【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
俺達遊勝塾とLDSとの3番勝負は、遊勝塾の2連勝という形で幕を閉じ、要求していた遊勝塾のリフォーム費用等を勝ち取ったのだが、其処へ現れた零児のお願い、更にそれに割り込んで来たLDSシンクロコースの塾生、無造作に伸びた茶髪、黒基調の服装にノースリーブに改造した白いジャケットを羽織り、竹刀を担いだ少年、
で、その第1試合、刃の相手に選ばれたのは、同じくシンクロ召喚を主軸とする当麻。
「悪いな、俺の我儘を聞いて貰って」
「構わないぜ。順番的に戦うだろうなと準備していたし」
先にお願いしていた零児を差し置いてのデュエルの申し込みを謝罪する刃、いや謝罪する位なら何で急ぐようにお願いして来たんだよ、土下座を通り越して五体投地までして?
「実を言うとさ俺、本当は遊勝塾に入りたかったんだ」
「え、そうだったのか?」
もしかして美琴みたいなクチか?
「デュエルを始めようかと思っていた頃に、榊遊矢のデュエルを見たんだよ、舞網チャンピオンシップ・ジュニアクラスでのそれを。そん時、父親の榊遊勝が失踪して、色々言われていただろ、『臆病者の息子』ってさ?俺もそんな奴の息子のデュエルなんて大したことないだろって思って、あんまり期待していなかったんだよ、見るまでは。ところがどっこい、其処で見た榊遊矢のデュエルは、もう盤面を支配するなんて物じゃねぇ、まるで洗練された人形劇を見ているかのような、そんな綺麗な物だった」
え、あのデッキにそんな感想を覚えるの?
3年前のお前の年幾つだったんだよ。
「で、そんな圧倒的な展開のままデュエルは榊遊矢の勝利で決着したんだが、俺はそんな綺麗なデュエルに、拍手も忘れて見とれていたよ。盤面を支配し、己の思うままに進める正確無比なプレイング、それこそが俺がやりたいデュエルなんだと!けど他の観客は、デュエル中もなんか文句ばっかり言っていた。やれ『正々堂々とデュエルしろ!』、やれ『パーミッションなんて卑怯だ!』、やれ『インチキ効果もいい加減にしろ!』、やれ『そんな無茶苦茶なデッキを使って恥ずかしくないのか!』とさ。もうふざけんじゃねぇと思ったよ、ルール違反していないんだから正々堂々じゃねぇのか、戦略としてあるんだから卑怯もラッキョウもあるか、本当にインチキだと思うんなら榊遊矢にじゃなくてカードを作った奴に言えや、どんなデッキを使おうがそいつの勝手だろ、もう言いたい事が山ほどあった。そんな俺の鬱憤を、榊遊矢は晴らしてくれた。
「外野でキャンキャンと吠える事しか出来ない負け犬ども、貴様らなぞ先攻1ターンで、容易に勝負を付けられよう。文句があるなら、俺を打ち破って見せろ!」
と、ウザい連中に言い放ってくれたんだ。その言葉に黙りこくっちまった連中の姿が痛快だったなぁ」
デュエル後に言い放った言葉まで、一字一句覚えているのかよ。
「それ以来、榊遊矢という存在は俺にとって憧れになり、憧れの存在と一緒の塾に入りたい、そう思って遊勝塾の門を叩いたんだが、断られちまってさ。諦められなくて何度も出向いたけど結果は同じ。そんな或る日、俺は何時までも遊勝塾の門を叩くままで良いのかって思う様になった。唯単に遊勝塾の門を叩いて断られて、俺はそんな繰り返しのままで本当に良いのかってさ。此処舞網市には、遊勝塾以外にもデュエルスクールは幾らでもある、其処で学んで、公式戦で遊勝塾生と戦って俺の実力を見せるのも手じゃないかって、思う様になったんだ。で、その事を親に相談して、勧められたのがLDSって訳だ」
その話、最近になってよく聞くようになったな。
去年の舞網チャンピオンシップ・ジュニアユースクラスで俺が優勝、一行が準優勝、柚子が4位、当麻が5位と皆揃って上位入賞を果たした事で遊勝塾の指導力が知れ渡る事となり、加入希望が殺到したんだが、規模的な問題でその殆どをお断りせざるを得ず、結果そういった人達が第2希望であるLDSへと流れて行ったんだっけな。
梁山泊?知らん、それは俺の管轄外だ。
しかし結構前からそんなケースがあったなんてな、仕方が無かったとは言え、悪い事したな。
「LDSシンクロコースのトップに上り詰め、此処遊勝塾にデュエルをしに来るまで、思えば長い道のりだったけど、今此処でデュエル出来る事を考えれば全然、苦じゃ無かったぜ。さっきまでの、行儀良いだけの連中とのデュエルを見て、やっぱり此処のレベルが相当な物だってのは分かった。だから今日は、
胸を借りる積りで行くぜぇ!」
「よしっ!全力で掛かって来い!」
「戦いの殿堂に集いしデュエリストが!」
「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」
「「アクショーン、デュエル!」」
先攻 Yaiba LP 4000 VS 後攻 Toma LP 4000
「俺のターン!
まずは手札の『XX-セイバー フォルトロール』を捨てて魔法『ワン・フォー・ワン』発動!」
「おっと!その魔法カードにチェーンして手札の『PSYフレームギア・δ』の効果発動!」
「早速手札誘発モンスターかよ!?」
ワン・フォー・ワン(制限カード)
通常魔法
1:手札からモンスター1体を墓地へ送って発動出来る。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。
刃が捨てたカードからして、デッキは『X-セイバー』か、北斗がセイクリッド、真澄がジェムナイトで、刃がX-セイバーって、皆して端末世界の勢力じゃねぇか、流行っているのか?
そういえば一行のヴェルズも、エレンのシャドールも、端末世界の出だったな。
「PSYフレームギア・δの効果で、手札のこのカードと、デッキから『PSYフレーム・ドライバー』を攻撃表示で特殊召喚し、ワン・フォー・ワンを無効にして破壊する!」
「んなっ!?」
PSYフレーム・ドライバー
通常モンスター
光属性
サイキック族
レベル 6
攻撃力 2500
PSYフレームギア・δ
効果モンスター/チューナー
光属性
サイキック族
レベル 2
攻撃力 1200
「流石に手札全部はやらしてくれねぇか…
だが1枚だけでも削らして貰うぜ!『XX-セイバー ボガーナイト』を召喚!」
XX-セイバー ボガーナイト
効果モンスター
地属性
獣戦士族
レベル 4
攻撃力 1900
マジか、レイジレベ3フォルトロループが出来る状態だったのかよ、これは今妨害して良かったな。
そんな物騒な事を仕出かそうとした刃、妨害された事に気を留める事無く召喚したのは、X-セイバーに所属する獣戦士、だがむしろ海馬社長愛用として知られる『ブラッド・ヴォルズ』に良く似ている事の方が有名なんじゃないか?と言われるボガーナイト。
「召喚に成功したボガーナイトの効果発動!手札からレベル4以下のX-セイバーモンスターを1体、特殊召喚するぜ!」
「ならそれにチェーンして手札から『幽鬼うさぎ』の効果発動!効果を発動したボガーナイトを破壊する!」
「また手札誘発かよ!?お前、デッキの中にどんだけ手札誘発モンスター積んでんの!?」
「ざっと半数弱だったかな?まあでも、効果までは無効にしないから、モンスターを出しな」
「マジかよ…
俺はレベル3の『XX-セイバー フラムナイト』を守備表示で特殊召喚して、ターンエンドだ!」
「エンドフェイズに、自分の効果で特殊召喚したPSYフレームギア・δと、一緒に出たPSYフレーム・ドライバーは除外される」
XX-セイバー フラムナイト
効果モンスター/チューナー
地属性
戦士族
レベル 3
守備力 1000
ボガーナイトが指笛で仲間を呼ぼうとしたその時、当麻の手札からお札みたいな物が飛び出してボガーナイトに直撃、爆破させるも、その指笛が聞こえたのか、オレンジ色の鎧、赤いマントを見に纏った金髪の戦士、フラムナイトが現れた。
で、刃がターンエンドすると共にフィールド内に謎の裂け目が発生、其処にPSYフレーム・ドライバーとPSYフレームギア・δが吸い込まれていった。
Yaiba
LP 4000
手札 1
モンスター XX-セイバー フラムナイト(守備表示)
魔法・罠カード なし
「俺のターン!ドロー!
まずは魔法『サイコ・フィール・ゾーン』発動!」
サイコ・フィール・ゾーン
通常魔法
ゲームから除外されている自分のサイキック族のチューナー1体とチューナー以外のサイキック族モンスター1体を墓地に戻し、そのレベルの合計と同じレベルのサイキック族のシンクロモンスター1体をエクストラデッキから表側守備表示で特殊召喚する。
「サイコ・フィール・ゾーンの効果で、除外されているPSYフレーム・ドライバーとPSYフレームギア・δを墓地に戻してコイツを呼び出すぜ!
お前のカードの力が、状況を思い通りに出来るってんなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!『PSYフレームロード・Ω』!」
PSYフレームロード・Ω
シンクロ・効果モンスター
光属性
サイキック族
レベル 8
守備力 2200
当麻がサイコ・フィール・ゾーンを発動すると、フィールドに突然、電流が発生し、其処からPSYフレームロード・Ωが出現した。
「やっぱりシンクロモンスターも扱っているみてぇだな、遊勝塾は」
「へへっどうも。PSYフレームロード・Ωの効果発動!
このカードと、お前の手札1枚、そう、今握っている最後の1枚を、次の俺のスタンバイフェイズまで除外する!」
「な、何!?あ、握っていたフォルトロールが!」
当麻の宣言に驚く間もなく、PSYフレームロード・Ωから最後の1枚をひったくられ、そのまま逃げられてしまった刃。
というか最後の1枚はフォルトロールだったのか、つまり初手はフォルトロール×2、ワン・フォー・ワン、ボガーナイト、そしてフラムナイト、うわ本気でハンデス狙える初手じゃん!
これ当麻以外だったら絶対に負けているよな、エレンのシャドールも、墓地に送られた時の効果ではモンスター破壊出来ないし…
「俺はこのままターンエンドだ」
Toma
LP 4000
手札 3
モンスター なし
魔法・罠カード なし
「やっぱり遊勝塾生のデュエルは違うぜ、さっきからそっちのペースに乗せられっ放しだ。
俺のターン、ドロー!
此処はもう1度ボガーナイトを召喚!
更にレベル4のボガーナイトに、レベル3のフラムナイトをチューニング!光差す刃持ち屍の山を踏み超えろ!シンクロ召喚!出でよ、レベル7!『X-セイバー ソウザ』!」
X-セイバー ソウザ
シンクロ・効果モンスター
地属性
戦士族
レベル 7
攻撃力 2500
シンクロ召喚の演出と共に出現したのは、X-セイバーの創設者にして初代リーダー、ソウザ。
「その特殊召喚成功時、手札の『PSYフレームギア・α』の効果発動!
手札のこのカードと、デッキからPSYフレーム・ドライバーを攻撃表示で特殊召喚し、デッキから『PSYフレームギア・γ』を手札に加える!」
「やっぱ来るか、どんだけ手札誘発するんだか」
PSYフレームギア・α
効果モンスター/チューナー
光属性
サイキック族
レベル 1
攻撃力 500
もう3度目になる当麻の手札誘発に、刃は「うん、知っていた」と言いたげな顔になっていた。
「これでターンエンドだぜ」
「エンドフェイズに、今だしたPSYフレーム・ドライバーとPSYフレームギア・αは除外される」
Yaiba
LP 4000
手札 0
モンスター X-セイバー ソウザ(攻撃表示)
魔法・罠カード なし
「俺のターン、ドロー!
スタンバイフェイズに、除外されていたPSYフレームロード・Ωと、お前の手札1枚は戻って来るぜ」
当麻がそういうと共に、フィールドに突如発生した電流からPSYフレームロード・Ωが出現、当麻の側に戻って行った。
ちなみにさっきひったくった刃のフォルトロールだが、戻る際にぽろっと落としていった。
其処の演出雑だな!
「更にサイコ・フィール・ゾーンを発動!
効果で、除外されているPSYフレーム・ドライバーとPSYフレームギア・αを墓地に戻してコイツを呼ぶぜ!
お前のモンスターの力が、フィールドを思い通りに出来るってんなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!『PSYフレームロード・Z』!」
PSYフレームロード・Z
シンクロ・効果モンスター
光属性
サイキック族
レベル 7
守備力 1800
さっきΩが登場した時と同じく、フィールドに突如発生した電流からPSYフレームロード・Zが出現した。
「更にPSYフレームロード・Zの効果発動!
このカードと、お前のフィールドにいるソウザを、次の俺のスタンバイフェイズまで除外する!」
「ま、マジかよ!」
美琴のマグネット・バルキリオンの時と同じ様に、PSYフレームロード・Zがソウザを羽交い絞めにしてそのまま飛び去って行った。
これで刃のフィールドはがら空き、一方の当麻のフィールドには、PSYフレームロード・Ωがいる。
そして、当麻の攻め手はこれだけに留まらない。
「更に『幽鬼うさぎ』を召喚!」
幽鬼うさぎ
効果モンスター/チューナー
光属性
サイキック族
レベル 3
攻撃力 0
「え、攻撃力0のモンスターを召喚だと?」
「まあ見ていな。
PSYフレームロード・Ωを攻撃表示にして、バトルフェイズに入るぜ!
PSYフレームロード・Ωでダイレクトアタック!
イマジン・クラッシャー!」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
Yaiba LP 4000→1200
「更に速攻魔法『瞬間融合』発動!」
「速攻魔法で融合だと!?」
瞬間融合
速攻魔法
1:自分フィールドから融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。この効果で融合召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。
「フィールドのPSYフレームロード・Ωと、幽鬼うさぎで、シンクロ融合だ!」
「し、シンクロ融合だって!?聞いた事ねぇぞそんなの!」
「此処から先は、俺による支配というシナリオでやらせて貰う!シンクロ融合!『アルティメットサイキッカー』!」
アルティメットサイキッカー
融合・効果モンスター
光属性
サイキック族
レベル 10
攻撃力 2900
俺でも遊星時代にドラゴエクィテスを召喚する位しか使わなかったシンクロ融合、これによって当麻の場に登場したのは、ディヴァインが使用していたらしい『メンタルスフィア・デーモン』、それが進化した様な姿、アルティメットサイキッカー。
「アルティメットサイキッカーでダイレクトアタック!
イマジンバースト!」
「ぐぁぁぁぁぁぁ!」
Yaiba LP 1200→-1700 LOSE
WINNER Toma
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「あー、やっぱつえぇな、遊勝塾は。本当にありがとうな、俺とデュエルしてくれて」
「良いって事よ。良かったらまたデュエルしような!」
「おう!それまでまた腕磨いとくぜ!」
後攻2ターン目で、1ダメージも当麻に与える事無く敗北した刃、だがその顔は何処か晴れ晴れとした様子で、一応は悔しさをにじませながらもしっかりした足取りでフィールドを後にして行った。
さあ、いよいよ俺と零児とのデュエルだ!