薬屋大助
パチュリーが呪文を唱え終えると同時に、彼女の足元から魔方陣が俺達の足元まで広がった。危険だという直感に従って、詩歌と霊夢を抱えて魔方陣の外に逃げる。魔方陣の外に出た直後、青い矢のような光弾が真上に向かって打ち出された。迂闊だった。詩歌の能力は雪を降らせるという工程上、足元は死角になってしまうのだ。
「………”C”にやられなかっただけましか」
「危なかったわね。あんたがいなければ私達はやられてたわ」
「ああ、ところでお前ら大丈夫か?」
「ちょっと痛い程度よ」「大丈夫、平気」
「他は、…ッ!」
今まで静観していたレミリアが無数のこうもりを呼び出す。やむなく二人を抱えて廊下まで撤退し、二人を後ろに放り投げ、強化した銃弾をこうもりが来なくなるまで打ち込む。
「そう言えばあいつらは?」
「大丈夫でしょ。紫や幽香、文は幻想郷でも最高クラスの妖怪よ。あの程度でやられないわ」
放り投げた霊夢と詩歌が後ろから歩いてくる。詩歌に受身を覚えさせて本当に良かったといまさらながら思う。
「最初からあいつらだけでも十分だったんじゃないか?」
「私の修行とあんたたちの顔を幻想郷中に広めるためでしょ。さすがに紫たち並じゃないけど二人とも十分強いから」
「うわあ、恥ずかしいなあ」
「何とかならないのか?」
「無理ね。あきらめなさい」
「紫に頼んで」
そのときドカッという音と共に屋敷が揺れる。
「なんだ!?」
「レミィとあいつらが戦いだしたのよ」
パチュリーが小悪魔に背負われて部屋から出てくる。
「まあ、まずレミィが負けるだろうけど、流れ弾食らったら大怪我するわよ。気を付けなさい」
確かに見る限り、レミリアが不利だ。レミリアは全力で戦っているのに対し紫と幽香はある程度の余裕を残して戦っている。(ちなみに文は写真を撮っている)
「ねえ、あなた。名前は?」
詩歌に触れそうなくらい顔を近づけてパチュリーが聞く。
「えっと、杏本詩歌です」
「杏本詩歌ね。その名前絶対忘れないわ」
睨みつけながら言うと子悪魔に命じて立ち去る。
「久しぶりに怖かった」
割と平気そうだ。まあ、あれよりヤバいやつを見ているからな。
「そりゃ切り札の一つを完全に防いだからな。誰だってプライドが傷つくだろう。ところでこれからどうする?」
「そうねえ、紫たちを下の食堂でお茶でも飲みながら待ってる?」
「そうだな。ここにいても出来ることはないし」
「お茶持ってきてないけど、もしかして勝手に飲むの?」
「いいでしょ。これくらい」
「ちゃんとあのメイドの許可をもらう。それでいいか?」
「それならいいかな?」
この事件で幻想郷は変わる。どうなるかはこれから次第だが。