魔法戦記リリカル00 ~世界を越えた超兵の話~(改定前)   作:かねごんマークII

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前回に引き続き、台本形式から普通の小説に近づける為に名前を書かないようにしています。


第39話 決戦の日は近し

なのはside

 

 

 

「ふぅ…いろいろ、燃えちゃったな」

 

病院に入院中のメンバーを除き、私を含めて動ける隊員達で焼け落ちた六課隊舎の中を調査している。

幸いだったのは、これだけの攻撃を受けていながら死者が出てない事だった。

 

「建物が受けた被害の割には奇跡だよね…シャマルさんやザフィーラ、エクシア、キュリオスにハルートが頑張ってくれたからなのかな」

 

だけど…シャマルさんとザフィーラは重症、キュリオスとエクシアは中破、ライルさんとハルートはカイゼルの所で匿ってもらっている。

 

「正直に言えば、あちらが狙っていたのはヴィヴィオだった訳ですから抵抗せずに渡せば被害は最小限に収まったのでは、と私は思いますが?」

 

「……何の用?」

 

焼け残った一枚の窓ガラス……そこには私と私の後ろにたたずむ星光の姿が写っていた。私は振り返らず、ガラス越しに視線をだけを彼女に向ける。

 

「嫌われたものですね…私は貴女だというのに」

 

やれやれ…と肩をすくめる星光。

はやてちゃんから事情は聞いている。彼女がいなければ私は死んでいたかもしれないことも分かる…けれど、どこか納得のいかない自分がいる。

 

「ねぇ、貴女はどうして平気そうなの?貴女のマスター、レントが捕まったんだよ?」

 

「何を言うかと思えば……そんな事ですか」

 

そんな事?彼女は心配じゃないのだろうか?星光は私の考えている事がわかったのか、ため息をついていた。

 

「あの方が簡単に敗れるという事はそうはありません。それは彼と戦った貴女達が一番よく解っているでしょうに」

 

よく知っている。強固な防御、無限の再生……幼かった私やフェイトちゃん、はやてちゃん。シグナムさん達やクロノ君、ユーノ君、アルフさん、リンディ艦長やアースラのみんなで頑張ってやっと倒せた。

 

「思い出しましたか?あの方はもちろんの事、あの方と半融合できたアレルヤとハレルヤもまた、闇の中で生きてきた者なのです。貴女達の常識で考えても無駄なのですよ」

 

「……そうだね、私が心配したから、状況が変わるわけじゃないしね」

 

「…やけに物分かりがいいですね、つまらない…」

 

星光が見るからにガッカリしている。…なんでこの娘は人が驚いたり否定したりする事を好むんだろうか?

 

「まぁ、いいでしょう。私達がやるべき事は決まっています。スカリエッティの企みを完膚なきまで叩き潰し、殲滅する事…後は貴女の娘を救出する事、この二つだけです」

 

「アレルヤはどうするの?」

 

「そちらはカイゼル達に任せておけばよいのでは?下手にこちらが動けばスカリエッティに揚げ足をとられかねないでしょうし。…ん、人が来ましたか。では私はこれで」

 

人の気配を感じて星光はガラスから姿を消した…そうだよ、やるべき事は決まってる。

 

「必ず助けるからね、ヴィヴィオ」

 

まずは、助ける…それからだ。

 

 

はやてside

 

 

 

うちは新たな六課本部として廃棄寸前の次元航行艦アースラを手に入れる為、ヴェロッサに手を回してもらうべく待ち合わせ場所のカフェにて彼の到着を待っていた。

 

「…はぁああぁぁ…」

 

「ため息をつくと幸せが逃げるぞ、タヌキ」

 

「うちとおんなじ顔をしていて何を言うとるんや、王」

 

「だから忠告したのだ!貴様がため息をつくと我の運も逃げるだろう!」

 

対面の席に視線を向ける。そこには黒いシャツにジーパンを履いた闇統べる王がいてプンプンと怒っていた。

 

(しかし…ほんま、鏡を見とるみたいにそっくりや。双子でもここまでそっくりにはならんやろ)

 

…あ、でもアレルヤの過去話で出てきたニールさんとライルさんはそっくりやったなぁ…と思いながら、まじまじと王を見ると彼女が軽く睨んできた。

 

「我の顔をじろじろと…何かついているのか?」

 

「いやなぁ…王は可愛いいなぁと、思うてたんよ」

 

「む?そ、そうか、ならばもっと見てもよいぞ///」

 

チョロい。誉められて上機嫌な王…しかし謎だ。

初めて出会ったのはつい先日、レントとの戦闘で力尽きて眠ってしまったうちの夢の中でこの王は自分は闇の書のマテリアルだ…レントの命令によりお前を手助けすると言って出てきた。

闇の書の闇…星光と同じ存在、つまりはうちの闇だということだと思う。

だがそれなら何故、星光と違ってこうして外を自由に動けるのか?

 

「お前は腹黒だからな、我の入る余地が少なかったものだから入りきらなかった余剰分がこうして表に出てきておるのだ」

 

「んなアホな…」

 

頭を抱えたくなった。てか、考えを勝手によまないで欲しい。

 

「それにしても、王と呼ばれるのは何か味気無いな。それに我より上の存在がいる以上、王とは言い切れぬ気がしてならん…」

 

「せやね〜…ほんならヴェロッサが来るまで王の新しい名前でも考えとくか?」

 

「良いことを言ったなタヌキ!それでは考えるとするか!」

 

あーでもない、こーでもないと話し合いを重ねるうちと王。

 

(……あんがとうな)

 

幾らか候補を紙に書いていて、気づいた。

王はうちの気を紛らわせようとしてくれたんだと…でなければ唯我独尊の彼女がわざわざ外に出てくるような事はしないだろう。

 

「?…どうした?」

 

「ん?何でもないよ…さ、もう少し考えよか」

 

止めていた手をまた動かす。

…姉妹がいたらこんな感じだったのだろうかと思いながらヴェロッサが来るまでこの談義は続いた。

 

 

フェイトside

 

 

 

「ん……あ、れ…ここは…」

 

横になっていた私は光の眩しさに目を開ける。

…私、何をしていたんだっけ…?

 

「あ、起きた。やっほ、元気かな?」

 

目の前に現れた顔をぼんやりと見る。…なんで鏡がしゃべってるのかな?

 

「まだ寝惚けてるね?やれやれ、フェイトは子供だなあ…」

 

「私自身にそんな事を言われたくないよ…」

 

私は寝かされていたベッドから身を起こす…そして、目に写るその光景に私は固まった。

 

「あはは!驚いた?」

 

「ここは…時の庭園?」

 

「そうだよ。君の記憶を元に僕が作り上げた精神世界なんだ。凄いだろ!」

 

あまりにも再現度が高い光景にびっくりして忘れそうになるけど…

 

「貴女、だれ?」

 

私の隣で自慢気に胸をはるこの私そっくりの女性は誰なんだろう?

 

「おお!?よくぞ聞いてくれた!僕の名前は雷刃の襲撃者!フェイト・テスタロッサの心の闇さ!」

 

髪と瞳の色以外がほとんど私と同じ容姿とスタイルの女性、雷刃は笑顔で自己紹介をした。

 

「私の…闇?」

 

「ん〜…簡単に言えば君の望んだ姿の一つなんだよね、僕は。昔、願った事があるでしょ、みんなみたいに明るい性格だったらな〜とか」

 

確かに…子供の頃はアリサやなのはみたいに明るい性格を羨ましいと思っていた。

 

「…けれど、今は違う。私は私であることが好きだから…」

 

「ふ〜ん。ま、そんなのはどうでもいいけどね?」

 

あっさりとどうでもいいと言われた。…なんだか馬鹿にされてるみたい。

 

「……ところで、何で貴女は私の精神世界にいるの?」

 

「あ〜、それはね…僕のマスター、レントの指示なんだ」

 

「レントが?どうして?」

 

雷刃がベッドに腰かけて自分の隣をポンポンと叩く。私は雷刃の隣に座ると彼女は満足そうに頷いた。

 

「いろいろあったんだよ。簡単に説明するけど…」

 

私の疑問を教えてくれる雷刃…どうやらレントは何かあった時の為に私に雷刃を宿させたらしい…

 

「何時の間に…」

 

「ん〜、確かフェイトがハレルヤとキスした時にだよ」

 

「……………はい?」

 

コノコハ、イマ、ナンテイッタ?

 

「覚えてないの?フェイトが酔っぱらってハレルヤを押し倒したんだけど…「えええぇぇぇ!!??」…覚えて無かったんだ」

 

私、記憶が無いんだけど!?ああ、穴があったら入りたい!///

 

「あ〜、でも安心していいよ。フェイトはキスしかしてないし、それ以上は何も無かったから」

 

「ほ、本当に…?」

 

「嘘ついてどうなんのさ…。アレでもハレルヤは紳士だった、て事だよ」

 

不安そうにしている私に呆れてやれやれと首を振る雷刃……たぶん、ハレルヤが何もしなかったのは、私が寝てたら反応が楽しめないからだと思う…

 

「それより、早く起きたら?外は大騒ぎだよ?」

 

「大騒ぎ?何かあったの?」

 

「それくらい自分で調べなよ。それじゃ、またね!」

 

雷刃がパチン、と指を鳴らす。すると世界が徐々に薄れていき…私の視界は真っ白に染まった。

 

 

 

 

 

「……?」

 

身体をおこして周りを見る。見たことのある部屋…そうだ、ここは聖王病院だ。

 

「私、どうしてここに…?」

 

考えていると部屋の扉が開いた。入ってきたのは…

 

「シグナム…」

 

「目が覚めたか、テスタロッサ」

 

制服を着たシグナムが花瓶を手に持って安堵の表情を浮かべる。

 

「私…どうしてここに?」

 

「お前は戦闘機人と戦闘をした後、魔力切れをおこして倒れたんだ。幸いにも近くにいた部隊がお前を救助してくれたんだが…覚えてないのか?」

 

私が首を縦に振ると花瓶を近くの棚に置いたシグナムは呆れてため息をついた。

 

「お前ほどのやつが魔力切れになるのは珍しい…何があった?」

 

私は記憶に残っているところまでシグナムに話した。そして…雷刃の事も。

 

「ふむ、やはりお前もか…」

 

「お前も…?どういうこと?」

 

今度はシグナムから事情を聞いた。ヴィヴィオが拐われてしまった事、ハルートがカイゼルに保護されている事、六課の現状…

 

そして、アレルヤが反逆罪で捕まった事もなのはとはやてが私と同じように闇の書の闇のマテリアルを宿している事も。

 

「いろいろありすぎだよ…」

 

「主はやてはアレルヤの方はカイゼルに任せる方針で決めている。私達はスカリエッティ逮捕に全力を注がなければならない」

 

「うん…」

 

「だから今日は身体を休めろ。明日からは忙しくなるからな」

 

シグナムはそう言い残して部屋を出ていった。

 

「…雷刃、聞こえてる?」

 

「聞こえてるよん」

 

ベッドの横に設置されている棚の上、花瓶の横の鏡には私の顔が写る。

ただし…片方の瞳がいつもの赤色ではなく、青色に変わっていた。

 

「状況は把握したね。次はどうするの?」

 

「…スカリエッティを逮捕する」

 

「え?アレルヤはどうするのさ?」

 

「カイゼルに任せる。私は、私のやるべき事をする…だから、力をかして」

 

「オッケー!スカリなんちゃらをボコボコにしてやろう!」

 

「ふふ…スカリなんちゃらじゃなくてスカリエッティだよ」

 

元気な雷刃に和みながら、窓から見える青空に視線を移す。

 

「アレルヤ…どうか無事で…」

 

祈ることしか出来ない…けれど、やれる事はやろう。自分の決めた事を、全力で。

 

 

スカリエッティside

 

 

 

「準備は万全、この後はどうするか…」

 

椅子に座り腕を組む。

おそらくこのアジトはすぐにバレるだろう…どうやら最高評議会はリボンズと手を組んだようだし、私は用済みな筈だ…

 

「フム…このアジトは放棄するしかないか。まあ、管理局の戦力分断にはなるだろう」

 

主要な設備はゆりかごに移して…後は管理局がこのアジトに来た時の為にジンクスとガジェットを残しておこう。

 

「私のアレもようやく完成したしな…」

 

おかげでウーノには叱られてしまったが、それだけの価値はあるはずだ。

しかし…七機あった私の手持ちのガンダムは既に三機しかない。

 

「スローネアイン、ドライ、ガンダムデュナメス…さて、どうしたものか…」

 

見事に後方支援タイプしか残っていない。おまけにドライは改造中、決戦にギリギリ間に合うかといったところだ。

 

「フム…アインにはツヴァイのバスターソードを持たせて、デュナメスにはエクシアのショートソードを持たせるか」

 

二機とも遠距離支援タイプだが見かけだけでも強そうに見える筈だ。

 

「失礼する。ドクタースカリエッティ、私達をお呼びですか?」

 

私の背後にある扉が開き、二つの影が部屋に入って来た。私は椅子を回転させて彼らに向く。

 

「ああ、計画がいよいよ大詰めでね。君達の力を借りる事になる。準備をしておいてくれたまえ」

 

「了解した、ドクタースカリエッティ。用件はそれだけですか?」

 

「ああ。君たちの活躍、期待させてもらうよ」

 

「承知…致しました。行きましょう…マイスター」

 

二人は用件が済むと踵を返してそのまま部屋を出ていった。

 

「やれやれ…相変わらずだねぇ…」

 

彼と彼女は私が保護をした…女は研究の為にだが…男の方は何故かこのアジトに突然現れた。

事情を聞くと彼はいわゆる次元漂流者だったのだが…コレは後々知り、驚いた事なのだが彼とリボンズは同じ世界の出身だったのだ。

しかし、リボンズが来たのは彼が来た4年後…私はリボンズに彼の事は話していない。もちろん、彼にもリボンズの事は話していない。

 

「私も手駒を全て晒すほど、バカではないからねぇ…」

 

さて、やれる事は殆どやりつくした。

 

「はてさて…闘いの女神さまは誰に微笑んでくれるかな…?クククク…ひゃあはははははははは!!」

 

「ドクター、うるさいですよ」

 

「すみません…」

 

いつの間にかいたウーノに笑っているだけで怒られてしまった…一応私、開発者なんだけどな…

 

 

?1side

 

 

 

「ふぅ…やっと外に出れるのか」

 

「ごめんなさい…私のせいで貴方にまで迷惑を…」

 

「気にするな。君が悪い訳ではないのだから」

 

私は通路を歩きながら隣を歩く彼女と話す。

 

「でも…」

 

「それに、私は…その、なんと言えばいいか…外に出るよりは君といるほうが…嬉しいんだ」

 

「あ…うん、ありがとう」

 

彼女の柔らかな笑顔、コレを見ていると私の心が穏やかな気持ちになる。

 

(昔の私だったら、考えられないな…)

 

あの頃の私は、任務こそが全てだった。だが…私は利用された挙げ句に死んでしまった…筈なのだが、まさか世界を飛び越えるとは思わなかったが。

 

(そこでドクターに保護され、このアジトで暮らしてからは戦闘機人のみんなからは兄として扱われているしな…)

 

私自身も違和感なく、それを受け入れていた。戦闘機人の彼女達から女性を前にして物怖じしない私は異性としてではなく、兄のような存在で見られるのだろう…

 

(そんな私が、まさか一目惚れをするとはな…)

 

彼女と出逢ったのはつい最近の事だ。

ドクターが連れて来た彼女は記憶がなかった。ドクターが何かやったのかと疑ったが、どうやら此所に連れて来る前からなかったらしい。

私は、彼女と対面したとき、体に電気が走ったような感じがした。

それからは…まあ、いろいろあったとだけ言っておこう。

 

「…どうかしたの?」

 

声をかけられて思考を戻すと、彼女が私を不安気に見上げていた。

 

「…なんでもない。部屋に戻ろうか」

 

「ええ…わかったわ…」

 

彼女と私は腕をくんで通路を歩く。スカリエッティの計画も最終段階…激戦は必須だろう。

 

(だが、今度は、この世界では負けはしない。彼女を護る為にも…!)

 

私は決意を固める。愛しき彼女と…共に未来を歩く為に。




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