【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
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先攻 Kanon LP 4000 VS 後攻 Yuya LP 4000
「俺のターン。
マジックカード『強欲で貪欲な壺』。デッキの上から10枚を裏側で除外して2枚ドローする」
強欲で貪欲な壺
通常魔法
『強欲で貪欲な壺』は1ターンに1枚しか発動出来ない。
1:自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動出来る。自分はデッキから2枚ドローする。
先攻となった海音が最初に発動したのは、嘗てのデュエルモンスターズにおいて必須カードとまで言われた『強欲な壺』と、未だに多くのデッキで困った時のドローソースとして重宝されている『貪欲な壺』が合わさった物、そして今新たなるドローソースとして注目されているカード。
それによって海音は手札を6枚に補充する。
「『
N―忍竜コクジョウ(オリジナルカード)
効果モンスター
闇属性
ドラゴン族
レベル 4
攻撃力 1700→3700
その補充から始まる海音の展開、最初に登場させたのはコクジョウ、普段は下級モンスターでも微妙な攻撃力しか無い彼だが、その効果によって攻撃力を倍以上にアップさせる。
「自分フィールドにぬばたまが存在する時『N―忍竜ドレットマスター』は特殊召喚出来る。更に自分の手札が相手より少ないとき『N―嵐の忍鬼フウキ』を特殊召喚出来る」
N―忍竜ドレットマスター(オリジナルカード)
効果モンスター
闇属性
ドラゴン族
レベル 4
守備力 1500
N―嵐の忍鬼フウキ(オリジナルカード)
効果モンスター
闇属性
アンデット族
レベル 4
守備力 1300
そのコクジョウを起点に、様々なNモンスターが手札からフィールドへと出て来る。
「レベル4のドレットマスターとフウキでオーバーレイ。ランク4『N―修羅忍竜ヨザクラコンゴウ』」
N―修羅忍竜ヨザクラコンゴウ(オリジナルカード)
エクシーズ・効果モンスター
闇属性
ドラゴン族
ランク 4
攻撃力 2100
ORU 2
その2体を使ったエクシーズ召喚で登場したのは、歌舞伎に出て来そうな出で立ちをしたドラゴン、ヨザクラコンゴウ。
「ヨザクラコンゴウの効果発動。オーバーレイ・ユニットを1つ使い、手札を2枚裏側で除外する事で相手の手札を2枚、次の相手ターン終了時まで裏側で除外する」
N―修羅忍竜ヨザクラコンゴウ ORU 2→1
N―忍竜コクジョウ 3700→4500
その効果は手札を裏側表示で除外するという変わった形でのハンデス。
「更にオーバーレイ・ユニットから取り除かれたフウキの効果。このカードがNエクシーズの効果によって取り除かれた時、相手の手札を更に1枚裏側で除外する」
N―忍竜コクジョウ 4500→4700
尚も繰り出されたハンデス効果、これによって遊矢の手札は残り2枚となった。
「カードを1枚伏せてターンエンド」
Kanon
LP 4000
手札 0
モンスター N―修羅忍竜ヨザクラコンゴウ(攻撃表示)
N―忍竜コクジョウ
魔法・罠カード セット
「俺のターン、ドロー!
…さて、お前の覚悟の程を試験してやると大口を叩いた身だ、俺も示さねばな」
そしてセットカード1枚でターンを明け渡した海音、遊矢はそれに応じてドローフェイズにカードをドローした後、唐突にその目を瞑りながらそんな事を呟いていた、その直後、
「俺の、覚悟の程をな!」
目を開いたその瞬間、想像を絶する程の威圧感が遊矢を中心に広がり、部屋中を包み込んだ。
その発生源となっている遊矢、
「その眼は!?」
その瞳は覇王の力を解放した時と同じく金色になっていたが、それよりも問題なのは黒く染まった眼球だった。
普通ではありえない色合い、今まで覇王の力を解放してもそうならなかった筈の異常な色合い、それはまるで、ワンパンマンに登場するジェノスや、インフィニット・ストラトスに登場するクロエ・クロニクルの様だった。
「さて、前置きは長くなったがメインフェイズに入る!
俺はスケール6の『EMギタートル』と、同じくスケール6の『EMリザードロー』をペンデュラムスケールにセッティング!」
Yuya
ペンデュラムスケール(青):6(EMギタートル)
ペンデュラムスケール(赤):6(EMリザードロー)
メインフェイズに入ると同時に、遊矢は2枚のペンデュラムモンスターをペンデュラムスケールにセット、すると同時に遊矢の首に、ギタートルを模したギター、というかその物が出現、そのネックストラップが遊矢の首に掛かった。
「この時、ペンデュラムスケールにセットしたギタートルの効果発動!もう片方のペンデュラムスケールにリザードローがセットされた事で、ドロー!
ペンデュラムスケールにセットされたリザードローの効果発動!このカードを破壊し、ドロー!
次に『EMドクロバット・ジョーカー』を召喚!」
EMドクロバット・ジョーカー(制限カード)
ペンデュラム・効果モンスター
闇属性
魔法使い族
レベル 4
攻撃力 1800
海音のハンデスから難を逃れた物を含む3枚、そのどれもがこの状況を打開する力を持ったカード、殊に今召喚したドクロバット・ジョーカーは制限カードに指定される程の力を有する。
「召喚したドクロバット・ジョーカーの効果発動!
デッキから『EMブランコブラ』を手札に加え、そのままペンデュラムスケールにセッティング!」
Yuya
ペンデュラムスケール(赤):2(EMブランコブラ)
それによってサーチした、サーカスで使う曲芸用ブランコに乗ったコブラを即座にペンデュラムスケールにセットする。
「これでレベル3から5のモンスターが同時に特殊召喚可能!
揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!
ペンデュラム召喚!出でよ、我が僕のモンスター達よ!
レベル3、無限の可能性を引き出すエンターテイナー!『EMリザードロー』!そしてレベル4、魅惑の奇術師『EMペンデュラム・マジシャン』!」
EMリザードロー
ペンデュラム・効果モンスター
地属性
爬虫類族
レベル 3
攻撃力 1200
EMペンデュラム・マジシャン(制限カード)
ペンデュラム・効果モンスター
地属性
魔法使い族
レベル 4
攻撃力 1500
その2枚で構築されたペンデュラムスケール、それによるペンデュラム召喚で登場したのはリザードローとペンデュラム・マジシャン。
その内ペンデュラム・マジシャンはその大量サーチ効果が制限カードとなる程の強さを誇るが、今回遊矢はその効果を使わない。
代わりに、手札として握っていた最後の1枚を取り出す…!
「魔法『エンタメ・バンド・ハリケーン』発動!」
エンタメ・バンド・ハリケーン
通常魔法
『エンタメ・バンド・ハリケーン』は1ターンに1枚しか発動出来ない。
1:自分フィールドの『EM』モンスターの数まで相手フィールドのカードを対象として発動出来る。そのカードを持ち主の手札に戻す。
「エンタメ・バンド・ハリケーンの効果で、お前のフィールドにある3枚のカードを全てバウンスする!
…この程度か、お前の覚悟は?」
遊矢が発動した最後のカード、その効果によって遊矢が首からぶら下げていたギタートルの胴体から竜巻が発生すると、それはたちまち海音のフィールドにいた2体のモンスター、及びセットカードを手札(ヨザクラコンゴウはエクストラデッキ)へと吹き飛ばした。
このまま攻撃が通れば後攻ワンキルによる勝利、そんな状況下に遊矢は若干不機嫌な口調でそう呟いた。
「コクジョウの攻撃力を4000台にまで上げたり、俺の手札を3枚も除外させたりしたのは良いとして、動く気配すらない俺のターンでのその様子は何だ?セットカードで対応するタイミングは幾らでもあった筈だというのに、何もする事無くその真っ新なフィールドを晒している。お前の覚悟は、こんな風にちょいと突けば崩れる様なそんな脆い物なのか?それとも、まだこのデュエルに意味が無いとでも言うのか?」
「…」
遊矢のその覚悟を問う言葉に対し、海音もそれ(恐らくは後者)を黙認するかの様だ。
その答えに遊矢は、何処か得心のいった様な顔をしながら、
「リアリストとまでは行かなくとも、そのデュエルに対する現実的な姿勢…
成る程、確信した。海音、
お前、デュエルモンスターズが遊戯王OCGとして流通している世界からの、この世界が『遊戯王ARC-V』というアニメで放送されている世界からの転生者だろ?」
「はっ?」
そう投げ掛けた。
それに対する海音の答えは、
「そうか…お前は…
そこまで中二病だったんだな」
嘗て遊矢が言っていた言葉、それの指摘だった。
それには遊矢は盛大にずっこけ、
「をい、海音」
「あぁみなまで言うな。お前が思春期特有の病気だって事は前言ってたから分かっているよ。そうかそうか、お前がここまで非道な作戦を思いついた理由も「何マジボケ発言しているんだ君はぁぁぁぁぁぁ!」ぐああああああ頭がぁぁぁぁ!?」
尚も海音が指摘しようとしたその時だった、その盛大なボケにキレたのか、ユベルがアイアンクローを今か今かと決めようとしている態勢で実体化、瞬時にアイアンクローを海音の顔面に決めた。
悪魔サイドである左腕でのアイアンクロー、鋭い爪が顔面にしっかりと喰い込んでいる為、海音の痛がり方も半端では無い。
「あ…」
そして、海音は気絶してしまった。
「…ユベル、やり過ぎだ。
増してや、覇王の力を解放している時だぞ」
『どうするんだユベル、これではデュエルが続けられないぞ』
「…
やっちゃったZE☆、てへぺろ」
「『をい』」
その状況に可愛くごまかそうとしたユベルに、遊矢とアストラルの息の合ったツッコミが入った。
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「…ここは…」
「お、起きたか、海音」
「全く、こんな状態の彼にあんな事をするとは、君の相棒も荒っぽい事をする」
「遊矢、お前もお前だ、手負いの状態な海音殿に対して覇王の力を解放する等けしからん!」
「そうだぜ、気を付けてくれよ、遊矢兄ちゃん」
「海音も海音よ、遊矢を痛い人みたいに…!」
ユベルのアイアンクローで気絶した海音、それを遊矢は施設の中に併設された医務室へと運び、其処で歴戦のダメージが発覚、集中治療を受ける事となり、そして今、半日の眠りから目覚めた。
その周りには、その原因と言える遊矢の他、零児、権現坂、エレン、そして柚子が囲んでいた。
サトシと八幡は別室で待機(深手を負っている事が発覚したので治療を受けていると説明されている)、一行と当麻は諸事情で今はいない。
「さて、皆。後は俺に」
「ああ、お互い、言いそびれた事があるだろう。存分にぶつけ合うと良い。3人も、此処は」
「ええ。それじゃあ遊矢、また後でね」
「うむ」
「おう、待っているぜ、遊矢兄ちゃん」
海音が目覚めたのを確認した遊矢は、零児達に退室を促し、その様子を察した零児達もそれに応じ、医務室を離れて行った。
「…お前その痣は?」
「はは、さっきエレンに『アンドバリの指輪』作戦を打ち明けて、一発貰った。『何でもっと早く言ってくれなかったんだ!俺もARC-Vの一員だろ、遊矢兄ちゃんの弟だろ!』ってさ」
その異常に気付いた海音の言葉に、苦笑いを浮かべながら返す遊矢、その右頬にはエレンから喰らったパンチの跡があった。
「それくらいで済んだだけまだましだな。俺だったら、お前の股間に飛び蹴りをブチ込んでいたところだぞ…
知ってるか?人間の体の中でもそこは特に痛みを抑えるのが大変だって」
「だな。つーか信じられるか?アイツが怒ったのは黙っていた事に関してだけで、作戦に関して言う事は無いのかと聞いたら『やり方はすげーアレだけど、そうまでして此処の人達を守りたかったんだろ?だったら俺は遊矢兄ちゃんに賛成だ!』ってさ。俺が言えた事じゃないが、11年近くしか生きていない小学生が言う台詞じゃねーぞ、幾ら俺の過去を知っているからって…」
アンドバリの指輪作戦を知ったエレンの対応に関する話をしていた遊矢と海音、だが遊矢はその笑いをふと止め、真剣な表情で静かに話し始めた。
「さて、さっきの話の続きだ。ああ、さっきみたいなマジボケはやめておけよ、俺の相棒が本気出して顔面に喰い込ませるアイアンクローはもう御免だろ?」
「ボケるって…
俺はまじめに答えたんだが。大体転生者なんて言葉を使う時点で中二病って思わない方がおかしいだろ?」
海音がそう返答すると、遊矢は何故か海音を残念な人として見ている様な、「それをマジボケと言うんだ」と言いたい様な表情になる。
だが常識的には海音の反応の方が明らかに普通であり、遊矢の反応は勘違いにも程があるという物だ。
「…なんだその眼は?じゃあ聞くがお前に全く関係ない奴から『実は俺は転生者なんだ』っていきなり言われて信じるか?」
「あ、そっか。それもそうだな。まあそれは置いて」
それに対する海音の突っ込み、それに遊矢は苦笑いを浮かべながら自らの勘違いに気付くが、さらっと流して話し始めた。
「『カードファイト!ヴァンガード』に出て来るクランの名を冠したカードカテゴリの数々、もしかしたらそうじゃないかとは思っていたんだ。けどさっきのデュエルでの姿勢を見て、確信したんだ。お前は俺と同じく転生者だ、とさ」
「はぁ…転生者ってあれだろ?
一度死んで別の世界で生き返るやつ。だとしたら俺は転生者じゃない。俺は死にかけた事は何度もあるが、本当に死んだことは無い」
「あれ、転生者じゃ無いのか、となると転移?トリップ?まぁ、そんな事はどうでも良いな、ただ遊戯王OCGが存在する世界から来たと言う事実を確認したかっただけだ。
なら知っているだろ?さっきのデュエルで見せたあの金色の眼を持ったHEROデッキ使いの、この右手に刻まれた竜の頭を模した痣を持ったシンクロンデッキ使いの、この『鍵』を首にぶら下げた「かっとビング」が口癖のホープデッキ使いの、其々が歩んだ道を。
俺は遊城十代、不動遊星、九十九遊馬、そして榊遊矢、4度もの転生をした転生者なんだ。実年齢でいったらもう300歳だな、俺」
そして、遊矢は自らの素性を明かした。
「ふーん。で?」
それに対する海音の返答は何処か冷めた物だったが、余りに衝撃的な事実をいっぺんに言われて理解し切れない様に見えた。
それを知ってか知らずか、遊矢は真剣な表情のまま話しを続ける。
「今から昔話をする。ああ、それで俺の考えを理解しろだとか言うつもりは無い、むしろ俺みたいには、こんなクズにはなるなよ、という意味で話す。まあジジィの戯言と流しながらで良いから聞いてくれ」
「出来るだけ手短に頼むぞ。今の俺は頭が痛いんだから」
「上手く纏められるか自信は無いが、善処はしよう。俺は最初、何処にでもいる遊戯王OCGが、デュエルが大好きな大学生で、所謂ファンデッキを使って、日々デュエルに明け暮れていた。その人生は或る日、信号無視したトラックに轢かれて終わりを告げるんだが、それが神にとっても想定外だったのか、俺は遊城十代として転生する事になった。まあテンプレにも程がある転生だよな」
「ものすごいテンプレだな」
「転生先の世界『遊戯王デュエルモンスターズGX』というアニメで放送されていたのと同じ様な世界は正に俺にとって理想郷だった。デュエルモンスターズの実力が社会におけるステータスにまでなっているその世界での生活を俺は満喫した。時にはまあアニメで放送していた様に、三幻魔を巡る争いだとか、アカデミアで開催されたジェネックスだとか、ダークネスとの戦いとかはあったけど、原作知識も役立って、それらを見事に解決して見せた。それで俺は思い上がっていたんだ、原作知識と『覇王の力』があればどんな困難も解決できるってさ。踏み台転生者が陥りそうな発想だが、実際十代だった頃は本当にそうだったから、尚更そう思い込んでいた。それで、罰が当たったんだろうな…」
己のこれまでの人生を語る遊矢、だがその表情はだんだんと暗くなっていた。
「十代としての人生を全うして、今度は不動遊星として転生したんだ。俺は色々とびっくりしたが、同時にまたデュエルが出来る、今度はシンクロ召喚という召喚法や、ライディングデュエルという形式も取り入れたデュエルが、と内心うきうきしていた。
けど、それを認識していた時、俺は地獄へと叩き落とされた。その時、何が起こったと思う?」
「…」
そして、不動遊星としての人生を語り始め、海音に問いかけた時、遊矢は涙を堪えていた。
「『ゼロ・リバース』…
ネオ童美野シティ中枢部にあるモーメントの暴走によって起こった未曽有の災害…
俺はその事を、その真相をも、アニメで見知っていた、それを未然に防ぐ術もあるにはあった…
だけど、だけど俺は、目の前でそれが起きるのを見ていただけ、指咥えて見ていただけだった…!」
その涙腺も直ぐに決壊し、頬から大粒の涙が次々と伝うのを感じながら、遊矢はそう打ち明けた。
「目の前で見せ付けられた、ネオ童美野シティが地獄へと変わる光景、そしてその後飛ばされた先であるサテライトでの日々…
その日その日を生きる為に、賭けデュエル、脅迫、傷害沙汰、強盗、レ○プ、放火、そして殺人、考えうる凶悪犯罪をして来た日々…
其処から紆余曲折経て遊星としての人生を全うして、九十九遊馬として転生してからも、そうだった…!
デュエルの大会で知り合ったシャーク達バリアン七皇達を救う為、持てる手は全て尽くした、頼れそうなつては全て頼った、もう後悔はしたくなかったから、だけど、数万年にも及んで巡らせていたドン・サウザントの謀略の前には、全てが遅すぎたんだ…!
そんな出来事の数々を経て俺は学んだ、余りにも多すぎる代償を払って。理想だけじゃ誰も救えない、優しいだけじゃ誰も助けられない、甘いだけじゃ誰も守れない、1人よがりじゃ殆ど何も出来ないんだって…!」
「…で、あんな外道な作戦を行った訳か?」
「…まあな」
「…所詮お前は偽物に過ぎない訳だ」
「…そうだな」
「お前が絶望したのも理解できない訳では無い。だが俺の知る限りでは歴代の主人公達はどんな絶望的な状況でも悩み苦しみながらも突破して行った。だがお前はどうだ?覇王の力でどんな困難も乗り越えたと言ったが本当の遊城十代はその覇王の力に苦しみながら大人へと成長して行った。ゼロ・リバースを見て何も出来ずに絶望したと言うが、その事は本当の不動遊星だって何度も悩み苦しんだ事だ。確かに本当の彼はその時は赤ん坊だから何も出来ないのは当たり前だが、それでもその事を受け止めて仲間と共に未来へと進んで行った。持てる手は全て尽くしても七皇達を救う事が出来なかったと言うが、それは本当の九十九遊馬もたどった道だ。しかも本当の彼はお前と違ってわずか数十年しか生きていない中学生だ。それなのに彼は仲間が次々にいなくなりながらも最後まで折れないハートを持って戦った。榊遊矢に関してもそうだ。お前は今までの経験と力から今のランサーズ結成と今回の作戦を行った。だが本当の榊遊矢はお前と違って何も持ってなかった。だからこそ彼はがむしゃらに、例え相手に言葉が通らなくても全力で語り続けているんだ。だがお前はどうだ?力を使いアカデミアを倒して行ったが、お前はアカデミアと話そうともしなかった。結局お前は主人公の体と名前と力を持っただけのただの偽物なんだよ。そんなお前が本当の力を持つ彼らの真似をしようとしている時点で無駄なんだよ」
『なっお前!言わせておけば「止めろユベル!海音の言う通りだ!」ゆ、遊矢…!』
己の過去をかいつまんで打ち明けた遊矢、それに対して海音はバサリと一刀両断、それに激昂したユベルが海音に掴みかかろうとしたが、遊矢はそれを止める。
「ああ、そうだ。俺は結局の所、本物の様には出来ないまがい物のクズだ。だからさっき言っただろ、俺みたいなクズにはなるなよってさ」
「安心しろ。俺は其処まで外道な事を考える頭も実際にやる度胸も無い」
「その言葉、決して忘れない様にな。ああまで言い切ったんだ、何が何でもその甘さを貫け。そして時には、誰かを頼れ。甘さを貫くのも、1人だけでは成しえないんだからな」
「当たり前だ。俺はお前と違って弱い。だからこそ一緒に戦う仲間を集めているんだからな」
「そうか。なら最後に、しっかり頑張るのじゃぞ、青少年よ。岐路に立たされた時、未来の自分が誇れる様な選択をするのじゃ」
「まっ俺は俺ができることをするだけだ」
「そうじゃ、それで良い」
そして、目から涙を流したままの状態で笑みを浮かべながら、海音と言葉を交わした。
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Side 遊矢
『遊矢。今帰ったよ』
「帰ったよ、じゃねぇよユベル。全く、あの場に残って海音の様子を探るとか、お前まだアイツが言った事に怒っているのか?」
『そりゃあ怒るよ、ボクにとって何よりも大事な遊矢がコケにされたんだ、怒らない方がおかしいさ。遊矢が言った通り海音の言葉は正論だけど、正論だけ言えば良いなんて道理は無いんだ』
海音と言葉を交わした後、もう少し休みたいからと退室を要求した海音に従って医務室を出た俺達、だがユベルだけは海音の発言に怒りを覚えていたのか、アイツの身辺調査と称して、ついさっきまであの場に残っていた。
「で、何か分かったのか?」
『なんか何も無い空間に向けて話していたみたいだよ。エア友達か何かかな、と最初は思っていたけど、多分ボクに感知できない、カードの精霊とはまた別の存在が海音に付いているのかも知れないね』
「ユベルに感知できないカードの精霊みたいな物か、まあ無くは無いな」
『遊矢の何代も前の前世でデュエルモンスターズと同じく流行していたカードゲームのカードが流通しているんだ、その可能性も無きにしもあらず、といった所か』
『それはさておき、どうやら海音と敵対している、キメラとかいう存在が、あの『アンドバリの指輪』作戦と同じ様な事をやらかしているらしいよ、しかも一般人をも巻き込んだ挙げ句、操った奴が負けた時はカード化させるというおまけ付き』
「洗脳か。もしかしたら櫂やレナも…
海音があそこまでキレたのはそれもあるのかもな。まあ元々ゲス極まりない作戦だが、な」
普通に考えても洗脳による仲間割れの誘発は、色んな意味で物凄くゲスい、増してや仲間である櫂とレナがその被害にあっているとなれば、アイツの怒りは計り知れないだろうな。
『遊矢。今更だが、本当にあれしか方法は無かったのか?確かにあの作戦の成果は途轍もなく大きい。そして今後の戦いに向けても十分に布石を打てた。だが…』
「アストラル。俺だって、アンドバリの指輪作戦が俺の理想に真っ向から反する事位、アカデミアの皆の笑顔を奪っている事位分かっているさ。俺も出来れば、海音達みたいにデュエル戦士を、デュエルを通じて過ちに気付かせ、そして純粋な笑顔にさせたい。そんな余裕があればそっちを最優先するさ。
けどさ、他次元に攻め込む気満々なアカデミア相手に悠長な事していたら何にもならないんだ!時にはああまでやらなきゃ、皆死んじゃうんだ!俺もうそんなの嫌なんだよ!」
アストラルの問いに、俺は胸の内に秘めていた想いを爆発させる。
遊星だった頃ゼロ・リバースで崩壊したネオ童美野シティもそうだが、エクシーズ次元もまた、抜本的な手が無かった結果、次元全体が廃墟と化し、人々は殺されたりカード化されたりした。
そして、フォースハウンドのメンバーである遊香は、あの年頃の少女には余りに重すぎる『
このシンクロ次元も、手段を間違えればエクシーズ次元と同じ道を辿っていた、アカデミアが攻め込むというのはそういう意味なんだ。
けどどんな理由を付けたってアンドバリの指輪作戦は外道の極みだ、俺は、いや俺達はその重たい十字架を背負い、これからを生きて行く事になる。
俺は兎も角、皆にとっては未経験な程ずっしりとした十字架だ、時には俺が、その罪を被らなければならないだろう、だが俺は、それを受け入れよう!
それがこの作戦を考案・実行した、最高指揮官としての義務だ。
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「それじゃあな。サトシと八幡の事、頼んだぞ」
「…じゃァな」
「ん?一行、何だその重たい感じは、お前らしくないな?まあともかく、海音達、またな!」
翌日、体調が回復した海音達は、次なる世界へと飛び立つ事となり、別れの挨拶に俺と一行、当麻の3人が出向いた(権現坂はアカデミアの残党がいないかの捜索に当たって貰っていて、柚子は部屋に待機して貰っている)。
「はい、色々お世話になりました」
俺達の挨拶に対し、サトシはそう返し、八幡も無言だったが礼をした。
「お前にはまだ言いたい事は色々あるがこれだけは言って置く…
もし次会った時にこれ以上間違った道を進んでいたら全力でお前を潰す。その事を忘れるな」
「望む所だ、元よりその覚悟だからな。お前の方こそ、その心意気を忘れるな」
そして、海音はそう言い残し、彼らは旅立っていった。
…さて。
「じゃあな、皆。
…一行、当麻。『ならぬものはならぬものです』って言葉を知っているか?」
「っ!あ、あァ…」
「『ならぬものはならぬものです』?なんだそりゃ?ダメなモンはダメって事か?」
一行は思い当たる節があったのか動揺しつつも答えた一方、当麻は相変わらずのバカっぷりを披露していた。
そんな2人に、俺は告げる。
「例え不合理に思える物でも、決められた掟は守る様にという、昔のとある学校で定められた掟の、その締めの言葉だ。
もし、俺達が本当の意味で道を踏み外しそうになった時は、お前達は何が何でも止めてくれ、引き戻してくれ。誰かに頼りっぱなしじゃなく、自分達の力でな。其処に俺達の歩んだ道とか、そんな物は考えるな。『ならぬものはならぬものです』の精神で、ランサーズの理念と言う名の掟を固く守る存在となれ。良いな!」
「お、おォ!」
「な、なんか良く分からねぇけど、分かったぜ!」
今話でAMsさんとのコラボは終了となります!AMsさん、ありがとうございました!
それで、今後のコラボ祭についてですが活動報告にて今後どうするかを乗せています。
意見があればそちらにお願いします。