魔法戦記リリカル00 ~世界を越えた超兵の話~(改定前) 作:かねごんマークII
アレルヤside
ホテル・アグスタの任務が終わって数日、はやて、ロングアーチ陣、スターズとライトニングの隊長と副隊長陣、そしてフォワードの4人に今回の敵について説明するために会議室に集まってもらった。(ロングアーチ陣は指揮室で通信を繋げて聞く事になった)
はやて「さてと、みんな揃ったようやし…。説明をよろしくな、アレルヤ」
アレルヤ「了解…アリオス。頼むよ」
アリオス<了解しました。マイスター>
はやてに促されて僕は席から立ち上がりアリオスに頼んでモニターを展開する。
モニターはちょうどスローネツヴァイが空から降りてきたところだ。
アレルヤ「僕が撃破したこのガンダム、名前はガンダムスローネ・ツヴァイ。バスターソードとファングを使用する近接戦闘を主眼としたガンダムだ」
映像を何枚か追加していく。中には僕の世界での戦闘シーンもある。
アレルヤ「特にこのファングという武装はかなり脅威だ。早さと機動力もそうだけど射撃と刺突を使い分けてくるんだ」
映像の1つを拡大する。それにはスローネに挑み、ファングに突き刺されたカスタム・フラッグが写っていた。
スバル「酷い……」
なのは「この映像…、もしかしてアレルヤさんの世界の映像?」
みんなが僕を驚きの表情で見る。今まで僕は自分の過去を最低限にしか喋らなかったからだ。
アレルヤ「なのはの言う通り、この映像は僕の世界の映像だ」
スローネが離れると同時にフラッグは爆散した。
フェイト「……あの機体に人は乗っていたの?」
アレルヤ「乗ってるよ。あのロボット、モビルスーツは人が動かさないと動かない」
みんな沈んだ表情をしていた。モニターの場面が変わり次はアグスタでの僕とスローネの戦闘が写っていた。
アレルヤ「僕は最初、スローネと戦った時に何故ファングを使わないのか気になったんだ。様子見をされてるのかもしれないとも思った」
モニターの中でスローネの動きがいきなりぎこちなくなって墜落した。
アレルヤ「でもそうじゃなかった。スローネは使わないんじゃなくて、使わないようにしてたんだ。…………自分の意思で」
シグナム「待て。自分の意思ということは、このスローネは自立行動をしているのか?それに私と戦った時は遠慮なくファングを使ってきたし、私の首を切り落とそうともした」
シグナムがモニターを新たに展開する。場面はシグナムに対してスローネがファングを使用したところだ。
アレルヤ「そう、スローネはシグナムの時は殺そうとしてるが僕の時は動きが鈍かった。違いがわかる人はいるかな?」
みんなが映像を比較しているとエリオが手を挙げた。
エリオ「もしかして、頭部の破損……ですか?」
アレルヤ「そう、エリオの答え通り、僕も戦っている最中に気付いたんだけどスローネはエリオの投げたストラーダの一撃を頭に受けて吹っ飛んでいる。この時のダメージでスローネが自分の意思を取り戻し、僕との戦闘でファングを使わないという奇妙な行動をしたんだ」
映像は僕がスローネの傍に降りたところだ。僕は映像をとめた。
ヴィータ「?、どうかしたのか?顔色が悪いぞ」
………覚悟を決めなきゃね………
アレルヤ「今から流れる映像は君達は嫌悪感を抱くだろうし、そしてこれから話す内容は信じがたいだろう……けど、みんな覚悟して聞いてくれないか」
みんなの表情が真剣になった。さて……話そうかな。
アレルヤ「このスローネは以前にも現れた機体、ジンクスの元になった機体なんだ。でもリニアレールで現れたジンクスと明らかに違う箇所があったんだ」
はやて「スローネとジンクスの違い?2機ともただのロボットと違うんか?」
アレルヤ「リニアレールで戦ったジンクスの方はただのロボットだよ、違うのはスローネなんだ。………話を少し戻すけどスローネの戦闘は頭部の破損が原因なのは解るよね?」
みんな不思議そうモニターを眺めている。違いを探してるんだろうね。
ザフィーラ「回りくどいな言い方だな……、はっきり言ったらどうなのだ」
はっきりか……。そうだね、ザフィーラの言う通り、回りくどい事を言ってもいつかは分かる事なんだ。
アレルヤ「分かった。はっきり言うよ。このスローネの頭部にはね、人間の脳が使われていたんだ」
映像は僕がスローネの頭にビームライフルを突き付けていた場面だ。今の言葉を聞いてみんな、かなり驚いていた。
シャマル「待って下さい。仮にそうだとしても、なんでアレルヤ君はスローネの頭に人間の脳が使われているのが分かったの?」
シャマルの意見はもっともだ。何故、僕はスローネに人間の脳が使われているのが分かったのか。みんなの視線が集まる。
アレルヤ「……僕のいた世界ではね、こちらの世界でいうスカリエッティのような事を秘密裏に行っていた国があったんだ。人を改造して最強の兵士を造る。僕は……その研究の成果の一つなんだよ」
みんながさらに驚いてる。当たり前か、そんな人間が傍にいたんだ。驚かない方がおかしい。
アレルヤ「その研究の副作用のせいでね、脳波の近い人だと魔法が使えなくても念話みたいな事が出来るんだ」
フェイト「だから……分かったんだね。スローネに人間の脳が使われてる、て」
僕は静かに頷いた。
アレルヤ「この映像だけじゃ分からないけどね、スローネは言っていたよ。死にたい、殺してほしい、殺してくれ、誰かを殺したくない、生きている意味がない……」
映像の中で僕はスローネの頭を吹き飛ばした。
アレルヤ「だから殺したんだ。スローネが望んだから」
なのは「そんな、救う事は出来なかったの…?」
みんな同じ意見なんだろうね。その瞳には怒りが宿ってる人もいる。
アリオス<あの場では殺すしか方法がありませんでした。スローネの脳にはチップが埋め込まれていて、それを取り除かないとスローネはまた人を殺す為に行動するか全てを巻き込んで自爆する可能性があったのです>
スバル「でも、それでも助ける事はできたと私は思います!」
アリオス<なら、あなたたちの中で脳だけ生きていて、体は機械、そしてどこの輩にそんな体にされたかも解らず、いつその機械の体が操られるか分からない、そんな恐怖に怯えながらでも生きたい人はいるんですか?>
エリオ「でも、生きたかった筈です!殺す事はなかったと思います!」
スバルやエリオの意見も分からないわけじゃない、けどそれはあの場では叶わなかった。
いつまた誰かの操り人形になってしまうか分からない。
だから自分の意思があるうちに死にたいとスローネは願ったのだから。
アレルヤ「君達が言いたい事はわかるよ、出来ることなら僕も助けてあげたかった。でもね、僕にはスローネの願いも理解出来たんだ」
フェイト「アレルヤ……」
アレルヤ「だから、もし今回のような敵が出て来たら僕が相手をするよ」
ハレルヤ「てめぇらは甘ちゃんだからな。こんな敵が来たら可哀相だから撃てません、助けましょうとか言い出しそうだしな!」
アレルヤ「ハレルヤ、そんな言い方……」
ハレルヤ「事実だろうが。現にガキどもは甘い事を吐かしてやがる。大層な理想もいいが、その前に現実を見てから行動するんだな!」
会議室が静かになった。そういえばハレルヤの事をフォワードの4人は知らなかったような……あ、でも何回か皆の前でハレルヤが出てきた事もあるからわかるかな?
ハレルヤ「武器を持つなら俺みたいに人を殺す覚悟ぐらいしとかねぇと………いつか死ぬぜ?お前ら」
なのは「そんなことない!ちゃんと話せば人は解り会える筈だよ!!」
なのはが勢いよく席から立ち上がった。
ハレルヤ「お〜お〜、気の強いことで…、戦争ならそうやって話し合っているうちにも人は死んでくんだぜ?それとも何か?お前らは武器を持ってる相手に話し合いましょうとか言って素手で向かって行くのか?」
ハレルヤの言葉になのはは悔しそうな、泣きそうな顔をする。
ハレルヤ「泣きそうな顔すんじゃね〜よ。だからわざわざ俺達が始末してやるって言ってんだからさぁ、お前らは素直に聞いときゃいいんだよ」
アレルヤ「今回ばかりは僕もハレルヤの意見に賛成なんだ。僕の世界の技術が使われてる機体が出て来た、なら僕が相手をするのが道理だと思うしね」
アリオス<ですがマイスターが対応できない状況も有り得ますので敵に関するデータを六課のみなさんにのみ、開示します。このデータは機体の名前、武装、特長のみのデータです。詳しいデータも提供できなくはないのですが情報漏洩があると困るので最低限の情報のみとさせてもらいます>
そうしてモニターに写し出された数々の機体。中にはイノベイターが使用していた機体もあった。
はやて「結構多いなぁ…ん?この機体は…スローネ・アイン?ツヴァイの兄弟機なんか?」
はやてが見ていたのはガンダムスローネ・アイン、ツヴァイとは逆に長距離砲撃を得意とした機体だ。
アレルヤ「そうだよ。アイン、ツヴァイ、そしてドライの3機は兄弟機でそれぞれが互いの欠点をカバーしあってるんだ」
そしてこの会議は敵に関する情報と僕の過去を少し話すだけで終了した。
なのはSide
会議が終わった後、私は隊長陣に残ってもらって別の話し合いをすることにした。
フェイト「なのは、話っていうのは?」
なのは「うん、実はティアナの事なんだ」
話し合いの内容はティアナが無茶をしてスバルを誤射してしまいそうになった事だ。
ヴィータ「アタシは遠目から見えたけど、アレルヤがガードしてくれたんだろ?」
なのは「…うん、アリオスからデータが送られて来たから見てみたんだけど…」
パネルを操作してモニターを出す。そこにはティアナの魔法弾をガードしたアリオスが映っていた。
シグナム「私には最近のティアナは何か焦っているように見えるが…」
はやて「やっぱティアナの過去が原因なんかな…」
新たなモニターに映るのはティアナの経歴と一枚の写真。
なのは「ティーダ・ランスター、ティアナのお兄さんで逃走中の犯罪者を捕まえようとした際に反撃にあって、傷を負いながらも犯人に手傷を負わせることは出来た、……けどティーダさんはその傷のせいで殉職、その時の上官はティーダさんの事でかなりひどいことを言ったみたいなの」
ティーダさんの最終的な経歴も表示される。彼は所謂エリートで将来的には執務官になりたかったようだ。
フェイト「ひどい事?」
なのは「うん、死んででも犯人を捕まえるべきだった、とか役立たずとかね」
シグナム「身を危険にさらして戦った者に送る言葉ではないな」
はやて「ティアナはショックやったろうな、自分の兄の死が無意味なんて言われたんやから」
みんなが静かに怒ってる。
ヴィータ「ティアナが執務官を目指してるのはその兄貴の影響か?」
なのは「うん、だから今回は無茶をしたのかもしれない。けどこんな危険な事をしていたらいつか取り返しのつかない事になっちゃう」
?「それこそ、仲間を撃ち殺しちまうような事態になるかもな」
突然の声に私は驚いて振り返るとそこには黒いシャツとズボンを着たアレルヤさんが立ってた。
はやて「盗み聞きとは趣味が悪いなぁ…ハレルヤ」
フェイト「はやて、アレルヤとハレルヤの違いが解るの?」
はやて「ん?解るよ、なんかアレルヤとハレルヤじゃ空気が違うし」
凄いね、はやてちゃん。私は全然解らないんけど。でもハレルヤは苦手だな…
ハレルヤ「んな事はどうでもいい。それより…このオレンジ頭のヤツは今のうちに戦いの厳しさを教えねぇとそのうち仲間を巻き込んで死ぬぞ」
私達は驚いた。アレルヤはアドバイスのような事を言ってくれるけど、ハレルヤは私達に現実を突き付けるだけで助言なんてしないから。
はやて「驚きやな、ハレルヤが他人の心配をするなんて…」
ハレルヤ「は!冗談、もしコイツが後ろから俺を撃ったら殺してやるよ、冗談抜きでな」
ハレルヤの冷たい瞳がティアナの写真を射抜いてる。
はやて「ところで何か用があったんとちゃうか?」
アレルヤ「それは僕とアリオスが話すよ」
瞬時にハレルヤからアレルヤへと変わる。やっぱり区別がつかないなぁ……。
アリオス<実はスローネ・ツヴァイが己の最期の瞬間に私に対してある座標を送信してきました。解析をしてみたところある次元世界のある地点を指しているのが解りました>
アレルヤ「だからそこに行くにはどうすればいいかはやてに聞きに来たんだ」
はやてちゃんはアリオスから提示された情報を見始めたので私達も見せてもらった。
はやて「これ管理世界の一つやん、しかもかなり平和な世界やし……」
フェイト「示してる場所は森になっていて詳しくは解らない…危険だよ」
アレルヤ「でも行きたいんだ。スローネが死に際にこれを残したんだ、せめてこの場所に何があるのか自分で確認したいんだ」
アレルヤはどうしても行きたいみたい。けど…
なのは「今は六課の戦力は割けないし、やっぱり危ないよ、止めた方が「なら私が行こう」…誰?」
会議室の扉が開き、入って来たのは……
カイゼル「悪いとは思ったが聞かせてもらった。私がアレルヤに付いていけばいいだろう」
はやて「カイゼル…、でも戦えるんか?それより管理局員やったんか?」
カイゼル「戦闘なら問題ない、私の腕を振るうにはいい機会だしな。この任務が終わった後にアレルヤに聞くといいだろう。管理局員かどうかは此処に居るということで察してくれ」
カイゼルさん…なんか喜んでない?
アレルヤ「でも…いいのかい?危険かも知れないよ?」
カイゼル「フ…笑止、危険は承知の上だ。幸いにも私ならすぐに転送ポートを使用出来るしな」
う〜ん…、本当に大丈夫なのかな?なんだか心配なんだけど…
はやて「分かった、許可するけど少しでも危険だと感じたらすぐに管理局に通報してな?約束してや」
アレルヤ「分かったよ、約束する」
カイゼル「なに、私とアレルヤがその気になれば敵などいないさ」
アレルヤの出発は今日は無理なので明日にして今日は準備をすることになった。
アレルヤSide
アレルヤ「ふぅ……準備はこれくらいでいいか」
2〜3日分の着替えなどを鞄に詰める。食料は現地調達で大丈夫だ、てカイゼルが言ってたし…
アレルヤ「……ティアナは大丈夫かな……」
ヴァイスに聞いたけど最近は訓練の終わった後も自主トレをやってるみたいだし…
アレルヤ「少し話をしてみようかな」
部屋から出て隊舎の外に出る。そして近くにある林の奥の方へ向かって歩みを進める。するとチカチカと明かりが見えた。その光の方へ近づいて行くとヴァイスが木に背を預けているのが見えた。
アレルヤ「やっぱり今日もやってるんだね」
ヴァイス「!、アレルヤか。ああ、一応は注意したんだけどな…やっぱアグスタでのミスショットを引いてるみたいでな、聞く耳持たずだった」
ティアナはこちらには気付いてないのか、ひたすら練習に打ち込んでいた。
ヴァイス「そういえばお前は明日からどっかの次元世界に行くんだよな」
アレルヤ「うん、3日くらいで帰って来る予定だけどね……その前にティアナと話してみようと思ってね」
ヴァイス「そうか……それじゃ頼む、俺は先に帰っとく。お疲れさん」
アレルヤ「うん、お疲れ様」
ヴァイスは手をひらひらさせながら僕の来た道を帰って行った。さて……
アレルヤ「お疲れ、ティアナ」
ティアナ「!!、………何かご用ですか、アレルヤさん」
ティアナが動きを止めて鋭い目つきで僕を睨んでくる。そんなに睨まなくてもいいのに……
アレルヤ「いや、光が見えたからね。何があるのか見に来たんだ」
ティアナ「そうですか、なら私は練習しますので……」
そう言ってまた練習を始めるティアナ。僕はその姿を眺めていた。
ティアナ「………やっぱり何かあるんですか?」
アレルヤ「そうだね……よかったら少し話さないかい?」
僕が近くの芝生に座るとティアナも僕の横に座った。しばらく無言で夜空を見上げて、そのまま僕から話を始めた。
アレルヤ「ティアナ、どうしてそこまで自分を追い込むんだい?」
ティアナ「…………私は…、私は皆みたいに強くないですから…隊長達は私にとっては雲の上の人で……、スバルやエリオ、キャロみたいな特別な才能も能力もないし……私は、凡人だから…もっと強くなりたいんです」
ティアナはゆっくりと小声で話してくれた。なるほど、彼女は周りに対して劣等感を持っていたんだね…。
アレルヤ「僕が言うのもなんだけど……ティアナはもっと自信を持ってもいいと思うよ」
ティアナが僕の方を向く。その瞳はどこか悲しそうだった。
アレルヤ「僕もここに来てからはさ、アリオスやはやて達に頼りっぱなしでね。アリオスがないと僕一人じゃ満足な戦闘も出来やしない」
ティアナの頭を撫でる。ティアナはびっくりしたみたいだけど大人しくしていた。
アレルヤ「それにティアナはティアナだ。他の誰かと比べても、他の誰かと違っても、それが当たり前なんだ。だからティアナは自分に自信を持って焦らずに強くなればいいと思う。この機動六課は鍛えるにはいい所だしね」
ティアナ「……………」
これで少しは大丈夫かな?僕は立ち上がりティアナに背を向ける。
アレルヤ「僕が言いたいのはこれくらいかな。それと、あまり訓練し過ぎていざというときに力が出なかったら大変だよ。ほどほどにしといた方がいい」
ティアナをその場に残して帰る。僕も明日は早いし、もう寝よう。
アレルヤ(あれで少しは加減をしてくれるかな)
そう願って僕は部屋に戻った。
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