【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
Side 零児
「流石は隊長と言うべきでしょうか、凄まじい展開力です。ですが私とてランサーズに入った身、全力で行かせて貰います!私のターン、ドロー!」
Reiji
スピード・ワールド―ReACT スピードカウンター 1→2
Gekkou
スピード・ワールド―ReACT スピードカウンター 1→2
カリ・ユガにサイフリート、そしてアビス・ラグナロクと万全に近いと言って良い盤面を作り上げてターンを明け渡し、月行のターン、彼のドローの直後に互いのスピード・ワールド―ReACTにスピードカウンターが乗る。
今試作されている『
Spでは無い魔法カードの使用に制限が無くなったこのフィールドとの兼ね合いもあり殆どが過剰気味なカードパワーとなっているSpは最短で後攻1ターン目から使えるという事、この辺りの戦略も重要な要素となりそうだ。
「まずは魔法『Sp―エンジェルバトン』発動!」
Sp―エンジェルバトン(アニメオリジナルカード)
通常魔法
1:自分フィールドゾーンに存在する『スピード・ワールド』フィールド魔法カードの上に乗っているスピードカウンターが2つ以上の場合に発動出来る。自分のデッキの上からカードを2枚ドローする。その後、手札を1枚捨てる。
月行も早速導入していたのか、いきなり発動して来た。
そのSp、エンジェルバトンは遊矢達が前世で使用していたSpでは異例の「そのまま導入された」カードである。
ついさっきSpを既存カードの劣化版と言ったが、このエンジェルバトンもその1つで『天使の施し』の下位互換と言って良い物となっている。
だがそもそも天使の施しは手札アドバンテージを減らす事無く2枚も墓地肥やしを行える強力手札交換カード、その強烈なカードパワー故に現在は禁止カードに指定されている。
現在はその調整版と言うべきカードが多数登場しているが、例えば闇属性デッキの定番ドローソースである『闇の誘惑』が一時は制限カード、手札交換カードの代名詞とも言われた『強欲で謙虚な壺』も一時は準制限カード、『トレード・イン』や『調和の宝札』はそもそも手札を1枚失う行為がコストである上にその指定も厳しい。
こういった事を踏まえると、それらの上位互換と断言できるエンジェルバトンのカードパワーも信じられない位に高い事が分かるだろう、遊矢達も困った時には愛用していたそうだからな。
故にSpのカードパワーは過剰気味にすべき、という風潮がある中でもこのエンジェルバトンはそのまま導入され、たった今月行がそれを発動して来た。
だがそんなパワーカードの発動を、私が無条件で許す訳が無い。
「それにチェーンしてサイフリートの効果発動。
エンジェルバトンの効果を、次のスタンバイフェイズまで無効にする。エンジェルバトンは通常魔法、よってそのまま墓地へ送って貰う」
「流石に通してはくれませんか。ならば手札の『ドラグニティ―ファランクス』を捨てて魔法『調和の宝札』発動!」
調和の宝札
通常魔法
手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動出来る。デッキからカードを2枚ドローする。
「調和の宝札の効果で、2枚ドロー!」
エンジェルバトンをサイフリートの効果で無効にしたが、それを予期していたらしい月行は今挙げていたドローソースの1つ、調和の宝札で手札交換を行った。
それにしてもファランクスが落ちたか、これは中々厄介だな。
フレンドシップカップで見せた彼の大量展開、その根幹を成していると言って良いファランクス。
風属性・ドラゴン族のチューナーでレベルは2、攻撃力はたったの500で守備力も1100とステータス的には低く、その効果は装備カードとなっている自身を特殊召喚する、それだけという一見するとユニオンモンスターが共通して持つ効果の劣化に思える。
だがこれこそが彼のデッキにおいて重要な役目を担い、大会中のとあるデュエルではこのカードを徹底的に使い回してレベル6モンスターを一挙に4体も並べるという離れ業で1ターンキルを決めて見せ、更にとあるデュエルではシンクロモンスター『トライデント・ドラギオン』の力をフルに活用してこれまた1ターンキルを決めて見せた。
恐らく今回もまたその積りだろうが…
「続いて『ドラグニティ―ドゥクス』を召喚!」
ドラグニティ―ドゥクス
効果モンスター
風属性
鳥獣族
レベル 4
攻撃力 1500→1700
そんな私の予想の通り、端末世界の勢力『ドラグニティ』の指揮官を務める鳥人で、ファランクスと同様に彼のデッキにおいて重要な役目を担うドゥクスを出して来た。
「召喚したドゥクスの効果発動!
先程捨てたファランクスをドゥクスに装備させます!」
ドラグニティ―ドゥクス 攻撃力 1700→1900
その効果は墓地にあるレベル3以下のドラグニティ・ドラゴン族モンスターを装備するという物、これでファランクスを釣り上げる事で使い回しを行うのが彼のパターンだ。
だが、
「装備したファランクスの効果発動!
このカードを守備表示で」
「おっと、それにチェーンしてカリ・ユガのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて効果発動。
フィールドに存在する魔法・罠カードを全て破壊する。装備カードとなっているファランクスは魔法カード扱い、よって破壊され、その特殊召喚効果も適用されない」
「なっ!?此処を防がれるとは…!」
DDD双暁王カリ・ユガ ORU 2→1
ドラグニティ―ドゥクス 攻撃力 1900→1700
そんな大規模な攻撃を私が無条件で許す訳が無い。
本当ならエンドサイクの要領でこの効果を発動したかったがやむを得ない、先にファランクスを潰させて貰う。
「ですが、まだ終わりません!
装備魔法『ドラグニティの神槍』発動!これをドゥクスに装備させます!」
ドラグニティの神槍
装備魔法
『ドラグニティ』モンスターにのみ装備可能。
『ドラグニティの神槍』の2の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。
1:装備モンスターは、攻撃力が装備モンスターのレベル×100アップし、罠カードの効果を受けない。
2:自分メインフェイズにこの効果を発動出来る。デッキからドラゴン族の『ドラグニティ』チューナー1体を選び、このカードの装備モンスターに装備カード扱いとして装備する。
それでも月行は展開を止めない、今度は何処からともなくドラグニティチューナー達が結集した様な形状の槍が登場し、それをドゥクスが装備した。
カリ・ユガの効果は大半のエクシーズモンスター同様1ターンに1度、よってこのターンはもう発動出来ない、防ぐのは無理か。
ドラグニティ―ドゥクス 攻撃力 1700→2300
「装備カードとなったドラグニティの神槍の効果発動!
デッキから2枚目のファランクスを、ドゥクスに装備させます!」
ドラグニティ―ドゥクス 攻撃力 2300→2500
「装備カードとなったファランクスの効果発動!
このカードを守備表示で特殊召喚!」
ドラグニティ―ファランクス
効果モンスター/チューナー
風属性
ドラゴン族
レベル 2
守備力 1100
「今特殊召喚したファランクスを墓地へ送り、手札の『ドラグニティアームズ―ミスティル』を攻撃表示で特殊召喚!」
ドラグニティアームズ―ミスティル
効果モンスター
風属性
ドラゴン族
レベル 6
攻撃力 2100
ドゥクスの効果で装備したファランクスを呼び出す、その動きの後に、ファランクスと入れ替わる形で登場したのは、金色の鎧を身に纏った騎士の様な出で立ちのドラゴン、ミスティル。
そう、このカードがさっき言った、大量に並んだレベル6モンスターの一角だ。
「特殊召喚したミスティルの効果発動!
たった今墓地へ送ったファランクスを装備させます!
装備カードとなったファランクスの効果発動!
このカードを守備表示で特殊召喚!
今特殊召喚したファランクスを墓地へ送り、手札のミスティルを攻撃表示で特殊召喚!
特殊召喚したミスティルの効果発動!
たった今墓地へ送ったファランクスを装備させます!
装備カードとなったファランクスの効果発動!
このカードを守備表示で特殊召喚!」
ドラグニティ―ドゥクス 攻撃力 2500→2700→2900
月行のテリトリーを色々と動き回るファランクス、その中で着々と並んでいく月行のモンスター達、そして上がり続けるドゥクスの攻撃力。
このままでもサイフリートを戦闘破壊出来るが、月行の動きはこれだけに留まらない。
「早速使わせて貰います、異次元の召喚方法を!
私は2体のミスティルでオーバーレイ!2体のレベル6・ドラゴン族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!『聖刻龍王―アトゥムス』!」
聖刻龍王―アトゥムス
エクシーズ・効果モンスター
光属性
ドラゴン族
ランク 6
攻撃力 2400
ORU 2
ドラグニティ―ドゥクス 攻撃力 2900→2500
月行が呼び出したのは、彼がレベル6・ドラゴン族モンスターを主軸に使っている事を知った遊矢が彼に譲ったエクシーズモンスター、遊矢がこの世界における伝説と化している『赤き竜』を呼び出す為のギミックに用いている聖刻龍の一角、アトゥムス。
無論、その効果も月行のデッキにとって有用な物だ。
「今呼び出したアトゥムスのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて効果発動!
デッキから『ドラグニティ―アキュリス』を攻守0にして、守備表示で特殊召喚します!
便利な物ですね、エクシーズ召喚は。今までは殆ど並べるだけだったミスティルの可能性が、より広がりました。4つの次元世界は物凄く広い、無限の可能性が広がっているのですね」
ドラグニティ―アキュリス
効果モンスター/チューナー
風属性
ドラゴン族
レベル 2
守備力 800→0
聖刻龍王―アトゥムス ORU 2→1
ドラグニティ―ドゥクス 攻撃力 2500→2700
その効果は、ドラゴン族モンスターのリクルート。
呼び出したモンスターの攻守が0になる上、効果を使うターンは自分自身が攻撃出来なくなるデメリットこそあるが、呼び出せるモンスターには『ドラゴン族』以外の指定が無い。
今の様にチューナーを呼ぶ事も出来るし、どんなレベルのモンスターを呼んでも良い。
そして其処からの制限も、戦闘には事実上使えない以外はフリー、つまり…
「私はレベル4のドゥクスに、レベル2のアキュリスをチューニング!龍と鳥人の絆が、『雷の牙』の名を冠した龍騎士と化します!今こそ故郷となる城壁と成りなさい!シンクロ召喚、レベル6!『ドラグニティナイト―ヴァジュランダ』!」
ドラグニティナイト―ヴァジュランダ
シンクロ・効果モンスター
風属性
ドラゴン族
レベル 6
攻撃力 1900
こうしてシンクロ召喚等の素材に使える。
これによって月行が呼び出したのは、今しがたシンクロ召喚に使われたアキュリスが成長した様な姿のドラゴンにまたがった鳥人の竜騎士、ヴァジュランダ。
「シンクロ召喚したヴァジュランダの効果発動!
たった今墓地へ送ったアキュリスを装備させます!
そのアキュリスを墓地へ送ってヴァジュランダの効果発動!
このカードの攻撃力をターン終了まで倍にします!」
ドラグニティナイト―ヴァジュランダ 攻撃力 1900→3800
む、サイフリート程度ではとどまらず、カリ・ユガの攻撃力すらも越えて来たか。
「それだけではありません!この効果で墓地へ送ったアキュリスの効果発動!
カリ・ユガを破壊します!ドゥリンダナ・ピルム!」
「くっ!」
しかもその効果コストにしたアキュリスの効果でカリ・ユガが討たれるとは…
流石だ、コモンズという環境下で此処までしっかりしたデッキを作り上げ、それを使いこなすとは。
「バトルフェイズに入ります!ヴァジュランダでサイフリートを攻撃!」
「その攻撃宣言時、スピード・ワールド―ReACTに乗っているスピードカウンターを全て取り除き、アクションマジック『Sp―リアエンド・コリジョン』発動。
このターンをスキップする」
「なっ!?」
Sp―リアエンド・コリジョン(オリジナルカード)
アクションマジック
1:相手モンスターの攻撃宣言時、自分フィールドの『スピード・ワールド―ReACT』に2つ以上乗っているスピードカウンターを全て取り除いて発動出来る。このターンをスキップする。
Reiji
スピード・ワールド―ReACT スピードカウンター 2→0
Gekkou
LP 4000
手札 1
モンスター ドラグニティナイト―ヴァジュランダ(攻撃表示)
聖刻龍王―アトゥムス(攻撃表示)
ドラグニティ―ファランクス(守備表示)
魔法・罠カード なし
が、それ以上は通さない。
「私のターン。ドロー」
Reiji
スピード・ワールド―ReACT スピードカウンター 0→1
Gekkou
スピード・ワールド―ReACT スピードカウンター 2→3
「まずは『DDD壊薙王アビス・ラグナロク』の効果発動。
墓地の『DDD剋竜王ベオウルフ』を攻撃表示で蘇生する」
DDD剋竜王ベオウルフ
融合・効果モンスター
闇属性
悪魔族
レベル 8
攻撃力 3000
「次に魔法『死者蘇生』を発動」
死者蘇生(制限カード)
通常魔法
1:自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
「死者蘇生の効果で、2体目の『DDD呪血王サイフリート』を攻撃表示で蘇生する」
DDD呪血王サイフリート
シンクロ・効果モンスター
闇属性
悪魔族
レベル 8
攻撃力 2800
これで準備は整った。
「そしてアビス・ラグナロクを攻撃表示に変更してバトルフェイズに入る。
ベオウルフでファランクスを攻撃!ベオウルフは貫通効果を持っている!バスター・クロー!」
「させません!アクションマジック『大脱出』発動!」
「おっと、それにチェーンしてサイフリートの効果発動。それを無効にする」
「な、ぐぁぁぁぁ!」
DDD剋竜王ベオウルフ 攻撃力 3000 VS ドラグニティ―ファランクス 守備力 1100
Gekkou LP 4000→2100
「1体目のサイフリートでミスティルを攻撃!ドラゴン・スレイヤー!」
「ぐっ!」
DDD呪血王サイフリート 攻撃力 2800 VS ドラグニティアームズ―ミスティル 攻撃力 2100
Gekkou LP 2100→1400
「2体目のサイフリートでヴァジュランダを攻撃!ドラゴン・スレイヤー、第2打!」
「がぁ!」
DDD呪血王サイフリート 攻撃力 2800 VS ドラグニティナイト―ヴァジュランダ 攻撃力 1900
Gekkou LP 1400→500
「アビス・ラグナロクでトドメだ!」
「凄まじい強さです。流石は隊長」
Gekkou LP 500→-1700 LOSE
WINNER Reiji
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「お疲れさん、零児。どうよ、俺達が前世でしのぎを削って来たライディングデュエルを再現した、このフィールドは!」
「素晴らしいな、此処は。スピードカウンター及びSpの存在による独自の戦略、一味違った奥深さが此処にはある」
遊矢達の前世で使用されていたSpの殆どは一新する必要があるし、さっきのリアエンド・コリジョンの様なSpアクションカードの開発もしなければならないが、それを抜きにしてもこのデュエルは面白い。
遊矢が言っていた「互いが適度に交流し、切磋琢磨し合う事によるミームの発展」、その好例と言って良い物だ、このフィールドは。
この素晴らしきミームを、アカデミアに壊される訳には行かない、何としても守り抜く必要がある。
そのアカデミアは先の侵攻で惨敗を喫した事で攻め込む気力を大いに削がれ尚も、前以て潜入したフォースハウンドと、黒咲瑠璃とリンを確保する為に送られた第4部隊が楔を打ち込んでいるだろう、そんな状況下で特攻する様なバカでは無い、赤馬零王という男は。
だがもしもの事もある、守りは万全にしなければ。
「16時に定期捜索に入る。各自、警戒を怠るな」
「任せろ、零児」
「勿論さ。師匠達がいない今、僕達が代わりにならないと!」
「エレンの居ない今、僕がエレンの代わりになる…!」
「了解よ、隊長さん」
「はい、お任せください!」