【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
それは夜、舞網市内にある、大通りから少し外れた路地での事だった。
其処を歩いていた1人の少年、彼は何処かへと向かっているのか、一直線にその路地を歩いていた。
見た感じは中学生くらいの少年だ、きっと家路についているのかも知れない。
だが、其処に、
「貴様、LDSか?」
黒を基調とした服装に、夜にも関わらずグラサンを掛けた男が、その少年に声を掛けて来た。
夜という時間を全く考慮していないグラサンも勿論だが、その男から発せられる只ならぬ気配は、その男がまともな人間では無い、物騒な方面の人間ではと誰もが思うだろう。
そんな男に声を掛けられたとあれば、警戒したり、驚いたりするものだが、
「ああ、そうだ…といったらどうする?」
その少年は、何処か落ち着いた様子でそう返した。
そんな少年の落ち着き払った反応を見て男は何処か戸惑った様子を僅かに見せるも、
「ならば話は早い、デュエルだ!」
持っていたデュエルディスクを構え、少年にデュエルを申し込む。
それに少年は応じるかの様にデュエルディスクを装着し、構えを取った事で、デュエルは開始される(ヒュン!)、
「(ガチャァ!)なっ!?こ、これは!?」
筈だった。
が突如、少年のデュエルディスクから発射された何か、それが男のデュエルディスクに差し込まれた。
良く見るとそれは鎖の様な物で、これによって少年と男のデュエルディスク同士が連結し、簡単に外す事が出来なくなった。
想定外の事態に動揺を隠せない男、其処へ、
「始めに言って置く。俺はこれがデュエルだと思ってはいない」
この想定外の事態を引き起こしたであろう少年の、落ち着き払った声が聞こえた。
何かを男に告げる様に、いや、それはまるで男に『宣告』するかの如く。
「これは
「何だと、貴様!」
そして、その『宣告』によって、デュエルのゴングは鳴らされた…!
「「デュエル!」」
先攻 ????(少年) LP 4000 VS 後攻 ????(男) LP 4000
「俺のターン。先攻はドロー無し。
まずは魔法『フォトン・サンクチュアリ』発動」
「何、『フォトン』だと!?馬鹿な、何故貴様がそんなカードを!?」
「今から裁きが下る貴様が知る必要は無い」
フォトン・サンクチュアリ
通常魔法
このカードを発動するターン、自分は光属性以外のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚出来ない。自分フィールド上に『フォトントークン』(雷族・光属性・レベル4・攻撃力2000・守備力0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは攻撃出来ず、シンクロ素材にも出来ない。
「フォトン・サンクチュアリの効果で、俺の場に2体のフォトントークンを守備表示で特殊召喚」
フォトントークン
光属性
雷族
レベル 4
守備力 0
少年が発動したフォトン・サンクチュアリによって、少年のフィールドに2体の球体、フォトントークンが現れた。
その発動の際に男が驚きの声を上げて少年に問い詰めるも、当の少年は軽く受け流した。
「2体のフォトントークンをリリースし、『轟雷帝ザボルグ』をアドバンス召喚」
轟雷帝ザボルグ
効果モンスター
光属性
雷族
レベル 8
攻撃力 2800
その2体のフォトントークンを1枚のカードに吸収させると、少年の場には新たに、雷を司る6帝の一角『雷帝ザボルグ』が進化した姿、轟雷帝ザボルグが出現した。
「アドバンス召喚に成功したザボルグの効果発動。
ザボルグ自身を破壊」
「何…?」
が、その姿は自らに宿りし雷の力が暴発した事で自爆した。
一見すると手札2枚を使って出した最上級モンスターを直ぐに投げ捨てるという暴挙と言える動作、だが、
「この効果で光属性モンスターを破壊した事で、そのモンスターのレベルもしくはランクの数だけ、俺と貴様のエクストラデッキからカードを墓地へ送る」
「エクストラデッキのカードを墓地へ送るだと!?」
「破壊されたザボルグのレベルは8、よって俺も貴様も8枚のカードを墓地へ送る。この時、本来送るカードを選ぶのはそのエクストラデッキの持ち主だが、ザボルグのアドバンス召喚の際に光属性モンスターをリリースしている為、貴様のエクストラデッキから墓地へ送るカードを選ぶのは俺だ。さあ、エクストラデッキを見せろ」
「な、何だと!?くっ…!」
これこそが進化したザボルグの真骨頂、相手のエクストラデッキをピーピングした上での墓地送り。
少年に効果を告げられた男は怒りを全開にしながらも少年に自らのエクストラデッキを公開する。
「
「お、おのれ…!」
「俺は『
「そのカード、貴様、シンクロ使いか!?」
「貴様が知る必要は無い、そう言った筈だ」
だが、少年の動きは留まる事を知らない。
「墓地へ送った虹光の宣告者の効果を3枚発動。
俺のデッキから儀式モンスター1枚か儀式魔法1枚を手札に、これを3回行う。
この効果で俺は儀式モンスター『
「儀式モンスターと儀式魔法だと?」
「今手札に加えた儀式魔法『宣告者の預言』発動」
宣告者の預言
儀式魔法
『神光の宣告者』の降臨に必要。
自分の手札・フィールド上から、レベルの合計が6になるようにモンスターをリリースしなければならない。
このカードの効果によって『神光の宣告者』が儀式召喚に成功した時、自分の墓地のこのカードをゲームから除外する事で、その儀式召喚の為にリリースしたモンスター1体を選択し、自分の墓地から手札に戻す。
「宣告者の預言の効果で、手札のレベル6『神光の宣告者』をリリースし、『神光の宣告者』を儀式召喚」
神光の宣告者
儀式・効果モンスター
光属性
天使族
レベル 6
守備力 2800
墓地へ送った事で発動した効果により、儀式モンスターと儀式魔法をサーチしていく少年。
そのすぐ後に発動した儀式魔法、その上空から光が少年に差し込むと共に、球体を2つ繋げた様な体躯に様々な色の翼を生やした天使、神光の宣告者が舞い降りた。
が、それは少年にとってはまだ序の口だった。
「儀式召喚に成功した事で、宣告者の預言を除外し、リリースした神光の宣告者を手札に戻す。
続いて魔法『貪欲な壺』発動。対象は虹光の宣告者3枚と、パーシアスとザボルグ1枚ずつだ」
貪欲な壺
通常魔法
1:自分の墓地のモンスター5体を対象として発動出来る。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。
「貪欲な壺の効果で、対象となったモンスターをデッキに、ザボルグ以外はエクストラデッキ戻し、シャッフルを終えた後に2枚ドローする。
ボチテンシヨンタイ、よって『大天使クリスティア』を手札から攻撃表示で特殊召喚」
大天使クリスティア
効果モンスター
光属性
天使族
レベル 8
攻撃力 2800
神光の宣告者に並び立つように現れたのは、深紅の羽を持った大天使、クリスティア。
「この効果で特殊召喚したクリスティアの効果発動。
墓地のパーシアスを手札、いやシンクロモンスターだからエクストラデッキに戻す。
カードを2枚セットしてターンエンド」
????(少年)
LP 4000
手札 3
モンスター 神光の宣告者(守備表示)
大天使クリスティア(攻撃表示)
魔法・罠カード セット×2
「随分と好き勝手動いてくれたみたいだが、もう貴様の好きにはさせん!
貴様には赤馬零児を誘い出す餌になって貰う!
俺のターン!ドロー!」
「スタンバイフェイズに永続罠『王宮の鉄壁』発動」
「何、此処で鉄壁だと!?」
王宮の鉄壁
永続罠
1:このカードが魔法・罠ゾーンに存在する限り、お互いにカードを除外出来ない。
意気込みを新たに男がドローする、が男は知らない、これで少年の必勝の布陣、いや『
「だがそんな物を今発動した所でどうと言う事は無い!
まずは『RR-バニシング・レイニアス』を召喚!」
RR-バニシング・レイニアス
効果モンスター
闇属性
鳥獣族
レベル 4
攻撃力 1300
そんな事はお構いなしと言わんばかりに男が登場させたのは、翼に無数の銃身を組み込んだ戦闘機の様な猛禽、バニシング・レイニアス。
「バニシング・レイニアスの効果発ど(ビーッ!ビーッ!)な、なんだこの警告音は!?」
「クリスティアがいる限り、俺も貴様もモンスターを特殊召喚出来ない」
「な、何だと!?ならばカードを1枚セットしてターンエンドだ!」
????(男)
LP 4000
手札 4
モンスター RR-バニシング・レイニアス(攻撃表示)
魔法・罠カード セット
「俺のターン、ドロー」
「スタンバイフェイズにバニシング・レイニアスをリリースして罠『ゴッドバードアタック』発ど(ヒュン!)(ザシュゥ!)なっバニシング・レイニアス!?」
「ゴッドバードアタックの発動にチェーン、手札の『センジュ・ゴッド』を墓地へ送って神光の宣告者の効果発動。
貴様の効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効破壊する。
これでゴッドバードアタックは無効だ」
「な、な…!」
ゴッドバードアタック
通常罠
1:自分フィールドの鳥獣族モンスター1体をリリースし、フィールドのカード2枚を対象として発動出来る。そのカードを破壊する。
お分かりいただけたであろうか、少年の場にいる神光の宣告者、大天使クリスティア、王宮の鉄壁、これが何故、少年の必勝の布陣なのか、何故『完全決闘』と呼ばれているのかが?
手札の天使族1枚をコストにカウンター罠を除く殆どのカードの効果を無効に出来る神光の宣告者、特殊召喚を許さないクリスティア、そして除外を許さない王宮の鉄壁…
纏めると以下の様になる。
●神光の宣告者によって、殆どのカードの効果は使えない。
●クリスティアによって、神光の宣告者によって無効化出来ない『超融合』、効果を使わずに『溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム』といった相手の場のモンスターをリリースして相手の場に特殊召喚するモンスター等によって除去(という名のリリース)が出来ず、またクリスティアや神光の宣告者を戦闘破壊出来るモンスターを出すのも至難。
●王宮の鉄壁によって、墓地にモンスターを送れなくする『マクロコスモス』等の除外カードが役立たずと化し、罠カードの効果の発動である墓地の『ブレイクスルー・スキル』も発動出来なくなる。
この布陣に対し、対処法は主に以下の3つのみ。
●効果モンスターの効果発動を無効にするカウンター罠
●『コアキメイル・デビル』等のモンスター効果を無効にする永続効果をもったモンスター
●発動出来るカードをつぎこむ事による手札の枯渇(無論、特殊召喚効果を持ったカード、除外に関わるカードは使えない)
正に、『完全決闘』の布陣である。
「なんなんだ、なんなんだこれは、どうすればいいんだ…!」
「神光の宣告者を攻撃表示に変える。
バトルフェイズ、さあ断罪の時間だ。
神光の宣告者でダイレクトアタック」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
????(男) LP 4000→2200
「クリスティアで、とどめだ」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
????(男) LP 2200→-600 LOSE
WINNER ????(少年)
そして、デュエルは呆気なく終了し、モンスター達の攻撃によって男は倒れ、気絶した。
そんな男に、
「さて、零児をおびき出す餌になって貰うと言っていたが。ならば(ヒュン!)(パシィ!)不意打ちとはやってくれるな。コイツの仲間か?」
「隼を捕まえさせはしない、こっちに渡して貰おうか」
少年は近づいてその身を確保しようとした、が其処に、隼と呼ばれた男の仲間と思しき存在の奇襲を受ける。
それを難なく掴み取って防ぐ少年だったが、
「っ!その顔、その服装…
成る程、貴様が、柚子が言っていた『俺そっくりの不審者』か…!」
「なっ!貴様は!?」
その顔を互いに見やるとその様子が一変、互いに敵意をむき出しにして対峙する。
一方は、『眼が金色になった』遊矢、そしてもう一方は『遊矢そっくり』の、黒ずくめの男…!