杏本詩歌
「ここまで良く来れたわね。私がこの館の主、レミリア・スカーレット。吸血鬼よ」
大きな羽を生やした少女が胸を張って堂々と自己紹介をする。
「パチュリー・ノーレッジ。魔法使い」
顔色の悪い少女がボソッと言う。
「あなた達が進めていた計画はもう終わりよ。集めた妖怪は逃げ去ったし、メイド長も捕えたわ。降伏「悪いけどそういうのは全部飛ばしてもらえないかしら」
パチュリーが降伏勧告を遮る。
「どの道私達は戦うことになるわ。結果が分かりきっていることを長々とやっても時間の無駄よ」
パチュリーの体から無色のオーラが立ち上り始める。そして本を開き呪文を唱える。
「炎よ、我が敵を焼け。『アグニシャイン』」
炎の渦が襲ってくる。慌てて吹雪のカーテンで防ぐ。
「…?」
「ふゆほたる、助かった」
「かっこう君、変だよ。あの人が出している力に比べて威力が弱い気がする」
「何?……あの息の仕方は喘息のそれだな。そうか長い呪文が唱えられないから威力が弱いのか」
すごく苦しそうに息をしている。早く医者に見せるべきだと思う。
「全く、無理しちゃ駄目よ」
さっきアレが無理しているのだとするとあの人はこのまま戦って本当に大丈夫なのだろうか?
「うう……、喘息が……。レミィ、後何回か魔法使ったら帰っていいわね?」
「仕方ないわね。私は部屋まで送れないわよ」
「召喚。小悪魔」
ポンッ、という音と共に背中と頭に羽が生えた少女が現れる。
「はいはーい。パチュリー様に仕える忠実な小悪魔ですよー。普段はここの図書館でパチュリー様の看護と御本の整理をしています。そちらの皆さん以後よろしく♪」
随分と明るい感じの悪魔だ。私がこんな感じの子なら虫憑きにならなかったかな?でも大助君や利菜、七那のような大切な人たちに会えなかっただろうし………。
「ぼんやりするな!看護要員を呼んだから大技がくるぞ」
「激しき光で大地を照らす太陽よ。その光は時に緑を育み、時には河や湖を枯らし不毛な大地へと変える。生命に生と死を与える光で焼き尽くせ『ロイヤルフレア』」
薬屋大助
巨大な火球が部屋に出現した。熱量は本気のハルキヨ並み、いやそれ以上か?詠唱が長すぎて使った本人は膝をついて苦しそうに息をしているが。幸い詩歌の防御は破られていないが、破られたら詩歌と霊夢は危ないな。
「とんでもないわね、そこの人間。パチェの切り札を防ぐなんて」
「うふふ、そう言ってもらうとわざわざ外の世界からつれてきた甲斐があるわね」
「ヒュー、ヒュー、………よし、息が整ったわ。次の魔法いくわよ」
「「「「「「いや、見ていられないからやめて(くれ)(ちょうだい)」」」」」」
「私にもプライドがあるのよ。いくらなんでもこのままで終われないわ」
パチュリーは大きく深呼吸してこちらに歩み寄りながら呪文を唱える。
「静かな光で大地を照らす月よ。かの星はいくつもの顔を持つ。時には死神、時には霊を導く者、そして魔術の神、魔術の神の威光を見よ『サイレントセレナ』」