プロローグ
杏本詩歌
今日は夜の霧の湖でデートだ。何で夜にわざわざここに来たというと文さんに教えてもらった霧の湖の大型魚を釣るためだ。
二日前
「霧の湖には怪物級の大型魚がいるんですよ。記事にしたいのですがごく稀にしか現れない上あまりに巨大すぎて釣れた例がほとんどないのです。でもあなたなら大丈夫だと思うのでちょっと挑戦してくれませんか?」
「大きさによるんだけど、大体どれくらいなんだ?」
「2尋〜5尋もある鯉のような魚ですね。ちなみに1尋はこれ位です」
一メートル半ぐらいみたいだ。ということは三メートルから七メートル半の魚ということ?
「それ、絶対まともな魚じゃないと思うんだけど………」
「妖怪か何かの間違いじゃないんですか?」
「なにぶん情報が少ないもので、詳しい事は分かっていません。でもいることは確かです。明後日のような新月の夜に姿を見せるようです」
「へえ、面白そうだ。詩歌も一緒に来る?」
「もちろん、行く」
すごくわくわくする。ゲームセンターや映画館は無いけどここも結構面白い所があるみたいだ。
そういうわけで来たけど、予想通り釣れなかった。妖怪はたくさん釣れたけど。
「まあ、一回目だしこんなものだろう。そろそろ切り上げて帰ろうか」
「そうだね。また挑戦する?」
「もちろん。じゃあ、帰るから手を、…っ!」
大助君が霧の湖の方を振り返る。
「どうしたの?」
「何か妙な気配を感じる。紅魔館の方からだ。………あそこから霧が出ている?」
「見に行こう」
「ああ、『成虫化、飛行形態』」
大助君に抱えてもらって紅魔館のある島に向かう。
レミリア・スカーレット
夏は日差しが強いから嫌いだ。早く終わって欲しい。
「はあ、昼間は寝てばっかりでつまらないわ」
「だからといって
「分かっているわよ、パチェ。でも何日も続いた雨がようやくやんだと思ったらさー。何かいい考えない?」
こう言うとパチェはあるわけないでしょ、と冷たくあしらうのだが今回は違った。
「レミィは弱い日の光は平気よね?」
「まあね」
「なにか、例えば煙みたいので太陽からの光をある程度遮って弱めればあなたも昼間に動けるようになるんじゃない?」
おおっ、その手があったか、という思いだ。
「問題はどうやって煙とかでこの辺を覆うか、ね。一体どうすれば……」
「それなら簡単よ。こうすればいいんだから」
早速私の力で霧を出す。霧はどんどん広がっていった。
「お嬢様!?これは?」
咲夜が驚く。
「さあ、みんな。楽しい遊びの始まりよ」
???
”彼”は、霧の湖の島から広がる霧を見ていた。
「………くだらぬ」
妙な気配を感じたから来たものの単なるお遊びだった。
「……この器もそろそろ変えねば」
興味を失った”彼”は新しい器を手に入れる算段を立て始めた。と言っても器は来るタイミングが分からないという事を除けばそれなりの質のものの入手はそう難しくない。元いた場所に戻ろうとしたとき、”彼”の目は恐ろしいものを捉えた。
「なんと!」
目にしたものは”彼”の天敵の放つ光だった。”彼”をここまで落ちぶれさせた忘れようのない憎き天敵の片割れがここに来ているのだ。
「グウウゥゥゥ………!」
心の底から湧き出た憎悪に従い今すぐ襲い掛かりたいが悲しいことに力が足りない。そのことを”彼”は良く知っていた。
「…………貴様には我が見えぬだろう。だが我はいずれ…………」