魔法戦記リリカル00 ~世界を越えた超兵の話~(改定前) 作:かねごんマークII
ハルートsied
手元の空間パネルを操作して仮想敵を消す。全ての敵のアイコンが消えたのを確認してから私は肩の力を抜いた。
ハルート「ふぅ……」
アムルタート〈マスター、ここら辺で少し休もう。私もこれまで取ったデータを整理したい〉
ハルート「りょーかーい」
今日は朝からお昼までアムルタートのトライアルシステム(名付けてモード・トライアル)のテストと訓練をしていた。
ハルート「ん〜〜〜〜!……ぷはぁ、疲れた…」
地上に降りてバリアジャケットを解除、背伸びをしてその場に寝転ぶ。少しずつ休憩はとっていたけど、疲れはたまるのだ。
寝転んだまま、ボンヤリと空を眺めていた私の傍に2つの影が降りてきた。
エクシア〈訓練は終了ですか?ハルート〉
キュリオス〈ハッ!つまんねェなァ!もっとやろうぜ、ハルート!〉
落ち着いた声で私に意見を求めるエクシアと動き足りないのか不満の声を上げるキュリオス…
ハルート「ちょっと休憩しようね、エクシア、キュリオス」
エクシア〈了解、休息します〉
キュリオス〈チッ!しゃあねぇか〉
二機はその場で滞空するとそのまま黙ってしまった。
ハルート(エクシアにキュリオス…)
この二機はアレルヤが破壊し、回収されたモノをシャーリーが改造した機体で、今回は二機とも追加装備が施されている。
その名前は……
アヴァランチ・エクシア(以降、A・エクシア)とキュリオス・ガスト(以降、キュリオス・G)と言うモノだ。
ハルート(まさか追加ユニットまで作るなんて、シャーリーもよくやるなぁ)
A・エクシアは機動力を生かした接近戦、キュリオス・Gはさらに上がったスピードを使い、敵を近づけさせないし、その手に持つロングバレルキャノンで敵を撃つ。
…ちなみにエクシアの人格データはティアナとフェイトを、キュリオスはハレルヤとヴィータを基に創られた。そのせいかエクシアはよく分からないけれどキュリオスはその性格がありありと反映されていた。
ハルート(それにしても…アムルタートを作った人はいったい何を目的にこんな機能をつけたんだろう?)
モード・トライアル…これはアレルヤ達の世界のトライアルシステムをこちらの世界用にしたものらしく、様々な機能がある。
1つ目は私を中心に一定の距離で特殊フィールドを形成、そのフィールド内ならば疑似太陽炉掲載機(ケルディムや阿修羅のように改造されたモノは不可)なら敵味方問わず一時的に私の制御下における。
2つ目は私の見聞きした情報をアムルタートが味方機に転送、味方機が見聞きした情報の受信も出来る。
ハルート(多分、普通の人間には出来ない芸当だよね……特に3つ目は……)
3つ目の機能
時間が掛かるけどフィールド内における全てのデバイスに対してのハッキングによる乗っ取りとモード・トライアルで強化される私の脳量子波による…広範囲脳波攻撃。
ハルート「3つ目の機能だけはあまり使わない方がいいよね……」
実はこれには欠点があり、ハッキングを行うと1分くらいでアムルタートが機能限界に達し、デバイスの強制解除とオーバーホールしての修理が必要になってしまう。
実際に試してアムルタートが機能停止したときは本当に焦った。
修理が終わって、次は脳波攻撃を試験的にやってみたのだけど……その時は私の相手をしていたティアナとスバルが激しい頭痛に見舞われて、模擬戦を中止しなければならなかった。
ハルート(私の脳量子波は普段は無害だけど、デバイスを通すと破格の攻撃力を発揮してしまう…)
現に脳量子波に敏感なアレルヤには普段の生活では何もなかったけれど…この脳波攻撃時には訓練に参加していなかったアレルヤにも違和感を感じさせたらしい。
ハルート(私は…なんなのだろう?)
空を眺めながら、ちょっと考えてみる。
自分がリボンズのデータを基にした新型ユニゾンデバイスである事は聞いた話とデータからなんとなく分かる。容姿なんかソックリだし。
けれど……私は何の為に、どうして創られたのか、それが分からない。
キュリオス・G〈ハルート、休憩は終わりだぜ〉
キュリオスの言葉で考え事を中断して上半身を起こすと、空間ディスプレイが現れて何かの地図を表示する。
A・エクシア〈八神部隊長より通達、ライトニング分隊、ハラオウン分隊長と共に山岳部に出現したガジェットを殲滅せよ、との事です〉
まただ。最近のガジェットの行動は明らかにおかしい。ロスト・ロギアが有るわけでもなく、人もいないような場所に現れてはその場に留まり、私たちが来たら攻撃してくるけどあっさりと破壊されていく。
…なんか、私達の力を測るような行動をとってばかりだ…
ハルート「…貴方達はアヴァランチとガストの装備を外して行こうか。敵に情報はなるべく与えない事に越したことは無いしね」
エクシア・キュリオス〈〈了解〉〉
……産まれなんて、いいよね。私は、私はハルート。
アレルヤに救われ、今を生きる一人の……。
アレルヤ・ハレルヤ・レントsied
僕と俺と私は自室で鏡を見て話し合っていた。
アレルヤ「説明して貰おうか、レント」
レント「はて?何の説明かね」
ハレルヤ「とぼけてんじゃねェ……テメェ、なのはとヤったんだろ」
アレルヤ「ハレルヤ、表現がストレート過ぎるよ…。おまけに聞きたい事じゃないし」
レント「ああ、確かにヤったが…それが何か問題でも?」
アレルヤ「問題あるからね、レント。あと、頼むから君はハレルヤの挑発に乗らないでくれないかな?」
ハレルヤ「別になのはとヤるのは構わねぇ…が!俺にも感覚を共有させろ!」
アレルヤ「最低だ…最低だよ、ハレルヤ」
ハレルヤ「うるせぇぞ!アレルヤ!俺も溜まるもんは溜まんだよ!」
アレルヤ「だからって………待って、話を戻そう。本来の話は最近のレントの行動についてだよ。……なのはの件も含めるけど」
レント「私の行動かね」
アレルヤ「そう、最近の君は頻繁に表に出てる。ちょうど僕とハレルヤが眠っている時に…」
ハレルヤ「気づかねェと思ったかよ。コッチとしては此処の奴等と面倒事は起こしたくネェんでな……大人しく寝てろっつう事だ!」
レント「なるほど、私の行動は目障りかね?」
アレルヤ「今まで、確かに君に助けられた事もある。……君がはやてに復讐をしようとしているのも知っている。…協力は出来ないけど」
ハレルヤ「だが、テメェはやりすぎなんだよ…見過ごせねェくらいにな!」
アレルヤ「出るなとは言わない。けど…加減をしてほしい」
レント「……了解した。ただし、この身体に危機が訪れたならその時は…」
アレルヤ「わかってる。その時はちゃんと頼むよ」
レント「了解だ……では、失礼する」
レントはそう言い残すと眠ってしまった。
アレルヤ「はぁ……」
アリオス〈お疲れ様です、マイスター〉
机に置いてあるアリオスからの励ましに僕は苦笑いしか返せなかった。
アレルヤ「でも、ほんとに……あの時はびっくりしたよ」
先程、レントがなのはとの行為を認めたけど…実は僕は一度だけ起きたんだよね。……その、行為は終わった後だったけど。
アレルヤ「どうしよう………マリーになんて説明すれば…」
ハレルヤ「帰れるかどうかもわかんねェのに、そんな心配なんかしてもどうにもなんねェだろうが」
アレルヤ「でも…」
ハレルヤ「チッ!ウジウジと悩むんじゃねえ!全部もう起きちまった、過去の事なんだからよお!」
アレルヤ「……ハァ…わかってる、わかってるよ。ハレルヤ」
ハレルヤ「………俺は寝る。起こすなよ」
ハレルヤも寝てしまった。部屋に残っていた僕はベッドに腰掛けて、目を閉じる。
アレルヤ(ほんとに…どうしよう……)
悩みの種が増えた事に、僕は頭を抱えるしかなかった。
アニューsied
アニュー「これが…私の新しい身体なんだ…」
カプセルの中に入っているユニゾンデバイスの身体を見て、私は驚いた。
ライル「マジかよ、アニューそっくりじゃねえか」
隣にいるライルも驚いていた。………と言うか…
アニュー「あの、ライル。仮にも私の身体になるんだからそんなにじっくり見ないでよ…///」
ライル「おいおい…互いにじっくり見合ったのに今さら恥ずかしがっても…」
アニュー「もう!そうじゃなくて!」
ニール「お二人さん、仲が良いのはいいんだが…そういった話は夜のベッドで語り合ってくれるか?」
後ろで作業をしていたニールさんの冷やかしに、私はホログラフィーでも顔が真っ赤になってるのが自分で分かった。
ライル「流石は兄さんだ…仕事が早かったな」
ニール「ま、俺の義妹(いもうと)になる人の事だしな…急ピッチで探しだしたんだぜ。……それで、感想は?」
二人は互いに向き合ったと思ったらガシッ!、と互いの腕を交差させた。
ライル「バッチリだぜ、兄さん。俺の好みをよく知ってる」
ニール「何言ってんだ。双子なんだ、それくらい分かる」
ライル「アニューには手を出すなよ」
ニール「心配すんな。俺にもちゃんとそういう人はいるからな」
ライル「へぇ…そいつぁ初耳だな」
ニール「当たり前だ、最近の事だからな」
笑い合いながら話す二人は、何だか子供みたいな笑顔だ。
ライル「はは…ん?どうかしたのか、アニュー」
アニュー「ん?何だかライルが楽しそうだな、て見てたの」
そう言われたライルは驚いた表情で口許に手をあてて私を見る。
ライル「……楽しそう、だったか?俺は」
アニュー「ええ、そうだけど…どうしたの?」
ライル「いや……そうか、楽しそう、か」
子供みたいな笑顔から大人の微笑みに変わったライル……ああ、私は彼のこういったギャップにも惹かれたんだな…
アニュー(普段は冷静で飄々としていて、でも肝心な時は熱くて真面目な人になる…)
私がイノベイド側について、ライルと戦った時も彼は…普段からは考えられないような大胆な行動で私を助けようと、救ってくれようとした。
アニュー(結果は…残念な事になったけど…またこうして会う事が出来た)
刹那・F・セイエイとダブルオーライザーには感謝しなくちゃね。ヴェーダで眠っていた私をトランザムバーストで起こしてくれた事、そして…
アニュー(リボンズに操られて、ライルを殺そうとした私を止めてくれた事を…)
ライル「そろそろか…アニュー、時間みたいだ」
ライルに言われて時計を見ると同調開始まで残り一分を切ったところだった。
マリエル「データと素体の調整はOK、ハロとの接続も問題無し…後は貴女をユニゾンデバイスに入れるだけね」
アニュー「わかりました。…それじゃ、ライル…また後でね」
ライル「ああ、待ってるぜ」
ライルに手を振り、彼の笑顔に安心した私は意識を沈める……新たな身体で、新たな命で、彼…ライルと歩む為に。
ライルside
ライル「楽しそう、か」
アニューの調整が始まり、やることがない俺は休憩室で先程の彼女の言葉を思いだして、考えていた。
昔から、兄さんの事は苦手というか、嫌いというか、とりあえず一緒にはあまり居たくなかった。
幼い頃は友達や世間の大人は不器用な俺に比べてなんでも出来る、要領の良かった兄さんを誉めてたし、可愛がっていたように思う。
両親や妹は家族だし、そんな事はなかったがそんな環境が嫌で、宿舎のある学校に入った。
ニール「どうした、ライル?」
ライル「ん?いや、なんか不思議でさ」
俺はタバコに火をつけ、兄さんは缶コーヒーに口をつける。
ニール「不思議?なにがだ?」
ライル「なにもかもが、だよ。この世界の事も、魔法の事も、兄さんが生きていたのも、俺が生きているのも」
ニール「……大丈夫か?」
兄さんが生暖かい視線を向けてきた。その目は心配しているのが分かるが決して人に、双子の弟に向ける視線ではない。
ライル「そんな目で見るなよ。……いやさ、俺は兄さんの事が苦手だったんだよ」
ニール「あぁ、やっぱりか。お前、ガキの頃は寄宿舎のある学校にいく少し前位から俺の事を避けてたもんな」
やっぱりバレてたか。
ライル「大人たちや友達はいつも兄さんを誉めてたし、俺と比べるからさ…嫌だったんだよ」
ニール「お前、ガキの頃は何かと無茶やらかしたりしてたからな」
ライル「兄さんと比べられるから荒れてたんだよ。…でも、父さんも母さんも、エイミィも死んで、残ってた兄さんも死んだ、て聞いた時さ、意地なんて張らずにもっと家族と一緒にいれば良かった、て思ったんだ」
今でこそ、兄さんが生きていたから話が出来るけれどこれは奇跡だ。そんな奇跡に恵まれたのだから言いたい事がある。
ライル「だから、その、兄さん。避けたりして悪かった。あと、大学とかの費用を送ってくれて嬉しかった。ありがとう」
面と向かって、兄さんに礼を言う。
兄さんの過去はソレルタルビーイングのデータベースで知っている。スナイパーとして裏で生きていたのも、ソレルタルビーイングに入ってからも俺を援助してくれていたのも。
…家族の命日には、必ず墓参りに来ていたのも。
兄さんは驚いた表情をしたあと、フッと笑う。
ニール「人様には自慢出来る人生じゃなかったけど、お前に礼を言われるとは、生きていて良かったよ。ありがとう、ライル」
スッ…と兄さんが右の拳を前にだす。
あぁ、思い出した。ガキの頃、まだ兄さんを避ける前、俺達は双子である事が誇らしくて自慢だったころ、物事が上手くいったりした時にやっていた事があった。
俺も右の拳をつくり、ジャブのように兄さんの拳に軽く当て、そのままお互いに左の拳を当て、最後にパァン!と音を鳴らすように手をタッチをする。
ライル「…懐かしいな、コレ」
ニール「全くだ」
お互いにクククッ、と笑いながら思い出話に華を咲かせる。此処でようやく俺は、俺達は本来のあるべき家族に戻れた。
ウーノsied
ジェイル「ふぅむ…」
ウーノ「どうかしたのですか?」
秘密基地に帰った私はデータの整理をしつつ、ドクターに問いかける。椅子に座り、モニターを眺めているドクターは何か難しい顔をされていた。
ジェイル「いやね、興味本意で調べていたモノで面白い事が分かったんだよ」
ウーノ「面白い事…ですか?」
ジェイル「ああ……彼、リボンズの提供してくれた研究データと私の研究しているデータが妙な程に合致していてね……」
ドクターは手元のキーボードを操作して自分の見ているモニターを空間ディスプレイに表示する。私はそれを見せてもらう。
ウーノ「人造魔導師計画と戦闘機人計画……それとプロジェクトF、ですか」
ジェイル「そう、今映しているのが私が研究中のデータ。そして、これが彼が提供してくれたデータだ」
新たなディスプレイに表示されたデータを見ていくうちに、幾つかの符号点と類似点を見つけた。
ウーノ「……!!、これは!?」
ジェイル「面白いだろう?」
信じられない……これは、リボンズの研究データは、ある意味でドクターの研究の完成形の1つだ。
ジェイル「リボンズがくれた研究データ…イノベイド、イノベイター、超兵。これは私の研究の発展形なんだろうと思っている。そして…これにより臆測だが分かった事がある」
ウーノ「何でしょうか?」
ドクターはニヤリと笑うと実に楽しそうに言った。
ジェイル「ついぞ分からなかった彼の正体さ。彼は未来の人間か…あるいはイノベイターかイノベイドそのものだよ」
ウーノ「!!……ですがそれを確認しようにも…」
ジェイル「ああ、彼は何処かに行ってしまったからねぇ……残念だよ」
そう、彼は何時のまにか、その姿を消していた。ドクターは彼の部屋には毎日のように通っていたのだけれど昨日いた筈なのに、翌日には彼は消えていた。
ジェイル「元々、彼とは持ちつ持たれつだったからね、仕方ないさ。彼も私からの引き際だと感じたんだろうね……だが、彼のもたらした情報、技術のおかげで準備もほぼ済んでいるし…」
ウーノ「それなら…」
ジェイル「ああ…目的も計画も変更無しだよ…」
ウーノ「わかりました。ドクター」
いよいよ始まります。我々の悲願が…あ、そういえば…
ウーノ「…ドクター、また無断で何か作りましたね?」
ビクリ!とドクターの肩が揺れた。……やれやれ、図星ですか。
ウーノ「いい加減にして下さい、ドクター……躾ますよ?」
ジェイル「すみませんでした!」
そこには威厳も何もない、情けない男が土下座をしていました。
ウーノ(はぁ…そういえば、ドゥーエが気になる人がいると言ってたわね…)
あのサバサバした娘が他人に興味を持つのも珍しい…今度、直接会ってみたいわね。たしか名前は…
ウーノ(ニール・ディランディ…だったわね)
計画は順調だし、会いに行ってみようかしら。まぁ、その前にとりあえず…
ウーノ「ドクター、仕事をして下さい。馬車馬のごとく」
ジェイル「わかりました!」
ドクターに使った資金分くらいは真面目に働いてもらいましょうか…
誤字や脱字が有りましたらお知らせ下さい(´∇`)