【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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今話からいよいよシンクロ次元に突入です!


5章『突入!歪みだらけのシンクロ次元!』
61話_異世界での出会い


零児から渡されたカード『ディメンジョン・ムーバー』を発動した瞬間、俺の視界は眩い光に包まれた。

暫くそのままの状態だったが、ある時突然、視界が晴れ、何処かの路地裏みたいな光景に変わっていた。

周囲には柚子、当麻、一行、権現坂、そしてエレンといったARC-Vメンバー。

他のメンバーはどうしたかとスマホを起動すれば、まず画面の中央には俺達を示しているであろう6つの光点、其処からそんなに離れていない2地点に、俺達を示す場所と同じく6つずつの光点、大分離れた3地点にも同じく6つずつの光点があった。

レーダーの情報が確かなら、全員分の転送は成功したみたいだな。

 

「転送は成功したみたいだ。皆、体調に変化は無いか?」

「うん、大丈夫よ」

「何のこれしき。この男権現坂、この程度でへこたれる様な生活は送っておらん」

「おォよ!俺は大丈夫だぜ!」

「ああ、遊矢兄ちゃん!」

「流石に転送先が川の中ってのは無かったな」

『当麻、幾ら何でもそれは無いと思うけど…』

 

よし、ARC-Vは大丈夫そうか、そしたら他の部隊はどうだろうか…

そう思い立ち、各部隊との連絡を取る。

まずはV-CRANの零児からだ。

 

「こちらARC-V。V-CRAN、応答せよ」

『了解、こちらV-CRAN。ARC-V、そちらの様子は?どうぞ』

「ARC-V、異常なし。何処かの路地裏に到着した様です。V-CRAN、そちらはどうですか?どうぞ」

『V-CRANも異常なし。こちらも同じ様な場所だ』

 

零児と連絡がとれたし、その際レーダーで、俺達を示していた光点の、直ぐ近くの地点の光点が反応していた事から、座標もばっちりだな。

次は第1部隊のバージルだな。

 

「了解です。第1部隊、応答せよ」

『了解、こちら第1部隊だ。隊員達に異常は無い。場所は地下街の様な場所と言えば良いか。無線が繋がっている関係から、深さはそれ程無さそうだ』

 

第1部隊とも、連絡、座標(もう1つの、俺達から然程離れていない地点)、共にOKだ。

続いて第2部隊のダンテ。

 

「了解。第2部隊、応答せよ」

『Yes Boss、こちら第2部隊。Memberに異常は無いぜ。此処はどっかのunder the bridgeみてーな場所だな』

 

第2部隊の座標は、俺達の場所から真北、といった所か。

今度は第3部隊のトリッシュだ。

 

「OK。第3部隊、応答せよ」

『分かったわ、隊長。こちら第3部隊。隊員達に異常は無いわ。今ビルの物陰にいるわ』

 

第3部隊の座標は、俺達の場所から南西方向の場所か。

よし、最後は第4部隊の雪乃だ。

 

「了解。第4部隊、応答せよ」

『はい、遊矢君。こちら第4部隊。隊員達は異常無しよ。此処は駐車場かしらね』

 

第4部隊の座標は、第2部隊と然程離れていない、か?

 

「分かった。そしたら各部隊に指令を送る。第1~第4部隊はこのシンクロ次元の都市と思しきこの街の調査に当たれ。V-CRANも他部隊同様調査を行いつつ、我々ARC-Vと合流せよ。その間に俺の方でこの都市のネットワーク接続を試みる。その他、指令に関して要望があればどうぞ」

『じゃあ良いか?第2部隊は、under groundなplaceの調査をしたいんだが』

『そしたら、第4部隊も同行して良いかしら?ある程度の人員は必要だと思うけど』

『OK、ミス藤原。そしたら第2、第4部隊はそっち方面の調査をするぜ』

 

大丈夫かな、聞いていた情報によればその辺の取り締まりが厳しい筈、治安組織に捕まるリスクを考えると…

いや、捕まったら捕まったで怪我の功名になるかも知れない、拘置所内の様子だとか、拘置されている人達からの情報も掴めるかも分からないからな。

勢力の裏情報は、案外こういった場所からしか取れない物だ、『虎穴に入らざれば虎子を得ず』の精神で行って貰うか!

 

「了解した。では任務開始!」

『了解!』

 

さて、指令を送った所でシンクロ次元の情報を整理しないとな。

シンクロ次元、その名の通りシンクロ召喚が大いに発展した世界。

その中心部には『シティ』と呼ばれる大都市が繁栄しているけど、その実、上流階級『トップス』とそれ以外『コモンズ』との無茶苦茶と言わんばかりの格差が(外から見ると)問題になっているそうだ。

そのトップス、シティでも全人口の1%しか存在しないのだが、シティの資産の実に99%も有していて、文字通りの贅沢三昧な生活を送っているのに対し、コモンズは極貧生活を余儀なくされ、生活の為に犯罪に手を染めてしまう事もあるのだとか。

その格差は治安組織『セキュリティ』の対応にも現れていて、コモンズはトップスの居住区に入っただけで罪に問われ、逆にトップスがコモンズの居住区等で行われている違法なデュエルを観戦していたとしても罪に問われず、逆に保護対象となるんだとか。

尚、シティではライディングデュエルがデュエルの主流となっており、ハイウェイには専用レーンが併設されているらしい。

なんか聞けば聞くほど、俺が遊星だった頃に住んでいたネオドミノシティと(特に俺がシティに入ったばかりの頃に)良く似ている。

ともあれ、レオ・コーポレーションで零児から聞いた事前情報はこれ位だな。

他にも、ユーゴから色々聞いて、その内容に俺は仰天した物だが、と、余り考え込むのもアレだな、この辺は後にしよう。

 

「さて、V-CRANとの集合場所も確保したい。行こうか、皆」

『了解!』

 

------------

 

『―デュエルが開始されます。ルート上を走行している一般車両は、直ちに退避して下さい。繰り返します―』

「やっぱり此処はシンクロ次元、その中心地たる『シティ』か…」

 

路地裏から出た俺達の耳にまず飛び込んで来たのは、ライディングデュエル開始を告げるアナウンス、次元転送が予定通り行われた事を物語るアナウンスだった。

 

「此処がシンクロ次元の『シティ』…

近未来的って言うのかな、そんな場所ね…」

「うむ。しかしどうも居心地が悪いな…」

「お、デュエルの中継が始まったぜ!どんなデュエルが、どんなシンクロモンスターが出て来るんだ!?」

「おい当麻。お前よそ者っぽさ丸出しだぜ、ちィと気を付けなァ」

「まあまあ一行兄ちゃん、折角なんだし」

 

当麻の余りの興奮っぷりに呆れながらも、エレンの言葉にそれもそうかと納得しつつ、その中継映像を見てみる。

デュエルはセキュリティのライディングデュエル専門部隊『デュエルチェイサー』と、恐らくコモンズ出身と思われるDホイーラー(デュエルディスクを搭載したバイク『Dホイール』のドライバー、と言えばいいか)による物だが、遊星だった頃に『遊戯王5D’sの世界』でライディングデュエルを間近で見て来た俺には目を疑う光景ばかりが映っていた。

先に任意のチェックポイントを通過した方が先攻、と此処までは同じだったんだが、両者ともに『SP(スピードスペル)』(ライディングデュエル専用で使える魔法カードの事だ)は一切なく、通常の魔法カードを使っており、にも関わらずそのペナルティであるセルフバーンは一切なかった。

というか『SP』を使うにあたって必要と言えるスピードカウンターの存在すらなかった。

まあぶっちゃけ言うと『バイクに乗ってやるだけの普通のデュエル』と化していた。

 

『止めろ!こんなのライディングデュエルじゃない!ボクの知っているライディングデュエルはバイク要素があるからこその戦略が…!』

『理解に苦しむ。デュエルに集中出来る訳が無い』

「危ないって!降りてデュエルした方が良いって!」

「尤もだ。何故態々バイクに乗りながらデュエルを…」

「ホントそれだよな、柚子姉ちゃん。デュエルアンカーぶっぱして拘束した方が良いと思うんだけど」

「だなァ。訳が分かンねェ…」

「それ用の専用レーンまで作るなんてさ、税金の無駄じゃん」

 

うん、本当にそう思う、こんなのをライディングデュエルと呼んじゃいけない。

と俺以外の皆が突っ込み、俺が心中で嘆いているのを他所にデュエルは続き、

 

『『ゴヨウ・プレデター』でダイレクトアタック!』

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

最後はデュエルチェイサーが出したシンクロモンスター『ゴヨウ・プレデター』によるダイレクトアタックで決着、相手は逮捕となった。

『ゴヨウ』と聞くと、牛尾が使っていたシンクロモンスター『ゴヨウ・ガーディアン』を思い出すな、あれは禁止カードになって当然だと言えるスペックだ。

と、ちょっと見入り過ぎたか、一行がさっき当麻に突っ込んでいた通り、余りよそ者っぽい振る舞いをしては駄目だ。

 

「さて、行こうぜ皆」

「其処の少年少女達。アンタら、見ない顔だな」

 

そう思い、この場を離れようとしたら、懸念していた通りの事が起こった。

俺達の様子に何かしらの違和感を覚えたのだろう、1人の男らしき声の主が、呼び掛けて来た。

その声の方に振り向くと、

 

「『シティ』は初めての様だな。何か困った事があったら、相談に乗るぞ」

 

その男、銀髪のオールバックにサングラスを掛けた『ダンディ』という言葉がピッタリな顔立ち、身に纏うブラックスーツがやけに様になっている長身、そしてどっかの『魔術師』の名を冠したスタンド使いの様な渋い声…

 

「俺の名はシュドナイ・デュナス。『シティ』の一角でデュエルバー『バルマスケ』を営んでいる。良かったら、ウチで話を聞こう」

 

そして今しがた名乗った名前と、何処からどう見ても某仮面舞踏会の将軍『千変』な男、シュドナイ。

彼との出会いが、俺達の運命を動かしていく事になろうとは、この時まだ誰にも分からなかった。

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