夢封じる秘境   作:零式艦上戦闘機

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第九話

 十六夜咲夜

 

「くっ!」

 急いで時間を止める。だがあせっているせいで体勢を変える程度の時間しか止められない。しかし飛んでくる札を後ろに飛ぶことでかわす。すると今度は足が動かなくなった。見るとさっきまで無かった札を踏んでいる。

「何これ?」

「やっとかかった。本当に面倒な能力ね」

 上から聞こえてきた声の方向を見ると博麗の巫女が二階にいた。

「いつの間に?……まさかさっきの目くらましのときに?」

「そうよ。ついでに身代わりもあんたが踏んでいるのもね。大人しく負けを認めてあんたの能力と弱点を教えなさい」

「分かったわ。降参よ」

 残念、せめて一人くらいに勝って後でお嬢様にいろいろ言われないようにしたかったけど。

「能力は時間を操ること、時間の流れを遅くしたり早くしたり停止させたり出来るわ。それと空間もある程度操作できるわ。この紅魔館が外から見たのに比べて広いのは私が拡張しているからよ。弱点は移動するとき体が通り抜けられる隙間がないと移動できないこと。これでいいかしら?」

「さっきの戦いと今の説明を聞く限り、お前の能力は正面から戦うより奇襲に向いているはずだが何故それをしなかった?」

「お嬢様の意向よ。いつもの様に奇襲せず、戦えというね」

「勝ちをかなり捨てているな。いや適当な所で講和するつもりだったのか?」

 その通りだ。お嬢様は出来れば勝ちたいが無理ならうまく負けるつもりだ。

「まあ良い。次に聞きたいのは俺達が来るのをどうやって知ったかだ」

「お嬢様のお力よ。ところで私はこれからどうなるのかしら?」

「藍に監視させるわ」

「分かりました。絶対に逃がしません」

 

 射命丸文

 

 素晴らしい。今幻想郷は変わろうとしている。私はそれを一番良い位置で見ているのだ。新聞記者としてこれほど名誉なことは無い。

「まず今回の異変を記事にして、その後発表される新ルールを記事にする。特ダネが二つも手に入るとは最高です」

「普段はどういう記事を書いているですか?」

「お仕置きされるいたずら妖精の記事、河童の新発明、などですね。まあ要はありふれた内容ですね」

「河童?あのきゅうり食べて相撲したがり頭の皿の水がなくなると元気がなくなる妖怪ですよね」

「昔は詩歌さんの言うとおりの妖怪でしたが、結界で隔離されてから独自の進化をしましてね。今ではみんな発明家になっています。ただ協調性がほぼ無いので何か作ってもらうときは必ず一人で作るように頼んでください。頼んだのと全く違うものがほぼ確実に出来ます」

「そんな大げさな」

「似たような話なら俺も聞いたことがある。西中央支部のある局員が職人連中に仕事の報酬に電車の、動力まで再現した模型を作ってもらおうとしたんだが、変にいじられた挙句謎のオブジェになってしまったという話だ。その職人連中で比較的まともなやつは少し前に全員で協力して素晴らしい発明を作ること出来たからもう一度いけると思ってやったらしい」

 アリスのロッドは確かに良かったんだが、そうつぶやく大助。多分そういうあだ名の知り合いがいたのだろう。

「どこでも協調性が無い天才には要注意ですね。さてついに見えてきましたよ。あの部屋で待っているはずです。」

 昨日も思ったがこの館は広すぎるし複雑すぎる。時間を止めないととても掃除しきれないと言っていたがそれなら何故ここまで拡大したかを聞きたい。まあいい。ついに館の主人との対面だ。

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