するわ」
「おー、やったな、アリス」
「なるほどね、爪は食べるものじゃないから赤には引っかからないと」
「そういうことよ、食事を取っていないと言ったけれど何も口にしていないとは言っていないわ」
つまり、緊張から爪を噛んでしまったルーミアは爪に塗られた毒を口にしてしまい、その結果毒で死亡したのである。
「でも爪にマニキュアをつけている状態で爪を噛むのか?」
「それだけ追い詰められていたと言うことよ、さすがに友人が二人も死んだら冷静さなんて欠けるでしょう」
「…ま、そうかもな」
紫の説明に魔理沙は納得して引き下がる、まあ理解の範囲内ではある。
「納得してくれたかしら? なら最後の謎と洒落込みましょう」
「チルノの謎か、密室だったな」
「結構簡単だからすぐに解けると思うわ、まあ多少は足掻くつもりだけど」
「そもそもどの程度の密室なの? 確か鍵が部屋の中にあるというのは聞いたけれど」
「そうね、もう一度言っておこうかしら。【大妖精の部屋は施錠されている】【大妖精の部屋の施錠、解錠は大妖精の部屋の鍵を使うことでのみ可能】【大妖精の部屋の鍵は大妖精の部屋の中にあった】」
「今更だけどチルノはそこで死んでいるということでいいのよね?」
「ええ、【チルノは大妖精の部屋で死亡した】」
「大妖精の部屋には窓の類はあるのか?」
「【大妖精の部屋の出入りには扉のみ使用可能】【ゲーム終了時扉は施錠されていた】」
「と言うか犯人はチルノなんだろう? だったら普通にチルノが中から鍵を閉めて自殺しただけじゃないのか?」
「そうね、【チルノは自殺した】でも、【扉の施錠、解錠には大妖精の部屋の鍵が必要】なのよ」
「え、あれないのか、あれ」
そう言いながら魔理沙は何かをつまんで捻る動作をしている、おそらく内鍵のことを言っているのであろう。
「ドアノブについているつまみのことね、確かサムサターンだったかしら、あれはついていないとするわ。勿論かんぬきみたいな内鍵の類もついていないわ」
「外から鍵を回す以外に施錠する方法が無いということ?」
「そうね、もう一度言っておくと【大妖精の部屋の鍵を使わずに扉の施錠、解錠することは不可能】」
「マスターキーの類は?」
「【マスターキー、スペアキーの類は存在しない】【大妖精の部屋の施錠、解錠を行えるのは大妖精の部屋の鍵一本のみ】」
「その唯一の一本が中にあるんじゃどうしようもないじゃない」
「あら、二人とも気がついてないの?」
悩んでいる二人にパチュリーは意外そうな声をあげる。
「え?」
「簡単な話じゃない、こんなもの。『部屋の内側からでも鍵を使うことで部屋の施錠を行える』というだけよ。要はドアノブの両方に鍵穴があるってこと」
「正解、もう少し悩んでくれると思ったのだけれどね」
「ここにもいくつかあるもの、赤を聞いていてすぐに分かったわ」
一般生活においてあまり見ることは無いだろうがドアノブの両側に鍵穴があるタイプのそれもあるそうだ、今でも重要な場所の鍵にはその手のものが使われているものがあるとのこと。
「…あー、そういうことか。全然思いつかなかったなあ」
「そういえば本なんかでも鍵穴から中の様子を見るシーンなんかがあるわね、あれもそのタイプの鍵だったわね。意外とピンと来ないものね」
「だな」
「さて、これで全ての謎を解明したわけだけれど。魔法で装飾されていない本来の物語はどういったものだったのかしら?」
「そうね、最後にそれを語って終わりましょうか」
そして、最後に紫は真実を語った。
******
「終わったよ、大ちゃん」
彼女は写真の中で笑う親友に、全てが終わったことを報告した。
一ヶ月ほど前、彼女の親友が死亡した。原因は高所からの落下、事故死であろうというのが警察の発表であった。彼女は悲しみにくれながらも親友の死に納得しようとした、…だが。
とあるきっかけで彼女は知った、親友は彼女の友人たちによって殺されたのだと言うことを。そして、彼女は友人たちの殺害を計画した。
一人目は普通に殺した、彼女は恐怖に顔をゆがめながら死んでいった。
二人目は少し手をかけてみた、何時死ぬか分からない恐怖を味あわせてみた。
三人目に関しては少し前から仕込んでみた、自ら引き金をひかせてみようと思ったのだ。
そして、最後に四人目を。
「…気付けなくてごめん、大ちゃん」
彼女は最後に自ら首を吊った、気付けなかった自分を罰した。
かつて笑い声が響いた屋敷に、今は語る者はなし。
******
「と、こんなところね」
「ちょっと雑じゃないか?」
「正直眠いのよ、貴方たちが長引かせるから」
そう言って紫はあくびをかみ殺す、どうやら一日の多くを眠りに費やす彼女の限界が近づいてきているらしい。
「責任の一端はお前だぜ、まあいいけどさ」
「やっぱり大妖精は死んでいたのね、そんな気はしたわ」
「復讐は復讐であったと、ちなみに本当にミスティアたちが大妖精を殺したの?」
「どっちでもいいわ、敵討ちであろうと勘違いであろうと。あくまで蛇足だから好きに考えて頂戴。それよりも今回の感想を聞かせてもらえるかしら?」
「私は楽しめたかな、今度は謎を解くことができたし」
「私も結構楽しめたわ、ちょっと長かったけれど」
「また機会があれば誘って頂戴、喜んで参加させてもらうわ」
魔理沙、パチュリー、アリスの評価はおおむね好評であるようだ。それを聞いた紫も満足そうに笑う。
「そう、じゃあまたいつかやりましょう。今日はこれで失礼させてもらうわ」
優雅に一礼をして、今宵の魔女はその場を去った。
はい、解決編です。真相が雑ですみません、紫も言いましたが今眠いんです。でも明日になると投稿できるかわからなかったので今日無理やり投稿しました、ごめんなさい。それと今回は全体的にテンポが悪くてもすみません、次書くときはもう少しテンポ良くします。謎はひとつでいいと分かりました、はい。
ああ、そうだ。いつか屁理屈推理合戦を実際にやってみようかと思っているんですよね、それが出来そうなサイトもあることですし。その時は参加者の方に東方キャラでRPしてもらって、それを元に話を書こうかなとか考えています。もし本当にやることにしたときは活動報告あたりで言いますので良ければご協力ください、まあやらないかもしれませんがね。
それと、よろしければ皆さんから謎と物語を募集したいと思っています。もし私に教えてもいいよという方がいらしたらメッセージにてご連絡ください、それを元に話を書かせてもらいます。…居たらいいなあ、本当に。……さて、次回は何時になるでしょうね。多分それなりにかかると思います、気長にお待ちください。ではまた。
追記
実際にやってみることにしました、詳しくは活動報告にて。