【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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今回はデュエル無し&短めです。


80話_潜入者は蛇ですか?いいえ忍者です

Side 月影

 

兄上と遊香殿からの報告を受け、シンクロ次元で待っていた隊長殿へそれを伝えた拙者は、其処で受けた隊長殿の指示を受け、兄上達が潜入しているアカデミアへと舞い戻った。

その懐に、隊長殿へと転送したアモルファージデッキ以外の、アカデミアから鹵獲した3つのデッキ、イグナイト、マジェスペクター、ダイナミスト、其々のペンデュラムテーマデッキを携えて。

それにしても、でござる。

我らランサーズがシンクロ次元へと渡ってまだ半月も無いにも関わらず、我らの世界にスパイを侵入させ、ペンデュラムモンスターに関する情報を奪取、そして研究の末に6つものペンデュラムテーマデッキを完成させたアカデミアのフットワーク、そして我らに対する警戒の強度、驚嘆の極みでござる、その1つ、否、2つがアカデミアのデュエリストに渡ってしまった以上、今後の戦いは厄介極まりないでござるな…

拙者達も小康状態と言える今の内に、ペンデュラム召喚に慣れ親しんでおかねば、隊長殿より託されしこの3つのデッキを用いて。

 

「こちら月影。兄上に遊香殿、隊長殿への報告完了したでござる」

『御意。それで月影、隊長殿は何と?』

「兄上が鹵獲した4つのデッキの内、アモルファージを除いた3つを託されたでござる。ペンデュラムモンスターを用いたデュエルになれる為に、と」

『それはまことか、月影!?』

『何となく託して来るとは思っていたけど、嬉しい心遣いね』

「今そのデッキは拙者の懐に。御二方に1つずつ手渡しをしたいので、一先ずアカデミアから脱出をお願い出来るでござろうか?」

『分かったわ。アカデミア内部で転送なんてしたら、嗅ぎ付かれるもの』

『御意。それでは、アカデミア後方の搬入口にて』

 

搬入口?まさかとは思うでござるが…

 

------------

 

「待たせたでござる!」

「やはりでござるか…!」

 

兄上の要求通り、アカデミア後方にあった搬入口へとたどり着いた拙者と遊香殿、其処へやって来たのは…

 

「…段ボール?」

「左様。段ボールを隠れ蓑として荷物に扮し、搬入口を通じて出入りを行う。特別な力を持たぬ我らの、潜入の常套手段でござる」

 

カモフラージュとして用意していた段ボールに入ったまま、搬入口から出て来た兄上でござった。

 

これを見てピンと思った読者もおられるでござろうが、兄上は某潜入のスペシャリストが活躍するゲームシリーズの大ファンなのでござる。

兄上曰く「世界中で暗躍する様々な組織の思惑、その渦中にありながらも、察知される事無く粛々と潜入任務を遂行する。これぞまさしく我ら現代忍者の手本でござる」との事であり、それが高じたかどうかは兄上のみぞ知る、でござるが、隊長殿が声高に宣言した「各次元が其々交流し、其々の文化を取り入れ、分け与える事で互いに切磋琢磨し、更なる発展を遂げる事こそ4つの次元のあるべき姿」というランサーズの理念に「まこと素晴らしいでござる!この理想こそ『真の愛国者』の意志を体現した物!」と感銘を受けた様でござる。

流石に、潜入の為に段ボールを愛用すると言うのは傾倒し過ぎではと苦言を呈したくなるでござるが、ランサーズの理念に感銘を受ける兄上の気持ちは分かるでござる。

そのゲームシリーズにおける重要人物である『真の愛国者』、彼女の意志である「世界を変える事では無く、ありのままの世界を残す為に最善を尽くす事。他社の意思を尊重し、自分の意思を信じる事」、これこそが世界にとって進むべき道では無いか、と4つの次元と其々の次元で独自に発展して来た其々の召喚方法、アカデミアによる各次元への侵略等と言った事柄を知った今、そう感じたからでござる。

 

「兄上、遊香殿。此方に隊長殿より託されし3つのデッキが」

「御意。それでは拙者はマジェスペクターを頂くでござる」

「私はイグナイトを貰おうかしら」

「では拙者はダイナミストを」

 

ひとまず隊長殿より託されたデッキを1つずつ手渡したでござる。

さて、改めて其々のデッキの構築を見ると、その完成度の高さに驚嘆せざるを得ないでござる。

まず遊香殿へと手渡したイグナイトデッキでござるが、属するモンスターの全てが炎属性・戦士族で、大半がレベル3~6が2体ずついる通常ペンデュラムモンスターであり、ペンデュラムスケールは2か7(つまり『イグナイト』ペンデュラムモンスターは全てペンデュラム召喚出来るでござる)、共通効果としてペンデュラムスケールにセットされた2枚のイグナイトカードを破壊しての炎属性・戦士族モンスターのサーチかサルベージを行うペンデュラム効果を持っているでござる。

まず戦士族であり通常モンスターでもある為、魔法カードである『増援』や『召喚師のスキル』に対応したモンスターが存在し、ペンデュラムスケールへのセッティングは魔法カードの発動扱い、よって『王立魔法図書館』の効果を発動する為の魔力カウンターを稼ぐ事が出来るでござる。

これを応用すると、先攻1ターン目でソリティアと化し『封印されしエクゾディア』を揃える事も珍しい事では無くなるでござる。

そればかりでは無く、ペンデュラムモンスターの特性を活かしての大量展開と、同じレベルを揃えやすい点を活かしたエクシーズ召喚で押し切れるのもこのイグナイトデッキの特徴でござるな。

 

次に兄上へと手渡したマジェスペクターデッキでござるが、属するモンスターは全てが風属性・魔法使い族の効果ペンデュラムモンスターであり、レベルは6が1体、4が3体、3が2体、ペンデュラムスケールは2か5(つまりレベル6の1体以外はペンデュラム召喚出来るでござる)、ペンデュラム効果は無いでござるが、共通効果として相手の効果に対し『対象にならない』耐性と破壊耐性を持ち、他に様々なアドバンテージを稼ぐモンスター効果を持っているでござる。

これらの効果で手札に加えるなどした『マジェスペクター』魔法・罠カードの強力な効果(代償として風属性・魔法使い族モンスター1体のリリースを要求しているでござるが、ペンデュラムモンスターという立場上、大したデメリットでは無いでござるな)で相手の盤面を制圧出来る、それがマジェスペクターデッキの特徴でござるな。

 

そして拙者が持つダイナミストデッキでござるが、属するモンスターは全てが水属性・機械族の効果ペンデュラムモンスターであり、レベルは4と5が4体ずつ、ペンデュラムスケールは3か6(つまり全ての『ダイナミスト』モンスターをペンデュラム召喚出来るでござる)、スケールが3のペンデュラムモンスターには『ダイナミスト』カードを相手の効果や戦闘による破壊の身代わりとなり、スケールが6のペンデュラムモンスターには『ダイナミスト』カードを対象に取った効果を無効破壊する(その後、自分自身は破壊されるでござる)ペンデュラム効果を持っているでござる。

モンスター効果及びサポートカードも多種多様で、主に展開を補助したり、戦闘に関わったりといった物が占めてござる。

そして機械族と言えば攻撃力を倍増させる『リミッター解除』、戦闘に関わる効果の多いダイナミストとは好相性で、エンドフェイズに破壊されるデメリットも、ペンデュラムモンスター故に気にする程の物では無いでござる(それにスケールが3のペンデュラムモンスターによるペンデュラム効果である程度防げるでござるからな)し、水属性故に手札交換手段として強力な『強欲なウツボ』も使えるでござる。

これらの特性を活かした粘り強いビートダウンで相手を追い詰めて行く、それがダイナミストデッキの特徴でござるな。

 

これ程の完成度を誇るデッキ達を、ペンデュラムモンスターと言う概念をしっかり取り入れたテーマを、ペンデュラム召喚に関する情報を入手して幾ばくも経たぬ内に6つも作り上げるアカデミアの研究者達の凄さ、改めて驚嘆を禁じ得ない、単に我々の次元に対する警戒心だけで出来る物では無いでござる。

それを成せる程アカデミア、いや融合次元に住まう存在のミーム(文化的遺伝子)は、融合次元におけるデュエルモンスターズという文化は育まれていたのでござろう。

それ程までに誇るべきミームを抱きながら、侵略によって各次元を1つに支配せんとする『真の愛国者』の意志を間違った解釈で捉えた一方の如く振舞うアカデミア、その過ちに気付くのは一体何時になるのでござろうな…

そしてその時までに、遊香殿の兄上である遊児殿の様な屍をどれ程築くと、我々ランサーズ及び同盟勢力と血生臭いデュエルを繰り広げると言うのでござろう…

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