魔法戦記リリカル00 ~世界を越えた超兵の話~(改定前)   作:かねごんマークII

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今回は外伝です。ドラマCDが元ネタです。


第XX話 異なる地球へ

アレルヤside

 

 

アレルヤ「暇だね」アリオス〈暇ですね〉

 

青い空をアリオスを装備して浮かびながら、空から街を見下ろす。今回、僕は第97管理外世界、地球の日本、海鳴市に来ていた。

 

アレルヤ「でも、これがこの世界の地球か…。太陽光発電システムもタワーもない地球…」

 

はやてに聞いたけどこの世界に来た理由、それはロストロギア探索を聖王教会というところから頼まれたらしい。

 

ちなみに今はスターズ、ライトニングに別れて探索中で僕は空から街の様子を見ていた。

 

アレルヤ「僕は来なくてもよかったんじゃないかな…?」

 

アリオス<仕方ありません、八神部隊長の命令ですから>

 

僕の役割はアリオスの光学迷彩による空から監視だ。でも目視では特に異常は見受けられないし、サーチャーにも反応が無いので、暇な時間を潰す為にこの世界の情報をアリオスに頼んで閲覧していた。

 

アレルヤ「これは……この世界の文明は僕らの世界より数世紀前みたいだね」

 

アリオス<歴史、経済、政治…マイスターの世界との記録とこの世界の記録はかなりの類似点が見受けられます。この世界の未来がどうなるかは分かりませんが…マイスターの世界と似た歴史を進むかもしれませんね>

 

………進む時を止められはしない。けれど…僕らの世界のようにはなって欲しくないな……

物思いにふけっていると通信の呼び出し音が鳴った。

 

アリオス<マイスター、高町隊長から通信です>

 

アレルヤ「繋いでくれ……こちら、アレルヤ。スターズ1、どうかしたのかい?」

 

なのは『にゃはは、アレルヤさん。そんなに畏まらなくてもいいですよ?』

 

画面に映るなのはとリイン。後ろの風景から見て…どこかのお店かな?

 

アレルヤ「了解…、なのは、何かあったのかい?」

 

なのは『いえ、実は今スバル達と合流して私の実家に来てるんですけど、フェイト隊長ともここで合流するのでアレルヤさんもこちらに来てくれませんか?』

 

アレルヤ「了解、すぐに合流するよ。アリオス」

 

アリオス<了解しました、光化学迷彩展開を持続させます。激しい動きをしない限り、まずばれません>

 

なのは『では、待ってますね』

 

通信を切ってゆっくりと地上に下りた。人気のない場所でバリアジャケットを解除して町の中を歩く。

場所についてはレイジングハートからアリオスに情報が送られて来たのでそれに従って進んでいく。

 

アリオス<マイスター、到着しました>

 

アレルヤ「喫茶・翠屋、ここだね…」

 

カラン、カランとベルがなる店の扉を開け、少し見回すとすぐに目的の人を発見した。

 

アレルヤ「なのは、それにみんなも待たせたね」

 

なのは「いえ、そんなに待ってませんよ」

 

スバル「私たちもさっき来たばかりですし」

 

ティアナ「アレルヤさんの方は何か収穫ありましたか?」

 

僕はなのは達が座っているテーブルの席について街の方には異常が無い事を話す。

 

リイン「だとするとサーチャーに掛かるのを待つしかないですねぇ…」

 

リインがストローでオレンジジュースを飲み干す。僕もテーブルにあったコップに水を入れて飲む。

 

?「あら、カッコイイ人ね。なのは、こちらの方は?」

 

ちょうど話が一段落した時、店の奥からなのはによく似た人が出て来た。…お姉さんかな?

 

なのは「あ、お母さん」

 

ん?……この人がなのはのお母さん?確か…なのはの年齢は19歳だから……少なくともお母さんは30歳後半のはず。なのに見た感じ、なのはより少し上にしか見えない。

 

?「おや、一人増えてるじゃないか。なのは、紹介してくれるかい?」

 

さらに奥から男性が出て来た。…なのはのお父さんかな?

 

なのは「お父さん、うん。紹介するね、こちらアレルヤ・ハプティズムさん。私たちのお仕事を手伝ってもらってるんだ」

 

アレルヤ「はじめまして、アレルヤです。娘さんにはとてもお世話になってます」

 

?「はじめまして、なのはの母で高町桃子と言います」

 

?「礼儀のいい人だな、なのはの父で高町士郎だ。よろしく、アレルヤ君」

 

握手を交わして僕は席に座る。フェイト達が合流するまではここで待機らしい。

 

桃子「ふふふ…なのはも隅に置けないわね?こんなカッコイイ人と知り合いになってるなんて母さん、知らなかったわ〜」

 

なのは「!…こほ、こほ…、お母さん!アレルヤさんとはそんなんじゃ「無いの?」…無いの!」

 

なのははコーヒーを吹きそうになりながら桃子さんと騒いでいた。……姉妹にしか見えないな。

 

士郎「アレルヤ君!なのはに手を出したら承知しないぞ!!」

 

アレルヤ「いや、出しませんよ」

 

士郎「なんと!うちのなのはに魅力が無いと言うのかね!!」

 

アレルヤ「いえ、そういう訳では…」

 

まずい……どう言っても回避はできそうにないな。そう思っていたら桃子さんがフライパンで士郎さんの頭を思いきり叩いた。…重くて鈍い音がしたよ、今。

 

桃子「ごめんなさいね?うちの士郎さんが迷惑かけちゃって」

 

アレルヤ「い、いえ…大丈夫です」

 

ニコリと笑って士郎さんを店の奥に引きずっていく桃子さん。

 

ハレルヤ(…大人しそうな顔してやる事はえげつないな、おい)

 

アレルヤ(なのはもいつかあんな感じになるのかな…)

 

ちらっとなのはを見る。なのはも僕を見ていたのか見事に視線があった。

 

なのは「にゃはは…」

 

アレルヤ「ははは…」

 

その笑顔は桃子さんにそっくりだった。

 

フェイトが迎えに来るまで桃子さんは後から来たなのはのお姉さん、美由紀さんと一緒になのはをからかっていたら、店の扉のベルが誰かの来訪を告げた。見ると20代くらいの男性がそこにいた………士郎さんに似てるな……

 

?「ただいま…何だか賑やかだな?」

 

美由紀「あ、恭ちゃん!お帰り〜!」

 

桃子「お帰りなさい、恭也」

 

なのは「お帰りなさい、お兄ちゃん。久しぶりだね」

 

恭也「ただいま、みんな。なのはも久しぶりだな。元気にしているか?」

 

お兄ちゃん…なるほど、なのはのお兄さんか。士郎さんに似ている訳だ。

 

恭也「そちらの人達は……なのはの関係者かな」

 

なのは「そうだよ。オレンジの髪でツインテールの子がティアナ、青い髪の短めの子がスバル。二人は私の教え子で同じチームのメンバーなんだよ」

 

スバル「はじめまして!スバル・ナカジマと言います!」

 

ティアナ「ティアナ・ランスターです!」

 

二人は席から立ち上がってお辞儀をする。

 

なのは「それでこっちの二人は女の子の方はリインちゃん、男性の方はアレルヤ・ハプティズムさんだよ」

 

リイン「はじめまして!リインと申しますぅ」

 

アレルヤ「アレルヤです、よろしく」

 

僕は手を差し出して恭也さんと握手をする。握った時の手の感じ……

 

ハレルヤ(……コイツ、俺達と似たくちの奴か)

 

アレルヤ(何かしらの武術をやってるのかもしれないね)

 

 

 

恭也Side

 

 

 

恭也(アレルヤさん、か)

 

握手をした際に気付いた。彼に隙が見当たらない事に。なのはと同じ仕事をしているからか……それとも別の何かだろうか……

 

恭也(少し試してみるか)

 

彼への興味から、俺は服のポケットからボールペンを出すとみんなに気付かれないようにボールペンをアレルヤさんの頭上に投げ飛ばした。落ちてくるボールペン。なんの反応もしないアレルヤさん…

 

恭也(……俺の勘違いか)

 

そう思った瞬間、彼は頭から数センチのところでボールペンをキャッチした。その動作も無駄が無く、ただ右手を上げただけだ。

 

ハレルヤ「おいおい…俺でなかったら気付かなかったぜ?これは喧嘩を売られたってことでいいのか?」

 

彼はペンを俺に向けて笑いながら睨んできた。

アレルヤさんの口調が変わった………これが彼の本性なのか?母さんと美由紀も驚いている。

 

恭也「何故、俺だと?」

 

自画自賛になってしまうがあの一投は誰にも気付かれなかった筈だ。

 

ハレルヤ「ああ?んなの分かるに決まってんだろうが。テメェからは俺とアレルヤ、………特に俺に近い感じがしたからなぁ…」

 

ん?今、彼は変な事を言ったな。

 

恭也「アレルヤは貴方だろう?」

 

ハレルヤ「違ぇな、俺の名前はハレルヤだ。俗に言うとアレルヤは二重人格なんだよ。今回、俺が出なかったのは面倒臭いから出てなかったし、紹介もしなかった…が、気分が変わった。恭也…だったな、お前」

 

恭也「ああ、そうだが」

 

彼は立ち上がって俺を見下ろす。座っていたから解らなかったが彼は俺より背が高かった。

 

ハレルヤ「とっとと用件を言え。どうせテメェの事だ……、アレルヤから感じたんだろ?隙がねぇ、とな……俺とアレルヤもテメェに同じ感じを受けたしなぁ」

 

鋭いな……ならば、折角の機会だ。言わせてもらうとするか。

 

恭也「…ひとつ、俺と勝負をしてほしい」

 

なのは「ちょ!?お兄ちゃん!?」

 

周りがざわつくなかで彼は俺から目を離さない。その目は獰猛な獣のような目をしていた。

 

ハレルヤ「ハッ……いいぜぇ。最近はあまり面白い事がなかったからなぁ……。ああ、あと先に言っとくが俺の戦い方はえげつねぇぞ?」

 

恭也「面白そうだ。どうせ勝負をするならそれぐらいでないとね」

 

そして俺達は道場へと向かった。

 

 

 

アレルヤ・ハレルヤSide

 

 

 

アレルヤ「ハァ……なんでこんな事に…」

 

ハレルヤ「ぐだぐだ言ってんなよ、アレルヤ」

 

目の前に立っているのは短めの木刀を構えた恭也さん。僕たちはキュリオスのシールドと普通の木刀を持っていた。

 

アレルヤ「しかし、いいのですか?僕がシールドを使っても」

 

恭也「構わないよ、ただし本気で来てくれ」

 

そう言い終わると彼は構えた。…………本気で、ね………

 

アレルヤ「行くよ、ハレルヤ」

ハレルヤ「ああ……行こうぜ、アレルヤ」

 

僕たちもシールドを前にして構える。いつも、アリオスで戦うような感じで…よし、いこう。

 

士郎「…では、始め!」

 

始まりの合図と同時に跳び出した恭也は一気に俺の急所を狙ってくる。

 

ハレルヤ「っ……やりやがる!」

 

恭也の首を狙った初撃を一歩下がって紙一重でかわすとすぐに連続の剣撃を繰り出す恭也。

 

シールドと逆手に持ち替えた木刀、そして俺の反射神経で迫り来る剣撃を受け、かわし、流し、を繰り返す。

一分程そのやり取りをしていると恭也が突然、俺から離れた。

 

ハレルヤ「どうした?もう終わりか?」

 

恭也は黙ってこちらを見ている。ハッ!誘ってんのか、俺様を……

 

ハレルヤ「そうかよ…そんなら次は俺からだ!」

 

俺は木刀を普通に持ち替えると恭也に向けて上下左右から木刀のみで攻撃する。だが恭也はものともせずに剣を受けては隙をつこうとしてくる…!

 

アレルヤ(シールドの機能はまだ見せない、必ず勝機がくる。それまでは…ハレルヤ!)

 

ハレルヤ「チッ…そら!!」

 

恭也「つ…!やるね…!!」

 

ハレルヤ「ハ!軽々とガードしといてよく言うぜ、恭也ぁ!!」

 

不意打ちに足で腹に蹴りを入れてやろうとしたが木刀二本を交差させて見事にガードされた。

 

アレルヤ(く…隙が見えない!)ハレルヤ(チッ!一回さがるぞ)

 

ある程度の攻撃を繰り出し、今度は俺から後ろに下がる。

 

恭也「……もう少し勝負をしていたいが、時間もない、一息に決めようか」

 

ハレルヤ「そうだな、決着といこうぜ」

 

向き合い、構える。一瞬の隙も見せずに、相手の動きを見る。

次の瞬間、俺の視界から恭也が消えた。

 

アレルヤ(ハレルヤ!)ハレルヤ「横ぉ!!」

 

俺は右から来た違和感に対して体を捻り、左腕を突き出しながらシールドの先端を開き、何かを挟む。思考も核心もない、ただ今回だけは直感と俺の反射能力で体を動かし、木刀を振り下ろす。

 

士郎「勝負あり!!」

 

俺が掴んだのは恭也の右腕、そして俺の木刀は恭也の頭上で止まっていた。

 

恭也「…僕の負け、か」

 

ハレルヤ「ああ、……だがテメェには驚かされたぜ、恭也。俺だけでも、アレルヤだけでも今のは防ぐ事は出来ねぇ一撃だった」

 

クローを開いて掴んでいた腕を離す。

 

恭也「そうか………、ひさびさに本気になれたよ。ありがとう、ハレルヤ、アレルヤ」

 

アレルヤ「いや、僕も貴重な経験が出来たよ。ありがとう、恭也」

 

ハレルヤ「今日はこんなんで終わりだが………今度は外で全力でやりたいもんだな」

 

恭也「はは…そうだね」

 

今回は互いに完全に全力ではなく8割ぐらいしか力を出してない。

様子見がいいとこか…、そんな事を考えていると見学していた全員と士郎のおっさんが近づいてきた。

 

士郎「なかなかだったよ、ハレルヤ君。なのはもいい人を見つけたものだ」

 

なのは「も〜〜〜!だから違うってば!」

 

みんなが騒ぐ中、フェイト達、ライトニング分隊が到着し、僕たちは車で待機場所になっているコテージへと帰る事になった……………が、

 

アレルヤ「そんな事だろうと思ったけどね…」

 

車は定員オーバーで僕はアリオスになって飛んで帰る事になった。

 

ティアナ「………」

 

ティアナがじっ……と僕を見ている事に気付いた。何か用事があるのかな?

 

アレルヤ「ティアナ、どうかしたのかい?」

 

ティアナ「!、い、いえ!なんでもありません!」

 

ティアナはそう言うとみんなと一緒に車に乗ってしまった。

 

アレルヤ「何だったのかな……」

 

そう思いながら僕は飛翔してコテージへと帰った。

 

 

 

ティアナSide

 

 

 

車の中で私は誰とも話さず、窓の外を眺めていた。

 

ティアナ「…………」

 

時間は夕方、私は海に沈んでいく太陽を見ていた。

 

ティアナ(アレルヤさんは自分を民間協力者だと言っていたけど…あの動きは一般人が出来るような動きじゃなかった)

 

私やスバルには見えなかった恭也さんの動き。だけど、アレルヤさんはそれに対して反応し、勝ってしまった。

 

ティアナ(あれも才能?、だとするなら……やっぱり、私は……)

 

私だけが、凡人なのだろうか・・?

 

 

 

アレルヤSide

 

 

 

僕が空から、フェイト達が車でコテージに帰ってくると何処からかいい匂いがしてきた。

 

はやて「あ、お帰り〜」

 

ティアナ「八神部隊長!?」

 

スバル「部隊長が料理を?」

 

キャロ「そんな、私たちがやりますよ!」

 

はやて「いやいや、座っててええよ。料理はうちの得意なスキルやし」

 

いい匂いの正体ははやての料理か。…あの時食べたはやての料理、美味しかったな。

 

アレルヤ「料理上手な女の子は家庭的でいいよね」

 

その場にいた全員が僕の方を驚きの表情で向く。あれ?ぼく、いま何か変な事言ったか?

 

ハレルヤ(お前、なんかこっちの世界に染まってきてんぞ。アレルヤ)

 

アレルヤ(そうかな?)

 

はやて「なるほどな〜、それならうちをお嫁さんにしたら毎日美味しいみそ汁が食べれるで〜?」

 

アレルヤ「はは、考えとくよ。さて…僕も手伝うよ、はやて」

 

はやては冗談を言いながらも手を休めずに料理していた。

 

はやて「え?座っててもいいのに」

 

アレルヤ「はやては旦那さんには料理はさせない人なのかな?」

 

はやて「だだだだ、旦那さん!?」

 

そう言った瞬間、はやての顔は真っ赤になった。でも手が動いてる辺りはさすがとしか言えない。

 

アレルヤ「僕はこっちを作るよ」

 

はやて「う、うん///」

 

はやての横で野菜を炒めていて思い出す。4年前、戦争根絶を掲げて少したった頃だったかな……、マイスター4人で隠れ家近くの浜辺で料理をした。いや、あの時はロックオンが刹那の散髪をしていて、僕とティエリアで料理を作ったな…。

 

アレルヤ「懐かしいな…」

 

はやて「?、何が懐かしいんや?」

 

アレルヤ「昔ね、仲間とこうやって料理をした事があったんだ。あの時はロックオンが刹那の散髪をしていて…僕とティエリアで料理したんだけどね」

 

はやて「…………大切な仲間なんやね」

 

アレルヤ「ああ……大切な仲間だよ。でも…何人かは、守りきれなかった」

 

みんなが賑やかに話す中、はやてにしか聞こえないように話す。

 

はやて「……アレルヤ……」

 

アレルヤ「はやて、君は守り抜くんだ。大切な………仲間を、友達をね」

 

はやての方を見ると彼女は僕を見上げていた。とても真剣な瞳で。

 

アレルヤ「………はやて、手を動かさないと焦げるよ?」

 

はやて「へ?うわ!?あぶない、あぶない!」

 

急いで手を動かすはやて。幸いにも焦げてはないようだ。

 

アレルヤ「よかったらみんなと話しておいでよ。こっちは僕がやっておくよ」

 

はやて「でも、「いいから」…しゃあないな。じゃあ、頼むな〜」

 

みんなのもとへ行くはやて。ああやって見ると普通に女の子だ。

 

アレルヤ(危うく口が滑りそうになったな。気をつけないと…)

 

?「お手伝いしましょうか?」

 

後ろから声をかけられて手を動かしながら後ろを見ると濃い紫色の髪の長い女の子が立っていた。

 

アレルヤ「え……と、月村さん、でよかったかな?」

 

すずか「はい、月村すずかです。よければお手伝いしますよ?」

 

確か……今回の任務での現地民間協力者で、なのは達の幼なじみだったかな。おとなしそうな、穏やかな女の子だ。

 

アレルヤ「いいのかい?みんなと話していてもいいんだよ?」

 

すずか「ハプティズムさんだけにやらせている訳にもいきませんよ」

 

そう言って彼女は僕の横に立つとはやてのやっていた仕事を引き継ぐ。

 

アレルヤ「へぇ・・なかなか手際がいいね」

 

すずか「私も女の子ですから……いつか愛する人に美味しい手料理を食べてもらいたいですし…」

 

すごく女の子らしい目標だ。

 

アレルヤ「はやて達とは違った感じの女の子だね。君は」

 

すずか「そうですか?」

 

アレルヤ「うん、はやて達は仕事が恋人みたいな感じあるから…なのは達の仕事は知ってるんだよね?」

 

すずか「はい…危険なお仕事をしてますよね、時空管理局で………。たまに来るメールで仕事の事を少し聞いたりするんですけど…」

 

彼女は少し俯いて表情を暗くする。まずいな……空気が重い。

 

アレルヤ「心配かい?はやて達の事が」

 

コクリと彼女は頷く。料理が出来上がり、お皿に盛りつけていく。

 

アレルヤ「…大丈夫さ。彼女達なら」

 

すずか「……どうして、言い切れるんですか?なのはちゃんは以前、大怪我をした事もあります。その事を聞いた時は本当に怖かった。大切な友達が死んでしまうかもしれない…怖くて眠れない日もありました………それを考えると私は……!」

 

彼女を見ると顔を俯かせて、小さく震えていた。……本当に怖いのだろう、友達を、はやて達を失ってしまう事が。

 

アレルヤ「……帰れる場所、生きる目的、存在する意味、大切な人、このどれか一つでも持っている人は、それがその人の命を繋げる………と僕は思うんだ」

 

すずか「……?」

 

彼女は顔を上げて僕を見上げる。涙は止まったがその瞳はまだ潤んでいた。

 

アレルヤ「えっと、つまり……なのは達は帰れる場所があり、大切な友達や家族もいる、生きる目的もしっかりある。…存在する意味は自分でしか見つけられないけど……命を繋げるための要素が三つ揃ってる。だから大丈夫、て言ったんだ。……それに」

 

すずか「…それに?」

 

アレルヤ「彼女達には互いに支え合い、助け合い、高め合える仲間がいる、友達がいる」

 

月村さんはじっ…と僕を見たまま話を聞いていた。

 

アレルヤ「助け合える人達はなのは達に関係ある人達………つまり友達、仲間、知り合いといった人達、高め合える人はフェイトやはやて、シグナムやヴィータ達。支え合える人は君やバニングスさんや自分達の家族」

 

すずか「私達が……無力な私が……なのはちゃん達と支え合える?」

 

アレルヤ「そうだよ。君達がいるからなのは達が頑張れる。なのは達が無事だから君は安心できる。なのは達が戦って平和な世界に帰る時、君達が居なければなのは達は戦う意味も意思も失って戦えなくなる。……だから君達はなのは達に微笑んであげるといいよ、それがなのは達の生きる意味になって、君達が安心できるようになる方法だと………僕は思うよ」

 

月村さんの頭を軽く撫でてあげる。さらさらとした髪だ。

 

すずか「………ありがとうございます。何だか安心しました」

 

月村さんは改めて顔をあげた。不安がなくなったのか、彼女は微笑んでいた。

 

アレルヤ「それはよかった……。それじゃあ料理を運ぼうか」

 

出来上がった料理をみんなのいるテーブルに運ぼうとすると……。

 

すずか「あの、ハプティズムさん」

 

月村さんに止められた。彼女の方を見ると少し顔が赤かった。

 

アレルヤ「どうかしたのかい?」

 

すずか「あの………その、よ、よろしければなんですけど……アレルヤさんと呼んでもいいですか?///」

 

アレルヤ「…さん付けはいらない、呼び捨てでいいよ。それなら僕もすずか、と呼んでもいいかな?」

 

すずか「は、はい!もちろんです!ア、アレルヤ///」

 

互いに握手を交わす僕たち。その光景を見ている人がいるとは思わずに。

 

フェイト(……すずかの反応…もしかして)

 

はやて(……しもうた。とんだ伏兵がいるとは!)

 

なのは(すずかちゃんも隅に置けないなぁ)

 

と考えていた。

 

すずかと僕が料理を運んで来ると新たに3人程、人が増えていた。

一人はさっき会った美由紀さんだが後の二人は知らない人だ。テーブルに料理を置くとフェイトが話しかけてきた。

 

フェイト「ご苦労さま、アレルヤ」

 

?「へぇ〜、君がアレルヤ君なんだ」

 

フェイトと一緒にやって来た二人、名前はエイミィさんとフェイトの使い魔、アルフと言うらしい。

 

アレルヤ「はじめまして、アレルヤ・ハプティズムです」

 

軽くお互いに自己紹介をするとエイミィさんがニヤニヤしてこちらを見ていた。

 

アレルヤ「あの、何か?」

 

エイミィ「ん?いやね、はやてちゃん達もやっと春が来たんだなぁ、と思ってたんだよ」

 

その瞬間、後ろの方で何人か咳込む音がした。

 

アレルヤ「春…ですか?」

 

エイミィ「そうそう、あ、今言った事はアレルヤ君は気にしなくていいよ」

 

そう言うとエイミィさんはみんなの輪の中に入っていった。僕は訳がわからなかったけど、とりあえず食事を再開した。

 

夕食も終わり、みんなで町の公共浴場に行くことになった。僕は車の窓からぼんやりと外を眺めていた。

 

?「ねえ、アレルヤ。あんたのあの姿、あれが俗に言うバリアジャケットなの?」

 

隣の席から話しかけてきたのはアリサ・バニングスさん、すずかと同じ、民間協力者だ。

 

アレルヤ「そうだけど…、それがどうかしたのかい?」

 

アリサ「ん〜、特に何もないけど…カッコイイな、と思ってたんだよね」

 

すずかが大人しい感じの女性ならアリサは活発な感じの女性だ。

 

アレルヤ「カッコイイか。よかったね、アリオス」

 

アリオス<恐縮です、ミス・アリサ>

 

アリサ「へ〜、これがアレルヤのデバイスなんだ」

 

アリオスを懐から出してアリサに渡すと彼女はまじまじとアリオスを眺めていた。

 

アリサ「そういえばさ、アリオスのあのキラキラ光る雪みたいなモノは何なの?」

 

アレルヤ「GN粒子の事かい?」

 

アリサ「それかな?あの緑色の光の事なんだけど」

 

アリサの質問に僕に分かっていて機密事項に触れないくらいで答える。

 

アリサ「ふ〜ん、とりあえずは凄い技術なんだ」

 

アレルヤ「そうだね。詳しく話せないのが残念だけど…」

 

アリサ「気にしないでよ。込み入った事情なら仕方ないじゃない」

 

アリサは笑ってアリオスを僕に返してくれた。アリオスを懐にしまうのと同時に車が止まった。

 

アリサ「着いたみたいね。さ、下りましょ」

 

車から降りて公共浴場、スーパー銭湯に入る。すると先に降りていたエリオ、キャロが入り口で何やら揉めていた。

 

エリオ「いや、その、僕は…」

 

キャロ「エリオ君もこっちにおいでよ!」

 

どうやら男湯の方にエリオは行きたいみたいだけどキャロが女湯に連れて行こうとしているらしい。

 

アレルヤ(…エリオも羞恥心があるんだろうし…助けてあげるかな…)

 

キャロには悪いけれど、僕も男だからエリオの気持ちが分からなくもないしね。僕はエリオの後ろに行くと彼をひょいと持ち上げた。

 

エリオ「ア、アレルヤさん!?」

 

アレルヤ「エリオ、悪いけど背中を流してくれないかな?」

 

エリオ「!、はい!分かりました!」

 

エリオは僕の意図を察したのかすぐに頷いた。前から思っていたけどエリオはなかなか頭の回転が速い子だと思う。

 

キャロ「え〜〜〜……」

 

アレルヤ「ごめんね、キャロ。エリオを借りていくよ」

 

エリオ「それじゃ、楽しんで来てね!」

 

僕が降ろすとそそくさとエリオは男湯に走って行った。

 

シグナム「フム…助けてやったのか?」

 

アレルヤ「まぁ…同じ男として、見てみぬ振りは出来なかったよ」

 

後ろからシグナムに声をかけられて振り返るとシグナムの隣にいたフェイトが恨めしそうに僕を見ていた。

 

フェイト「む〜…せっかくの水入らずだと思ったのに…」

 

ハレルヤ「だったら俺と一緒に入るか?フェイト」

 

アレルヤ(……もう何も言わないよ)

 

最近、ハレルヤは事あるごとにフェイトをからかっている。そのたびに入れ代わるので最近の六課では顔を真っ赤にして走ってるフェイトとハレルヤの笑い声がしょっちゅう聞こえる始末だ。

 

フェイト「な!!だ、誰がハレルヤとなんて!」

 

ハレルヤ「おいおい、照れんなよ。俺達の仲だろ?」

 

ハレルヤはそう言ってフェイトのおでこに軽くデコピンをするとそのまま男湯へとのれんをくぐった。

 

アレルヤ「ハレルヤ、毎回の事だけど……フェイトをからかうのはあまりしない方がいいんじゃ…」

 

ハレルヤ「ハッ!分かってねぇなぁ、アレルヤ。ああいった女はアタックをかまし続けたらコロリと堕ちるんだよ」

 

アレルヤ「でも…「気にすんな、アレルヤ。俺は俺の好きな事をする、お前はお前の好きな事をやればいいんだよ!」……はぁ、分かったよ、ハレルヤ」

 

僕は服を脱ぐと風呂へと続く扉を開けた。

 

 

 

なのはSide

 

 

 

あれから私達の間…主にすずかちゃん、アリサちゃんがフェイトちゃんに質問責めをしていた。

 

すずか「フェイトちゃんはアレルヤとどういうご関係なの?」

 

アリサ「秘密にしてないで白状なさいよ!」

 

フェイト「だから、ほんとに何もないんだけど…」

 

湯舟に浸かってのんびりする私達。するとキャロがどこかへ移動し始めた。

 

ティアナ「あら、どこに行くの?キャロ」

 

キャロ「はい。あっちの露天風呂ならエリオ君の所に行けるので行ってみようと思って…」

 

スバル「露天風呂?」

 

ああ…、スバル達ミッドの方の出身の人には縁がないよね。

 

はやて「露天風呂、て言うのはな、外にお風呂があって景色のええ場所なんよ。お客さんもうちらだけみたいやし……行ってみよか」

 

私は見逃さなかった。その提案をしたはやてちゃんの顔がニヤリと嫌な笑顔をした事を。

 

なのは(………?)

 

女性陣全員で露天風呂に移動する。みんなはタオルで前を隠す程度だが私は不安に駆られて一応、身体にタオルを巻いておいた。

 

はやて「みんな、静かに入るんやで」

 

扉を静か開けて私達は露天風呂の扉をくぐる。そこからの景色はいいものだった。

 

シグナム「ふむ……風流だな…」

 

シャマル「そうね、いい景色だわ」

 

ヴィータ「…イマイチわかんねぇな、風流とかそんなのはさ…」

 

軽く身体を洗って、ざぶざぶとみんなは露天風呂に入っていく。

 

はやて「くふふふ……お〜るかなぁ〜…」

 

はやてちゃんがお風呂の中を通って柵の反対側へ行く。…お風呂の途中までしかない柵、隣と繋がったお風呂……もしかして…この作りは…

 

なのは「ここって……混浴?」

 

はやて「ア〜レ〜ルヤ〜!!!」

 

アレルヤ「うわああ!!!」

 

あ、遅かったか…。

 

アリサ「アレルヤ!?此処って混浴!?」

 

はやて「そんなに逃げんでもええやんか〜。一緒に入ろ?」

 

アレルヤ「ちょ!?待って!なんではやてがここに!?」

 

はやて「だってここ、混浴やで?男も女も一緒に入るお風呂なんやし、うちがおっても不思議じゃないよ?」

 

アレルヤ「そんな、だったらみんな反対側にいるんじゃ!?」

 

はやて「せや、だからみんなと一緒にアレルヤと裸の付き合いをしようかと思うてな」

 

アレルヤ「ま、ちょ!はやて!抱き着かないで!!」

 

柵の向こうから聞こえてくる会話に私達は全員、顔が真っ赤になった。

 

シグナム「主!?///」

 

フェイト「な!?はやて!!何をしてるの!!///」

 

さすがにやり過ぎじゃないかな?でも私達はタオル一枚で行くに行けない状態だし…

 

はやて「くふふ〜、アレルヤの背中はたくましいなぁ。なんとゆうか…男の背中や」

 

アレルヤ「そ、そうかな…」

 

あれ?何だか…空気が…

 

はやて「そうや。男の背中……何や安心するなぁ…」

 

アレルヤ「は、はやて?」

 

シン……と静かになる露天風呂。

 

なのは「あ、あの〜アレルヤさん?はやてちゃんは……」

 

アレルヤ「僕にしがみついて寝てる…」

 

シグナム「し、しがみついてか…///」

 

シャマル「ど〜しましょ〜//」

 

ニヤニヤと笑うシャマルさんとエイミィさん。その後、男湯にいたエリオが騒ぎに気付いて厚めのタオルを持って来てくれたのでそれをはやてちゃんにかけることにした。

 

アレルヤ「それじゃ、みんな。一度お風呂から出ていてくれるかい?はやてをそちらに運ぶよ」

 

すずか「分かりました。よろしくお願いしますね」

 

そして私達は一度、露天風呂から出て扉を閉じる。扉は磨りガラスのスライド式であちらの様子が少しだけどわかるようになっていた。

 

アリサ「あ、きたきた」

 

エイミィ「しっかし…はやてちゃんもヤルねぇ〜!お姉さん、ビックリしちゃったよ」

 

アルフ「……フェイト、どうかしたの?何だか顔が真っ赤だし、複雑な表情してるよ?」

 

フェイト「ん?な、何でもないよ、アルフ//」

 

スバル「男の人の裸なんて小さい頃にお父さんのを見たくらいしかないな〜」

 

ティアナ「私も似たようなモンね」

 

ヴィータ「…アレルヤは男湯に戻ったみたいだな。はやてを回収したらとっととあがるぞ」

 

そうして寝ていたはやてちゃんを起こした後、やっとお風呂を出た私達は先に出ていたアレルヤの顔がまともに見れなかったのは言うまでもない。

 

 

 

アレルヤSide

 

 

 

銭湯からコテージに帰ってきた後、サーチャーがロストロギアの反応を感知。回収しに現場に向かった僕らが見たものは大量のスライムみたいな物体だった。

 

ティアナ「魔力弾が効かない!?」

 

スバル「こいつ、すばしっこいよ!」

 

攻撃の通らない相手にフォワードの4人は悪戦苦闘していた。

 

なのは「みんな、いまシャマルさんとリィンでスライムの本体を探してる。だからみんなはこれ以上スライムが広がらないようにその場で抑えて!」

 

全員「「「「「「了解!!」」」」」」

 

全員で事にあたっていると突然、スライムの分裂速度が上がってきた。

 

シグナム「ク…!数が急激に増えただと…!」

 

ヴィータ「ヤベェ…!抑え切れねぇぞ!」

 

フェイト「はやて!このままじゃ押し切られるよ!」

 

ティアナ「やば…!カートリッジの残りが…!」

 

攻撃をしてこないだけマシなんだけど…抑えるには数が多すぎる!

 

アレルヤ「こちらアレルヤ。はやて、聞こえるかい?」

 

はやて「聞こえとるよ。どうしたんや?」

 

近寄ってくるスライムを両手のビームライフルを撃って弾き飛ばす。

 

アレルヤ「北側は僕だけで何とかする。フォワードの4人を分散させて君達の援護をさせるんだ」

 

なのは「そんな、アレルヤは大丈夫なの!?」

 

アレルヤ「大丈夫、僕だけでも時間稼ぎくらいなら出来るよ」

 

はやて「しゃあない、今はそれで行くしかないか…!キャロは本体の捜索、エリオはシグナム、ヴィータ副隊長、スバルはなのは隊長、ティアナはフェイト隊長の援護!すぐに行動開始!」

 

フォワード「「「「了解!」」」」

 

アレルヤ「さあ、いこうか……アリオス!」

 

アリオス<了解しました。サブガトリングガン、ツインビームライフル、展開。GN粒子の調整開始………調整完了。マイスター、準備完了です>

 

アレルヤ「了解、アレルヤ・ハプティズム、アリオス、目標を足止めする!」

 

両腕のサブガトリングガンと両手のツインビームライフルを連射する。ビームに当たったスライムが次々と弾き飛ばされ一定のラインから出ることが無くなった。

 

アレルヤ「く………これでも状況はきつい!はやて!」

 

はやて「シャマル、状況は!?」

 

シャマル「もう少し………見つけた!捕獲します!」

 

本体を捕獲した瞬間あれだけの数のスライムが一斉に消えた。

 

なのは「……レイジングハート、周囲の状況は?」

 

レイジングハート<周囲に敵影無し。ミッション成功です、マスター>

 

はやて「みんな!お疲れさん!任務成功や!」

 

はやての声でこの任務は終了した。

 

コテージに一泊してミッドチルダに帰る際、すずかからクッキーを貰った。

 

すずか「帰りにでも食べて下さい。またこちらに来る機会があれば、ぜひ私の家に遊びに来て下さいね///」

 

アレルヤ「了解したよ、すずか。クッキーはおいしく戴くよ」

 

僕の後ろからすさまじい気配を感じるけど……気にしない事にした。

 

ハレルヤ(おやおや…モテる男は辛いねぇ、アレルヤ)

 

ハレルヤの言葉を聞き流して帰路につく。そして六課へと帰って来た時にティアナが何か浮かない表情をしているのに気付いた。

 

アレルヤ「ティアナ、どうかしたのかい?浮かない表情をしてるけど……」

 

ティアナ「……いえ、何でもありません」

 

もっとやらなくちゃ……そんな一言を残してティアナは隊舎へと帰って行った。

 

アレルヤ「……?」

 

今回の任務は遠出だったし…疲れたのかもしれないな。

僕はそう思って彼女には何も言わずに自分の部屋に帰った。

 




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