【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
「何て無茶苦茶な展開力だ…!
俺のターン、ドロー!
まずはデッキの上から10枚を裏側表示で除外し、魔法『強欲で貪欲な壺』発動!」
「強貪か、サイフリートをエクシーズ召喚に使ったのが仇になったか…」
強欲で貪欲な壺
通常魔法
『強欲で貪欲な壺』は1ターンに1枚しか発動出来ない。
1:自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動出来る。自分はデッキから2枚ドローする。
ターンを明け渡された少年、零児が見せたDDモンスターの圧倒的展開力に怯みながらも、自分は自分のデュエルをするまでと言わんばかりに動き出す。
その初手で発動したのは、現状最も汎用性の高いドローソースで、強貪のあだ名で知られる強欲で貪欲な壺、それを見た零児はサイフリートを用いてダークネス・ヘル・アーマゲドンをエクシーズ召喚した事で結果、止められなくなった事に渋い顔をしていた。
「強欲で貪欲な壺の効果で、2枚ドロー!
次に俺のフィールドにモンスターが存在しない事で手札の『リンクスレイヤー』を攻撃表示で特殊召喚する!」
リンクスレイヤー
効果モンスター
地属性
サイバース族
レベル 5
攻撃力 2000
強欲で貪欲な壺の効果によって手札を7枚に補充した少年が最初に登場させたのは、ヤマネコの様な絵柄の鎧を身に纏った電脳戦士。
「続いて手札を2枚捨ててリンクスレイヤーの効果発動!対象はその両端のセットカード!
そのカードを破壊」
「流石にそれは通せない、LPを1500払ってカウンター罠『神の通告』発動!そのモンスター効果を無効にして破壊する!」
「何!?」
神の通告(準制限カード)
カウンター罠
1:1500LPを払って以下の効果を発動出来る。
●モンスターの効果が発動した時に発動出来る。その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを特殊召喚する際に発動出来る。その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する。
そのリンクスレイヤーの効果で、3枚もある零児のセットカードを少しでも多く破壊しようとした少年だったが、それを考慮していない零児では無く、逆にリンクスレイヤーを除去される事となった。
「くっ!だがコストとして墓地へ送られた『ドットスケーパー』の効果発動!
このカードを守備表示で蘇生する!」
ドットスケーパー
効果モンスター
地属性
サイバース族
レベル 1
守備力 2100
然し少年はコストとして墓地へ送った手札を無駄にはしない、送られた内の1枚が自らの効果によって自己蘇生、多数の小さい立方体が集結して出来た存在――ドットスケーパーとしてフィールドに現れた。
「更に『バランサーロード』を召喚!」
バランサーロード
効果モンスター
光属性
サイバース族
レベル 4
攻撃力 1700
次に電脳騎士という言葉がぴったりな戦士――バランサーロードを通常召喚し、
「バランサーロードの召喚に成功した事で手札の『ブート・スタッガード』の効果発動!
このカードを攻撃表示で特殊召喚する!」
ブート・スタッガード
効果モンスター
光属性
サイバース族
レベル 5
攻撃力 2300
頭から鹿の角らしき物を生やした戦士――ブート・スタッガードを自らの効果で呼び出した。
「まだまだ行くぞ!LPを1000払ってバランサーロードの効果発動!
それにチェーンして、速攻魔法『サイバネット・バックドア』発動!対象はバランサーロード!」
サイバネット・バックドア
速攻魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動出来ない。
1:自分フィールドのサイバース族モンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターを除外し、そのモンスターの元々の攻撃力より低い攻撃力を持つサイバース族モンスター1体をデッキから手札に加える。この効果で除外したモンスターは次の自分スタンバイフェイズにフィールドに戻り、そのターン直接攻撃出来る。
???? LP 4000→3000
「まずはサイバネット・バックドアの効果でバランサーロードを除外し、デッキから『フレイム・バッファロー』を手札に加える!
次にバランサーロードの効果でこのターン、俺はもう1度サイバース族モンスターを召喚可能!」
とはいえこれだけでは零児の圧倒的な布陣を崩す事は不可能、更なる展開の為にLPをコストとした召喚権の追加、及びサーチを行った、だけでは無い。
「此処で除外されたバランサーロードの効果発動!
今手札に加えた『フレイム・バッファロー』を攻撃表示で特殊召喚!」
フレイム・バッファロー
効果モンスター
炎属性
サイバース族
レベル 3
攻撃力 1400
今しがたサーチしたばかりの、炎を纏った機械仕掛けのバッファローらしきモンスターを呼び出した。
「現れろ、未来を導くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はサイバース族2体以上!俺はドットスケーパーとフレイム・バッファローをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ『ハニーボット』!」
ハニーボット
リンク・効果モンスター
光属性
サイバース族
攻撃力 1900
LINK―2(左/右)
こうして並んだ3体のモンスターの内、ブート・スタッガード以外の2体がリンクマーカーに飛び込み、リンク召喚の演出が繰り広げられると、ゲートから女王蜂を擬人化させた様なモンスター――ハニーボットが出現した。
「フィールドから離れたフレイム・バッファローの効果発動!
手札の『デジトロン』を捨てて、2枚ドロー!
俺は今引いた『サイバース・ガジェット』を召喚!」
サイバース・ガジェット
効果モンスター
光属性
サイバース族
レベル 4
攻撃力 1400
そのリンク素材となったフレイム・バッファローの効果による手札増強、それによってモンスターを引き当て、今度はガジェットの名を冠した戦士――サイバース・ガジェットを召喚した。
「召喚したサイバース・ガジェットの効果発動!
墓地の『スタック・リバイバー』を守備表示で蘇生する!」
「成る程、リンクスレイヤーの効果で捨てたもう1枚か」
スタック・リバイバー
効果モンスター
闇属性
サイバース族
レベル 2
守備力 600
その効果によって蘇生したのは、メモリーのスロットを多数備えたスーパーコンピュータらしき存在――スタック・リバイバー。
「現れろ、未来を導くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はモンスター2体!俺はサイバース・ガジェットとスタック・リバイバーをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ『プロキシー・ドラゴン』!」
プロキシー・ドラゴン
リンク・効果モンスター
光属性
サイバース族
攻撃力 1400
LINK―2(左/右)
こうして並んだ2体を用いてリンク召喚したのは、何処かファイアウォール・ドラゴンを彷彿とさせるドラゴンの様なモンスター――プロキシー・ドラゴン。
「フィールドから墓地へ送られたサイバース・ガジェットの効果発動!
それにチェーンして、リンク素材となったスタック・リバイバーの効果発動!対象は同じくリンク素材となったサイバース・ガジェット!
まずはスタック・リバイバーの効果でサイバース・ガジェットを守備表示で蘇生する!
次にサイバース・ガジェットの効果で、ガジェット・トークンを守備表示で特殊召喚!」
ガジェット・トークン
光属性
サイバース族
レベル 2
守備力 0
そのプロキシー・ドラゴンの素材として墓地へ送られた2体だったが、其々の効果によって1体は蘇生、もう1体こそいないが代わりにトークンモンスターが生成された。
「現れろ、未来を導くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件はモンスター2体以上!俺はハニーボットとブート・スタッガード、そしてサイバース・ガジェットをリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ『ファイアウォール・ドラゴン』!」
ファイアウォール・ドラゴン(制限カード)
リンク・効果モンスター
光属性
サイバース族
攻撃力 2500
LINK―4(上/左/右/下)
その2体と、既にフィールドに存在していたハニーボットを用いてリンク召喚したのは、零児も先程のターンで呼び出したファイアウォール・ドラゴン。
その存在に流石の零児も警戒心を隠せない様子だが、まだ動く気配は、セットカードを発動しようとする様子はない。
「ファイアウォール・ドラゴンの効果発動!対象はダークネス・ヘル・アーマゲドンとスカルデットだ!」
「やはりそう来たか、だが構わない、通そう」
「ならばフィールドから消え去るが良い!エマージェンシーエスケープ!」
だからか、ファイアウォール・ドラゴンのバウンス効果に対しても、何の抵抗もする素振りは無く、元々の攻撃力が最も高いダークネス・ヘル・アーマゲドンと、展開の土台であったスカルデットはフィールドからいなくなった。
「バトルフェイズに入る!ブート・スタッガードでテムジンを攻撃!」
それを見た少年は此処でより多く零児のモンスターを減らそうと戦闘を仕掛ける。
だが、
ブート・スタッガード 攻撃力 2300 VS DDD烈火王テムジン 守備力 1500
「戦闘破壊されたテムジンの効果発動!対象は墓地にある地獄門の契約書だ!」
「何!?」
それは、致命的と言って良い悪手だった。
「テムジンの効果で地獄門の契約書を回収する!」
「くっ次のターンでのサーチ手段を確保されたか…
だが戦闘続行だ!ファイアウォール・ドラゴンでアレクサンダーを攻撃!テンペストアタック!」
「ダメージステップ開始時、永続罠『
「な!?」
戦乙女の契約書
永続罠
『戦乙女の契約書』の1の効果は1ターンに1度しか使用できない。
1:手札から『DD』カードまたは『契約書』カードを1枚墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として発動出来る。そのカードを破壊する。
2:このカードが魔法・罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの悪魔族モンスターの攻撃力は、相手ターンの間1000アップする。
3:自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける。
「戦乙女の契約書の2つ目の効果により、僕のフィールドにいる悪魔族モンスターの攻撃力は、君のターン中1000アップする!よって」
DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダー 攻撃力 6300→7300
DDD壊薙王アビス・ラグナロク 攻撃力 2500→3500
ファイアウォール・ドラゴン 攻撃力 2500 VS DDD疾風王アレクサンダー 攻撃力 2500→3500
「返り討ちだ!やれ、アレクサンダー!」
「くっ!プロキシー・ドラゴンの永続効果で、ファイアウォール・ドラゴンの代わりにガジェット・トークンを破壊する!」
???? LP 3000→2000
「俺はこれでバトルフェイズを終了する!」
「ならバトルフェイズ終了時、先程回収した地獄門の契約書を墓地へ送り、戦乙女の契約書の1つ目の効果発動!対象はファイアウォール・ドラゴン!効果で破壊だ!」
「な!?」
テムジンを戦闘破壊した事で地獄門の契約書を回収させただけならまだ引き返せた、だが相討ち狙いでアレクサンダーと戦闘した事に、プロキシー・ドラゴンによる身代わり効果を使ってしまったのは致命的なプレミと言っても良い。
1000ダメージを受けた事も含め、普段の彼では信じられない様なプレミ、それが何故起こってしまったのか、それは本人にも分からないかも知れない…
「これでターンエンドだ…」
????
LP 2000
手札 1
モンスター
1:ブート・スタッガード(攻撃表示)
3:プロキシー・ドラゴン
魔法・罠カード なし
「僕のターン!一応言っておくが、此処で戦乙女の契約書による攻撃力増加は無くなる」
DDD疾風王アレクサンダー 攻撃力 3500→2500
DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダー 攻撃力 7300→6300
DDD壊薙王アビス・ラグナロク 攻撃力 3500→2500
「ドロー!スタンバイフェイズに戦乙女の契約書の強制効果が発生する。
が、それにチェーンして罠『
契約洗浄
通常罠
1:自分の魔法・罠ゾーンの『契約書』カードを全て破壊する。破壊した数だけ自分はデッキからドローする。その後、自分はドローした数×1000LP回復する。
少年の致命的なプレミによって勝利は確定的となった零児、だがそれでも零児は手を緩めない。
強制的に発動された契約書カード共通のデメリット効果、それを踏み倒す効果を持つ契約洗浄を発動し、
「契約洗浄の効果で戦乙女の契約書を破壊し、ドロー!その後、1000LP回復する!」
Reizi LP 2500→3500
契約を無かった事にした。
「このままバトルフェイズに入る!エグゼクティブ・アレクサンダーでブート・スタッガードを攻撃!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダー 攻撃力 6300 VS ブート・スタッガード 攻撃力 2300
???? LP 2000→-2000 LOSE
WINNER Reizi
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「まだ僕達のいた4つの次元の影響は、このリンク次元では見られないな。だが何処か見落としている所もあるやも知れん。僕達の世界におけるデュエルモンスターズのルールが、この次元のそれに改変されようとしている程の干渉力だ、影響無い訳がない。全く、ズァークによる次元分裂の余波が、全く関係ない筈のこの次元にまで影響を及ぼすとはな…」
少年とのデュエルを終えた零児はその場を離れ、そう呟きながら街中へと消えて行った。
彼が一体何故この街、いやこの次元にいるのか、それはまた別の話…