オーバーロード異伝 異形の天使たち   作:そよ風ミキサー

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前書き


予想外に読んでいただいている方がいて嬉しく思います。

アークオルフェノクのフィギュアーツ早よ!


今回はちょっと会話が多めです
――――――――――――――――――――――――――――――


第3話 オルフェノク(死の超越者)とオーバーロード(死の支配者)

『もしもし、モモンガさんですか?』

 

『その声は……ノアさん!? ノアさんですか!?』

 

 

 フレンドメッセージでコンタクトをとってみた所、やはりアインズ・ウール・ゴウンのギルド長、モモンガだった。

 何故か渋い声色になっているのは、何らかの理由があっての事なのだろうか? 人の事を言えたワケではないのだが。

 驚きの感情が声だけで手に取る様にわかった。それだけモモンガも焦っているという事だろう。しかし、冷静そうに話をしているノアも内心はモモンガと同じ心境だ。

 正直此方も声を大にして慌てたいところだが、互いに慌てたって建設的な事は無いだろうから、ノアは心を無理やり鎮める。

 

 

『モモンガさん、お互いこうしてフレンドメッセージが出来るという事は、やっぱり……』

 

『そうなんですよ! ユグドラシルのサーバーダウンの時間が過ぎたのに、まだ続いているんです! それに、GMコールも利きません!』

 

 

 モモンガがこうして声を荒げる事に、ノアは内心驚いていた。普段は温和で控えめな人なのだが、流石にこの様な状況ではそうもいかない様だ。

 

 

『今どちらにいらっしゃいますか? ナザリックの中ですか?』

 

『……あ、はい。今ナザリックの第6階層にいます』

 

(第6階層という事は、あのコロッセオがある場所か)

 

 

 急に落ち着きだしたモモンガに首をかしげるノアだが、過去に何度も訪問したナザリック内の記憶を手繰り寄せ、モモンガの入る場所を思い出す。

 確か、同じアインズ・ウール・ゴウンのメンバーぶくぶく茶釜が作成した守護者のNPCがいた筈だ。

 

 

『他に何か変わった事はありますか? 実は私の方は自分の拠点にいるのですが、眷属達が意思を持って話しかけてきましたよ』

 

『えぇ、あの眷属達がですか? ……実は、私の所も同じでして』

 

 

 どうやら、お互い似たような状況らしい。

 これは、いよいよ本格的に確認しなくてはならない様だ。

 ノアはモモンガにある提案を持ち掛けた。

 

 

『どうでしょう? もしよろしければ一度互いに会って話をしてみませんか?』

 

『それは願ってもない事です。しかし、今ナザリックの外がどうなっているのか分かりませんので、それが分かるまでは……』

 

『私も同感です。今、眷属に拠点の外を見に行ってもらっていますので、それ次第だと思います』

 

 

 落ち合おうにも外の状況が不明だし、かといって今ここからモモンガの入るナザリックへ一気に移動できる術も無い。

 モモンガもNPCに偵察に向かわせているらしいので、それが分かり次第という事にした。

 

 

 そして一旦通信を切り、外へ向かわせたローズを待つ事十数分、ローズは戻って来た。

 ノアがいる部屋に突然バラの花びらが舞い上がったかと思いきや、いつの間にか其処にはバラ型のオルフェノク、ローズが優雅な仕草で跪いていた。飛び散っていた花びらもいつの間にか消えている。

 

 

「ノア様、ローズ只今帰還致しました」

 

「御苦労。それで、外の状況はどうだ?」

 

「それが、どうにも不可解な事になりました」

 

 

 お前もその不可解な事の内に入っているんだがなぁと突っ込んでやりたいノアだが、自制心を強く持ってローズに続きを促した。

 

 

「構わん、見た事全てを私に伝えるんだ」

 

「はっ。……草原が、見渡す限り一面に広がっておりました」

 

「……草原?」

 

「はい、その通りです。其処は小動物がいる程度で、モンスターらしい影は見当たりませんでした。時間帯は夜の様で、星空が広がっております」

 

「……空に、何か建造物は浮いているか?」

 

「いいえ、調べた限りでは何も見当たりません。隠蔽されている様な気配も感じられませんでした」

 

 

 ノアはローズの発言に耳を疑った。

 ノアと眷属達が住まうこの拠点は、ユグドラシル内に聳(そび)える有数の大山脈の一角に置いていた。

 それがいつの間にか、ノアの与(あずか)り知らぬうちに知らない場所に移されていた。 

 

 

 

「ローズ、私達の拠点がこの間まであった場所を覚えているか?」

 

「勿論でございます。他者を寄せ付けぬ程の絶壁を誇る大山脈の頂上近くに構えておりました。まかり間違っても、先程ご報告したような場所ではございません」

 

「その通りだ。ならば何故この拠点が草原地帯に移されたのか、覚えはあるか?」

 

「……申し訳ございませんノア様、無知なこの身をお許しください。私にも身に覚えのない現象でございます。ご期待に添えられなかった罰ならば如何様にも……」

 

「止せ、この様なつまらない事はお前を罰するに値しない。お前には、これからもっと働いてもらわなければならないのだからな」

 

「……は、ははっ! 私めにチャンスを与えていただき、ありがとうございます!」

 

 

 このやり取りを以てノアはほぼ確信した。眷属達は間違いなく自分に忠誠を誓っている。

 

 先程自分の質問に満足のいく返答が出来なかったローズは体を震わせ、拳は砕けんばかりに握り締められ、申し訳なさすぎる程に後悔の念を声に滲ませたその姿は自害せんばかりの様子だった。

 精魂込めて作った大切な眷属達をそんな馬鹿らしい事で失うつもりは決して無かったノアが止めると、今度は身に余る光栄と言わんばかりに歓喜に震えながら平伏した。

 

 なんというオーバーリアクション。昨今の○メリカ人のコメディアンだってもうちょっと慎ましやかだ。

 そんな風にローズの態度にちょっと呆れていたノアに、ローズは更に報告を続けた。

 

 

「それとノア様、地上を調査していた際、アインズ・ウール・ゴウンの執事とメイドらしき人影を見つけました」

 

「何ッ!?」

 

 

 油断していた矢先にローズから放り込まれた爆弾発言に、ノアは驚いて椅子から飛び上がった。

 そんな自分らの主の姿に驚いたローズと側で待機していたゴートはぎょっとするが、慌てて元の姿勢に戻った。

 ノアはローズの近くへ歩み寄ると、さらに追及した。

 

 

「それは確かか?」

 

「はい。以前、かのナザリック地下大墳墓からアインズ・ウール・ゴウンの方々がこの拠点へご来訪された際、方々のお話から先ほどの執事と戦闘メイド達の事を小耳に挟んでいましたので覚えがございました。あれはほぼ確実にアインズ・ウール・ゴウンの家令セバス・チャンと戦闘メイドの一人かと存じます。私は気配を隠していましたため、向こうはこちらに気付いていなかったようであります」

 

 

 ノアはローズの報告に驚愕するとともに納得もした。

 もしこの眷属達がユグドラシルの頃の記憶も持っているのなら、確かにローズが言った事は間違いではない。

 アインズ・ウール・ゴウンがまだ全盛期だった頃、ノアは彼らを拠点に招待した際に、眷属達をお披露目した事があった。その眷属達の中には、既に完成していたローズがいたのだ。

 

 

「そうか、でかしたぞ! よく見つけた! 流石はローズだ」

 

「おぉ、ノア様。この私めに過分なお褒めの言葉、身に余る光栄にございます」

 

 

 貴重な情報を入手したローズに素直な称賛の言葉を贈ると、ローズは恍惚とした声を漏らしていた。

 ちょっと引きそうになるが、そんな事よりも予想よりも早い段階でモモンガと合流できる手がかりが見つかった事が嬉しかった。

 

 ノアはローズから入手した情報を基に思案する。

 先程フレンドメッセージで会話したモモンガの状況からすると、異変が起こったのはほぼ同じの様に思える。

 そして、ローズが発見したナザリックのシモベ達と、モモンガがナザリックの外へシモベ達を調査に向かわせたのも其処まで時間が経っているとは思えない。

 もしかしたら、モモンガの方もシモベがナザリックへ帰って現状を報告しているのかもしれない。

 

 

(……モモンガさんの居るナザリック地下大墳墓は近いかもしれない)

 

 

 向こう側のNPC達がどのような方法で移動しているのかまでは定かではないが、其処まで極端にナザリックから離れる事は無いだろう。周辺を調べるのにそこまで広範囲に調べる必要はない。

 精々ナザリックから2~3キロ、もしくは1キロ周辺が探査範囲といった所だろうか。

 

 試案を続けるノアの頭に再びフレンドメッセージが届いた。

 

 

『ノアさん、聞こえますか?』

 

『聞こえますよモモンガさん。丁度よかった』

 

『と、言いますと?』

 

『先程私の眷属が拠点に帰って来たのですが、どうやらそちらのセバスと戦闘メイドを見つけたようです』

 

『えぇ! 本当ですか!? もしかして、意外と私達って近くにいるのでしょうか?』

 

『その可能性が高いかと思います。私の眷属の報告によれば、見渡す限りが草原だと聞いていますが、そちらも同じでしょうか?』 

 

『……同じです、セバスも同じ報告を伝えてきました』

 

 

 モモンガの発言を最後に、互いがしばし沈黙に陥るが、次にノアが切り出してきた。

 

 

『いっその事、外で会ってみませんか?』

 

『しかし、大丈夫でしょうか?』

 

 

 モモンガが懸念している事はノアにも十分理解できた。

 外の世界にどのような未知が待ち受けているのか心配なのだろう。

 

 自分達の力が通用しないのでは? シモベ達から無害だと報告を受けたが、足を踏み出した途端とてつもない脅威が襲い掛かってくるのでは?

 

 そういった、目に見えない不確かな可能性と言う名の不安がモモンガに二の足を踏ませているのだろう。

 

 ノアもモモンガも、互いにユグドラシルではこれ以上上がる事のないLV100に達したプレイヤーだ。

 しかし、決して最強ではないし無敵でもない。上を見上げてみれば、強いプレイヤーは沢山いる。だからこそ自身よりも強い脅威が存在する可能性が頭を過るのだ。

 更に言えば、モモンガはユグドラシル内でも悪名の高いギルドのギルド長だ。ひょっこり顔を出した途端攻撃を受ける、なんていう可能性も否定はできないのだろう。

 

 

『モモンガさんが懸念されている事は、私も良く理解しているつもりです。正直、外に何があるのか今でもちょっと不安を覚えています』

 

『でしたら――』

 

『ですが』

 

 

 個人的な社会人の見解として、他者の発言の上からかぶせるような言い方は好ましく思わないが、そうも言っていられないノアは畳みかけるように話した。

 

 

『石橋を叩くのも必要ですが、その橋に足を踏み込む勇気も必要だと思うのです。誰しもが皆、前人未到の世界を開拓する前は安全が確立されていたわけではないのですから。それに、眷属の話では空は星が見えるほどに綺麗だというじゃないですか。星空の下で会うというのもちょっと洒落てませんか?』

 

 

 最も、男同士では色気も何もありませんけどね、とノアがとぼけた口調で締めくくる。

 

 ノアの説得に、モモンガはしばらく黙り込んでしまう。

 しかし、小さな溜息と共に賛同してくれた。

 

 

『……分かりました。いつまでも引き籠っているわけには行きませんものね。それに、シモベ達の言った事も信じませんと』

 

『ありがとうございます。場所はどうしましょうか? そこまで離れているわけではないらしいのですが』

 

『それでしたら、お互いに索敵スキルと魔法をメッセージと併用しながら探し合ってみませんか?』

 

『スキルや魔法はユグドラシルと同じ様に使えるのですか?』

 

『ええ、〝ゲームらしさ”が無くなっただけで、違和感なく使えますよ』

 

 

 モモンガはナザリックで色々と試していたらしく、プレイヤーが所持しているスキルは問題なく使用する所まで確認しているらしい。

 ノアはそれを聞いてほっとすると、モモンガの提案に乗る事にした。

 

 草原で会いましょうと言ってメッセージを切り、椅子から立ち上がったノアはこの場にいる眷属達に通達する。

 

 

「ゴート、全ての眷属を此処へ集めろ。皆に伝えたい事がある」

 

「畏まりました、全眷属へ通達致します」

 

 

 ゴートへ指示を下すと、それから眷属達がノアのもとへ集まるのは驚くほど速かった。

 ノアの体感時間で5分もかからなかった様に思える。オルフェノクの身体能力をフルに使ったのだろうか。

 

 一人も欠けることなく集まった事を確認したノアは、眷属達が跪き、こちらの言葉を静かに待っている事を確認して話し始めた。

 

 

「今、我らの拠点に異変が起きている」

 

 

 ノアの言葉に眷属達から動揺の感情が読み取れた。互いの顔を見合わせている眷属の中から、馬型オルフェノクのホースが皆を代表するかのようにノアへ問いかけた。

 

 

「恐れながら王、異変と言うのはどのようなものでしょうか?」

 

「我らがいるこの拠点が、気付かぬ間に草原の地下に移動されているのだ。これはローズに直接調査に向かわせたうえでの結論だ」

 

 

 更にざわめきが強くなった。

 しかし、そこでヤギ型オルフェノクゴートが眷属達に聞こえるような強い声で窘めた。

 

 

「静まるのだ。今はノア様が話されているのだぞ。お前達はそれを遮るつもりか?」

 

 

 そう言われるや、眷属達はしんと静まり返り、物音ひとつすらせずに傾聴し始めた。

 

 聞き漏らしたら死ぬ。それ位の気迫すら感じたノアは、冷や汗をかいている様な気になりつつも言葉を紡ぐ。

 何が悲しくて上役達の前で新入社員が偉そうにスピーチをする者がいるだろうか。ノアは精神的なプレッシャーがたまりっぱなしで、正直肝が潰れそうだった。

 

 しかし、突然その緊張感がスッと無くなってしまった。

 心の底からリフレッシュしたかのような心の落ち着きがあり、それを良い事にノアは発言を続けた。

 

 

「――――そして、同じ事態に見舞われている者達が他にもいた。名をアインズ・ウール・ゴウン」

 

 

 ノアが発したそのギルドの名前に、眷属達の方から息を飲み込む音が微かに聞こえた。

 え、どうしてそんな反応なの? と思いつつも、ノアは続ける。

 

 

「先程アインズ・ウール・ゴウンのギルド長、モモンガさんと連絡が取れた。これから拠点の外で会って話をしようと思う。そこで、万全を期すため二人ほど供(とも)を付けたい。ローズ! ゴート!」

 

 

 名を呼んだ二人の眷属からははッと威勢の良い声が返ってくる。

 

 

「我が眷属の中でも指折りの実力を持つお前達を連れて行くのは過剰戦力にも思えるが、不測の事態に備えておきたい。構わないな?」

 

「光栄の極みにございます。王のご命令とあらばこのローズ、何処までもお供いたします!」

 

「彼(か)のナザリックの死の支配者と会われるのならば、決して過剰な人選ではないかと存じます」

 

 

 高揚にノアの指示を承るローズと、静かに燃える気配が感じられるゴートの反応に気を良くしたノアは満足げに頷いた。

 ゴートは眷属筆頭で、ローズはそのナンバー2に位置するキャラクターとして作られている。ローズの狂信者的な性格には面喰ってしまったが。

 

 

「よし、次に拠点の防備だが……ホース!」

 

「ハッ!」

 

 

 馬型オルフェノクのホースが前へ出た。

 

 

「拠点防衛の指揮はお前に一任する。やれるな?」

 

「お任せください! 王がお戻りになられるまで、この拠点を完全な状態でお守り致します!」

 

 

 元々ホースは攻勢にも守勢にも良く対応できるオールマイティーな眷属で、設定的にもゴートの次、ローズと同等に優秀なキャラなので、任せる分には問題ないとノアは判断した。

 他にも、ホースが不測の事態に見舞われた時に対応できるような眷属が数名いる。ホースの性格のむらっ気が少し気になるが、問題は無いだろう。

 

 

「ホースは他の眷属達と防衛体制の構築に取り掛かる様に。私はこのまま出かける。それでは皆、各々の領分で最大限の効果を発揮せよ。以上を以て解散とする」

 

 

 ノアの言葉を皮切りに、ホースが眷属達を引き連れて広間を出ていく。その姿は、洗練された一個の群集団として美しく機能しているように見える。

 苦労を重ねて生み出した眷属達の姿に、ノアは人知れず感動に打ち震えた。

 

 素晴らしい、これが私の眷属達。これこそが私の―――。

 

 

 高ぶる感情はしかし、霧散していく。

 せっかくいい気分だったノアは、再び起こった精神の鎮静化にガックリとした。

 

 

「……何なんだ全く」

 

「ノア様、どうかなさいましたか?」

 

 

 独りごちたノアへゴートが話しかけてきた。

 ノアはハッとして元の調子に戻し、何でもないと言って椅子から立ち上がった。

 

 

「行くぞ、先方を待たせる訳にはいかんからな」

 

 

 そしてノアは二人の眷属を引き連れて、拠点の外へと向かった。

 

 

 

 

「ローズの報告で聞いてはいたが、これは凄いな……」

 

 拠点を出たノアの視界に広がるのは、ローズの報告通りの大草原地帯だった。

 夜の帳が落ちているにもかかわらず、暗さを感じないのはノアの体が本格的にオルフェノクとなっただけではない。

 

 星だ。2100年代の日本ではもはや見る事の叶わなくなった、教科書や電子資料でしか見れなかった満天の星空だ。

 そして星空の中で更に巨大な月が輝き、ノア達がいる草原の大地を優しく照らしてくれる。

 ノアは、そんな夜空の美しい輝き達に見惚れてしまった。

 

 お供に連れたローズとゴートは各自索敵スキルを使用して、モモンガ達の補足を試みている最中だ。

 ノアが歩けばそれに付き従い、辺りを見回している。さながら、最重要人物を警護するSPの様である。

 

 

(昔の人達は、こんな光景を見るのが普通だったんだろうな)

 

 

 昔の人類は夜闇がやってくると、星々の光を灯りとして暮らしていたと聞く。

 今の文明社会では人工的な光が夜を照らし、決して眠らぬ街を作り出している。闇に怯えない日々を手に入れた人類だが、その為に失った物の代償は大きい。

 

 最早環境回復の兆しは無く、ただ汚染が加速する世界で生まれたノア――鈴木輝雄は、本来自然が持つ優しい光を堪能した。

 

 だが、天体観測をしに来たのが目的ではない事はノアも重々承知である。

 

 

「ノア様、彼らを見つけました。向こうも我らを補足したようです。……来ます」

 

 

 ゴートがノアへ報告するとその直後、ノア達の目の前に闇が現れた。

 自然的な闇ではない。まるで深淵の底につながる奈落の底の様な暗さのそれだが、ノアはその正体を知っているが故に警戒をしなかった。

 

 

 闇から何かが姿を現す。

 徐々に闇を抜けて姿を現したのは、金と紫で縁どりされた漆黒の衣に身を包んだ髑髏の異形だ。

 両の肩には巨大な生物の牙の様な装飾を纏い、7つの蛇がそれぞれ口に宝玉を加えた意匠の杖を持ち、体の中心部には赤い球体が収まっている。

 

 その者こそ、ナザリック地下大墳墓に居を構えるギルド アインズ・ウール・ゴウンを束ねるギルド長にして、アンデッド種族の上位種〝オーバーロード”であるプレイヤー、モモンガであった。

 

 そのモモンガの後を追従する者が現れる。

 老練な雰囲気を醸し出し、鋭い眼光を携えた体格のいい執事。ナザリックの家令を務めるセバス・チャンだ。

 そして更に現れたのは、黒目黒髪の美しい顔立ちをしたメイドだ。しかし、メイドというには身につけるものが物々しい。メイド服に合わせた鎧を着込んだその者は、ナザリックの下層を守護する戦闘メイドだろう。

 

 

 互いが互いに御供をつれて対面する。

 片や54人の眷属を束ねるオルフェノク。そしてもう片方は、広大なナザリック地下大墳墓とそこに住まうシモベ達を統括するオーバーロード

 

 いずれも凡百の者どもとは遥かに逸脱した存在と思わせるのは、その身から滲み出る圧倒的強者の風格か。

 

 

 こうして、未知の世界でオルフェノク(死の超越者)とオーバーロード(死の支配者)は再び出会う。




――――――――――――――――――――――――――――――
後書き

オルフェノクを死の超越者とカッコ付けしたのは、原作や本作での誕生方法に因んでおります。
後の話を書く際記述しますが、今作のオルフェノクは〝アンデッドの特性を持つ天使”という設定です。

光(天使)と闇(アンデッド)が合わさり最強に見える(キリッ

でもフォトンブラッドだけ勘弁な!
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