魔法戦記リリカル00 ~世界を越えた超兵の話~(改定前)   作:かねごんマークII

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第19話 分かり合うために

フェイトside

 

 

はやて「……そんな事があったんか」

 

フェイト「うん……」

 

私は部隊長室で昼間のアレルヤとなのはの出来事をはやてに報告していた。

 

はやて「やっぱりうちらはハレルヤから見たら甘ちゃんなんやな…」

 

フェイト「なのはも反論出来なかったよ。だから余計に暴走したんだと思う」

 

ハレルヤが言っていた事は正論だった。なのは自身、最近は多忙の身でストレスが溜まっていたんだと思う。だから一度爆発した感情は歯止めが効かないままティアナを撃墜しようとし、結果としてそれを庇ったアレルヤを戦いの果てに撃墜してしまった。

 

はやて「ティアナを撃墜しようとした、か…アレルヤとハレルヤの忠告をしっかり聞いて、ちゃんと対応してればこんな事にはならんかったんかなぁ…」

 

フェイト「はやて…」

 

椅子にもたれて天井を見ているはやて。

ちなみになのは、アレルヤ、ティアナは疲労とダメージのせいで気を失ったので医務室にて休んでいる。

 

はやて「あ。そういえば…」

 

フェイト「どうかした?」

 

はやては急に座り直すとどこかに通信を繋ぐ。

 

シャーリー『はい、こちらデバイスルームですが、どうかしましたか?八神部隊長』

 

通信の相手はシャーリーだった。はやてはいきなりどうしたんだろう?

 

はやて「シャーリー、アリオスは今、喋れそうかな?」

 

シャーリー『アリオスですか?ダメージがひどくて今は話せるかどうかは……』

 

アリオス『…大丈夫です、ダメージがひどい外装の修復は時間が掛かりますが基本的な機能は正常に作動してますから…それで、私に何のご用ですか?八神部隊長』

 

シャーリーの横からアリオスの声が聞こえてきた。私もアリオスにダメージを与えたから後で謝らないとね…。

 

はやて「いやな、こんな時に聞くのもアレやと思うけど忘れんうちに聞いとこうと思うてな。擬似GNドライブが4機、揃ったはずやな。何に使うか教えてもらってもええかな?」

 

そういえば……以前、アリオスが擬似GNドライブを集めたい、て言ってたんだっけ。詳細は揃ったら話すとは言ってたけど……。

 

アリオス『…そうですね、数も揃いましたし…お話しましょうか。私が何故、擬似GNドライブを集めたのかを…』

 

アリオスの目的が話される、そう思った瞬間、けたたましいアラートが鳴り響いた!

 

はやて「緊急事態!アリオス、話は後で聞くわ!ロングアーチ!状況報告!」

 

フェイト「私も行くよ、はやて!」

 

私たちは部隊長室を出て駆け足で司令室に向かった。

 

 

 

アレルヤSide

 

 

 

うるさいアラートの音で僕は跳び起きた!

 

アレルヤ「緊急事態…!アリオス!」

 

急いで出撃しようとアリオスを呼ぶけど返事がない。どうして!?

 

アレルヤ「アリオスがない?それに…、なんで僕は医務室にいるんだ?」

 

立ち上がろうとしたけど頭がぼんやりして足元がふらついてしまう。そうだ…僕は…

 

アレルヤ「模擬戦で怒ったなのはに撃墜されたんだ…」

 

あの時のなのは、少し怖かったな……

だったらアリオスはデバイスルームだろうな……アリオスのダメージはかなりのモノだったし…。

 

アレルヤ「アリオスには悪い事をしてしまったな……」

 

気付くとアラートがいつの間にか止んでいた。するとごそごそとシーツが擦れる音がしたので隣のベットを見ると、そこにはティアナとなのはがベットで寝ていた。

 

アレルヤ「ティアナとなのはか…疲労で倒れたのかな?」

 

ハレルヤ(その通りだ。たく…、アレルヤ、テメェ、本気を出して無かっただろ。本気だったら俺達は負けなかった筈だぜ?)

 

アレルヤ(ハレルヤ?君の方は大丈夫なのか?)

 

医務室の洗面台の鏡に僕の…いや、ハレルヤの姿がうつる。

 

ハレルヤ「あれくらいで俺がどうにかなるかよ。だが…今回、テメェは本気を出しちゃいなかった。本気だったら超兵の俺達があれくらいで負ける筈がねぇ」

 

アレルヤ「…あれは僕なりの本気だよ、ハレルヤ。いつもと違ったのは今回の僕は相手を、なのは達を殺すつもりが無かった…それだけさ」

 

ハレルヤ「ハッ!その中途半端な優しさは相手を調子づかせるだけだぜ?アレルヤ」

 

鏡を通して会話する僕たち。端からみたら独り言を喋ってる危ないヤツにしか見えない。

 

アレルヤ「そうかもしれない、けれど僕は信じてみたいんだ。彼女達が変わってくれる事を」

 

ハレルヤ「変わるねぇ……そんなに簡単に人が変わると思ってんのか?そんなに簡単に変わるんなら俺達みたいな存在は生まれなかった筈だぜ?」

 

アレルヤ「この世界は僕たちの世界とは違う」

 

ハレルヤ「違わねぇよ、現にスローネを見ただろうが。あいつの元を作ったのは俺等の世界の人間だが、この世界のスローネを作ったのはこの世界の人間だ。アレルヤ、お前が変わってくれると信じてるヤツらだ」

 

アレルヤ「彼女達は違う!!」

 

ハレルヤ「違わねぇなあ!現になのはは俺達が前もって忠告をしておいてやったのにもかかわらず、無視して、オレンジ女を放置して、挙げ句の果てには撃とうとしたろうが!人は結局、どこの世界でも!どんな世界でも!戦いを起こして!殺し合い!奪う事しか出来ないヤツなんだよ!アレルヤァァ!!」

 

アレルヤ「違う!!!」

 

なのは「…アレルヤ?」

 

ハッ、つい大声を出してしまった。鏡を見ると後ろのベットでなのはが体を起こしてこちらを見ていた。

 

アレルヤ「ごめん、起こしてしまったね」

 

振り返って彼女を見る。彼女はなぜか涙目だった。そして表情を隠すように俯いて…

 

なのは「…ごめんなさい…」

 

一言、そう呟いた。

 

アレルヤ「…僕の方こそ…ごめん、君には君の考えがあるのに僕の勝手な意見で模擬戦の邪魔をしてしまった」

 

なのはは俯いたまま首を横に振る。

 

なのは「…いいの、ハレルヤに言われた事はその通りなんだし…私は子供の頃からこのやり方で魔導師をやってきたから…」

 

彼女は少し震えていた。月明かりが差し込み、少しだけ明るい医務室で彼女は泣いていた。

僕は泣いている彼女の隣に行ってベットに腰掛けてその頭に手を置いた。いつも笑顔のなのはも、今だけはとても小さな子供に見えた。

 

アレルヤ「…さっきアラートが鳴っていたから僕は行くけど、なのは達は休んでたほうがいいよ。そして、ティアナが起きたら二人でもいいし、皆とでもいいからさ、話し合ってみてよ。互いの夢や、目標、願いをさ」

 

彼女の頭をぽんぽんとたたくと僕は医務室から出ようとした…が、なのはにシャツの裾を引っ張られて立ち止まる。

 

なのは「ねぇ……私は…私のやり方は……間違ってたのかなぁ……」

 

振り返り、なのはを見ると彼女は僕を見上げていた。その目から涙を流して…。

 

アレルヤ「…僕に、ハッキリとしたことは言えないけれど…、なのはのやり方は間違ってるかもしれないし、正しいのかもしれない」

 

彼女は僕を見たまま、不思議そうな顔をしている。

 

アレルヤ「昼間はあんな偉そうな事を僕は言ったけど、実際に人と人とが理解し合うのは難しい事だよ。僕は言葉で理解し合えとは言ったけど…言ってる事が全て真実とは限らない。だから争いが起きるし、人は戦いを辞めない。辞められない」

 

彼女は僕を見たまま動かない。僕はシャツを掴んでいたなのはの手を握る。

 

アレルヤ「けど戦うからこそ、互いを理解できる事もあるし、話し合って互いを理解できる事もある。だけどさ………やっぱり互いに話し合いで理解できるならその方がいいと思わないかな?」

 

僕はなのはが落ち着けるように彼女の手を両手で握って話す。彼女の涙はとまっていた。

 

アレルヤ「だから僕の答えは最初に言った通り、なのはのやり方は間違えでもないし、正解でもないと思う」

 

僕は片手で彼女の手を握り、もう片方の手でなのはの頭に手を置いて今度はクシャクシャと撫でる。彼女は無抵抗だった。

 

アレルヤ「今はもう少し寝ていた方がいいよ。大丈夫、六課のみんなには僕から説明しておくし、いざとなれば出撃してもらうからさ」

 

なのは「……うん……ありがとう、アレルヤ。それと……八つ当たりしてごめんなさい」

 

アレルヤ「気にしなくていいから、ゆっくり寝るんだよ」

 

彼女が泣き止んで、ベットに横になったのを確認して僕は部屋を出た。

部屋の前で僕は少しだけ立ち止まる。

 

アレルヤ「(僕はお礼をされるような人間じゃないよ、なのは……)さて、アリオスを取りに行かないと」

 

僕は気持ちを切り替えてデバイスルームに走った。

 

 

 

シグナムSide

 

 

 

シグナム「つまり高町は今回の出撃は無理、ということか」

 

フェイト「うん、だから私とシグナム、ヴィータの三人で海上にいる航空型ガジェットの撃墜に行くよ」

 

テスタロッサと主はやてからの話では航空型ガジェットが何も無い海域を群れて飛行しているらしい。

 

フェイト「恐らくだけで今回のガジェットの行動から考えて、こちらの戦力を調べる為のモノだと思うから…大技は使わずにいつも通り、普通に倒そう」

 

ヴィータ「あいよ」

 

シグナム「心得た」

 

私達がヘリに乗り込もうとした時、誰かがこちらに走ってきた。あれは…アレルヤか?

 

アレルヤ「ごめん、少し遅れた」

 

フェイト「アレルヤ!?どうして、ううん。それより!体は大丈夫なの?」

 

そうだ、確かアレルヤは高町の一撃を受けた筈だが……

 

アレルヤ「大丈夫だよ、それなりに鍛えてあるし……、それと今回は僕がなのはの代わりに出動する事になったから」

 

確かに、アレルヤは最近の男にしては体が鍛えてある。少し細身ではあるがしっかりとした体つき…おまけに高町とやり合える程の実力…一度は手合わせしてみたいものだな。

 

ヴィータ「まぁ、そこまで言うならついて来てもいいけどよ……、足手まといにだけはなるなよ!」

 

アレルヤ「了解だよ、ヴィータ」

 

シグナム(はて……なんだ?今、感じた違和感は…)

 

ヴァイス「それじゃ、飛ばしますよ!」

 

私達がヘリに乗り込むとヘリは現場へと急行する。その間に私は出発の際に感じていた違和感を確かめる事にした。

 

シグナム「そういえば…ヴィータ、いつの間にアレルヤと親しくなったんだ?」

 

ヴィータ「!、べ、別に仲良くなんてなってねぇ!!ただ…その…今回はコイツに、アレルヤになのはとティアナを助けて貰ったからだな…その…とにかく!何でもねぇよ!///」

 

私の質問を顔を真っ赤にしながら否定しても説得力がないぞ、ヴィータ。

 

フェイト「なのはとティアナを助けた?どういう事?」

 

シグナム「私も興味があるな。ヴィータ、説明してくれるか?」

 

 

 

ヴィータSide

 

 

 

ヴィータ「シグナムやフェイトは知ってるだろ?なのはは自分が決めた事は無理してまでもやるって事」

 

二人は頷く…、と言うかこれはみんなが知ってる。なのはは、アイツは無理し過ぎてふらつく事もあるのに私達がいくら言っても休もうとしない。

 

ヴィータ「おまけに休みの日ですら暇になったら仕事をしてやがるしさ…そんなんだからさ、今回のアレルヤの計画に乗ったんだ」

 

フェイト・シグナム「「計画?」」

 

二人の声が重なる。というかなんでこんなに近づいてくんだよ!

 

ヴィータ「ああ、アレルヤがな、ティアナとなのはの事で私のところに相談しに来たんだ」

 

二人の視線がアレルヤに代わってくれた。はぁ〜…疲れた。後は頼む、アレルヤ。

 

アレルヤ「僕がヴィータに相談した理由はね、僕の視点から見て一番なのはとティアナの事を理解している立場だったからだよ」

 

フェイト「どうして?なのはの事は私が一番よく理解してるよ」

 

おいおい、フェイト…その発言はいろいろと危険極まりないぞ。ヴァイスなんか鼻を押さえてるし…、ありゃあ鼻血がでたな。

 

アレルヤ「そうかもしれない。でもティアナの事はどうだい?フェイトはあまりティアナと話たりした事はないだろ?」

 

首を縦に振るフェイト。まぁ、ティアナ自身は執務官を目指しているがフェイトがそれに関わるのはまだ先の話だろうしな。フェイトとは関わる事があまりないだろ。

 

アレルヤ「だからティアナとなのは、二人の一番近くにいて二人の事を知っていたヴィータに相談したんだ。僕の考えていた事が起きた場合は手伝って欲しい、てね」

 

ヴィータ「それがあの模擬戦だ。アレルヤの言っていた事が起きちまった。」

 

フェイトはよく理解できてないがシグナムは頷いてる。

 

シグナム「アレルヤの言っていた事、と言うのは高町とランスターの暴走行為か」

 

アレルヤ「そう。ティアナは自身の劣等感から、なのはは仕事からくる疲れとストレス。二人とも溜め込む一方で発散できないままだから何かの拍子で爆発するのは目にみえていた。だからどうせ爆発させるなら一気に爆発させようと思ったんだ」

 

ヴィータ「それがあの模擬戦だったんだよ。ティアナの無茶になのはがブチ切れて、それを庇ったアレルヤとなのはを馬鹿にするハレルヤ。…結果はあの通り、上手くいったんだけどな」

 

アレルヤ「ティアナの方はなのはがどんな思いでどんな目標で教導していたか解れば解決すると僕は思ってたから後の事はなのは次第だね。……ただ唯一の誤算は最後になのはを気絶させる予定がフェイトが僕を攻撃した事でタイミングを逃してしまって、気絶させる事が出来なかった事ぐらいかな」

 

アリオス<おかげ様で私は全体ダメージを50パーセントも修復出来てない状態での出撃になりましたが>

 

アタシ、シグナム、アレルヤの視線がフェイトに突き刺さる。

 

フェイト「だ、だってしょうがないじゃない!知らなかったんだもん!!」

 

ヴィータ(だもん!…て、子供かよ)

 

アリオス<おかげで私は必要以上のダメージを負いましたがね>

 

フェイト「ごめんなさい…」

 

フェイトはアリオスの言葉にびくびくしている。おもしれ〜

 

アリオス<それと…バルディッシュ、以前にも説明した筈ですが?私達は主に忠実であれど主が間違えた選択をしたならばそれを正すのも私達の役目だと>

 

バルディッシュ<………アリオス、私にそんなモノを求めても無理だ>

 

アリオス<…何故?>

 

バルディッシュ<………私のマスターは本能で動く人だからだ>

 

アリオス<……………>

 

バルディッシュ<…………>

 

アリオス・バルディッシュ<………ハァ>

 

フェイト「う、うあ〜〜〜〜ん!!シグナム、皆が、皆が私の事を馬鹿にする〜〜〜!!」

 

シグナム「分かった、分かったからいい大人が泣くな。エリオとキャロが見たら失望されるぞ」

 

シグナムに泣き付くフェイト。やば!めちゃくちゃオモシレ〜〜〜!!

 

ヴィータ(アイゼン、記録しとけ。後で笑いのネタにするから)

 

アイゼン(了解、記録しておきます)

 

その後、現場に着いた私達は航空型ガジェットを殲滅した。ちなみにフェイトが……

 

フェイト「なんで、なんで私が悪いんだよ〜〜〜!!」

 

と逆切れしながらガジェットを切っていた。それも面白かったので記録しておいたのは私だけの秘密だ。

 

 

 

アレルヤSide

 

 

 

ガジェットの殲滅が終わり、六課に帰った僕はデバイスルームでアリオスの修理と調整を見ている。アリオスは設備さえあれば自分で修理できるみたいだ。

 

アレルヤ「ごめん、アリオス。今日は無理させてばかりだね」

 

アリオス<いえ、お気になさらずに。マイスターのせいではありません>

 

買ってきた缶コーヒーを飲みながらあるデータを見る。以前、アリオスが擬似GNドライブを集めて欲しいと言った理由、それに関するデータだ。

 

アレルヤ「…アリオス、これは本当に可能なのかい?」

 

アリオス<私のデータを使えば可能です。ちなみにこれは保険のようなモノですよ、マイスター。…これまでの事から敵に我々を知る者がいるのはもはや確実でしょう。残念ですが私だけでは…アリオスだけでは勝てない事態もありえます。そのための保険です>

 

…勝てない場合か…確かにジンクスに数で来られたらいくらアリオスでも対応仕切れないかもしれない。

 

アレルヤ「…できるなら使わずに済ませたいな、彼女達にコレを背負わせてはいけないと思うから」

 

アリオス<私も同感ですよ、マイスター>

 

データにある“コレ”を彼女達が使うような日が来ないことを祈るしかないのか…。

 

アリオス<この事は信頼できる人とどうしても必要な人材に限り、データを明かしたいのですが…よろしいでしょうか?マイスター>

 

アレルヤ「とりあえずその信頼できる人材の候補に上がってる人は誰なんだい?」

 

アリオス<八神部隊長とシャーリーです>

 

う〜ん……はやては問題無いだろうけど、シャーリーはこういう事には暴走するからなぁ…

 

アレルヤ「必要なら仕方ないけど……シャーリーには情報の取り扱いを厳重にするよう忠告しとくようにね」

 

アリオス<了解しました。マイスター>

 

アリオスとの話を終えて椅子にもたれる。疲れたのかな…目を閉じて少し休もうか。

 

アレルヤ(そういえば……なのはとティアナはもう話し合ったかな…)

 

うとうとしながらそんな事を考えていると通信の呼び出し音が鳴る。

誰だろう…と思いながら回線を開いた。

 

アレルヤ「はい、こちらデバイスルーム。アレルヤですが」

 

なのは『あ、やっぱりソコに居たんだ』

 

通信してきたのはなのはだった。

 

アレルヤ「なのは?どうかしたのかい?体はもう大丈夫?」

 

なのは『うん、大丈夫だよ。…あのね、今からティアナを含めたフォワードのみんなに私の教導と思いについて話そうと思うんだけど………アレルヤも聞いてくれないかな、と思って』

 

なのはの思いか…あんな偉そうな事を言ったんだし、聞かないわけにはいかないな。

 

アレルヤ「分かった。すぐに行くよ」

 

なのは『うん、待ってるね』

 

通信を切ると僕は修理中のアリオスを残してデバイスルームを出た。

 

 

 

なのはSide

 

 

 

これでよし…、夜も遅いから明日にしようかとも思ったけど…

 

なのは「それじゃ駄目だよね」

 

今回の事は私にも非がある…アレルヤを呼んだのはそれを私に教えてくれたから。

 

なのは「言わなければ解らない事もある、言ってくれなければ解らない事もある…か」

 

今回は私がちゃんとティアナにこの教導の意味を言っていれば…、ティアナが私に教導の意味を聞いていれば…ということだと私は思った。

 

なのは(でもティアナの真面目な性格から考えても、上官で年上の私に教導の意味を聞く、なんて事は出来そうに無い事くらい気付ければよかったな…)

 

…いけない、いまさら後悔してもしょうがない。過ぎてしまった事なんだから前を向かなきゃ!

 

なのは「私の過去を見せる事になるけど…みんな、分かってくれるといいな」

 

私の教導の意味と、私がみんなに願っている思いを。

 

 

 

アレルヤSide

 

 

 

なのはに呼ばれてロビーの一画に集まったのは僕とフォワードの4人とシャマルだった。

 

シャマル「あれ?アレルヤ君もなのはちゃんに呼ばれたんですか?」

 

アレルヤ「あぁ、多分だけど今日の模擬戦の事じゃないかな……シャマルはどうして?」

 

シャマル「私もなのはちゃんに呼ばれたんですよ」

 

シャマルの質問に答えて椅子に座って一息つく、するとスバルとティアナが僕に近づいてきた。

 

スバル「あの、アレルヤさん。昼間の模擬戦の事なんですけど…」

 

ティアナ「…すみませんでした」

 

二人ともいつもの元気が嘘のように表情が暗い。

 

アレルヤ「…謝る必要はないよ。あれは僕の意見をああいうカタチで主張しただけなんだから。君達がやってしまった事についてはなのはが今から話すんじゃないかな」

 

スバル・ティアナ「「……はい」」

 

まだ気分が沈んでいるのか二人は少し俯いて椅子に座った。…………もう少しフォローをしておこうかな。

 

アレルヤ「君達がやった事は悪い事じゃないよ。自分を鍛える事は良いことだと思うしね。ただ……君達は何の為に、どうして戦い、なぜ勝たなければならないのか…よく考えてみて欲しい。その身につけた力は何の為なのかもね」

 

スバル「何の為に…」

 

ティアナ「…………」

 

シン……と場が静まると同時にコツコツと足音がした。

 

なのは「みんな、待たせてごめんね」

 

なのは、フェイト、はやての3人がこちらに歩いてきた。

 

アレルヤ「はやてとフェイトはどうかしたのかい?」

 

はやて「いやな、なのはちゃんが自分の思いを皆に伝える、て言うてたからな」

 

フェイト「私達も一緒に聞いてみようかな…と思って来たんだ」

 

そうなんだ…なのはを見ると何か準備をしていた。

 

なのは「…これでよし。みんな、待たせてごめんね」

 

なのはが振り返り優しげな笑顔を見せる。…もう大丈夫みたいだね…

 

なのは「みんなに集まってもらったのは私の教導についての事なんだ。今から見る映像は私が過去に関わった事件なんだけど、それをよく見て、聞いておいて欲しいの。私の教導の意味を」

 

俯いていたティアナとスバルも顔を上げて、4人はなのはを見つめる。

 

なのは「それじぁ、始めようか」

 

そして流れる映像には幼き日のなのはが映っていた。ただ平和な日常を過ごしていた彼女は魔法に出会い、自分の意思で戦いの道を選んだ。映像は幼き日のフェイトとなのはの戦いが映っていた。

 

エリオ「これ……フェイトさんですか?」

 

フェイト「そうだよ、この頃の私は家庭環境が複雑で……なのはとは互いに譲れない目的の為に戦ったんだ」

 

画面の中での戦いはさらに激化していき…

 

アレルヤ「すごいな…幼い頃からあんな砲撃が撃てたんだ…」

 

シャマル「でも幼い体に大きすぎる魔力、それは少しずつだけどなのはちゃんの体に疲労を溜めていく事になったの」

 

さらに映像は流れていく。次はシグナム達、ヴォルケンリッターとなのはやフェイト達の戦いが映る。

 

アレルヤ「最初はみんな敵同士だったのか…」

 

フェイトとシグナムの激しい戦闘、なのはとヴィータの互いに譲れない思い、覚悟を決めた騎士達の瞳……。

 

なのは「私とフェイトちゃんはシグナムさんとヴィータちゃんに勝つ為に、当時はまだ不安要素があったカートリッジシステムをデバイスに組み込んで戦ったんだ」

 

さらに強化された砲撃、スピード、防御、それに伴う体への負荷。

 

はやて「そして…なのはちゃんの体に溜まっていった疲労はついに最悪の事態を起こしてしもうた」

 

映ったのは雪の降り注ぐ中、白いバリアジャケットを血だらけに染めて、ヴィータに抱えられたなのは。

 

スバル「…うぁ…」

 

キャロ「ひどい怪我…」

 

なのは「にゃはは…」

 

フェイト「笑い事じゃないよ。この時はみんなが心配したんだからね?」

 

はやて「ほんまやで、まったく…一時期は二度と空を飛べへんとまで言われてたんやで?」

 

苦しいリハビリを行い、乗り越えて…やっとまた空を飛べるようになったなのは。画面の中の彼女は嬉しそうに飛び回っていた。

 

なのは「以上かな…ようはね、これで言いたい事は無茶ばかりやってると私みたいに大怪我、あるいは最悪、死んでしまうような事態になっちゃうよ……て、言いたかったんだよ」

 

映像が終わり、みんなを…ティアナを見るなのは。ティアナもなのはを見つめる。

 

なのは「ティアナ、ごめんね。貴女の気持ちをちゃんと聞いてあげれなかった。」

 

ティアナ「いえ!私も、なのはさんの考えや気持ちも知ろうともしないで、無茶苦茶にしてしまって……すみませんでした!」

 

二人が互いに謝り、そしてなのはは謝罪とこれからのティアナの為にクロスミラージュのダガーモードを解禁して見せた。

みんなの視線がなのはとティアナに向いている間に僕はシャマルにこっそりと話しかけた。

 

アレルヤ「……シャマル、なのはのダメージはまだ…」

 

シャマル「…ええ、体のダメージは完全には完治してないの。深すぎた傷は今だになのはちゃんの体を蝕んでいるわ」

 

模擬戦の中、僕はなのはの動きや攻撃に感じていた違和感は間違いじゃなかったのか……。

 

アレルヤ(………ロックオン…)

 

このまま、傷を抱えたまま戦い続けたらいずれなのはも、あの時の…4年前のロックオンのようになってしまうかもしれない…!

 

アレルヤ(させない、あの時はどうしようも無かった、けれど出来なかったからこそ…今度こそ絶対に守ってみせる…!)

 

僕は笑い合う皆を見て改めて決意する。

 

アレルヤ(僕はソレスタルビーイングのガンダムマイスター、いつかはその罰を受けるだろう………けれど、その時が来るまでは守り抜いてみせる。彼女達の未来を…!)

 

そして今日はもう夜も遅いのでこれで解散となった。

 




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