【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
「LDS融合クラス所属の
「遊勝塾の柊柚子よ。全力で行かせて貰うわ!」
第2試合、遊勝塾からは柚子が、LDSからは、本当に日本人なのかと突っ込みたくなる褐色の肌に、黒のおかっぱ頭の少女、光津真澄。
当初、沢渡襲撃事件の事もあって迷いを抱えている柚子を出すのはどうかと思い、エレンが立候補しようとしたのだが、それを押しのけて自分が出ると言い出した。
本当に大丈夫なのかと思ったが、こうと決めた時の柚子は梃子でも動かないし、最近空気気味だった塾長が「今のお前は、輝いて見えるぞぉ!」と褒めちぎっちゃったからなぁ。
まあ、普段のデュエルを貫いてくれれば勝てない相手はいない、柚子、頑張ってくれ。
「戦いの殿堂に集いしデュエリストが!」
「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」
「「アクショーン、デュエル!」」
先攻 Yuzu LP 4000 VS 後攻 Masumi LP 4000
さて、真澄はどんなデッキか…
と、思案を巡らしていると、
「ふふふ」
「な、何が可笑しいの?」
突然、真澄が笑い出し、それに気付いた柚子がムッとしたのか突っ込みを入れる。
「いや、ごめんなさい。でも、今の貴方が輝いて見えるって言っていた貴方のお父さん、相当な親バカだと思って」
「何ですって?」
いや、確かにそれは分からんでも無いが、初対面の存在にバッサリと指摘するのはどうなんだ?
「確かにお父さんは親バカよ。それでも私の為に一生懸命になってくれる人よ!それを笑うなんて許せないわ!」
「許せない、ねぇ?今の貴方に、目のくすんでいる貴方に、その気持ちが貫けるのかしら?」
「っ!」
それに反論する柚子に向けて真澄が言い放った言葉、それは柚子の図星を突いた。
目がくすんでいる、気持ちが貫けるのか?つまり、迷いを抱えている柚子の心の内を、心の澱みを、目の輝きに例えた今の言葉。
それをずばりと指摘された柚子、反論できないのか俯いてしまう、が、
「確かに、そうね…
今の私の目は、貴方が言っている様にくすんでいるのかも知れない、澱みを抱えているのかも知れない。けれど、それでも気持ちを貫いて見せるわ!貴方を倒して見せるわ!
私の先攻!
まずは魔法『独奏の第1楽章』発動!」
独奏の第1楽章
通常魔法
『独奏の第1楽章』は1ターンに1枚しか発動出来ず、このカードを発動するターン、自分は『幻奏』モンスターしか特殊召喚出来ない。
1:自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動出来る。手札・デッキからレベル4以下の『幻奏』モンスター1体を特殊召喚する。
「独奏の第1楽章の効果で、デッキからレベル4の幻奏モンスター『幻奏の音女セレナ』を守備表示で特殊召喚するわ!」
幻想の音女セレナ
効果モンスター
光属性
天使族
レベル 4
守備力 1900
直ぐに向き直ると同時に決意したかの様にデュエルを進行させる。
で、最初に使ったのが予想GUYの幻奏モンスター版とも言うべき『独奏の第1楽章』、その効果で出て来たのが、ピンクの長髪、暖色系のドレスを身に纏った幻奏の音女、セレナ。
「セレナを特殊召喚したターン、私は通常召喚に加えて幻奏モンスターを1回召喚出来るわ!
更に、天使族モンスターをアドバンス召喚する際、セレナは2体分のリリースにする事が出来るわ!この効果でセレナをリリースして、アドバンス召喚!天上に響く妙なる調べよ、眠れる天才を呼び覚ませ!出でよ、レベル8!『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』!」
幻想の音姫プロディジー・モーツァルト
効果モンスター
光属性
天使族
レベル 8
攻撃力 2600
そのセレナをリリースして登場したのは、赤を基調としたドレスを身に纏い、右手に指揮棒を構えている幻奏の音姫、プロディジー・モーツァルト。
その様子に、さっきから笑みを浮かべたままの真澄が、その笑みを深めた様に見えた。
「へぇ、いきなりエースモンスターを立てるなんて、随分余裕が無いのかしら」
「誰が、プロディジー・モーツァルトがエースだって言ったかしら?確かに彼女はこのデッキのキーマンではあるけど、キーマンとエースは別物だって事、教えてあげるわ!」
「何ですって?」
が、その指摘は的を射ておらず、柚子に突っ込まれていた。
まあ、あんな口上を聞いたら誰だってエースだと誤解すると思うんだが。
だが実際の所、柚子の言葉に嘘は無い。
「プロディジー・モーツァルトの効果発動!この効果を発動するターン、私は光属性モンスターしか特殊召喚出来なくなるけど、元から幻奏モンスターしか出せないから関係ないわ!
この効果で、手札から光属性・天使族モンスター、『幻奏の音女タムタム』を守備表示で特殊召喚!」
幻奏の音女タムタム
効果モンスター
光属性
天使族
レベル 4
守備力 2000
プロディジー・モーツァルトが指揮棒を振ると、その近くに、幻奏モンスターにしては珍しく楽器の一種、銅鑼を持った幻奏の音女、タムタムが出現した。
さあ来るぞ、柚子のエースが…!
「幻奏モンスターがフィールドにいる状態で特殊召喚したタムタムの効果発動!
私のデッキから、
『融合』を1枚、手札に加えるわ!」
「ゆ、融合ですって!?馬鹿な、なんで貴方が!?」
またその反応かよ、観戦中のLDS陣営の皆まで。
とは言え、それまでニコニコしながら柚子に精神攻撃を仕掛けていた真澄が此処で初めて、驚愕の表情を浮かべた。
これで柚子のペースに持っていけると尚良いな。
「貴方がさっき言っていた言葉、そっくり返すわ。『貴方の目、くすんでいるわ』!」
「っ!?」
「私の心が迷い、澱んでいた事によって私の目がくすんでいたとしたら、貴方の心は驕りという水槽に閉じこもって、澱んだままの状態よ!そんな目で、よく私の目のくすみが見えた物ね!」
「う、うるさいうるさいうるさい!さっさとターンを進めなさい!」
意趣返しと言わんばかりに語る柚子を遮るかの如くデュエルの進行を促す真澄、間違いなくデュエルのペースは、柚子が握り出している…!
「言われなくても分かっているわ。今手札に加えた魔法『融合』発動!」
融合
通常魔法
1:自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
「手札の『幻奏の音女アリア』と、フィールドのタムタムを融合!
響き渡る歌声よ!魂の響きよ!タクトの導きにより力を重ねよ!融合召喚、今こそ舞台へ!『幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト』!」
幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト
融合・効果モンスター
光属性
天使族
レベル 6
攻撃力 2400
融合召喚の演出を経て、フィールドに舞い降りたのは、オレンジ色の長髪、黒を基調としたドレスを身に纏い、左手に指揮棒を構え、顔の上半分を仮面で覆った幻奏の音姫、マイスタリン・シューベルト。
来たか、柚子のエース、その一角が…!
「タムタムには融合素材に使うと発動出来る効果があるけど、此処では使わないわ。
カードを1枚セットして、ターンエンド!」
Yuzu
LP 4000
手札 0
モンスター 幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト(攻撃表示)
幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト(攻撃表示)
魔法・罠カード セット
「融合召喚が出来るからってつけ上がらない事ね!私のターン、ドロー!
私は手札から魔法『ジェムナイト・フュージョン』発動!」
ジェムナイト・フュージョン
通常魔法
1:自分の手札・フィールドから『ジェムナイト』融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
2:このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地の『ジェムナイト』モンスター1体を除外して発動出来る。墓地のこのカードを手札に加える。
ジェムナイト・フュージョンって事は、真澄のデッキは『ジェムナイト』か。
「手札の『ジェムナイト・ルマリン』と『ジェムナイト・オブシディア』を融合!
雷帯びし秘石よ!鋭利な漆黒よ!光渦巻きて新たな輝きと共に1つとならん!融合召喚!現れよ、勝利の探求者!『ジェムナイト・パーズ』!」
ジェムナイト・パーズ
融合・効果モンスター
地属性
雷族
レベル 6
攻撃力 1800
真澄の場に登場したのは、端末世界の勢力である『ジェムナイト』に所属する、
そのステータスはレベルの割にしょぼいが、2回攻撃に、俺が十代だった頃のエースの一角だった『E・HEROフレイム・ウィングマン』の様なバーン効果を持っている等、戦闘におけるポテンシャルはかなり高い。
真澄だって、素のステータスの低さを分かった上でこうして出したのだ、恐らく効果を活かす為の手段が初手に入っているのだろう。
が、
「此処で手札から墓地に送られた『ジェムナイト・オブシディア』の効果発動!墓地にあるレベル4の通常モンスター『ジェムナイト・ルマリン』を…
な、無い!?何で墓地にカードが無いの!?たった今融合で墓地に送った筈!」
柚子の場にいるエース相手にそれは、悪手だ。
墓地から効果を発動しようとした真澄だが、真澄の左腕に装着されたデュエルディスク、その墓地の部分に送られた筈のカードは無くなっていた。
良く見ると其処から何か光の様な物が放出されていて、それはどういう訳か指揮棒を振るっているマイスタリン・シューベルトに取り込まれていった。
「私はオブシディアの効果にチェーンして、マイスタリン・シューベルトの効果を発動したわ!
このカードがフィールドに表側で存在する間に1度だけ、私と貴方の墓地のカードを3枚まで除外し、除外したカードの数×200だけ攻撃力をアップ出来るの!
その効果で私は、貴方の墓地に送られたオブシディアとルマリン、そしてジェムナイト・フュージョンを除外し、マイスタリン・シューベルトの攻撃力を600アップさせて貰ったわ!」
「な、何ですって!?」
幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト 攻撃力 2400→3000
出た、遊戯王名物「発動していた」。
まあネタに突っ込むのは野暮という事でスルーして、柚子のマイスタリン・シューベルトには墓地肥やしメタと言うべきこの効果がある。
恐らく真澄は、オブシディアの効果でルマリン蘇生、更に墓地のジェムナイト・フュージョンを、オブシディアを除外してサルベージして更なる融合に繋げようとしたのだろう(多分、マスター・ダイヤ辺りか?)が、マイスタリン・シューベルトがいる所でそれは少し迂闊だったな。
「くっ…!モンスターをセットしてターンエンド!」
Masumi
LP 4000
手札 2
モンスター ジェムナイト・パーズ(攻撃表示)
セット
魔法・罠カード なし
「私のターン、ドロー!よし…!
Ladies and Gentleman!Boys and Girls!これより私、柊柚子と我が幻奏モンスター達による華麗なる歌劇、そのフィナーレと参ります!」
「なっ!?もう勝ったつもり!?」
ここで予告フィナーレか、余程良い引きだったのか?
「そのフィナーレに相応しい女優に、ステージへと上がって貰いましょう!
プロディジー・モーツァルトの効果発動!
手札から『幻奏の音女エレジー』を攻撃表示で特殊召喚!
特殊召喚したエレジーがモンスターゾーンに存在する限り、私のフィールドにいる天使族モンスターの攻撃力は300アップします!」
幻奏の音女エレジー
効果モンスター
光属性
天使族
レベル 5
攻撃力 2000→2300
幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト 攻撃力 2600→2900
幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト 攻撃力 3000→3300
プロディジー・モーツァルトが指揮棒を振ると、その近くに、名を体現したかの様な暗い色調のドレスを身に纏った幻奏の音女、エレジーが出現した。
これでさっき融合素材として墓地に送ったアリアが蘇生したら、アリアエレジーロックの完成だな。
「それではバトルフェイズに入ります!
マイスタリン・シューベルトでパーズを攻撃!
ウェーブ・オブ・ザ・グレイト!」
「させないわ!アクションマジック『ステルスマイン』を発ど、な!?避けられた!?」
「エレジーがモンスターゾーンに存在する限り、特殊召喚されたモンスターは効果では破壊されません!融合召喚は特殊召喚、よってマイスタリン・シューベルトはステルスマインの効果で破壊されません!」
「な!?きゃぁ!」
ステルスマイン(今作オリジナルカード)
アクションマジック
1:相手モンスターの攻撃宣言時に発動出来る。その攻撃モンスターを破壊する。
幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト 攻撃力 3300 VS ジェムナイト・パーズ 攻撃力 1800
Masumi LP 4000→2500
「更にエレジーでセットモンスターを攻撃!」
「セットモンスターはルマリン、よって破壊されるわ…!」
幻奏の音女エレジー 攻撃力 2300 VS ジェムナイト・ルマリン 守備力 1800
「そしてプロディジー・モーツァルトでダイレクトアタック!
グレイスフル・ウェーブ!」
「きゃぁぁぁぁ!」
Masumi LP 2500→-400 LOSE
WINNER Yuzu
「これにて私、柊柚子と幻奏モンスター達による歌劇は幕引きとなります!次の開演を、お楽しみに!」
予告通り、柚子が勝負を決め、これで遊勝塾の2連勝、勝ち越しとなった。
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「ば、馬鹿な、こんな事が…!」
「貴方には受け入れがたい事実でしょうが、これが遊勝塾の塾生達の力です。ところで、約束は守っていただきますが、宜しいですね?」
LDSと遊勝塾による3番勝負、それは俺達遊勝塾の2連勝という形で幕を閉じ、LDSの理事長らしい女性、
敗北を受け入れられない赤馬理事長に対し、こういう交渉の場故に普段の暑苦しさも何処へやらといった感じの落ち着いた対応をする塾長、だが睨みつけるかの様なその目、有無を言わさぬ口調からは、表に出さない様にしている激情がにじみ出ていた。
俺が率先して対応に当たったせいで塾長にしてみれば何が何だか分からない内に話が進んでしまっていたが、塾長もまた今回の件で相当怒っているんだな、俺が濡れ衣を着せられた事、俺に対してLDSが仕出かした事に。
其処へ、
「良いでしょう。その約束、お守りします」
『!?』
突如、事務所のドアからIVに良く似た声が聞こえて来た。
其処に、中にいた全員が振り向くと、其処には一行の様な銀髪で赤眼鏡を掛け、暗い色調の服装にマフラーを巻いた1人の男がいた。
なんか見覚えがあるな、この人、確か…
「零児さん、一体何を!?」
「母様。いくら私と言えど、一度約束した取り決めを覆す事は出来ません、それを行えばLDSにとって、わが社にとってマイナスになります。第一、榊遊矢の機嫌を悪くする事にもなります」
「くっ…!」
赤馬、零児…
あぁ、原作ARC-Vにおいてのライバルキャラと言われている
まさか此処で会う事になるとは。
そんな風に、原作におけるライバルキャラとの邂逅にびっくりしている間に近づいたのだろうか、その赤馬零児が俺に声を掛けて来た。
「君が、榊遊矢だな」
「はい、貴方は?見た所、LDS関係者の様ですが」
「ああ。私は赤馬零児、LDSの経営母体である『レオ・コーポレーション』の社長をしている者だ」
「そうでしたか。それで、決闘前の約束をお守り頂けるとの事ですが?」
「無論だ。約束通り、今回の件で君や、遊勝塾に多大な迷惑を掛けたお詫びとして、わが社の最新式ソリッドビジョンシステム3基、遊勝塾のリフォーム工事の際に掛かる諸費用を負担しよう。本当に申し訳なかった」
俺達が決闘前に其々提示した要求、その場に彼はいなかったにも関わらず、それらを全て呑むと言ってくれた挙げ句、頭を下げて来た。
立場とか面子とかこだわらず、罪を認めて頭を下げられるとか立派な人だな、まあだからってペンデュラムモンスターの強奪は、関わっていようとそうでなくても、やったら駄目だが。
「それと、これは私個人としての、君への『お願い』なんだが」
と突っ込んでいると、突然零児から『お願い』を持ち込まれた。
「君とデュエルがしたい。完全決闘者と呼ばれたその実力を、この目で見てみたい」
「は、はい!是非お願いします!」
確かこの人、俺と2歳しか違わないけど、現役バリバリのプロデュエリストなんだよな。
そんな人とデュエルが出来るチャンス、これを逃す訳には行かな「待って下さい!」ん?
「刀堂?一体なんだ?」
「その前に、俺と遊勝塾の塾生とのデュエル、やらせて下さい!お願いします!」