【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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49話_集結する戦士達

舞網チャンピオンシップ、ジュニアユースクラスの3回戦バトルロイヤルが、スタートしてから一夜明けた今、会場には俺と零児、ARC-Vメンバー、零児が海外から呼び寄せたという某悪魔ハンターが活躍するスタイリッシュアクションゲームのメインキャラにそっくりな4人、同じく零児が選抜したユースクラス参加者の中でランサーズへの加入を表明した5人、既に敗北してはいたが俺達の選考によってメンバー候補に挙げられた3人(と、零児の元に押しかけて来た北斗)、更にはプロデュエリストとして勧誘され加入を表明した雪乃に、ユート達別の次元から来たデュエリスト達の姿があった。

その中に、昨日まで探していた平井遊香の姿があり、彼女をデュエルの末に確保したという一美の話によって、彼女こそが融合次元のデュエリストを標的にしたテロリストだと分かった時にはびっくりした。

でも、テロリストに身を落としたその理由、親兄弟を殺されて尚、アカデミアのデュエリスト達に追われる中で覚醒させた、サイコデュエリストの様な力、それを用いてアカデミアに侵略の意志を萎えさせる為に、惨い殺害を企てる様になったという話を聞いて、俺は他人事とは思えなかった。

俺自身、遊星だった頃に両親を『ゼロ・リバース』によって失って(後にこれは意図的に起こされた、つまり両親は『殺された』事になった)以来、生きる為になりふり構わず振舞っていたからな。

そんな彼女を、俺は責める気になれなかった、彼女の存在が、アカデミアの思想に染まっていたセレナ達(一美は何処か疑念を抱いていたみたいだが)を此方に引き入れる事が出来たのもあるし。

まあそれは後にするとして、その俺達は今、バトルロイヤルに臨んでいた参加者たちの帰りを、今か今かと待ち構えている。

俺とARC-Vメンバーが既に会場に引き返し、遊香が確保され、デニスがその命を絶った今、バトルロイヤルに臨んでいたのは『8』人。

その8人が帰って来た事を以て3回戦は終了し、同時に舞網チャンピオンシップの幕は閉じる。

既にアカデミアのデュエリスト、それも精鋭として知られているらしい『オベリスク・フォース』が乗り込んで来たのだ、最高指揮官として一刻も早く事態を説明し、事に当たらなければならないんだ。

 

ん?人数が少ないじゃないかって?いや、実を言うとこれで合っているんだ…

俺達を庇ってオベリスク・フォースとのデュエルに臨んだ素良、だが零児の話によると、それから数分が経って突然、素良のエースカードである『デストーイ』モンスター、その召喚エネルギーが消失してしまい、其処を監視カメラで見ると、直前までいた筈の素良の姿が忽然と消えてしまったとの事だった。

まるで煙の如く消えてしまった素良、だけどその原因は分かっている。

 

デニスと同じく『アカデミアを裏切った』素良は、その咎を受けてアカデミアに強制送還されたんだ…!

 

この世界では殆ど流通していない融合関連のカードを所持している理由を「以前住んでいた所では普通にあった」としていた事、ランサーズメンバーの候補にも挙げられる程の類稀なデュエルタクティクス、それらから、素良は融合次元から来たんじゃないか、と何となく想像はしていたんだ。

それもかなりの実力からして、アカデミアから何らかの命を受けてこの世界に潜入したスパイだ、と。

だけど、遊勝塾生として日々、エンタメデュエルを追求し、皆とハイレベルなデュエルを繰り広げ、そして終わった後には互いに笑っている、そんな素良の姿を見ているせいか、そんなの嘘だ!と、信じたくなかった。

けど、そんな俺の考えは当たっていて、想いは外れていた。

素良と分かれてから数十分経った後だったか、エレンが「家にこれが置いてあったんだ」と、1枚の手紙を差しだして来た、其処には、

 

『師匠へ

師匠がこの手紙を読んでいる時には、僕はもう此処にはいないかも知れません。

多分気付いていると思いますが、僕はこのスタンダード次元の人間ではありません。

融合次元の組織『デュエルアカデミア』から、とある任務の為にこの次元に潜入しました。

スタンダードと融合を含む4つの次元の話は、これも気付いていると思うので説明は省きますが、そんな経緯でこの次元に入り、そして此処のデュエリスト達のレベルがどれ程のモノかを調査している内に、師匠と会いました。

初めて見た師匠のデュエルは、僕も息を呑むくらい凄まじく、案内されて来た遊勝塾の皆も同じ位で、入ったばかりの時は色んな意味で付いて行くのに必死でしたけど、同時に楽しかったです。

正直、任務じゃ無かったらどれだけ良かったかと思ったり、いつか師匠達と敵対する時が来てしまうんじゃないかと悩んだりしました。

僕はアカデミアからの任務でこっちに来ている存在、師匠達はスタンダード次元に元からいる存在、ずっと一緒って訳にも行かなかったんです。

でも、皆と過ごしている中で、本当にこのままでいいのか、アカデミアの兵士として一生を送る人生で良いのか、その想いが芽生えました。

そして、この手紙を書いている今、僕の心は決まりました。

 

師匠。

貴方や、遊勝塾生の皆との思い出は、数える程しか無いかも知れませんが、貴方達を思い出させるものは、数えきれない位出来ました。

そして何より、皆の笑顔が、デュエルの後で広がる笑顔が、忘れられません、忘れる事なんて出来ません。

 

僕は、僕は皆といられて幸せでした…!

 

貴方の弟子 素良より』

 

こう、書き記されていた。

素良…!

 

------------

 

その後、バトルロイヤルに臨んでいた8人が会場に帰って来て3回戦は終了、それと共にその8人を別の場所に集め、零児が事の真相を説明した。

無論、デュエリスト達にとって力試しの場である大会、尚且つプロデュエリストへの道が開ける事を売り文句にした舞網チャンピオンシップが、実は他の次元との戦いに対処するランサーズの、戦闘員の選抜でしたと聞いて驚き戸惑う面子ばかりだったけど、俺達に混じっていた沢渡に北斗、真澄の姿を見つけた刃が「アイツらがやるってんなら俺もやる!」と一番に加入表明、それに続けと言わんばかりに皆が加入表明してくれた。

これで、現時点でランサーズのメンバーは、最高指揮官である俺と最高顧問である零児、精鋭部隊『ARC-V』メンバーである柚子と当麻、一行と権現坂、そしてエレン、新たに零児直属の特殊部隊として創設された『V-CRAN』メンバーとして、セレナや遊香、そして零児の義弟である零羅を含めた5人、その他のメンバー合わせて35人という、結構な大所帯となった(この時、俺と零児という、ダブルトップと言って良い体勢に、沢渡達から「どっちが上なんだ?」と突っ込まれたけど、それに対して零児は「立場的には互角だが、一部を除いて、君達の直接的な上司は遊矢だ。まあ、鎌倉幕府における『将軍』と『執権』みたいな物だと思ってくれ」と回答していた)。

とは言え、これでメンバー確定、ではない。

デュエルアカデミアの戦力がどれほどか分からない現状、幾ら精鋭揃いだと言ってもまだまだ足りないと言って良い、今後はLDSにてランサーズ候補生の育成にあたるそうだ。

が、それより何より、この場には1人、『正式加入』していない存在がいる。

 

そう、北斗だ。

 

「北斗。君の事はさっき零児から聞いた。ランサーズに加入し、デュエルアカデミアのデュエリスト達との戦いに加わりたいそうだな」

「はい!どうか僕を、ランサーズに加えさせて下さい!」

「君の熱意は良く分かった。

 

だが、今のままではウンとは言えないな」

「…僕の実力では、アカデミアのデュエリストと戦うのは荷が重いから、ですか?」

 

随分と聞き分けが良いな、普通だったら其処は「何故だ!?」と掴みかかる所だけどな。

 

「僕がアカデミアと戦うには実力が不足していると言う事、自分でも良く分かっています…

上村一行に2連敗した上、2敗目を喫した時には彼の口車にまんまと乗せられての敗北、それがどれだけ無様な物か、それをやってしまう自分がどれだけ未熟か、あのデュエルで痛感しました…

遊香さんから4つの次元に関する話を聞いて、アカデミアに対する敵意にかられて協力を申し出た時にも、其処を指摘されて断られました…

 

でも、いや、だからこそ、僕は戦います!

弱いまま、目の前の事から逃げ出したまま終わりたくないんです!」

「…分かった、ならばこうしよう。

 

今から君には、ARC-Vメンバーの中から1人とデュエルして欲しい。デュエルで、今の君がどれほどの実力者か、見せて欲しい」

 

まあ、簡単に言うなら『何時もの遊戯王』って奴だけど、北斗の熱意が見掛け倒しか否か、やっぱりデュエルで見極めた方が良い、と思ってさ。

 

------------

 

「本当に俺で良かったのかァ?今まで2回戦って2回も負けている俺でよォ」

「だからこそ、さ。因縁ある君が相手だからこそ、僕は僕の弱さを乗り越える事が出来る、そう思っている」

 

急遽始まった北斗の加入試験、その相手として指名したのは、これまで2度対戦した事のある一行だった。

さあ北斗、今の君のデュエルを見せて貰う!

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Hokuto LP 4000 VS 後攻 Ikko LP 4000

 

「僕の先攻!

まずは速攻魔法『緊急テレポート』発動!」

 

緊急テレポート

速攻魔法

1:手札・デッキからレベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、このターンのエンドフェイズに除外される。

 

「緊急テレポートの効果でデッキから、

 

『超量士ブルーレイヤー』を守備表示で特殊召喚!」

「ちょ、超量士!?おま、『セイクリッド』はどうしたンだよ!?まさかランサーズに入りたいばっかりに捨てたとか言わねェだろォな!?」

 

超量士ブルーレイヤー

効果モンスター

水属性

サイキック族

レベル 3

守備力 2000

 

一行が驚くのも無理は無かった、周りでも北斗と関係が深かった刃や真澄、沢渡らが驚いているし。

そんな周囲の驚きを他所に北斗の場に登場したのは、セイクリッドモンスター、では無く、どっかの戦隊モノのヒーローみたいな武装を身に着けた青い戦士、ブルーレイヤー。

それにしても超量士?聞いた事無いカテゴリだな…

 

「捨てたつもりは無いさ、セイクリッド達は今も僕の側にある。けど、舞網チャンピオンシップで、君に無様に敗れた後、僕はふと考えたのさ。

何で榊遊矢、いや遊矢隊長はあれ程の強さを持っているのか、何で沢渡は、そんな隊長にあそこまで喰らいついたのか。

その答えは、遊香さんと会った時に、何となく分かったんだ。

 

本当に強いデュエリストは、色んな召喚方法、色んなデッキ、色々な戦術を使いこなして勝利を重ねて行く存在の事を言うのだと!

 

セイクリッドデッキで勝ちを重ね、それで天狗になっていた以前の僕だったら気付かなかっただろうけど、その時の僕はセイクリッド達におんぶにだっこの状態で勝っていただけだった。

そんなのは本当の強さじゃ無い、セイクリッド達に頼り切った強さだった、君にボロ負けするのも無理は無かった。

 

だから僕は、もう1度やり直す!この超量モンスター達と共に!

特殊召喚したブルーレイヤーの効果発動!

デッキから『超量士グリーンレイヤー』を手札に加えてそのまま召喚!」

 

超量士グリーンレイヤー

効果モンスター

風属性

魔法使い族

レベル 4

攻撃力 1600

 

「召喚したグリーンレイヤーの効果発動!

手札から『超量士レッドレイヤー』を攻撃表示で特殊召喚!」

 

超量士レッドレイヤー

効果モンスター

炎属性

戦士族

レベル 5

攻撃力 2000

 

決意を述べたと共に召喚した、ブルーレイヤーと同じく戦隊モノのヒーローみたいな恰好の緑の戦士、グリーンレイヤーと、その効果によって、同じ様な恰好の赤い戦士、レッドレイヤーが展開された。

改めて見ると本当に戦隊モノそっくりだよな、コレ。

 

「次にフィールド魔法『超量機艦マグナキャリア』発動!」

 

超量機艦マグナキャリア

フィールド魔法

1:手札を1枚捨て、自分フィールドの『超量士』モンスター1体を対象としてこの効果を発動出来る。その自分のモンスターと同じ属性の『超量機獣』エクシーズモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

2:フィールドゾーンのこのカードを墓地へ送り、自分のフィールド・墓地の『超量機獣』エクシーズモンスター3種類を1体ずつ対象として発動出来る。エクストラデッキから『超量機神王グレート・マグナス』1体を特殊召喚し、その下に対象のモンスターとそのエクシーズ素材を全て重ねてエクシーズ素材とする。

 

と思ったら、北斗の背後に、空中を浮かぶ巨大戦艦が姿を現した。

 

「さあ、此処からが超量デッキの見せ場だ!

手札の『ヴォルカニック・バレット』を捨ててブルーレイヤーを対象に、マグナキャリアの1つ目の効果を発動!

発進せよ、青きイルカの機獣よ!今こそ青き戦士と共にフィールドを潜り抜け、敵の罠を粉砕せよ!超量召喚!『超量機獣グランパルス』!」

 

超量機獣グランパルス

エクシーズ・効果モンスター

水属性

機械族

ランク 3

守備力 2800

ORU 1

 

その巨大戦艦から青い、2体のイルカを並べた様なメカが射出されたとか思うと、すかさずブルーレイヤーがそれに乗り込み、戦場へと降り立った、ってもう本格的に戦隊モノのそれじゃねぇか!

 

「今捨てたヴォルカニック・バレットの効果を、500ライフポイント払って発動!

デッキから2枚目のヴォルカニック・バレットを手札に加える!」

 

Hokuto LP 4000→3500

 

「更に今手札に加えたヴォルカニック・バレットを捨てて、マグナキャリアの1つ目の効果発動!今度の対象はグリーンレイヤーだ!」

「ちょ、ちょ待てよ!そのカード、1ターンに1度の制限とかねェのか!?」

「マグナキャリアにそんな物は無い!僕の手札が尽きない限り、何度だってその力を振るう事が出来るのさ!

発進せよ、緑のドラゴンの機獣よ!今こそ緑の戦士と共にフィールドを飛び回り、敵をひれ伏せよ!超量召喚!『超量機獣エアロボロス』!」

 

超量機獣エアロボロス

エクシーズ・効果モンスター

風属性

機械族

ランク 4

守備力 2400

ORU 1

 

巨大戦艦から今度は緑の、ドラゴンの様なメカが射出され、すかさずグリーンレイヤーが乗り込み、戦場へと降り立った。

そして北斗の口振りからして、今度は…

 

「今捨てた2枚目のヴォルカニック・バレットの効果を、500ライフポイント払って発動!

デッキから3枚目のヴォルカニック・バレットを手札に加える!」

 

Hokuto LP 3500→3000

 

「まだまだ行くぞ!今手札に加えたヴォルカニック・バレットを捨てて、マグナキャリアの1つ目の効果発動!対象はレッドレイヤーだ!

発進せよ、赤きライオンの機獣よ!今こそ赤き戦士と共にフィールドを駆け抜け、敵を打ち砕け!超量召喚!『超量機獣マグナライガー』!」

 

超量機獣マグナライガー

エクシーズ・効果モンスター

炎属性

機械族

ランク 5

攻撃力 2600

ORU 1

 

そして、巨大戦艦から赤の、ライオンの様なメカが射出され、すかさずレッドレイヤーが乗り込み、戦場へと降り立った事で、現状並んでいた超量士達の専用メカが並び立った。

 

「そしてマグナキャリアを墓地へ送って、グランパルス、エアロボロス、マグナライガーを対象に2つ目の効果発動!

青きイルカの機獣、緑のドラゴンの機獣、赤きライオンの機獣、3体が1つとなる時、真の力が解放される!今こそ君臨せよ!超量合体!『超量機神王グレート・マグナス』!」

 

超量機神王グレート・マグナス

エクシーズ・効果モンスター

光属性

機械族

ランク 12

攻撃力 3600

ORU 6

 

ああ、やっぱ合体するのか。

巨大戦艦から光が放出され、それを超量機獣達が浴びると、其々変形を始め、マグナライガーが変形した胴体らしき部分に、エアロボロスが変形した翼と腕らしき部分と、グランパルスが変形した両脚らしき部分が合体し、巨大ロボ、グレート・マグナスへと変形した。

 

「ら、ランク12ィ!?マジかよ…」

 

その前代未聞(と言っても俺は、ドン・サウザントとのデュエルでランク13という無茶苦茶なエクシーズモンスターを見て来ているし、ランク12もホープ・カイザーを持っているから、今更感があるが)のランクに驚愕の色を隠せない一行。

それにしてもあれだけ大掛かりな展開をした末に出したグレート・マグナス、だけどそのステータスはやや控えめな感がある。

このカードよりもランクが2低い『巨大ロボ』に、『超次元ロボ ギャラクシー・デストロイヤー』というエクシーズモンスターがいるけど、そいつは攻撃力5000という化け物級のステータスに、オーバーレイ・ユニット1つで『ハーピィの羽根帚』を打てる(しかも発動時に魔法・罠カードを発動出来ない)という強烈な効果を持ち、挙げ句蘇生制限を満たせばまた出せる(代わりにレベル10モンスターが3体いないとエクシーズ召喚出来ないけど)。

それ程のモンスターが2ランク下にいるのだからコイツはどれ程かと思ったが、少なくともステータス的には其処まで高くは無い、という事は…

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

Hokuto

LP 3000

手札 0

モンスター 超量機神王グレート・マグナス(攻撃表示)

魔法・罠カード セット

 

コイツの効果、一体どの様な物なんだ…?

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