【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
「これは…!
オベリスク・フォースが使っている『
「え!?それって確か…!
何で、何でデニスのデッキに入っているの…?」
『融合次元の俺』に殺されたデニスの無念を晴らす為に、遺品となったデニスのデッキを回収していた俺の目に、信じられない物が映った。
デニスのデッキに、アカデミアの精鋭部隊『オベリスク・フォース』が使っているらしい、『古代の機械』カテゴリのカードが入っていたんだ。
古代の機械と聞くと、俺が十代だった頃に色々とお世話になった(原作の様な『悪い意味で』じゃないからな)クロノス先生が愛用するカテゴリ、というイメージがあるんだが、融合次元のデュエルアカデミアでも大分メジャーなカテゴリであるが、オベリスク・フォースに選ばれる位の実力を持ったデュエル戦士にしか提供されない特別な物、というのはセレナから聞いた話だ。
それをデニスが持っている、という事は、デニスは融合次元出身の、それも精鋭に選ばれる程のデュエリストって事になる。
だけどアカデミアのデュエリストが融合モンスター以外の、エクストラデッキに入るカード(シンクロやエクシーズ)を入れているという情報は聞いた事が無い(セレナや一美が「そんな奴はアカデミアの恥」と言っていたし)が、デニスの『
何より精鋭として将来を嘱望されている筈のデニスを『融合次元の俺』に殺させる等、余程の事(瑠璃やリンを拉致する際に自ら出向く等、アカデミアにとって重要人物らしいし)の筈、つまり…
デニスはこの次元に来るずっと前にアカデミアを裏切った事で『裏切り者』としてマークされ、その咎に対する『罰』の名目で今、『融合次元の俺』に殺されたって事だ…!
「柚子、デニスの敵をとろう…!
アカデミアの精鋭として将来を嘱望されながら、アカデミアの行動に対して真っ先に疑問を抱いて異を唱え、エクシーズ次元に翻った事で『裏切り者』のレッテルを張られた、彼の無念を晴らそう…!
父さんのエンタメデュエルをリスペクトし、自分なりのエンタメデュエルを貫こうとした彼の信念を、俺達が引き継いでいこう…!」
「うん、遊矢「師匠達に手を出すなぁぁぁぁ!(ドゴォ!)」「ぐはぁっ!?」え!?」
「そ、素良!?」
柚子と共に、改めてデニスの敵をとろうと決めた矢先の事だった、背後から素良の声と、何かが激突する音が聞こえ、その方へ振り向くと、其処にはオベリスク・フォースの1人に体当たりを決める素良の姿があった。
「師匠!コイツは僕に任せて行ってください!早く!」
「そ、素良「良いから早く!お願いします!」わ、分かった!」
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Side 素良
「何の真似だ、素良!貴様裏切るのか、我らデュエルアカデミアを!」
「だったら何だって言うんだい?僕を裏切り者として、プロフェッサーに報告でもすれば良いさ。まぁ生き残れたら、の話だけどね」
今のやり取りで感づかれたかな?まあ色々な連中が嗅ぎまわっていたみたいでバレバレだろうけどね。
今のでピンと来た人も多いと思うけど、僕も、目の前にいるオベリスク・フォースも、此処『スタンダード次元』とは違う世界『融合次元』にあるデュエルアカデミアから来たんだ。
僕はスタンダード次元への斥候という形の特別任務をプロフェッサーから受けて、目の前のオベリスク・フォースは恐らくエクシーズ次元の残党を狩る任務で。
正直、「スタンダード次元は敵では無い」とプロフェッサーが言う通り、そのレベルは余りにも低いと思っていたからその任務は気が進まなかった、プロフェッサー直々に任務を受けて無かったら今頃すっぽかしていた位に。
実際に此処のレベルは、アカデミアはおろか、エクシーズ次元の連中にも及ばない位低かった、けど、何事も例外は存在した。
この舞網市で最大手と言われているLDSのデュエルフィールドで見た師匠のデュエルは、アカデミアでも偶にしか見かけない位に洗練された、凄まじい物だった。
師匠曰く「エクストラデッキ無し、モンスターは全て攻撃力2000未満」のデッキで互角以上、というか優位に立ち回ったその姿だけでも当時の、僕の気を惹かせるには充分だったのに、『ペンデュラム召喚』という全く新しい召喚方法を編み出したとあればもう、くっついて行きたいと思うのはデュエリストの性って奴かな。
でもまだこの時は師匠が異常なほどレベルが高いだけで他は、と思っていたけど、甘かった。
師匠が所属しているデュエルスクール『遊勝塾』に加入、僕の実力を見せる事になったんだけど、その相手で「師匠の一番弟子」を自称し、師匠にくっ付いていた僕にドロップキックを仕掛けるというリアリストもいい加減にして!と言いたい出会いをしたエレンの実力も凄まじい物だった。
僕がデストーイ達を展開して行った事を逆手に取り、融合素材モンスターとして奪い取って行くプレイングに圧倒されたあのデュエルで、僕は遊勝塾のレベルが、師匠の指導を受けたデュエリスト達の腕前が、アカデミアにも勝るクラスなんじゃないかってこの時感じ、其処の一員としてこれから過ごしていく事に、ついて行けるかという不安も無くは無かったけど、それが霞む位にワクワクしていたんだ。
師匠を始め、柚子、当麻、一行、エレン、みこっちゃん、エレン、フトシ君、アユちゃん、タツヤ君に塾長、後から入って来たマリアちゃんや刃、雪乃先生、それと一応『部外者』のゴンちゃん…
皆してレベルが物凄く、一方で遊勝塾の理念である『エンタメデュエル』を全うするド派手なプレイングは、僕を魅了させるのにそう時間はかからなかった。
まあ、融合召喚やシンクロ召喚、エクシーズ召喚を(内向きで)バンバン使うのには別の意味で驚かされた(ペンデュラム召喚は、まだ師匠しか使っていなかった)し、師匠の『完全決闘』デッキ相手に何も出来ずに負けたり、それに必死こいて対策を練ったりする塾生の姿には流石にドン引きしたよ(師匠も師匠で『対策の対策』を練っていたし)。
何より、師匠がエクシーズモンスターを積極的に使っている姿を見た時には、何時か師匠と敵対する時が来るのかな、なんて嫌な考えも浮かんで複雑だった。
そんな僕を変えたのは、僕なりのエンタメデュエル『ホラーデュエル』を、師匠と一緒に編み出したあの時だったかな。
僕のデッキの要である『デストーイ』融合モンスター達、それを融合召喚する際に繰り広げられる『ファーニマル』モンスターと『エッジインプ』モンスターによるR-15指定間違いなしな演出をどうエンタメデュエルに生かしていくか、その問題の答えとして師匠と共に導き出したのが『ホラーデュエル』だった。
どっかのホラー映画の殺人鬼の様な出で立ちに扮し、不気味さ満載な口調でデュエルを進める、それによって観客や対戦相手の恐怖を、ホラー映画を見ている時の様な恐怖を煽り、其処からのスプラッタな展開で震撼させ、終わった後に「こ、怖かった…」と安堵の笑いを引き起こす、そんなホラーデュエルで震え上がり、そして笑顔になる、そんな周りの人達の姿に、僕は何時しか「これが、僕がしたかったデュエルなんじゃないか?此処が、僕がいるべき場所じゃないのか?」と思う様になり、それはやがてアカデミアの、引いてはプロフェッサーの、各次元への侵略に対する疑問となっていった。
勿論、アカデミアを、プロフェッサーを、アカデミアにいる仲間達を裏切る様なこの思いには抵抗はあった。
エクシーズ次元のデュエリスト達を散々狩っておいて今更真っ当な道を進む等許されない事だとも分かっていた。
所詮僕は融合次元から任務で来た者、スタンダード次元にそのまま住みつく事は出来ないと分かっていたさ。
けど、僕はもう揺るがない。
僕は、『遊勝塾生』紫雲院素良は、皆を、皆の笑顔を守る為に戦う!
師匠、今まで、ご指導ありがとうございました…!
「殺してやるよ、アカデミアの狗め!」
「くっ!やむを得ないか!」
「「デュエル!」」
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「私達の仲間が、貴方達の大事な存在を奪い尽くしたのは変えがたい事実です…
ですがそれで、私にとって大事な存在を殺されても黙っていろと言われて、はいそうですかと従うと思ったら大間違いです…!
炎髪灼眼の討ち手!貴方は、私が止めます!」
「やれるものならやってみなさい!貴方も、仲間達の後を追わせてあげるわ!」
「「デュエル!」」
先攻 Kazumi LP 4000 後攻 Yuka LP 4000
「私の先攻です!
まずは永続魔法『魂吸収』発動!」
魂吸収
永続魔法
このカードのコントローラーはカードがゲームから除外される度に、1枚につき500ライフポイント回復する。
「次に『霊獣使いの長老』を召喚!」
霊獣使いの長老
効果モンスター
風属性
サイキック族
レベル 2
攻撃力 200
遊香の言葉によって打ちひしがれたセレナを庇うかの如く立ちはだかった一美と、遊香のデュエル、先攻となった一美が、魂吸収を発動した後に出したのは、端末世界の勢力『霊獣』に属する年老いた男性。
「長老の効果によって私はもう1回、霊獣モンスターを召喚出来ます!
この効果で『精霊獣カンナホーク』を召喚!」
精霊獣カンナホーク
効果モンスター
風属性
雷族
レベル 4
攻撃力 1400
次に登場したのは、同じく霊獣に属する、雷を纏った鷹の様な鳥、カンナホーク。
「今出したカンナホークの効果発動!
デッキから『精霊獣アペライオ』を除外します!」
Kazumi LP 4000→4500
「続いて、長老とカンナホークを除外して融合!ガスタの意志を受け継ぎし老戦士と、雷を纏いし鷹よ!今こそ力を合わせて、反撃ののろしを上げて下さい!融合召喚!『聖霊獣騎カンナホーク』!」
聖霊獣騎カンナホーク
融合・効果モンスター
風属性
雷族
レベル 6
守備力 1600
Kazumi 4500→5500
既にフィールドにいる長老が、カンナホークの背に飛び乗ろうとした瞬間、両者の姿が光輝き、それが晴れた後には、長老を背に乗せた、巨大化して逞しくなったカンナホークの姿があった。
「今融合召喚したカンナホークの効果発動!対象は除外されている、長老とカンナホーク!
それにチェーン、カンナホークをエクストラデッキに戻して2つ目の効果発動!
まずは2つ目の効果で除外されている長老と『精霊獣アペライオ』を帰還させます!」
精霊獣アペライオ
効果モンスター
風属性
炎族
レベル 4
守備力 200
長老を乗せたカンナホークが、上空に出来た穴に入って行くと同時に其処から出て来たのは長老と、炎を纏ったライオンの様な獣、アペライオ。
「次に1つ目の効果でカンナホークを墓地へ送り、デッキから『霊獣の相絆』を手札に加えます!
更に今帰還させたアペライオの効果発動!墓地のカンナホークを除外し、このターン、私のフィールドにいる霊獣モンスター達の攻撃力・守備力は其々500アップします!」
Kazumi LP 5500→6000
霊獣使いの長老 守備力 1000→1500
精霊獣アペライオ 守備力 200→700
「まだまだ行きます!魔法『封印の黄金櫃』発動!」
封印の黄金櫃(準制限カード)
通常魔法
1:デッキからカード1枚を選んで除外する。このカードの発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外したカードを手札に加える。
「封印の黄金櫃の効果で、デッキから『霊獣使いウェン』を除外します!」
Kazumi LP 6000→6500
「まだまだ終わりませんよ!長老とアペライオを除外して融合!再び現れて下さい、カンナホーク!」
Kazumi LP 6500→7500
聖霊獣騎カンナホーク 守備力 1600→2100
再び、長老を乗せて現れたカンナホーク、ただ先程と違うのは、突如現れた大穴に長老とアペライオが飛び込んで行くと同時に、カンナホークが現れた、という光景だろうか。
「此処は融合召喚したカンナホークの効果を、もう1回使います!対象は除外されている、『霊獣使いウェン』とアペライオ!
それにチェーン、カンナホークをエクストラデッキに戻して2つ目の効果発動!
まずは2つ目の効果で除外されている『霊獣使いウェン』とカンナホークを帰還させます!」
霊獣使いウェン
効果モンスター
風属性
サイキック族
レベル 3
守備力 1000→1500
先程と同じく大穴が出現してカンナホークが入って行き、其処から元の姿に戻ったカンナホークと共に現れたのは、霊獣に属する、物憂げな雰囲気を纏った少女、ウェン。
「次に1つ目の効果でアペライオを墓地へ送り、デッキから『霊獣使いレラ』を手札に加えます!
まだまだ続けます!今帰還させたカンナホークの効果発動!
デッキから『精霊獣ペトルフィン』を除外します!」
Kazumi LP 7500→8000
今しがた展開している真っ最中の一美や、対峙している遊香は知る由も無いが、今の効果処理によって一美のLPは、OCGの初期LPである8000に達した…
一美のデッキである『霊獣』が、どれだけ除外を重視するデッキかが分かる数値である。
「そして、ウェンとカンナホークを除外して融合!物憂げな霊獣使いと、大波を操るイルカよ!今こそ力を合わせて、敵の猛攻からお守り下さい!融合召喚!『聖霊獣騎ペトルフィン』!」
聖霊獣騎ペトルフィン
融合・効果モンスター
風属性
水族
レベル 6
守備力 2800→3300
Kazumi LP 8000→9000
またしても大穴が出現し、其処にウェンとカンナホークが入って行くと同時に出現したのは、ウェンと共に海を駆け抜ける、鎧を身に纏った『精霊獣ペトルフィン』。
「カードを2枚セットしてターンエンドです!」
Kazumi
LP 9000
手札 1(霊獣使いレラ)
モンスター 聖霊獣騎ペトルフィン
魔法・罠カード 魂吸収
セット×2
「随分と動き回ったわね。なら次は私の番ね。私のターン、ドロー!」
「スタンバイフェイズに永続罠『マクロコスモス』発動!」
「なっ!?」
マクロコスモス
永続罠
このカードの発動時に、手札・デッキから『原始太陽ヘリオス』1体を特殊召喚出来る。
また、このカードがフィールド上に存在する限り、墓地へ送られるカードは墓地へは行かずゲームから除外される。
自分のターンとなり、展開を始めようとした遊香だったが、それを制すかの様に、一美は墓地メタカードとして名高い、マクロコスモスを発動させた…!
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「もしもし、遊矢か。一体どうし、何!?デニス・マックフィールドが…!
分かった、後の対応は私に任せてくれ(ピッ)…
さて、バトルロイヤルが行われている中、君達に集まって貰ったのは他でも無い。君達には、とある任務を受け持って貰いたい「待って下さい、社長!」志島?君は呼んでいない筈だ。それに今はバトルロイヤル中、外出は自粛する様言われている筈だが」
「話は聞きました…!
4つの次元の事、アカデミアが他次元を侵略している事、その全てを…!
社長!僕も、その戦いに加えさせて下さい!」
「何…?」
「北斗、一体何の話よ?」
「4つの次元?他次元への侵略?そんなSFじゃあるまいし」
「いやお前ら、社長さんの顔を見てみろ、「何故知っている」と言いたげだ。恐らく俺らが呼ばれたのも、その口って事か?」
其々の思惑が交錯する中、時は刻まれていく…
そして…