魔法戦記リリカル00 ~世界を越えた超兵の話~(改定前)   作:かねごんマークII

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第40話 秘密の話し合い

レジアスside

 

 

 

私は自分のデスクで頭を抱えていた。

スカリエッティの裏切り…そして利用しようとしたガンダムのマスターでさえ犯罪者になった。

 

「何故だ、こんな、こんな事態になったのだ…」

 

さらに襲撃を受けた後、報告書を確認していた私は信じられない者を見てしまった。

 

「ゼスト…」

 

ゼスト・グランガイツ

管理局では上司と部下で、プライベートでは共に酒をかわす親友で、そして私のせいで死んだ筈の男だ。その男が、襲撃のおり、地上本部のすぐ近くまで来ていた…。

 

「恨んでいるだろうな…スカリエッティと関わりがあった私を…」

 

今でも思い出す…あの日の事を…

 

 

 

回想

 

 

 

「少しいいか、レジアス」

 

「ん?ゼストか、…どうした、何かあったのか?」

 

データの整理に集中していた私がモニターから視線を上げるとゼストが険しい顔をしてそこに立っていた。

 

「ああ…。やはり最近のあの事件に管理局の人間が関わっている可能性がある」

 

「…例の人造魔導師と戦闘機人のやつか…」

 

ゼストは実力もあり、勘のいい男だった。

さまざまな事件で共に戦った私だがこいつの勘に命を救われた事が多くある。

だが、今回は私にとって悪い方に当たっていた。

その事件の主犯に、私が関わっているのだから…

 

「…ゼスト、この件に深く関わり過ぎるなよ」

 

「何故だ?」

 

「仮に、この件にお前の言う通りに管理局の人間が関わっているとしよう。ソレが俺達よりも下の人間ならばどうとでも対処できる。…だが、俺達より上の人間だった場合がな…クビ以前に命がないぞ」

 

「だが…このまま納得のできるモノではない!」

 

拳をデスクに叩きつけて怒りを露にするゼスト。頑固なヤツだ…昔からそうだ。

こいつは普段はあまり喋らない男のくせに、時に自分が許せない事に関してはすぐに熱血漢になってしまう。

 

「落ち着けゼスト…此方でも調べてみる。それまでは下手に動くなよ。フォロー仕切れなくなる」

 

「…あぁ、わかった…すまん」

 

頭が冷えたのだろう。ゼストが部屋を出ていき、私は仕事を再開した。

 

 

 

回想終了

 

 

 

レジアス「まさかあの後すぐに出ていってスカリエッティの研究施設を襲撃するとは…」

 

そして…私が気付いた時にはすでに遅く、スカリエッティの戦闘機人によりゼストの部隊は全滅。

…私はその部隊の葬儀に参列したが、棺の中は確認しなかった。いや、出来なかったが正しいか。

 

「親友を見殺しにした私が、顔を合わせられるはずがない…」

 

「それでも会ってもらうぞ、レジアス」

 

ゾクリ…と身の毛がよだつ。何故だ…セキュリティは完璧なはずだ、何故ヤツがここに…!

ゆっくりと顔を上げる。声の主はやはり…。

 

「ゼスト…」

 

「随分と老けたな、レジアス」

 

死んだ筈の親友がそこに立っていた。

ゼストの後ろには影になっていて見えないが誰か立っている…おそらくゼストをここまで連れてきたヤツだろう。

 

「ハッ!大きなお世話だ……それで?此処まできたのだ、ただ会いに来たわけでもあるまい。情報を取りに来たのか?裏切り者の私の首でもはねて帰るか?それとも…「お前の正義は、まだ続いているのか?」…!!」

 

言葉を遮り、正義を問い質すゼスト。

驚くワシをジッ…と見るヤツの目は、最後に別れたあの時のままだ。強く、己を曲げない、決意を秘めた目。

 

「答えろ、レジアス」

 

今さら、言える訳がない。地上の為、管理局の為、人々の平和の為…どれを口にしても言い訳にしかならない。

 

「……私の、俺の正義は…」

 

言葉にならない。悪の道と知りながら進んできた…部下も親友も家庭も、全てを犠牲にした。その結果で得たモノも、全てを無くした。

 

「フン…今さら何を口にしようと、全て言い訳にしかならんな…。だが、これだけは言える、言わせてほしい」

 

「…なんだ?」

 

席を立ち、ゼストの前に立つ。

 

「すまなかった」

 

膝をつき頭を床につける。これで済むなど思っていない、私は…首を斬られる覚悟を決めた。

 

「…レジアス、今のお前にならば、全てを話してもいいだろう」

 

顔を上げるとゼストはワシのデスクでキーボードを打ち始めた。

 

「コレを見ろ」

 

「……?なんだ、コレは?」

 

画面には何かの設計図が写されていた。

詳細は解らないが…ざっと見た限りでは人型であるところを見るとガンダムやジンクスと似たモノだと解った。

だがその横にある大型のコレはなんだ?

 

「スカリエッティが開発しているモノでスカリエッティ自身が使用するためのモノらしい」

 

「ヤツ自身が?科学者のヤツが前線に出るというのか?」

 

「わからん、だが…仮にコレが前線に出れば被害は計り知れない」

 

「そこで、レジアス中将には私達に協力してほしいのです」

 

いままで影にいた人物がこちらに歩いてくる。どうやら女性だったらしい。

 

「お前は?」

 

「直接こちらから貴方に接触するのは初めてね。私の名前はドゥーエ、ドクタースカリエッティに従って動いていた者よ」

 

な…!?スカリエッティに従っていただと!?思わず後退りしてしまったがドゥーエはクスリと笑って言葉を続ける。

 

「でも、今は違うわ。今の私は私の愛した男の為に戦う女よ。ドクターとは袂を別っているわ」

 

表面上はドクターに従っているけどね、とドゥーエは言った。……つまりは、現在はスカリエッティには従っていないのか。

 

「そういう事だ。だから俺がこの部屋まで来れたのだ」

 

「そうだったのか…それで、私に協力できる事はなんだ?」

 

「話が早くて助かるわ。貴方に頼みたい事は二つ、一つは今日からあと数日以内にドクターが行動を開始すると思うの。ドクターが行動を開始したら貴方には地上部隊の全体指揮をとってもらうわよ」

 

やはり、アレで終わるはずがないか。今回の襲撃は謂わば序章のようなものだろう。本番はこれからということか。

 

「望むところだ…二つ目は?」

 

「二つ目はアリオスのマスター、アレルヤ・ハプティズムが何処に連れていかれて、今は何処にいるのか調べて欲しい。彼はこれから起きる戦いで必要な存在らしいわ」

 

……?確かにあの青年はかなりの強さだと思うが、そこまで必要な存在なのだろうか?

 

「(考えてもしかたがない)…どこまで分かるか確約は出来ないが調べておこう」

 

「私の用件はこれで終わり…それより、そろそろ出ないとセキュリティが作動しかねないわよ、ゼスト?」

 

ゼストは頷くとそのまま出口へと歩いていく。

 

「…ああ、言い忘れていた…レジアス」

 

「なんだ?ゼスト」

 

「過去は変えられない、だが、未来なら変えることが出来る…忘れるなよ」

 

ゼストは振り向くこともなくドゥーエと共に出ていった。……未来なら変えることが出来る、か…

 

「フ…ヤツらしいな、まったく…。オーリス、私の執務室に来てくれ。仕事だ」

 

通信を使いオーリスを呼ぶ。さて、利用されるだけだった私がどこまでやれるか見せてやるとしよう。

 

「このレジアス・ゲイズをこけにした代償は高いぞ、スカリエッティ!」

 

 

 

ハルート・マルートside

 

 

 

「ハルワタート、同調完了…疑似太陽炉‐改、正常稼働を確認」

 

「オールシステム、クリア。行けるわね」

 

研究施設から帰ってきた私達は試作機の改造とアムルタートの調整とシステムの移植を開始、2日もかかってしまったけどやっと最終調整までやることが出来た。

 

「あ、そういえば…この子の名前、なんにしようか?」

 

私の脚に展開されている回収した試作機、私専用のデバイス…

 

「アタシはマルート、アナタはハルート、アタシ専用デバイスがアムルタートならアナタ専用デバイスはハルワタート、て名前がいいんじゃない?」

 

「ハルワタート…そだね、それでいこう!それじゃ、行くよ!ハルワタート!」

 

広大な海の上でハルワタートを展開して私は飛び回る。ハルワタートのバリアジャケットはアムルタートのバリアジャケットの色を真逆にした物で唯一の違いはアムルタートは背中にブースターがあるけどハルワタートは脚にブースターが装備されているところだけだ。

 

「ハルワタートは順調ね…次はアタシ達よ、アムルタート」

 

〈了解しました、マイ・ロード。セットアップ〉

 

ハルワタートを解除してアムルタートを展開する。こちらはブースターを改造した以外には以前と大差はない。

 

「アムルタート、増設したビームキャノンの試射をやるわよ」

 

〈了解〉

 

背中のブースターが260度回転して私の腰の所で止まる。

 

〈チャージは完了しています、いつでもどうぞ〉

 

「了解、キャノン発射」

 

次の瞬間、ブースターの先端からビームが発射され、海に着弾すると高い水柱が上がった。

 

「…アムルタート、どうだった?」

 

〈全システムに異常無し…ロードの方はどうですか?〉

 

「アタシも異常無しよ」

 

何度かそれを繰り返して調整を終え、カイゼルの隠れ家に帰ってきた私は軽くシャワーを浴びたあと、バスローブのままベッドに倒れ込んだ。

 

「あぅあ~…つかれた……」

 

マルートも流石に疲れたのか、家に着いたと同時に何も話さなくなった。

 

「も…ダメ………寝…る…」

 

私もだいぶ疲れていたみたいで……ベッドの心地よさに体を預けて、そのまま眠りについた。

 

 

 

リースside

 

 

 

カイゼルの屋敷で私は自分の身体を検査してみた。

結果は…あまりよろしくは無かったが。

 

「やはり…私にはアリオスになる事位しかできないのか…」

 

当然、夜天の魔導書にあった魔法は元の主、はやてに全て託した為に使えなくなっていた。私自身に残っていた魔法も一度は消滅したうえに長い時の中をさ迷っていたのだ。失ってしまうのは当然だと言えた。

 

「………ハァ…」

 

先の事を考えていても私から出るのはため息ばかり。

リボンズが敵にいるのだ、リボーンズガンダムは必ず出てくるだろう…その為の対抗手段が私にはない。

 

「マイスターの世界での最終決戦……アリオスは両手が使えなかったとはいえ、このままでは結果は見えているようなモノだな」

 

マイスターがいない今、そしてマイスターがいない状態でリボーンズガンダムと戦闘になったら…私には勝ち目がないだろう。

 

「どうしたら……ん?」

 

考え事をしながら廊下を歩いていると、一部屋だけ扉が開いたままだった。

 

「あれは…ハルートの部屋だな」

 

部屋の中を覗くとハルートがベッドに突っ伏して寝ていた。

 

「まったく…風邪をひくぞ」

 

ちゃんと寝かせる為にハルートを抱き抱える。…軽い、ちゃんと食事をしているのか?

 

「ふふ……よく寝ている」

 

ちゃんと寝かせて布団をかける。

 

〈リース、少しいいか?〉

 

「どうかしたのか?アムルタート」

 

部屋を出ようとした時、備え付けの机に置かれていたアムルタートが私に話しかけてきた。

 

〈これからの戦いに備えての提案があるのだ〉

 

「これからの戦い…」

 

〈そうだ…私のマスターであるハルートはユニゾンデバイスだ。それゆえにユニゾンした後、戦う為のデバイスである私は正直あまり役には立たなくなる〉

確かに……アムルタートは魔導師をサポートするタイプのデバイスではない。むしろアームドデバイスに近いタイプだ。

 

「…それで?」

 

〈私とハルワタートで貴女とアレルヤのサポートにまわろうと思う〉

 

「それはありがたいが…そんな事が可能なのか?」

 

〈可能な筈だ。少し前の話だが私の性能はアレルヤの世界でいうアリオスの支援機、GNアーチャーと似ている事がわかった。これにキュリオスの武装データも使えば私とハルワタートを使う事が出来るはずだ〉

 

確かに、それなら可能だ。だがそれはハルートがマイスターアレルヤとユニゾンする事が大前提の話だ。

 

「ハルートの考えは…?」

 

〈既に覚悟はできている…と言っていた〉

 

ならば、私には何も言えないな。

 

「わかった。なら急いでデータを組み上げよう。時間はあまり残されていないからな」

 

ハルートの机にある電子端末を使ってキュリオス、アリオス、GNアーチャー、アムルタート、ハルワタート、それぞれの武装データを打ち込み、データの分解と再構成を繰り返し、最善のデータを作り上げる。

 

「(マイスター…私もハルートも貴方の無事を祈っています。また、共に戦う為に…)……よし、頑張ろう、未来の為に…!」

 

私は必ずマイスターに会えると信じて、作業に集中することにした。

 

 

 

ゲンヤside

 

 

 

夕陽が沈む時間…俺は自分の執務室にあてがわれたソファーに腕を組んで座っていた。

 

「ったく…決戦前にこういった話はしないに限るんだがな…」

 

いや、決戦前だからこそか…俺は六課のタヌキ嬢ちゃんやそのお仲間さんに告げなければならないことがあるからだ。

 

「……なるようにしかならんか」

 

その時、部屋の呼び鈴がなった。

 

「失礼します。ギンガ・ナカジマ及びアニュー・リターナー、入ります」

 

「ん?おお、入ってくれ」

 

失礼します…と入ってきたのは俺の娘のギンガと最近になって六課に入ったアニュー・リターナー嬢ちゃんだ。

 

「すまなかったな、呼び出したりしちまって」

 

「いえ、気にしないでください。アチラで自由に動けるのは私だけですから」

 

二人をソファーに座らせ、机に置かれているスイッチを押す。ブン…という音と共に空中にモニターが幾つか現れ、それぞれに六課の連中が写っている。

 

『お父さん!久しぶり〜!』

 

『師匠〜、今回はどんな用件なんですか?』

 

『我々に対して秘密回線を開くほどの内容です。何か重大な事態でも起きましたか?』

 

『私にも連絡があるのには驚いたがな』

 

色んな画面から六課の連中とカイゼル大将がワイワイと話しかけてくる。まったく…賑やかなもんだ。

 

「今回、こうやって通信を開いたのは他でもねぇ…幾つかの報告と情報を伝えようと思ってな」

 

『情報と報告ですか?』

 

「ああ、まずはコレを見てくれ」

 

全員が見れるようにデータを転送し、画面を表示する。

 

『コレは…アインヘリアルか?』

 

「さすがは大将だな…そうだ。コレはレジアス中将が製造に力を入れていた移動要塞アインヘリアルだ。だが…数日前にコレが落とされた、三艦あったものがほぼ同時刻に三艦ともな」

 

全員の顔が引き締まる。

 

『こんな大きな要塞が…』

 

高町嬢ちゃんの言いたい事は俺も同じだ。

 

『移動要塞というからには戦力は申し分なかった筈ですよね?』

 

「ああ…戦力は確かにあった。けどな、最近はその常識が通用しなくなってるのはお前らが一番よく知っているだろう?」

 

『ガンダム…それとGNドライヴですか』

 

「察しがいいな、そうだ。確かにアインヘリアルを落としたヤツはGNドライヴを使っていた。だが…相手はガンダムではないし、それにたったの一機だったみたいだ」

 

 

 

アニューside

 

 

 

『たった一機に移動要塞が…』

 

全員が絶句する。おそらくみんな私と同じでジンクスを大量にぶつけた…と考えていたんだと思う。

 

『それで、それは三機とも同一機体なのか?』

 

『?、どういう事だ?』

 

カイゼルの発言にヴィータが問いかける。その様子にみんなが注目していた。

 

『先ほどナカジマ隊長はたったの一機と言った。だが…ほぼ同時刻に移動要塞がたった一機に潰されたとは物理的にありえない。なら同一機体が一斉に攻めてきた、と考えるだろう』

 

『なるほど…つまりアインヘリアルを攻撃したのヤツは少なくとも三機、しかも単機で要塞を落とせる力を持ったGNドライヴ掲載機…ちゅう訳か』

 

カイゼルの考えを聞いてはやてが頷く。

 

「話が早くて助かる、だから聞きてぇんだ。アニュー嬢ちゃんの世界にはそんな機体が存在するのかどうかをな」

 

ゲンヤさんの言葉に今度は私に視線が集中する。

あんまり情報を開示するのは今後の為にも避けたいところなんだけど…探してみるとしましょうか。

 

「わかりました。少しだけ待ってもらえますか?ハロの中にある情報を引き出しますので」

 

「ハロ?なんだそりゃ?」

 

「私の持っている情報端末です。説明が長くなるので省略しますが私の体は特殊なユニゾンデバイスになっていてこの身体1つで電子機器や端末に直接アクセスできるんです」

 

ゲンヤさんに説明しながら私はハロにアクセスして情報を検索、引き出す。

 

「何件かヒットしました。情報を表示しますね」

 

私が六課のみんなを写しているモニターの端末に触れるとハロからの情報が画面に表示された。

 

『…コレ、なんて読むのかな…ア、アル…解んないよ?』

 

『これは英語だね、私達の地球で使われてる言語と同じだ』

 

スバルの疑問になのはが答える。

 

『せやな…。そのまんま読むなら、ダブルオーライザー、ガンダムヴァーチェ、セラヴィーガンダム、スローネアイン、アルヴァトーレ、レグナント、GNアームズ、GNアーマー、ガデッサ、リボーンズガンダム…か』

 

はやてが分かりやすくそれぞれの機体の名前を読み上げ、それに会わせて私が情報が事細かに表示していく。ミッドチルダ組は英語が読みにくそうではあるけど、はやて達地球出身組に解説されながら理解していく。

 

『このうちのガンダムヴァーチェ、ダブルオーライザー、セラヴィーガンダム、リボーンズガンダム、ガデッサは除外していいだろう』

 

『何故だ?』

 

カイゼルの除外宣言にシグナムが問いかける。

…あ、そうか。カイゼルにはニールさんがいるから分かってるのね。

 

『私の部下が手に入れた情報だが管理局上層部の連中が秘密裏にリボンズを管理局協力者と承認したらしい』

 

『そんな…!』

 

なのはが驚きの声をあげ、全員が驚愕していた。

予測はしていたけれど…自分達のいる組織が悪事に手を貸しているのはやはりショックなんだろう。

 

『……話の続きになるのだが、アレルヤが捕まる直前に私達の前に疑似太陽炉を積んだ機体が三機ほど現れた。阿修羅に記録させたのだが…どうやら三機のうちの一機がこのデータにあるガデッサのようだ』

 

『チクショウ…それじゃ、アレルヤは裏切り者に捕まった、て事かよ!』

 

悔しげに歯噛みをするヴィータ。カイゼルは険しい表情のまま言葉を継げていく。

 

『そういう事になるな。そしてリボンズの性格と管理局協力者という立場上、アインヘリアルはそれなりに利用価値がある筈だ。ソレをわざわざ危険を犯して破壊するとは考えにくい。だからリボーンズガンダムの線も無しになる』

 

なるほど。確かにリボンズは自分に対して利用価値があるモノは使う筈…ソレを破壊する訳がないか。

 

「他のガンダムはどうして除外なんだ?」

 

『それは俺が説明する』

 

カイゼルの写っていた画面にカイゼルと交代してライルが写る。

 

『兄さん、お元気ですか?』

 

『お、ティアナか。数日ぶりだな。だが今は説明を優先させてくれ』

 

『わかってます。私もそこまで子供じゃないですから』

 

彼女をほっぽいて年下とイチャイチャするとか…後でお仕置きしなきゃ。と考えていると私の表情をみて、顔を少しひきつらせてライルが話始める。

 

『す、すまねぇな。それじゃ、気を取り直して説明するぞ。一機目はガンダムヴァーチェ、コイツは聖王教会の戦闘で自爆したが経緯はどうであれ、同世代機のエクシアとキュリオスがコチラの戦力にやられた以上は同世代のガンダムをまた作るのは時間もコストも馬鹿にならないし、無駄にしかならないと言うのが理由だ』

 

『ふむふむ…なるほどな』

 

『次はセラヴィーとダブルオーについてだが、俺は軽くしか知らないがアニューはよく知ってる筈だぜ』

 

ライルから私にバトンが回ってきたので私も説明する。

 

「リボンズはこの世代の機体…アリオス、ケルディム、セラヴィー、ダブルオー、俗に第4世代機と呼ばれる機体なんだけどこの四機に関する情報は一切もっていないの」

 

『どうして?』

 

フェイトの疑問の声を第4世代の機体を表示しながら説明を続ける。

 

「六課のみんなはアレルヤから聞いてると思うけど、リボンズは私達の世界の時間でいう四年前にヴェーダを掌握した。その際にリボンズにとって用済みになったプトレマイオスのクルー……つまりチームトレミーを全滅させるつもりだった」

 

みんな暗い表情をする。今でこそ、内密とはいえニールさんは生きているけど世界を越えるという奇跡が起きなければ彼はあそこで死んでいただろう。

 

「けれど、チームトレミーは四年後に再び立ち上がった。間違った再生をした世界を破壊するために。その際にトレミーのメンバーはヴェーダに頼らずに新たにガンダムを作ったのよ」

 

『ソレがアリオスを含めた四機というわけか…リボンズがヴェーダを掌握したとはいえ、ヴェーダを介さずに内密に作られたのなら知るよしも無しか』

 

「そういう事…私もリボンズに渡したのはツインドライヴとトランザムシステムのデータだけだったから…」

 

シグナムの言葉に同意しながら私は、ライルを裏切った時の事を思い出す。愛したのに、解り合えたのに…私は…彼を殺そうと…

 

『アニュー、気にするなよ』

 

ライルの声にハッと顔を上げると彼が不敵な笑みを浮かべていた。

 

『済んだ事を悔やんでも仕方ねぇ、俺達は生きてるんだ。なら今と未来を考えて生きようぜ?』

 

「そうだね…ありがと、ライル」

 

しんみりした空気になってしまった事に謝罪をしようとした声を出そうとした時、通信回線に一人割り込んできた。

 

『ん?カイゼル、何か会議中か?』

 

割り込んできた人物を見て、みんなの顔が鳩が豆鉄砲をくらったような顔になる。数人ほどは目頭を押さえて苦い顔をしているが。

 

『…ライルさんが、二人?』

 

『あ、やっぱり二人いるよね。良かった、私がおかしくなったのかと思ったよ』

 

『はははは…説明してもらおうか、カイゼル?』

 

隊長2人が己の正気を疑い、はやてはニコリと笑顔を浮かべた。但し、目が笑ってないため怖い笑顔だが。

 

『う、うむ…解った。全て話そう』

 

はやての笑顔に顔を青くしながら答えるカイゼル。そして語られるカイゼルとニールさんの出会いから今に至るまでの経緯…。

 

『ふ〜ん…それで、なんで今まで黙ってたんや?』

 

『君達やアレルヤに伝えなかったのは俺の仕事柄、あまり表に出るわけにはいかなかったからな…黙っていてすまなかった』

 

 

 

ニールside

 

 

 

うっかり会議中に通信を繋いでしまい、事情を説明しなければいけなくなったため、経緯を説明して俺が素直に頭を下げた事でみんなは納得してくれたようだ。

 

『ま、しゃあないか…事情があったんやし。せやけど、アレルヤには次に会った時にキチンと説明してや?せやないと悲しいやん』

 

「すまない。これについても俺から話すからみんなはそれまでは内密にしてくれ」

 

八神隊長が締めくくり、話を終わらせると脱線していた話を元にもどす。

 

『しかし、これで絞れたな』

 

『後はスローネアイン、アルヴァトーレ、レグナント、GNアーマー、GNアームズですね』

 

『データだけでも分かるがスローネはともかく、この四機のどれが残っても厄介だな…』

 

確かに…俺達の世界でもこの四機は厄介な扱いだろう。大型な機体ほど強固なGNフィールドが展開可能だし、強力な攻撃が可能な筈だ。

 

「ナカジマ隊長、もう少し情報はないんですか?」

 

『すまねぇ…こちらも機影を捉えた情報とかを探したが無かったんだ』

 

俺の質問にナカジマ隊長が苦い顔をする。ここにきて手詰まりか…

 

『割り込み失礼する…』

 

皆で頭を悩ませているところに突然の第三者の通信が入り、全員に緊張が走る。

 

『!?…どちらさんだ?この秘匿回線に割り込みなんざしてくるヤツぁ…』

 

すぐに冷静になったナカジマ隊長が第三者に話しかける。音声だけで相手の姿が画面には写っていない。…不味いな、管理局上層部に嗅ぎ付けられたか…!?

 

『ゲンヤか…久しいな。俺だ』

 

『……その声に聞き覚えはあるが…あり得ねぇな。ヤツは死んだ』

 

『ああ、俺はあの時に死んだ。だから俺はただの亡霊として、このデータをお前に渡しに来ただけだ…』

 

そして謎の人物が送ってきたのは…何処かの施設の写真、それと何かの設計図だった。

 

『これは…モビルアーマーの設計図?』

 

どうやらアニューさんが何かに気づいたらしい。

 

『後はお前達の仕事だ…じゃあな、ゲンヤ』

 

『ま、待て!』

 

通信を切られたのか、謎の人物は何も言わなくなった。

 

『師匠、今のは…?』

 

『……追々話す。それより、アニュー嬢ちゃんはこのデータが何なのか解ったのか?』

 

八神隊長の質問を流してアニューさんに質問を飛ばすナカジマ隊長。…なるべく話を反らそうとしているように見えたのは俺だけだろうか?

 

『ええ…少し違いがありますけど、間違いありません。コレはアルヴァトーレの設計図です』

 

『写真の方はどうだ?』

 

『形が違うのではっきりは言えないですけど…アルヴァトーレだと思います。完成していると見て間違いありません』

 

謎の人物による情報提供なため憶測にしかならないがなるほど…コレである程度は予測がたつ。

 

「襲撃犯はスカリエッティの可能性が大だな」

 

『私もニールさんに同意見ですね』

 

『どうして断言できるんですか?』

 

俺の判断に同意するアニューさん。確認するかのようにハラオウン隊長が疑問の声をあげる。

 

『リボンズがアルヴァトーレを作る理由がないのよ』

 

『ああ、そういう事か…』

 

『ティア、解るの?』

 

アニューさんからの答えを聞いたティアナさんはまだわかってないスバルさんの為に説明を始めた。

 

『まあね。アルヴァトーレは普通の運用には不便なのよ。GNドライヴを七基も積んでるのだから制圧戦には強いけど、単機で戦いを挑まれたら負けると思うわ』

 

『でもでも、ファングも装備してるみたいだよ?』

 

『ファングは確かに強力な武器よ。だけど、コチラの世界は射撃と誘導に特化した魔導師が沢山いるのよ?おまけにアレルヤさんの過去を見た時は確か…そう、エクシアとダブルオーライザーのパイロット、刹那さんは剣を使ってファングを落としていたし、ソレを考えると刹那さんと戦ったリボンズが同じ事をするとは私は思えないわ』

 

的確な説明をするティアナさん。さすが、フォワードのリーダーを勤めるだけはある。

 

「それに…コチラの世界に来たのは確認できたので俺、ライル、アニューさん、アレルヤ、リース、リボンズの六人。そして唯一、俺達に敵対しているのはリボンズだ。ジンクスの件から考えてもヤツは自分の障害にならない程度の技術をスカリエッティに渡している筈だ」

 

『なるほど、つまりアルヴァトーレはリボンズがスカリエッティに渡したデータなんやな?自分に必要のないモノだから』

 

「そういう事だ。俺としてはこの考えがしっくりくる」

 

『と、なると…アインヘリアルを落としたのはスカリエッティ。機体はアルヴァトーレ、まではわかったけどさ、これが複数あるってことやな。並の魔導師じゃ一瞬で落とされてしまうなぁ』

 

「そこは同じGNドライヴ持ちが対処するしかねぇだろうな。実体剣の用意をしておくが、普段から近接戦闘をやってないやつだと厳しいな」

 

八神隊長の考えに捕捉をいれつつ、この秘密会議は遅くまで続いた。

 

 

 

 

ゲンヤside

 

 

 

会議が終わり、ギンガがアニュー嬢ちゃんと部屋を出ていったあと、俺は割り込んできた声の主を思い出していた。

 

「なんでテメェは生きてるんだ…?」

 

端末を操作すると、俺の若い時の写真データが写される。…懐かしい、管理局に入った頃に同僚と撮ったものだ。

 

「……生きてるのなら、聞かせてもらうぜ。あの時の真相を、何が起きたのかを」

 

若かりし俺とともに写真に写るコイツに、俺は聞かなければならない。

 

「でなきゃ俺は…いや、スバルにギンガも、アイツがなんで死んだのか…死ななきゃならなかったのか。納得できねぇからな…」

 

妻の、クイントの死の真相を…ヤツはその場に立ち会ったはずだ…。

 

 

 

 

 

「必ず捕まえるぞ………ゼスト」




投稿が不定期過ぎて申し訳ありませんm(__)m

誤字や脱字がありましたらお知らせ下さいませ(´∇`)
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