【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
『さあ、舞網チャンピオンシップ、ジュニアユースクラス2日目も、そして様々な激戦が繰り広げられた1回戦も、いよいよ最後の試合となりました!ではこの第32試合に、1回戦最終試合に、今日最後の試合に、最も相応しいと言えるデュエリストに登場して頂きましょう!』
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
ニコさんのMCによって今大会最高潮と言って良い位に盛り上がる会場、その地下に、第1シードとしてこの試合に出場する俺はスタンバイしていた。
『それでは1人目!快進撃止まらぬ遊勝塾の、文字通りのスーパーエース!ある時はド派手な展開力で人々を魅了するエンタメデュエリスト!またある時は圧倒的な制圧力で人々を畏怖させる完全決闘者!その実力を以て前回大会で優勝し、今年あのアクションデュエルのチャンピオンであるストロング石島を圧倒した事は皆さんも良く知る所でしょう!』
ニコさんの紹介と共に、俺がスタンバイしていた場所が、まるでエレベーターの如く上昇して行く。
無論、俺がスタンバイしていたのは、舞台とかで良くある昇降装置だ。
それによって真上にあるアクションフィールドへ、ディフェンディングチャンピオンである俺を登場させると言う、在り来りだがそれでも尚インパクト十分な演出の為に、俺は此処にいたって訳。
『果たして今日のデュエルで彼が見せるのは、エンタメデュエリストとしての彼か、はたまた完全決闘者としての彼か!皆様、期待を胸に抱きながら彼の名を呼びましょう!第1シード!舞網チャンピオンシップ、ジュニアユースクラスディフェンディングチャンピオン!
(プシュゥゥゥゥゥゥゥ!)
榊ィィィィィィ!遊矢ァァァァァァ!』
『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
そして、炭酸ガスのジェットスモークという、これまたベタな演出と共にアクションフィールドに現れた俺の姿に、観客もこれ以上に無いって位の熱い声援をあげてくれた。
「Ladies and Gentleman!Boys and Girls!今日はこの俺、榊遊矢のデュエルに来ていただき、本当にありがとうございます!」
『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『遊矢!遊矢!遊矢!遊矢!』
『頑張って、遊矢きゅーん!』
それに応えるべく、観客へと感謝の意を込めて挨拶をすると、観客もそれに最大限の声援を返してくれた、うん、やっぱりこの雰囲気は最高だ!
『その王者に挑むは、LDSが送り込む最後の刺客!そのデュエルは変幻自在!沢渡シンゴ選手!』
なんかニコさんの紹介、やけにあっさりしているなぁ。
まあ良いか、沢渡だし、と思っていたら、
「沢渡?なんだその格好?」
「このネオ・ニュー沢渡、今日はお前への数々の恨みを晴らす為に此処に来た!」
いや話聞けよ。
そう突っ込む俺に相対する沢渡の格好はと言うと、時代劇とかで良く見かける編み笠を被り、着流しを身に纏う、というどっからどうみても風来坊のコスプレだ。
というか数々の恨みって、あれか、お前とのデュエルでゲロ吐かせた事か?それは元はと言えばお前の所為だろう。
「生まれて今日に至るまでこのネオ・ニュー『さっさと帰れサワガニ!』『ウザいんだよさかあがり!』『遊矢きゅんにいちゃもん付けないでさるすべり!』最後まで言わせろ!というか人の名字をワザと間違えるな!」
「皆さん、今回は何か前置きを並べているミスターネオ・ニュー沢渡とこの俺とのデュエルを、どうぞお楽しみ下さい!」
「勝手に話を進めるな貴様『流石王者は違うぜ!』『遊矢きゅん格好いい!』『ほらさっさと進行しろよMC!』まだ無視するかぁ!もう許さんぞ貴様ぁ!」
まあこれまでの行いを考えると仕方ない(俺から見ればであって、観客の皆はそれを殆ど知らない筈なんだが)とはいえ、皆して沢渡の扱いひでぇな。
『どうやら観客もデュエルの開始を心待ちにしている様なので始めましょう!ランダムセレクト!アクションフィールド、オン!『夕日の荒城』!』
なんか荒廃したフィールドだな、此処。
『戦いの殿堂に集いしデュエリストが!モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!見よ、これぞデュエルの最強進化系!アクショーン!』
「「『デュエル』!」」
先攻 Shingo LP 4000 VS 後攻 Yuya LP 4000
「俺のターン!見せてやる、俺の新たなる力を!
まずは永続魔法『修験の妖社』発動!」
修験の妖社
永続魔法
『修験の妖社』の2の効果は1ターンに1度しか使用出来ない。
1:このカードが魔法・罠ゾーンに存在する限り、『妖仙獣』モンスターが召喚・特殊召喚される度に、このカードに妖仙カウンターを1つ置く。
2:このカードの妖仙カウンターを任意の個数取り除いて発動出来る。取り除いた数によって以下の効果を適用する。
●1つ:自分フィールドの『妖仙獣』モンスターの攻撃力はターン終了時まで300アップする。
●3つ:自分のデッキ・墓地から『妖仙獣』カード1枚を選んで手札に加える。
うぉい、新たなる力って『妖仙獣』デッキの事かい。
『
なにしろ特殊召喚する事無く大量展開出来るから『虚無空間』や『ライオウ』等をすり抜けられる(前者は逆に自分で入れる始末)、墓地や除外ゾーンを利用しないから『マクロコスモス』や『王宮の鉄壁』等が通じない(逆に自分でry)、除去方法が主にバウンスだから除去メタが無意味、とメタを張る手段が大いに限られ、逆にメタを張られるから厄介なんだよな。
あ、そういやトライブ・フォースのCMナレーション、どっかで聞いた事あるなと思ったら沢渡の声だ、成る程その縁もあって使っている訳か(というより、アニメで使っていたからCMに起用されたのか?)。
「さあ行くぜ!『妖仙獣
妖仙獣 鎌壱太刀
効果モンスター
風属性
獣戦士族
レベル 4
攻撃力 1600
修験の妖社 妖仙カウンター 0→1
出た、妖仙獣の要と言って良いカマイタチ三兄弟、その長男が。
「召喚した鎌壱太刀の効果発動!手札の『妖仙獣
妖仙獣 鎌弐太刀
効果モンスター
風属性
獣戦士族
レベル 4
攻撃力 1800
修験の妖社 妖仙カウンター 1→2
今度は次男が出て来たか。
「召喚した鎌弐太刀の効果発動!手札の『妖仙獣
妖仙獣 鎌参太刀
効果モンスター
風属性
獣戦士族
レベル 4
攻撃力 1500
修験の妖社 妖仙カウンター 2→3
初手で三兄弟揃えていたんかい。
「召喚した鎌参太刀の効果発動!鎌弐太刀をリリースして、手札の『妖仙獣
妖仙獣 凶旋嵐
効果モンスター
風属性
獣族
レベル 6
攻撃力 2000
修験の妖社 妖仙カウンター 3→4
更に出て来たのは、荒法師の様な出で立ちをしたイタチ、凶旋嵐。
「召喚した凶旋嵐の効果発動!デッキから、
ペンデュラムモンスター『妖仙獣
妖仙獣 左鎌神柱
ペンデュラム・効果モンスター
風属性
岩石族
レベル 4
守備力 2100
修験の妖社 妖仙カウンター 4→5
そして凶旋嵐の効果で、妖仙獣に効果対象にならない効果を付加させる左鎌神柱をリクルートか、中々堂に入ったプレイングだな。
と、此処で、観客が騒めき出した。
『さ、沢渡選手のフィールドに、ペンデュラムモンスターが登場しました!まさかペンデュラム召喚を披露すると言うのでしょうか!』
あ、そういえばまだペンデュラムモンスターを使うの俺と零児だけ(その内、零児が使っている事は公になっていない)だったな、それならビックリするのも致し方ないか。
でも妖仙獣の場合、ペンデュラム召喚を使わずともカマイタチ三兄弟によって十分に大量展開出来るし、ペンデュラムモンスターである左鎌神柱も、ペンデュラムスケールにセッティングするよりフィールドに出した方が仕事するんだよなぁ。
「そして修験の妖社の妖仙カウンターを3つ取り除いて効果発動!デッキから『妖仙獣
Shingo
LP 4000
手札 3(鎌壱太刀、鎌参太刀、大幽谷響)
モンスター 妖仙獣 凶旋嵐(攻撃表示)
妖仙獣 左鎌神柱(守備表示)
魔法・罠カード 修験の妖社(妖仙カウンター:2)
守りも念頭に置いている上手いプレイングだ、これでエクシーズ召喚を覚えたら大いなる戦力となるに違いない。
性格的に難はあるが、この前のデュエルで使っていた『ダーツ』デッキ、柚子曰くユートとのデュエルで使っていたらしい『帝コントロール』デッキ、そして今回の妖仙獣デッキと、様々なデッキを使用するデュエリストはOCG世界ではともかくこの世界、いや今まで渡り歩いたどの世界でも貴重だ(俺の身近にいるデュエリストではエレンしかいないし、当のエレンも俺がマルチデッカーである事から真似ている様な物だし)、後はデュエルアカデミアとの戦いへの覚悟を持てるかどうか。
お前がその覚悟を持てる存在か見せて貰うぜ、このデッキでな!
「俺のターン!ドロー!
まずは『EMドクロバット・ジョーカー』召喚!」
EMドクロバット・ジョーカー
効果モンスター
闇属性
魔法使い族
レベル 4
攻撃力 1800
「召喚したドクロバット・ジョーカーの効果発動!デッキから『オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン』を手札に加えます!
次に儀式魔法『オッドアイズ・アドベント』発動!」
オッドアイズ・アドベント
儀式魔法
ドラゴン族の儀式モンスターの降臨に必要。『オッドアイズ・アドベント』は1ターンに1枚しか発動出来ない。
1:レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になる様に、自分の手札・フィールドのペンデュラムモンスターをリリースし、自分の手札・墓地からドラゴン族の儀式モンスター1体を儀式召喚する。相手フィールドにモンスターが2体以上存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分のエクストラデッキの『オッドアイズ』モンスターもリリースの代わりに墓地へ送る事が出来る。
え、何で後半の効果を使わないんだって?
グラビティ・ドラゴンが初手に無かったんだよ。
「オッドアイズ・アドベントの効果で、俺のフィールドにいるドクロバット・ジョーカーと、手札の『貴竜の魔術師』をリリースする事で、たった今手札に加わった『オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン』は降臨します!2色の眼の龍よ!その鈍色の輝きを解き放ち、フィールドを圧殺せよ!儀式召喚!『オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン』!」
オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン
儀式・効果モンスター
地属性
ドラゴン族
レベル 7
攻撃力 2800
「(ズン!)がぁっ!?な、なんだこれは!?」
「っ!」
『おっと、両者共にどうしたと言うのでしょうか!何かが圧し掛かった様な素振りを見せている様ですが、え、はい、何々…
な、なんと会場の皆さん!たった今入りました情報によりますと、遊矢選手が儀式召喚したオッドアイズ・グラビティ・ドラゴンですが、アクションフィールド内の重力を操作する力を有しており、それによってフィールドの重力が増大しているとの事です!グラビティとは重力、その名を冠したグラビティ・ドラゴンが舞い降りた事によって、このデュエルはより過酷な物と化しております!』
「くっそういう事か!だがこれしきの事で俺がくたばると思ったら大間違いだ!」
「その言葉、デュエルが終わるまで忘れないで頂きたい!儀式召喚したグラビティ・ドラゴンの効果発動!貴方のフィールドにある魔法・罠カードには、全て手札に戻っていただきます!」
「何っ!?ちぃっ!」
グラビティ・ドラゴンが降臨すると同時に増大した4Gもの重力、だが沢渡はそれをモノともせず、儀式召喚成功時の効果で吹っ飛ばされた修験の妖社を、舌打ちしながら手札に加えつつも、そのデュエルへの思いは全く以て失われていなかった。
なら、これはどうかな?
「続いて魔法『オッドアイズ・フュージョン』発動!」
オッドアイズ・フュージョン
通常魔法
『オッドアイズ・フュージョン』は1ターンに1枚しか発動出来ない。
1:自分の手札・フィールドから、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。相手フィールドにモンスターが2体以上存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分のエクストラデッキの『オッドアイズ』モンスターも2体まで融合素材とする事が出来る。
「俺は、手札の『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』と『法眼の魔術師』を融合!2色の眼の龍よ!その碧の輝きを解き放ち、荒ぶる風で敵を惑わせ!融合召喚!『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』!」
オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン
融合・効果モンスター
風属性
ドラゴン族
レベル 7
攻撃力 2500
このままボルテックス・ドラゴンの効果でバウンス、と行きたかったが、凶旋嵐は左鎌神柱がいる事で対象に選べず、その左鎌神柱は守備表示だからこれも無理、よってバウンス効果は使えない。
だが俺の場には、効果を発動する為に500LPを要求し、アクションカードの探索を困難にさせるグラビティ・ドラゴンと、その効果を1ターンに1度無効化出来るボルテックス・ドラゴンの2体がいる。
この状況を切り抜けるには、1000LPという少なくないライフコストを駆使して、打開可能なカードを2枚も使わなければならない、これぞ、
「今この時、このデッキの最強タッグ、『オッドアイズ・ディザスター』が完成しました!ミスターネオ・ニュー沢渡、貴方にこのタッグを突破出来ますか?」
「ふん!どんな陣を敷こうと突破して見せる!」
言ったな?なら行くぜ!
「ならばバトルフェイズに入ります!
グラビティ・ドラゴンで凶旋嵐を攻撃!鋼鉄のマッド・カタクラズム!」
「させるか!アクションマジック『回避』を発(ガクッ!)くっ、なんのこれしき、発動…!」
「おっと!それにチェーンして、エクストラデッキのドクロバット・ジョーカーを戻してボルテックス・ドラゴンの効果発動!それを無効にします!」
「何っ!?ぐぁっ!」
回避
アクションマジック
1:フィールドのモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターの攻撃を無効にする。
オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン 攻撃力 2800 VS 妖仙獣 凶旋嵐 攻撃力 2000
Shingo LP 4000→3500→2700
「更にボルテックス・ドラゴンで左鎌神柱を攻撃!神速のウィンド・ラプチャー!」
「左鎌神柱!」
オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン 攻撃力 2500 VS 妖仙獣 左鎌神柱 守備力 2100
よし、これで沢渡の場はすっからかんだ。
「俺はこれでターンエンドです!」
Yuya
LP 4000
手札 0
モンスター オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン(攻撃表示)
オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン(攻撃表示)
魔法・罠カード なし
さあ沢渡、この局面をどう突破する?