夢封じる秘境   作:零式艦上戦闘機

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エピローグ

 薬屋大助

 

 一階で捕まっている十六夜咲夜から許可をもらってお茶を飲もうと思ったが、毒草や本来お茶に使う植物ではないものを使ったオリジナル紅茶しかなくて怖くてとても飲めなかった。仕方なく俺が一旦博麗神社に戻り、持ってきた茶葉で茶を飲んでいるとようやく二階からの轟音が途絶え、すねた表情のレミリア・スカーレットを連れた紫達が来た。そしてレミリアたちの処遇についての話し合いが始まった。レミリアたちが幻想郷の侵略をしない、食料を供給されている限り里の人間を襲わないなどのいくつかの決まりを受け入れたことでこの異変は終わりを告げた。そして後日、紫が作った原案に俺達が修正を加えた、新しい妖怪と人間の戦いのルール『スペルカードルール』が発表された。それは、気力を無くしていた妖怪、レミリアに危機感を抱いていた妖怪、そして一部の力を持つ人間の間で瞬く間に広がった。

 

「恋符『マスタースパーク』

 その声と共にレーザーが霊夢に向かって放たれる。霊夢の知り合いの魔法使い、霧雨魔理沙によるものだ。出力は抑えているんだろうが、遊びでレーザーは怖いな。何故二人が戦っているか、それは魔理沙が持ってきたキノコの食べ方についてだ。霊夢は野菜と一緒に炒めて食べたいと言い、魔理沙はスープがいいと言ったため決闘になった。俺達はどっちでもいいんだがな。それにしてもこの二人、もうスペルカードルール(弾幕ごっこと呼ばれだしている。おそらくこっちの方が主要な呼び方になるだろう)に慣れている。まるで小さい頃からずっとやっていたみたいだ。俺たちはスペルカード作成の段階でだめだな。特に絶対に避けられるようにする、のあたりが。どうしたものか。

「あーあ、負けちゃった」

「へへーん、今日は私の勝ちだな」

 考えている間に決着が付いたようだ。今日はキノコのスープが夕食のようだ。そこでふと、疑問が浮かんだので魔理沙に聞いてみる。

「なあ、魔理沙。一応聞くけど毒キノコが混ざっている、なんて無いよな」

「当然だぜ。そうじゃなきゃ私は今ここに居ないぜ」

 そうだよな。話を聞いた限り魔理沙の主食は魔法の森で取れるキノコだ。判別出来ないはずが無い。

「まあ、軽い幻覚作用が有るキノコは混じっているが大丈夫だ」

「…………」

 魔理沙にとって幻覚作用は毒のうちに入らないようだ。どれがそのキノコか教えてもらい、捨てておこう。

 

 夕食後、魔理沙たちと世間話に花を咲かせ、寝る前に詩歌と星を見ながらスペルカードについて話す。すると俺の後ろに気配が突然現れる。振り返ると紫がスキマから現れたところだった。

「あんたか。霊夢はあっちの住居だぞ」

 俺は新しく境内に作られた小屋で寝泊りしている。詩歌や霊夢、魔理沙は前から有る住居のほうで寝る。だからここに来たということは俺に用があるということだろうが、俺はこの妖怪が苦手だ。とにかく胡散臭い。何かを隠しているという気配が常に感じられるのだ。正直あまり関わりたくない。性格は土師よりはるかにましなはずなんだが。

「今はあなたたち二人にお願いが有って来たのよ」

「……何をすればいい?」

俺たちの食事はこいつが握っている。聞かないとまずいだろう。

「まず一つ目、里の人間、その中でも特に妖怪に近づいている人間を見張って。そして妖怪化したら処分して」

「処分って言うのは………」

「封印、もしくは退治ね。もちろんお遊びではなく本気で」

「分かった。………魔理沙も対象か?」

 彼女を処分したく無い。気軽に話せる数少ない人間なのだ。

「あの子は対象外ね。里の外で自活しているし、考えも既に里の人間からかけ離れたものになっているわ」

 確かに。

「人事みたいに思っているようだけどあなた達もよ」

「……………」

「二つ目、私が許可を出さない限り異変を解決しないで」

「?」

「どうして、ですか?」

「折角異変が起きやすい様にしてもあなた達にすぐ解決されたらまた無気力が蔓延するわ。それは困るのよ。だからそうね。霊夢たちのサポートに留めてくれないかしら」

「確かにそうだな。分かった」

 確かに俺達なら異変が起きた時点で解決に動くだろう。霊夢はしばらく放っておきそうだが。………?何かおかしくないか?

「三つ目、起きた異変についての資料を作って。後に参考になるようにどういう異変か、原因は何かを出来るだけ詳しく書いて」

「分かった。努力する」

「じゃあ、お願いね」

 紫が再びスキマに消える。さて、そろそろ寝るか。

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