【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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8話_不審者、夜襲!

「エレン、素良、お疲れさん。で、エレン、お前から見て素良はどうだった?」

 

デュエルが終わり、フィールドから出て来たエレンと素良を出迎える俺、其処で俺はエレンに、素良について聞いてみた、すると、

 

「あー、ちょっとあの融合召喚の、グロい演出はあれだったけど、でも良い感じで動かしていたと思うぜ、遊矢兄ちゃん。アドの取り方も様になっているし、あのデッキをどういう風に回せば良いか、というのも良く理解していたみたいだぜ。まあ攻撃出来ない先攻1ターン目に耐性もロック効果も持っていない奴を突っ立てるのはどうかと思うけどな、どこぞの現役チャンピオンじゃあるまいし」

 

大体は的を射ている意見が帰って来た、小学5年生とは言え流石に4年も俺の弟子をやっていない、という事か。

ただエレンが最後に指摘していた、先攻1ターン目に耐性やロック効果を持っていないモンスターを棒立ちさせるプレイング、確かにスタンディングデュエルなら落第点も良い所だが、ことアクションデュエルともなれば話は違って来る。

前口上でも良く口にする通り、アクションデュエルは自らが召喚したモンスターと共に地を蹴り宙を舞い、フィールド内を駆け巡ってアクションマジックを取って行くのが基本だ、単純にハンド・アドバンテージが1枚増えるだけじゃなく、相手ターン中であっても予めセットせずに発動出来る便利さ、こんなカードを手にしない理由は殆ど無い。

だが幾ら鍛え上げていたとしても、デュエリストは基本的に生身の人間(基本的、としたのはまあ、察してくれ)、広大なフィールドをくまなく探すのは時間が掛かるし、時間制限によってジャッジキルされる可能性もある。

其処で重要となるのが、自らが召喚したモンスターの存在だ。

召喚したモンスター達はソリッドビジョンの力によって実体化していて、そいつに触ったり背に乗ったりと、殆ど実際の生物と変わらない扱いが出来る。

そしてそんなモンスター達の中には、例えば巨体を有していたり、例えば翼が生えていて大空を飛びまわったり、例えば物凄く脚力が高かったりと、フィールドを探索する上で重要な特徴もある。

そんなモンスターを先攻1ターンで出しておけば、それだけ早くアクションマジックを探しに行ける、その点を踏まえるとエレンの指摘は100%正しいとは言えない、実際に素良はシザー・ウルフに乗ってフィールドを探し回った事でアクションマジックを手に出来たのだから(それが全く以て意味を成さなかったじゃないかというツッコミは無しな)。

勿論、その移動役が速攻で除去されたら元も子も無いので、その辺の判断は俺でも時折迷うのだが。

 

「素良はどうだった?」

「ぷ、プレイングのレベルが凄かったです…

これが、これが遊勝塾のデュエル…」

「まあな。俺達遊勝塾が掲げる理念はエンタメデュエル、観客や相手を楽しませるデュエルを理想としてはいるけど、それを成し遂げる為には、この状況でこうなれば盛り上がるだろうなと言った感じの、要所要所のシナリオ構成の力が求められるし、実際にそれを成し遂げる為に、盤面をそっち方向へとコントロールするプレイングも必要だ。勿論、それらはデュエルにおいてどういう動きがしたいか、それを基に構築したデッキがあって初めて成り立つ。『良い選手は良い役者であれ』ってどっかの元スポーツ選手も言っているけど、これをデュエリスト風に言うなら『良いデュエリストは良い役者であれ』『良い役者は良いデュエリストであれ』って事だ」

「な、成程…」

 

一方の素良だが、エレンが見せた年不相応と言っても良いデュエルに目を丸くしていた。

と言ってもあの時のエレンのプレイングは、シャドールにおいてはオーソドックスな物なのだが、オーソドックスという言葉を良い意味で説明するなら『基本、こうすれば間違いは無い』という事、オーソドックスのオの字も出来ない奴に、其処からの応用的なプレイングは、エンタメデュエルは期待できない。

手札やフィールド、墓地(あと、強いて言うなら除外やライフ)のアドバンテージを稼ぐ、この基本的な事が出来てこそ良いデュエリストになれると、エンタメデュエリストとしての道は開けると、俺はそう思っている。

と言うと素良がその辺分かっていないと思われそうだが、サーチカードであるファーニマル・ドッグの使い回しを画策したり、融合素材にした事をトリガーにサルベージを行うファーニマル・ラビットをリクルートしたりと、素良もまたそういった基本を理解していたぜ。

 

「じゃあ今後も宜しくな、素良!」

「はい、師匠!」

 

------------

 

「よし、お菓子はこのくらいで良いか」

「そうね、遊矢。御免ね、美琴ちゃんや素良君の歓迎会の買い出し、付き合わせちゃって。遊矢が言っていた沢渡とか言う卑怯者の百流デュエリストと色々あって、疲れているのに」

「構わねぇよ、女の子1人に買い出しさせる訳には行かねぇしな。素良と美琴は歓迎される側だし、一行と当麻は何時も通りデュエル始めちまうしな」

「本当に御免ね、全くあの2人は何時もケンカデュエルなんだから…!」

 

素良が遊勝塾に加入し、ふと遊勝塾に加入した美琴と素良の歓迎会をやろうという話になってそれが通り、甘い物が大好きな素良のリクエストもあってキャラメルポップコーンやチョコフレーク、き○この山やたけ○この里といった、摘んで食べられる甘いお菓子や、ジュースの買い出しに行く事となった。

出来れば一行や当麻といった男手が行くべきだったんだが(俺は今柚子が言った通り沢渡との件で少し疲れていた)、まあ例の如く口論の末にデュエルに発展してしまい、結果として俺と柚子が担当に。

美琴や素良といえば、思えば俺がペンデュラム召喚を披露して以来、色々な事が起こっているな。

次の日にペンデュラム召喚のデモンストレーションをやり、其処で美琴が遊勝塾に加入し、沢渡に絡まれ、それを見ていた素良が遊勝塾に加入して俺に弟子入りし…

あ、ペンデュラム召喚のインパクトが大きすぎて余り考えていなかったが、今はまだ指導しているのがLDSだけという事になっているシンクロ召喚をストロング石島とのデュエルで披露した挙げ句、デモンストレーションの場で一行と共にエクシーズ召喚を披露し、ペンデュラムのその先の可能性であるペンデュラムシンクロ、ペンデュラムエクシーズも見せた以上、遊勝塾でもそれをやっているという情報は公の下に晒されただろうし、今はまだ公になっていない融合召喚も、素良の加入とかもあって指導しているという情報が伝わるのも時間の問題。

今後また、遊勝塾への加入希望者が殺到するだろうな、そろそろ受け入れ態勢を強化しないといけないけど、今の状況ではそれも叶わない、何とかしないと…!

 

「柚子、ちょっと」

「え?どうしたの、遊矢」

 

今後の塾の運営に向けて決意を新たにしていた俺、その時目に入って来た2人組の姿を確認すると、柚子と共に咄嗟に物陰に隠れた。

あのはた目からも目立つ緑髪と茶髪(俺のトマトみたいな髪の方が目立つって?ほっとけ!)、おそろいで着用している制服の様な服、間違い無い。

 

「柚子、あの2人、さっき言っていた沢渡の取り巻きだ」

「あ、あの2人が?卑怯者の屑ナルシストになんで付いているのかしら」

 

柚子って、時折とことん毒吐くなぁ、と苦笑いしつつも何か会話しているっぽい2人の話に聞き耳を立ててみると、

 

「沢渡さん、相当気合入ってんなぁ」

「どんな事をしてでも、榊遊矢をぶちのめすってなぁ」

「あの人、相当卑劣な事しそうだな」

「ウィークポイント、徹底的に攻めるってよ」

「余程あそこでゲロったのが屈辱だって事だよな、まあそれも無理ないか」

 

ちっ全然懲りていない様だな、いっそあのゲロ画像、ネットに放出して引き籠りにしてやろうか?

と考えていると、

 

「御免ね遊矢、荷物を持って遊勝塾に戻ってくれない?私はあの2人を追うわ」

「ゆ、柚子!?何を言っているんだ!危険だ、あの野郎が何を仕出かすか分からないぞ!」

「大丈夫よ、遊矢。何年、遊矢の幼馴染をやってきたと、遊矢の指導を受けて来たと思っているの?そんなデュエリストの屑に、私が負ける訳無いわ」

「いや、デュエルとかの方面じゃなくてだな…」

「お願い、遊矢。行かせて」

「柚子…

わ、分かった。でも危なくなったら直ぐ連絡しろよ」

「ええ、分かっているわ」

 

柚子が後を追うと言い出した。

それに危険だ、態々こちらから向こうの土俵に出向く必要は無いと説得をしようとするも、柚子の意志は固く、こうなった時の柚子は梃子でも動かない。

このまま説得を試みて時間を潰したらあの取り巻きを見失ってしまう、いやそれはそれで柚子を留まらせる事が出来なくも無いが、それで鬱屈のたまった柚子が何かを仕出かすかも分からない…

仕方ない、そう判断し、一先ず柚子の提案に従い、緊急の際の連絡を忠告し、その場を後にした。

何事も無ければ良いんだが…

 

------------

 

Side 柚子

 

遊矢が言っていた沢渡という奴の取り巻き達の後を追って数分、港にある『52』と記された倉庫に入って行くのを確認した私は、其処でもう1人の取り巻きと共に2人と合流した、金髪の如何にもナルシストな雰囲気を漂わせる男の姿を見つけた。

あれが、アレが沢渡シンゴ…!

LDSに所属する百流デュエリストで、遊矢の持っているペンデュラムモンスターを取り巻き達と共に強奪しようとした卑怯者で、使えないという理由でカードをぶん投げて『屑』と罵るデュエリストの屑。

あんな奴に、あんな奴に遊矢を襲わせはしない!

私が、幼馴染の私が遊矢を守って見せる!

私にだって遊矢の指導を何年も受けて来て、去年の舞網チャンピオンシップ・ジュニアユースクラスで入賞した位の腕はあるんだから!

と決意し、倉庫の中へ乗り込もうとしたその時、

 

「貴様、LDSの者だな?」

 

ぼろぼろのマントにスカーフ、顔全体を覆うゴーグルとマスクを着用した男が、既に乱入していた…

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