【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
115話_任務開始!
Side 月影
「ランサーズ第4部隊、今到着したわ。此処が融合次元…」
「長旅お疲れ申し上げるでござる、雪乃殿。早速で申し訳ないが、今回の任務は急を要するでござる。アカデミア行きの船まで案内するでござる」
「かたじけない、月影殿」
「頼むぞ。向こう岸にあるアカデミア、其処に瑠璃達が…!」
「いよいよ、奴さんの本拠に乗り込む時が来たか。覚悟を決めねぇとな」
「待っていろ、アカデミアのモンキー共!俺の新しい切り札で、お前達の抵抗が無駄だと教えてやる!」
「待っていてください、リンさん、瑠璃さん!必ず助け出します!」
アカデミアから大分離れた、融合次元のとある市街地。
此処で拙者は、今回の作戦に加わる事となったランサーズ第4部隊の面々を案内すべく、兄者達フォースハウンドから一旦離れ、この地へと参った。
今回の任務、アカデミアに囚われしリン殿と瑠璃殿の両名を救出するという任務、アカデミアが進めている『アークエリア・プロジェクト』なる計画のキーパーソンらしき両名を救い出すというこの任務は、成功すればアカデミアが被るダメージが甚大となろう事は想像に難くないでござる。
無論、アカデミアも両名を失った場合を想定し、この前のシンクロ次元への侵略が失敗に終わった事も相まって、両名が囚われているであろう塔の警備は厳重極まりない、物々しい状態ではござるが。
然しながら、我らフォースハウンドと第4部隊の力を合わせれば、救出は不可能ではないでござる。
この作戦が成功するか否かが、今後の流れを決めると言っても過言ではない天王山、全力で臨ませて貰うでござる!
「船はこちらに。方々、準備は宜しいでござるか?」
『OK!』
「では、いざ参る!」
拙者の号令を受け、我らを乗せた船はアカデミアに向けて出港した。
然しながら向こうも易々と通してくれる筈も無く、
「おっと、此処から先は通さねぇぜ!ランサーズさんよ!」
「むっ敵襲!」
出港してから数分経った頃、突如として我らの航路を阻むかの様に、別の船が立ちはだかった。
口振りからしてアカデミアに属する者か、どうやら第4部隊が集団で転送されて来た反応を察知した様でござろうな…
「私達の事を知っていると言うなら話は早いわね。怪我したくないなら、直ちに其処を退いて貰うわ」
「はっ怪我するのはそっちの方だ!この俺様の手によって、な!」
その船の主らしき者に雪乃殿が警告を発するも、船の主である如何にも海賊だと言わんばかりの姿の男は聞く耳を持たない様子、やはり口で言っても分からない様でござるな。
ならば折角でござる、アカデミアから鹵獲したこのダイナミストデッキの力、此処でテストさせて、
「随分なバカ発言だな、海賊かぶれの痛いオッサンが。だったら来い、俺のデュエルでフルボッコにしてやる!」
「い、痛いオッサンだと!?良いだろう、その言葉を永遠に後悔させてやる!行くぞ!」
「「デュエル!」」
先攻 Solo LP 4000 VS 後攻 Raiga LP 4000
と思っていたら、突如出て来た雷牙殿の挑発に乗った事であの男とのデュエルが成立していたでござる。
仕方ない、此処は雷牙殿のお手並み拝見と行くでござる。
「先に行かせて貰う!
俺は魔法『融合』発動!」
融合
通常魔法
1:自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
「俺は手札の『海賊船スカルブラッド号』と『スカル・ナイト』を融合!赤きドクロの魔界の船よ!闇に潜みしドクロの騎士よ!今1つとなりて伝説の海賊王を呼び覚ませ!融合召喚!出でよ、レベル6!『キャプテン・ロック』!」
キャプテン・ロック(アニメオリジナルカード)
融合・効果モンスター
水属性
悪魔族
レベル 6
攻撃力 0
先攻となった、ソロと言うらしい男が融合召喚したのは、左手がフック、右手がナイフとなった如何にも海賊だと言わんばかりの姿をした骸骨の悪魔。
しかしレベルこそ6でござるが、攻撃力0のモンスターを攻撃表示?
もしや何か、そのステータスを覆すに相応しい、想像を絶する効果が…!
「キャプテン・ロックがフィールドに存在する限り、お互いのプレイヤーは手札からモンスターを通常召喚も特殊召喚もする事が出来ず、モンスターのセットも出来ない!」
やはり持っていたでござるか…!
呼び出されたモンスターの効果、それはセット以外のモンスターを呼び出す行為の一切を禁じた『異星の最終戦士』の下位互換に近い様でござるが、手札からであればセットすら禁止する、これは敵の攻撃を防ぐ壁となるモンスターすら出せないという事、中々厳しい物でござる。
まあ拙者のデッキならば対処できない事は無いでござるが、それでも立っていられると厳しいのは間違いないでござる、果たして雷牙殿はどう対処するのでござろうか…
「カードをセットしてターンエンド!」
Solo
LP 4000
手札 1
モンスター キャプテン・ロック(攻撃表示)
魔法・罠カード セット
「俺のターン!ドロー!
…残念だったな痛いオッサン、チェックメイトだ!」
「なっ!?」
ソロからターンを明け渡された雷牙殿、そのドローフェイズで引いたカードと、開始時に引いた5枚を合わせて6枚の手札を見やるや否や、既に勝利を確信したと宣言したでござる。
もしやあの6枚の中に、この状況を打開するカードがあるのでござろうか…?
「まずは魔法『手札抹殺』発動!」
「ちっ手札交換か…!」
手札抹殺
通常魔法
1:手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。
その初手で発動したのは、手札交換カードとして、墓地肥やしカードとして破格の性能を誇る手札抹殺。
成る程、墓地にモンスターを送り、其処から死者蘇生等の蘇生効果を使うという事でござるな、これならキャプテン・ロックの効果には引っ掛からないでござる。
ソロもそれが分かっているのか舌打ちしながらも、対処する術がないのか手札交換に応じようとしている様子でござった。
「俺は残り5枚の手札を捨て、5枚ドロー!」
「俺も最後の1枚を捨て、ドロー!」
然しながら、
「俺は手札抹殺の効果によって墓地へ送られた『A―アサルト・コア』と『B―バスター・ドレイク』、そして『C―クラッシュ・ワイバーン』を融合合体!」
「な、何だと!?墓地からカードの効果なしで融合!?」
雷牙殿の次の手は、拙者や第4部隊の面々は勿論の事、敵であり、融合召喚に関しては専門であるアカデミア所属な筈のソロの予想すらも大きく外れていたでござる。
「今こそ開闢の号砲を放て!3身合体、世界を震撼させる砲火!『ABC―ドラゴン・バスター』!」
ABC―ドラゴン・バスター
融合・効果モンスター
光属性
機械族
レベル 8
攻撃力 3000
雷牙殿のデュエルディスク、その墓地からカタパルトの如く発進した3体の機械族モンスター、それが変形合体して、重戦車を思わせる姿のロボット、ドラゴン・バスターとなったのでござるからな。
む?今しがた登場したドラゴン・バスターが、キャプテン・ロックを踏み潰した?
「ちっキャプテン・ロックはフィールドに攻撃力1000以上のモンスターが存在する場合、破壊される…!
だがそれで勝った気になるなよ!永続罠『デッドマン・パイレーツ』発動!コイツでキャプテン・ロックを「チェーンして手札を1枚捨て、ドラゴン・バスターの効果発動!ソイツを除外する!」な…!?」
「貧弱貧弱ゥ!やれ、ドラゴン・バスター!ABCポジトロン・ディサピアー!」
「ぐわぁっ!?」
キャプテン・ロックが、自らの自壊効果によってフィールドからいなくなろうと戦意を失わなかったソロが発動した永続罠、恐らくそれでキャプテン・ロックの自壊効果を何とかした状態で蘇生しようとしたのでござろうが、それもまたドラゴン・バスターの前に消え去ったでござる。
成る程、ドラゴン・バスターの効果は、破壊では無く除外となった『サンダー・ブレイク』でござるか、それに墓地から素材を除外する事で出せるという手軽さ、雷牙殿が新しいエースと誇るのも頷ける強烈さでござる。
「このままバトルフェイズに入る!
ドラゴン・バスターでダイレクトアタック!
そしてダメージステップ時、速攻魔法『リミッター解除』発動!」
リミッター解除(制限カード)
速攻魔法
1:自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる。この効果が適用されているモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。
そしてこのデュエルと締めとして発動したのが、機械族を主軸としたデッキでは必須と言って良いパワーカード『リミッター解除』。
「ドラゴン・バスターのリミッターが解除される事で、そのパワーは通常時の倍となるぜ!その攻撃力は…!」
ABC―ドラゴン・バスター 攻撃力 3000→6000
「こ、攻撃力6000!?」
「やれ、ドラゴン・バスター!ABC―アルティメット・キャノン・フルバースト!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!?」
Solo LP 4000→-2000 LOSE
WINNER Raiga
「アバヨ、痛いオッサン!」
「お、おい何とかしろ~!」
「だ、駄目です船長!」
ドラゴン・バスターの攻撃によってソロは敗北、その余波で船の何処かしこが破損したのか制御不能に陥った様で、ソロ達が乗る船は波に揺られるまま何処かへと彷徨って行ったでござる。
これで阻む存在も無し、改めてアカデミアへと向かうでござる!
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「兄者、お待たせしたでござる。道中、アカデミアらしき者からの妨害を食われ…」
「問題ない、無事たどり着けたのが一番でござる。方々、長旅お疲れ申し上げるでござる。さて、着いて早々で申し訳ないでござるが、この場でブリーフィングを行うでござる。大丈夫でござるか?」
「問題ないわ」
「なれば遊香殿、セルゲイ殿、2人も此方に」
「了解」
「分かった…」
アカデミアがある孤島、その海岸から少し離れた所に到着した我らは、小型ボートで此方へと来た兄者達を引き入れたでござる。
そしてその場で、我らフォースハウンドと、ランサーズ第4部隊共同で行う、救出作戦のブリーフィングが幕を開けたでござる…!
「さて遊香殿、アカデミア全体図を此方に」
「分かったわ、隊長」
「かたじけない。これが、我らが入手したアカデミアの全体図でござる。桟橋以外は全て城壁らしきもので囲われた、アカデミアとは名ばかりの、正に要塞。その要塞の比較的奥まった所にそびえたつ1対の塔。調査の結果、此処にリン殿、瑠璃殿が囚われている事が判明したでござる」
「此処に、瑠璃が…!」
「左様。今回の我らフォースハウンドと、雪乃殿率いる第4部隊で、囚われしリン殿と瑠璃殿を救出する、それが今作戦における我らの任務でござる。方々、大丈夫でござるな?」
「確認するまでも無い、瑠璃は絶対に救い出す!」
「勿論よ、日影隊長」
「某も承知でござる」
「当然だ」
「あぁ」
「頑張ります!」
まずは遊香殿が広げたアカデミア全体図を使いながらの今作戦における任務の確認、隼殿が言う通り確認するまでも無い事ではござるが、引き締めの為にも重要という事でござるよ。
「さてこの塔、此処最近警備が厳重化している様子でござる。それが救出対象である両名が囚われていると判断した根拠でござるが、其処に遊矢隊長が遭遇したという精鋭部隊、ホルアクティ・フォースのメンバーも加わっている様でござる。遊矢隊長が遭遇したホルアクティ・フォースのリーダー、キサラ・カルメルは隊長と互角のデュエルを繰り広げた腕前の持ち主、配下の者も相応の腕前に違いないでござる。それに加えて溢れかえる程集結しているデュエル戦士、少なくとも此方をどうにかせねば、救出は容易では無いでござる。何か、提案は無いでござるか?」
「隊長、その件で別件も含めて提案があるが…」
「セルゲイ殿、何か策があるでござるか?」
それはともかく始まったブリーフィング、其処で真っ先に手を挙げたのは、セルゲイ殿でござった。
「この孤島の中心部にあたる地点だが、独自に調査を行っていた所、此れまでアカデミアによってカード化された連中が囚われている事が判明した…」
「な、何と?」
「何ですって?」
「それは真でござるか、セルゲイ殿?」
「本当なのか、そりゃ?」
そのセルゲイ殿の話に、驚きが広がったのは言うまでもないでござる、まさかアカデミアによってカード化された人々が、アカデミアの施設内に送られていたとは…!
「その中に俺らが送り込んだスパイが紛れ込んでいる、ソイツからの情報だから間違いはないと言って良い…」
第4部隊の方々もいるが故にぼかした形での説明でござろうが、そのスパイは言うまでも無く『アンドバリの指輪』作戦でセルゲイ殿のナノマシンを感染させたデュエル戦士の事で、そのデュエル戦士の五感情報をナノマシンで傍受したから分かったのでござろうな、であればセルゲイ殿の発言も根拠のある物でござる。
「此処からが本題だ…
まず俺がそのスパイと共謀して囚われた連中の救助を行う…
するとその騒ぎを捉えてアカデミアのデュエル戦士が阻止に向かって来るだろう…
万が一腰が重い様なら、平井遊香、お前の力で奴等の尻に火を付ける…
その後、救助の阻止が難航する様であれば、塔の防衛に当たる人員も割いて来る筈だ…
あんな場所に寿司詰めにするんだ、大量に逃がしてしまえば大損害になる事は間違いないからな…
其処をお前らは突き、救助対象の確保に当たる…
以上が、俺が考えた策だが、どうだ…?」
それをベースに提案されたセルゲイ殿の策、それは「カード化されて囚われた人達の確保」という行動を陽動とした、至ってシンプルな陽動作戦、だがそのバックボーンを考えれば、シンプルどころか凶悪極まりない物だと分かるでござる。
セルゲイ殿は恐らく、その阻止に来たデュエル戦士にもナノマシンを感染させて洗脳し、救助に当たらせる腹積もりでござろうし、仮に塔の守護に当たっているデュエル戦士が動かなかったとしても、其処にナノマシン感染させたデュエル戦士と言うボヤを放り込んで、大火事を狙うに違いないでござろう。
策に嵌ろうと嵌らなかろうと大して問題ではない、何とも効率的な策でござる。
「ふむ、セルゲイ殿の策、検討する価値は十分でござるな。然しながらカード化された人達の救助は本来の任務からは外れた行為、その人達の次元転送手段、避難所、確保すべき物は多いでござる。それをも踏まえ、遊矢隊長の判断を仰がねば行かぬでござる。月影、隊長と連絡を頼むでござる」
「御意」
兄者もそれを分かっていたのかセルゲイ殿の策を前向きに捉えていたでござるが、確かに任務外の用件もある事、一先ず拙者は兄者の指示通り隊長に連絡を入れる事にしたでござる。
「もしもし、こちら月影。隊長殿、応答願うでござる」
『もしもし、俺だ。月影、アカデミアの方で何かあったのか?』
「隊長殿、先日フォースハウンドに加入したセルゲイ殿から、驚きの報告が入って来たでござる。先のアンドバリの指輪作戦でセルゲイ殿の支配下に置き、結果としてカード化されたアカデミア兵の生存反応を、アカデミアのとある施設内でキャッチしたとの事でござる」
念の為、隊長との連絡は船室の外で連絡を取っているでござる。
『な、何だって、それは本当なのか?』
「どうも本当の様でござる。それとそのアカデミア兵の視覚情報をジャックした所、他にカード化された人達の姿も見つけたとの事でござる。その中には嘗てLDS関係者が行方不明になった件の被害者らしき姿も確認されたそうでござる」
『そうか』
セルゲイ殿の報告を聞いた隊長は案の定と言うべきか、何処かの馬をモチーフにしたゾンビ怪人の様な驚きの声を上げていたでござる。
「それと隊長殿、此処からはセルゲイ殿の提案でござる。そちらからの一声さえあれば、今一度支配下に置いたアカデミア兵を操り、収容された人達を救助させる事、それを阻止するであろう敵の妨害を防ぐ事も出来る、その準備は既に整えてあるが、どうだろうか、との事でござる」
『そしたら月影、セルゲイに伝言を頼む。その様にするが良い、アカデミアに囚われた人達を救い出すが良い、と』
「御意!」
その後帰って来た返事はGO、でござった。
「兄者。隊長からのGOサインは貰ったでござる!セルゲイ殿、隊長が、その様にするが良い、と言っていたでござる」
「そうか、ならば期待に応えなくてはな…!」
「御意。なれば今作戦での布陣を発表するでござる!」
その伝言を受けてブリーフィングは終了、今作戦での布陣が兄者から発表されるでござる…!
「まずはセルゲイ殿。貴殿は自身の提案通り、中心部に囚われし人々の救助に」
「了解だ…!」
「雪乃殿と雷牙殿、亮太郎殿と月影は此方、東側の塔へ」
「分かったわ」
「しゃぁ!」
「了解だ…」
「御意!」
「拙者と剣殿、隼殿と舞衣殿は此方、西側の塔へ」
「ははっ!」
「ああ!」
「頑張ります!」
「遊香殿は遊撃を頼むでござる」
「分かったわ」
「両方の塔へ潜入する8名は、セルゲイ殿達のGOサインが出るまで待機。両者、準備は宜しいでござるな?」
「問題ない…!」
「何時でも大丈夫よ」
そして、
「では、作戦開始!」
「「了解!」」
兄者の号令で、セルゲイ殿と遊香殿はアカデミアへと突入したでござる…!