今話から2学年編となります。
試合の描写が増えたり、物語がかなり進展すると思います。
挿絵の方はまゆげ様に描いて頂きました。
第10話 ウキウキ春らんまん
年が明けてから数ヶ月。
僕達にとって2度目の春が訪れた。
寮の部屋替えも有り、クラス替えの為に教室に向かっている。
因みに今回も亮と同室だ。 あと一人は1年生の予定何だけどまだどんな子かわからないんだよね。生意気じゃなかったらいいんだけど。
教室に着くと丁度大河内先生が入ってきた。
大河内
「皆おはよう。君たちがここにきてから1年が経つがここで重大な発表がある」
湊叶
「発表か、一体何だろう」
亮
「ふっ、購買の商品半額化とかだと良いんだがな」
湊叶
「それは無いと思うけど…」
大河内
「コホン…今年からこの学校は晴れて共学になる。詰まり、男女が同じクラスになるんだ」
何だと!っといった声がクラスから上がる。
僕はあんまり関心が無いけど他の男子にとっては大きいのかな、荷田君なんかはガッツポーズを繰り返してるし。
大河内
「2年生のクラスは外に掲示してある。各自確認して向かってくれ。では解散。」
ふわぁと欠伸をしている勝利達も動き始めた為僕らも移動をする。
クラス表を見た結果…
湊叶
「あれ、また大河内先生だ」
亮
「俺も同じだ。と言うかクラスを半分に分けたような感じじゃないか」
そうだねっと言ってからクラスを見渡す。 確かにクラスの左半分を埋めている男子を見ると全員知った顔だ。
荷田
「ここに女子が来るでやんす!1度は諦めた春がここにやってくるでやんす!」
翔
「…五月蝿い荷田」
大河内先生が教卓に立ち、声をかける。
大河内
「さぁ、今から女子が入るからな」
荷田
「ワクワクでやんす〜!」
湊叶
「荷田君五月蝿い…」
まず最初に入ってきたのはとても大きな女子生徒だった。
勝利
「うわ、デカイでやんす!オイラより頭一個分は大きいでやんすよ!」
荷田
「オイラの口調を真似るなでやんす!」
亮
「…確かに大きいな」
「あ…ど、どうも。えっと、大江です」
目測で大体190近くありそうな空色の髪をした女子生徒の名前は大江と言うらしい。
荷田
「何でやんすか、あの電柱女は?」
宗太
(…電柱女何て、失礼なやつだな)
信弥
「…190近くあるな。まぁ、目測やけど。」
女子が入り始め、クラスがざわつき始める。
僕も何となく周りと話していると、聞き覚えのある声がした。
声の方向を見ると、そこには
---神条紫杏の姿があった。
紫杏
「神条紫杏だ。男子諸君宜しくな。」
赤毛よりのポニーテールの少女。
男勝りな強気な目に加えて、特徴的な白の制服。
僕の目は神条を捉え続けていた。
神条が席に向かう途中で目が合った。
僕が見続けていたから自然とあったのかもしれない。
こちらを見、神条は軽く微笑んだ。
その笑顔を見、僕は顔を逸らしてしまった。
顔が一瞬熱くなった気がしたけどあれは何だったんだろう。
僕はもやもやとしているが、自己紹介は進んでいく。
「あたしの名前は高科奈桜です!何か面白い話やネタがあったら教えてくださいですよ!」
荷田
「何だか新聞部ぽい人でやんす。」
またまた個性的な人だな。あ、悪い意味じゃないよ、黄緑色の髪だって、綺麗だと思うし。
信弥
「お決まりとして、あいつに秘密がバレたら次の日には広まるパターンやなぁ」
勝利( ん?奈桜も同じクラスなのか…これは1年間騒がしくなりそうだな)
「浜野朱理です。あたしは男が嫌いなので絶対に近寄らないでね」
あ、この間森で会った人だ。 そうか、この人も同じクラスか。
荷田
「性格の悪そうな女でやんす。…何だかオイラには永遠に春は来ない気がするでやんす」
浜野
「…」ギロリ
荷田
「」
翔
(…ビビるくらいなら口に出さなかったらいいのに)
五十鈴「…天月五十鈴」
荷田「おおお!この娘はレベル高いでやんすよ!イイでやんす。共学最高でやんすよ!」
( バシバシバシ )
それにしてもこの学校はやたら校則があるのに頭髪は自由なのか。 神条は赤毛よりの茶髪ポニーテール、さっきの大江さんは空色、高科さんは黄緑、浜野さんは茶髪、天月さんは紫色、亮のやつは金髪まるでどこかの超サ〇ヤ人。勝利と越後らは坊主だけど、翔だって、さっぱりとしたエメラルドグリーン、宗太は赤髪で襟足が黒、信弥は蒼色だ。因みに僕は黒髪。こうして見ると皆日本人なのか疑いたくなる。と言っても、僕の目の色は水色なのでそこは触れてはいけないんだろう。
その後男子の自己紹介も終わり、その日は解散となった。
女子にアピールする男子、逆にアピールしてくる女子、足早に教室を立ち去る者達。
因みに僕は立ち去る者に当てはまる。女子と話すのはあまり得意ではない。 必要な時とかは話すけど、その他ではあんまり話したくないってのが本音だ。
単純に女性慣れしてないだけなんだけどね。
僕がこんな性格だから折角話しかけてもらっても相手に申し訳ない思いをさせてしまっている。
…直した方がいいのかな。
亮
「ほら、ぼさっとしてないでさっさと部活に行くぞ」
さてと、切り替えて部活に行きますか。
*
車坂
「いいかこの中に…」
勝利
「新入生が来て、監督の話か」
荷田
「今年もいっぱい来たでやんすね。いやぁ、後輩が沢山出来たでやんす」
車坂
「返事はどうしたァ!」
(ありがとうございます!)
「……………」
「……………」
あれ、返事をしない人が2人居るぞ。
因みに僕達は2年生に進級したので、監督の後ろに並んでいます。
車坂
「…おい、そこの2人。どうして黙っている。」
「俺、長い話聞くの苦手なんすよね。だから途中から寝てましたー」
「ふわぁ、ほぼ右に同じです」
うわぁ、随分と肝の据わったこと…
車坂
「…疋田光司と
監督の言葉を聞き、辺りがざわざわとする。
疋田
「あれば俺は悪くありません。相手が先にやったんです」
車坂
「ふん、どうだかな。その反抗的な態度に見合う実力を見せてもらうぞ。それと-」
神無月
「……………」すぅすぅ
車坂
「おい神無月!」
神無月
「ふぇ?」
車坂
「…無類の練習好きで、退屈になると直ぐに寝るか」
監督の言葉に神無月は鼻を触りながら
神無月
「ふっ、だって練習するの楽しいじゃないっすか!すればするほど自分の力が増えて行って、試合でも活躍することが増える!こんなに楽しいことないっすよ!!」
--満面の笑みで答えた。
車坂
「ふん、言い切ったな。なら、お前もその口に合うだけの実力を示してみろ」
神無月
「望むところっす!!」
話は終わり、2人のテストへと場は移る。
投げるのは田島。 捕球するのは翔だ。
最初は疋田が打席に入る。
へぇ、左打ちかぁ。
2人に与えられたのは3打席。さぁ勝負が始まった。
-結果は2人とも3打数1安打。
信弥
「へぇ、うまいこと当てるなぁ」
荷田
「きっと去年から硬式の練習をしていたんでやんすよ。それに神無月君はシニアあがりでやんすし」
疋田
「どうです、監督」
車坂
「ああ…正直がっかりした。特に神無月にはな」
2人がえっと、吃驚の声を上げる。
車坂
「確かにお前達はなかなかの物だと思う。しかしな、残念ながら俺は星英の天道翔馬を見た。あれに比べればお前たちの素質は霞んで見える」
疋田
「天道?あぁ、中学の時にいっぺん対戦しましたね。確かに騒がれてましたけど、その時の印象なら俺の方が上です。」
神無月
「星英の天道…ん?あぁ、湊叶さんの双子の兄か」
神無月が僕の方を見る。 そっか、一昨年全国で対戦した時に代打で途中出場している子だ。
今思い出したや。
車坂
「そうか、まぁいい。俺は試合に勝つための兵士が要るんだ。それにさえなってくれればそれでいい。勝った者が強いんだからな」
疋田
「まぁ、見ていて下さいよ」
神無月
「必ず追い抜いて見せます!!」
車坂
「ふん。さてと、お前たちは俺の有難い話も聞かずに寝ていた訳だな。他の奴らにも示しがつかんし、去年似たようなことで走った奴らがそこにいるからな」
監督がジト目で勝利と荷田君を見つめる。
あははと、勝利が冷や汗をかいている。
珍しい物が見れたね。
車坂
「という理由でグラウンド5周だ。早く行ってくるんだな。他の者はアップを始めろ。以上」
神無月
「うおぉぉぉし!行くぜぇぇ!!」
疋田
「はぁ」
何か、とても面倒くさいのが入ってきた気がします。
因みに神無月君は同室です。
はぁ、空回りし過ぎないと良いけどなぁ。
神無月
「先輩方1年間よろしくお願いします!!」
湊叶
「うん。よろしくね」
亮
「ああ。しかし、1年間と言うことは俺達が進級した時にはよろしくしなくていいんだな?」
神無月
「あ、いえ、これはその言葉の綾と言いますか、そう!言葉の綾っす!!」
亮
「ふっ、冗談だ。だから焦らなくていい。よろしくな」
はぁ、あまり面白くないジョークは冗談じゃないって言ってるのに。
あれ、そう言えば
湊叶
「あ、神無月君」
神無月
「十彩でいいっすよ!」
湊叶
「ん、わかった。えっと、十彩に聞きたいことが有るんだけど」
神無月
「はい!何でも聞いてくださいっす!」
湊叶
「十彩は上野シニア出身だけど帝王に行かなくて良かったの?去年の夏の覇者だし藤内君とか、蛇島君とかが居るだろ?」
あー、と坊主頭をかきながら十彩が答える。
神無月
「湊叶さんたちと野球がしたかったっす」
湊叶・亮
「「え?」」
神無月
「2年前に試合したじゃないっすか。そん時に思ったのが何か、楽しそうだなって。試合は俺らが勝ちましたけどみんなが終始のびのびと野球をしていて、勝ちに囚われていないように見えて」
亮
「特に意識はしたことがなかったな。でもこの学校は-」
神無月
「はい、勝ちに飢えてるっすよね…」
はぁ、と十彩が溜息を漏らす。
湊叶
「まあまあ、野球をやる以上僕らが目指すのはどちらにしろ勝利だ。監督が厳しくても僕らは僕らなりに野球をすればいいんじゃないかな?それこそ楽しんで野球したりする感じで」
亮
「お、いい事を言うじゃないか」
湊叶
「あはは、誰かとは違うからね」
亮
「むっ、それは誰のことだ?」
湊叶
「気にしない気にしない」
神無月
「な、なるほど!」
湊叶
「ん?」
神無月
「そ、そうですね。俺らには野球を楽しんでプレーする権利がある。だから監督の思想に縛られることはないんすね!!」
湊叶
「まぁ、のびのびとしたらいいよ。自分たちの実力が発揮できたら勝利はついてくるしね」
神無月
「ですよね!うぉぉ!!頑張るぞ!!」
湊叶
「うん。一緒に甲子園を目指して頑張ろう!」
亮
「だな」
神無月
「よっし!そうと決まればランニングっすよ!!」
湊叶
「え、こんな時間に行くの?」
神無月
「何言ってるんすか!甲子園を懸けた戦いはもう始まってるんすよ!それに努力さえしておけば試合中に信じることが出来ますからね!!」
湊叶
「うん、そうだね。よし、行こうか」
もう僕らも高校生になって、2年目。
去年はしっかり自分の出来ることをした。
だから今年は---レギュラーを狙おう。