【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
辛くも大輔とのデュエルに勝利した俺だった、が、
「ガッチャ!楽しいデュエルだ(スパァン)あべし!?」
其処に待っていたのは、決着と同時に突撃して来た柚子のハリセンだった。
「遊矢!一体全体なんであんな事仕出かしたの!?」
「いやぁ、狙いのアクションカードが空高くにあったし、空飛べるモンスターがいなかったからつい」
「つい、じゃないわよ遊矢!怪我でもしたらどうするの!?」
「悪い、柚子。極力気を付けるよ」
あの時は勝利したい一心でホープにぶん投げさせたが、傍から見たら危険を顧みない暴挙、増して柚子は彼女だしな、俺の身を案じるが故に怒っているに違いない。
俺も何百年と人生過ごして、その中で幾度と己の命どころか世界の存亡まで賭けた戦いに明け暮れたからか、そこら辺麻痺しちゃっているな、今度から気を付けないと。
と、そうだ、
「じゃあ改めて大輔。ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!でも、あの舐めプは頂けないな」
「ああ、あれか。舐めプしたつもりは微塵も無かったんだが…
言い訳だったな、すまん。でもこちらこそ、楽しい物だな、アクションデュエルって」
俺は大輔と健闘をたたえ合い、アクションフィールドを後にした。
後に待っていたのは遊勝塾生達によるさっきホープにさせたハンマー投げに関する突っ込みだったのは、言うまでも無い。
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「成る程な、やっぱりOCGからZEXALの世界に転生したのか。それにしても『異端な存在だから』って理由でZEXALの世界に転生されたとか、それはまた斬新な…」
「まあな。そっちはそっちで
『こう聞くと神様転生といっても、色んなシチュエーションがあるね。まあ転生前の世界での『都合あわせ』的な面は何処も一緒みたいだけど』
大輔のZEXAL世界に転生した際の話を聞くと、本当にそれだよなユベル。
遊士だった頃の俺が所謂『転生トラック』というテンプレにも程があるシチュエーションで死んだけど、それが元の世界にとってイレギュラーだったので転生したかと思えば、大輔という存在自体が元の世界にとってイレギュラーだったので、転生させても影響の無さそうな世界、この場合はZEXALの世界に転生させる等、経緯はバラバラだがその全てが元の世界にとってイレギュラー、つまり『不都合な事態』に対する回答的な物になっている。
まあ言うなれば『アラヤ』と『ガイア』という、TYPE-MOON作品における『
『ガイア?『暗黒騎士ガイア』カテゴリの事か?』
違うからなアストラル、いい加減そのデュエル脳は自重してくれないか?
「にしても、大輔をこの世界に呼びよせたあの白紙のカード、一体なんだろうな。そろそろ零児が向かわせた関係者が此処に来る頃だし、その時に分かればいいか」
「ん、零児?ああ、さっき遊矢が言っていた、この手の方面で詳しい知り合いって奴か?」
「ああ。赤馬零児、この世界において、アクションフィールド等といったデュエル関連機材の開発・製造を手掛ける大手企業レオ・コーポレーションの社長で、プロデュエリストなんだ。傘下にLDSっていうデュエルスクールも持っていて、刃も元々其処の出身なんだぜ」
「デュエル関連の大手企業の社長!?傘下にデュエルスクール!?海馬社長みたいな感じか!?」
「ま、まあその認識で合って、るか?」
『合っていると思うよ。あのブルーアイズ命の社長も、デュエル関連事業の大手企業の社長で、デュエルスクール、というかデュエルアカデミアのオーナーだし』
たしかにそうだな、と納得していると、
「遊矢、お客さんだ。何でもレオ・コーポレーションの社長さんからの命で来たそうだ」
「お、噂をすればなんとやらって奴だな。分かったぜ塾長、今行く。大輔」
「分かった。じゃあ行きますか!」
良いタイミングで到着したらしく、塾長から呼び出されたので応じて向かう。
「榊遊矢様と、七穂氏大輔様ですね。社長がお待ちです。どうぞこちらへ」
「はい、了解しました」
「分かりました」
其処に待っていた黒服の人、零児が言っていた調査員だろうか、その人の案内に応じて俺達は車に乗り込み、一路LDSへと向かった。
「あ、そうそう遊矢、色々と気になったんだけどさ、さっきのデュエルで使っていたホープデッキ、見せて貰っても良いか?」
「ん?ああ、良いぜ。そうだ、大輔も見せてくれよ」
「分かった、良いぜ」
その途上、大輔からデッキを見せてくれと頼まれ、俺達はデッキを見せ合う事になった。
さて、大輔が使っている『紋章アンデ』、どんなデッキ構成になっているのか、って、
「うぉ、このメインデッキ、少し厚いんじゃないか?下限の40枚を超えているみたいだが」
「確か45枚かな?まあこれでも減らした方なんだけどな、ちょこちょこ入れていた奴を外してさ」
「これで、か。ちなみにどんなカードを入れていたんだ?」
「ざっと挙げると、『オーバーレイ・イーター』だろ、『テイク・オーバー5』だろ、『ダブル・アップ・チャンス』に『地獄の暴走召喚』、それから…」
「ああ、成る程。そっちの世界の『俺』とかカイトとかの対策に良さそうな奴だな。それにしても『テイク・オーバー5』は墓地肥やしとして中々良いと思うけどな。ネクロ・ガードナーが入って無いんだし、エンドサイクとかで使う事無く除去されそうな『針虫の巣窟』より良いんじゃないか?」
テイク・オーバー5(アニメ登場カード)
通常魔法
自分のデッキの上からカードを5枚墓地に送る。次の自分のスタンバイフェイズ時に墓地のこのカードが存在する場合、手札・デッキ・墓地のこのカードと同名のカードをゲームから除外する事で、デッキからカードを1枚ドローする事が出来る。また、このカードが墓地に存在する限り、自分のカードの効果でデッキからカードを墓地に送る効果を無効にする。
テイク・オーバー5、上にも書いてある通り、魔法版『針虫の巣窟』と言える効果である。
アニメ『遊戯王デュエルモンスターズGX』にて登場してからもう何年経ったか分からないアニメオリカだが、未だにOCG化されていない、解せぬ。
まあそれは置いて、大輔の『紋章アンデ』デッキとは、罠である『針虫の巣窟』以上に好相性だと思うんだけどな…
「それなんだけどさ、どうも最近その落ち方が良くないんだよ。『死者蘇生』が何連続も落ちてさ…」
「ひょっとして大輔、『貪欲な瓶』ってカードを知らないか?」
「ああ、これか。一応知っているけど、余り入れようとは思わないな。紋章獣の大半やアンデッドモンスター達は墓地に落ちていてナンボだし」
「でも魔法や罠カードを、デッキを通してとは言え即座に回収できるのは強いと思うぜ。俺、今使っているデッキ達の殆どに制限カードを結構積んでいるから重宝するんだよ。ライブラリアウトするかどうかって場面で使えば戻したカードを即ドローするって事もしょっちゅうだし」
まあ、そうなるのは十代だった頃からのチートドローがあってこそだと思うが、それでもピン刺しの魔法・罠カードをリサイクル出来る上にハンドアドバンテージ+1は大きい。
え、今度の舞網チャンピオンシップから無制限になる『転生の予言』?あれは戻した奴を直ぐにドロー出来ないから駄目だ、まあ相手が墓地肥やしを積極的にするなら対策として良いかも知れんが。
「やっぱ『ハーピィの羽根帚』がピン刺し、一体こっちでの禁止制限はどうなっているんだ…
ん?RUMはクイック・カオスだけなのか」
「ああ。速攻魔法のRUMなんてそう無いだろ?俺のデッキは『希望皇ホープ』を出してナンボだし、ベストなのはコイツかと思ってさ」
「あれ?エクストラデッキはNo.39しか無いのか。ホープ・ドラグーンとかホープ・ゼアルは無いのか?」
「アイツら『希望皇ホープ』じゃないからな。ホープ・カイザーは出す意味が薄いし」
「ヲイヲイ、それで良いのか?」
「そういう大輔こそ、紋章No.はプルートだけなんだな。ゲノム・ヘリターとかコート・オブ・アームズとかどうしたんだ?」
「ああ、それだけどさ、ZEXALの世界で紋章獣を使っているのは俺だけじゃない、トロンもいる。今遊矢が挙げた奴は元はと言えばトロンのNo.だろ?それと辻褄を合わせる為じゃないか?」
「成る程な」
俺と大輔が、互いのデッキ構成に対してああだこうだと持論を述べている中、俺達を乗せている車は順調にLDSへの道を進んでいた…
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「初めまして。遊矢から話はあったと思うが、此処レオ・コーポレーションの社長を務めている、赤馬零児だ。宜しく頼む」
「七穂氏大輔です。宜しくお願いします」
「さて、早速だが君をこの世界へと転移させたと言う、真っ白なカードを見せては貰えないか?」
「はい、これです」
LDSへ到着し、零児の元へ案内された俺と大輔、其処で待っていた零児と大輔の自己紹介もそこそこに、大輔は零児にあの白紙のカードを見せた。
「ふむ、カードフレームを見るとシンクロモンスターの様だが、遊矢が持っているペンデュラムモンスターの様に、カードフレームが変わる可能性もある。カードの種類も現状では判別しがたいな」
「ペンデュラムモンスターと言うと、確か魔法カードとしても使えるモンスターカード、でしたっけ?」
「ああ、まだこちらの世界でも実用化されるかされないかといった段階の、カードの種類だが。それにしても良く知っているな、君がいた世界では実用化されているのか?」
「いえ、此処とは別の異世界で、それを使うデュエリストがいたので」
もしかして、大輔が言っていた俺と『同姓同名』の奴って、異世界、というかパラレルワールドの『俺』か?ひょっとしたらアニメでの『俺』だったりしてな。
「何にしても、詳しく解析してみないと話は進まない。其処で、そのカードの召喚エネルギーを計って見ようと思う。急で済まないが、目の前のアクションフィールドに入っては貰えないか?」
「あ、はい。分かりました」
召喚エネルギーとは、零児曰く、カードが持つ力が現実世界に干渉する際に発生するエネルギー、との事。
そのエネルギーの『性質』によって、シンクロ召喚やエクシーズ召喚、融合召喚や儀式召喚、果てはペンデュラム召喚の判別も可能だとか。
詳しくは零児にも良く分かっていないらしいが、まあ俺の経験則から一言でいっちゃえば、カードに宿る精霊が持つエネルギーって所か?
それを計測して、あの真っ白なカードがどの様な種類か判別出来ないかという零児の提案に乗り、大輔はアクションフィールドへと入っていく。
が、
『はい、スタンバイOKです』
「了解した。それでは(ビーッ!ビーッ!)む、どうした!?」
「社長、緊急事態です!あの白いカードから膨大な召喚エネルギーの反応が!」
「だ、大輔!?そっちは大丈夫か!?」
『わ、分からない!一体何が、こ、この穴はまさかさっきと同じ…』
突如としてあの真っ白なカードから強烈なエネルギーと共に眩しい光が発生、大輔の声が途中で途切れると共にそれが晴れた後には、大輔も、あの真っ白なカードも、アクションフィールドにいなかった。
「エネルギー反応、ロスト…」
「そ、そんな馬鹿な!たった今まであの少年も、あのカードも我々の目の前にあるアクションフィールドにいた筈!周囲の反応を探せ!」
「はいっ!」
その不可解な事態に零児の秘書である中島さんが、居合わせたオペレーター達に指示を飛ばしていく。
だけどその中で俺と零児は、ある結論に達していた。
「遊矢、彼は帰ったのだろうな。あのカードの力によって、元いた世界に」
「はい。いなくなる間際に言っていたあの言葉、恐らくこっちの世界に来た時と同じ様に、元の世界に帰って行ったんだと思います」
「根拠は無いが、何故かそうだと思える。ところで遊矢、やけに充実した顔をしているが、彼とのデュエルは、君にそんな顔をさせるほどの物だったのか?」
「はい。零児と互角か、或いはそれ以上のデュエリストでした。結果は俺の勝利でしたが、どっちに転んでもおかしくなかったです」
「ほう、君に其処まで言わせる実力だとは。デュエルする機会なく帰ってしまったのが悔やまれる」
周りの喧騒を他所に俺と零児は、異世界から来たデュエリストである大輔の実力で会話を弾ませていた。
大輔、今度会った時はまたデュエルしような。
はい、今話を持ちまして瑞田高光さん投稿の『遊戯王ZEXAL 知られざる八人目の七皇』とのコラボは終わりとなります、瑞田高光さん、ありがとうございました!